弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人鈴木一郎,同渡辺豈頁修の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異
にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をい
う点を含め,実質は単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の
上告理由に当たらない。
所論にかんがみ,本件各詐欺罪の成否について検討する。
1原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実
関係は次のとおりである。
(1)被告人は,アBらと共謀の上,航空機によりカナダへの不法入国を企図
している中国人のため,航空会社係員を欺いて,関西国際空港発バンクーバー行き
の搭乗券を交付させようと企て,平成18年6月7日,関西国際空港旅客ターミナ
ルビル内のA航空チェックインカウンターにおいて,Bが,A航空(以下「本件航
空会社」という。)から業務委託を受けている会社の係員に対し,真実は,バンク
ーバー行きA航空36便の搭乗券をカナダに不法入国しようとして関西国際空港の
トランジット・エリア内で待機している中国人に交付し,同人を搭乗者として登録
されているBとして航空機に搭乗させてカナダに不法入国させる意図であるのにそ
の情を秘し,あたかもBが搭乗するかのように装い,Bに対する航空券及び日本国
旅券を呈示して,上記A航空36便の搭乗券の交付を請求し,上記係員をしてその
旨誤信させて,同係員からBに対する同便の搭乗券1枚の交付を受け,イCらと
共謀の上,同年7月16日,上記チェックインカウンターにおいて,Cが,アと同
様の意図及び態様により,Cに対する航空券及び日本国旅券を呈示して,バンクー
バー行きA航空36便の搭乗券の交付を請求し,Cに対する同便の搭乗券1枚の交
付を受けた。
(2)本件において,航空券及び搭乗券にはいずれも乗客の氏名が記載されてい
るところ,本件係員らは,搭乗券の交付を請求する者に対して旅券と航空券の呈示
を求め,旅券の氏名及び写真と航空券記載の乗客の氏名及び当該請求者の容ぼうと
を対照して,当該請求者が当該乗客本人であることを確認した上で,搭乗券を交付
することとされていた。このように厳重な本人確認が行われていたのは,航空券に
氏名が記載されている乗客以外の者の航空機への搭乗が航空機の運航の安全上重大
な弊害をもたらす危険性を含むものであったことや,本件航空会社がカナダ政府か
ら同国への不法入国を防止するために搭乗券の発券を適切に行うことを義務付けら
れていたこと等の点において,当該乗客以外の者を航空機に搭乗させないことが本
件航空会社の航空運送事業の経営上重要性を有していたからであって,本件係員ら
は,上記確認ができない場合には搭乗券を交付することはなかった。また,これと
同様に,本件係員らは,搭乗券の交付を請求する者がこれを更に他の者に渡して当
該乗客以外の者を搭乗させる意図を有していることが分かっていれば,その交付に
応じることはなかった。
2以上のような事実関係からすれば,搭乗券の交付を請求する者自身が航空機
に搭乗するかどうかは,本件係員らにおいてその交付の判断の基礎となる重要な事
項であるというべきであるから,自己に対する搭乗券を他の者に渡してその者を搭
乗させる意図であるのにこれを秘して本件係員らに対してその搭乗券の交付を請求
する行為は,詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず,これによりその交付を受け
た行為が刑法246条1項の詐欺罪を構成することは明らかである。被告人の本件
各行為が詐欺罪の共同正犯に当たるとした第1審判決を是認した原判断は正当であ
る。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,
主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官宮川光治裁判官櫻井龍子裁判官金築誠志裁判官
横田尤孝裁判官白木勇)

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