弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人松島政義の上告趣意について。
 当該判決裁判所の公判廷における被告人の自白が憲法三八条三項にいわゆる「本
人の自白」に該当しないことは当裁判所の判例とするところであり、刑訴法三一九
条二項の規定を理由としてこれを変更する必要のないことも亦当裁判所の判例に徴
して明かである(昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日大法廷、昭和二三年
(れ)第二〇六三号同二四年一二月二一日大法廷各判決参照)。然るに、本件第一
審判決は被告人に対する判示犯罪事実を、被告人の第一審公判廷の自白及び盗難届
書、司法警察員竝びに検察官に対する被告人の各供述書(自白)を綜合してこれを
認定しているのであるが、本件については当該判決裁判所の公判廷における被告人
の自白がある場合であるからこの自白を補強する他の証拠を必要としないわけであ
る。されば原判決が第一審判決について、判示賍物運搬の事実を認定するのにその
引用の盗難届書をもつて被告人の自白の補強証拠たり得るとしたことは余剰の説示
であつて、その判断の当否を問はず論旨の理由のないこと明かである。そうして本
件について刑訴法四一一条を適用すべき事由は認められない。
 よつて同法四〇八条一八一条を適用し主文のとおり判決する。
 右は裁判官小谷勝重の反対意見を除き裁判官全員一致の意見である。
 裁判官小谷勝重の反対意見は次のとおりである。
 憲法第三八条第三項に関する私の見解は、すでに本判決引用の昭和二三年(れ)
第一六八号大法廷判決において反対意見として明らかにしておいたところであつて、
当該判決裁判所の公判廷における被告人の自白も亦憲法同条項にいわゆる「本人の
自白」に該当するものといわなければならない。そして、被告人に対する犯罪事実
を認定するには、当該犯罪構成要件事実の内、少くともその客観的部分については
被告人の自白のみをもつてしては足らず、必らずや他にこれが補強証拠の備わるこ
とを必要とするものというべく、これこそ憲法第三八条第三項の要請するところで
あると信ずる。ところで本件の賍物運搬罪については、その構成要件として当該物
件が賍物たること、被告人がこれを或る地点から他の地点迄運搬したこと、及び被
告人がその賍物たるの情を知つていたことの各要件を必要とするものであるから前
二者の客観的要件事実についてはこれを認定するに被告人の自白のみをもつてして
は足らず、これが補強証拠を必要とするわけである。然るに、本件賍物運搬罪にお
いて第一審判決は証拠として前示多数説に示すとおりの証拠をあげているが、その
内被告人の自白以外の証拠としては結局盗難届書唯一つである。そして右盗難届書
をもつてしては、本件物件が盗品たることの補強証拠たるに止まり、未だ被告人が
判示のごとくこの物件を運搬したという事実については到底これが自白を補強する
証拠たり得るものではない。然らば第一審判決は被告人の自白のみをもつて被告人
に対する犯罪事実を認定した違法あるものというべきである。従つて、本件におい
て右盗難届書のみをもつて被告人の自白の補強証拠として必要にして十分なりと判
断して第一審判決を是認した原判決は正に憲法第三八条第三項に違反するものとい
うの外はない。なお、この点について原判決引用の当裁判所判例は本件に適切なも
のではない。されば論旨は理由があるから本件は刑訴法第四一〇条第一項本文第四
一三条本文により、原判決及び第一審判決破棄の上これを佐賀地方裁判所に差戻す
を相当と考えるものである。
  昭和二五年一二月一五日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛