弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人柴崎四郎提出の控訴趣意書に記載されたとおりである
から、これをここに引用する。
 よつて次のとおり考察をする。
 証拠ないし記録によれば、本件所為は、その当初性交の如何なるものであるかを
知らない未だ満十五年にも満たない少女に対し、同女が中学の卒業期を控えて、就
職に焦心して居た折柄、これに乗じて言葉巧みに就職斡旋を名に、同女を連れ出し
て姦淫したものであり、なるほど、最初、就職のための身体検査に名を藉り、同女
の陰部に手指を挿入し、また陰茎を挿入しかかつた事実もあつて、その際同女にお
いて性交の何たるかを解するに至つた節も窺われないわけではないが、それかとい
って、ただそれだけの事由をもつて、又人の近ずく気配に場所を他に転じて二度目
に性交を遂げた事実をもつて直ちに強姦の事実がないとすることはできない。
 蓋し、被告人が、その間同女に対し特段に有形力の行使による暴行や畏怖の念を
生ぜしむべき言辞を弄した脅迫事実の必ずしも見るべきものがないとするも、前述
の如く就職に焦心しているうら若い同女の始めての経験として、その性交が、原審
認定の如く、被告人の右手指挿入等に起因した驚愕の結果、同女において前後の辨
を失した抗拒不能の精神状態になつたのに乗じて行われたものであることもこれを
認め得るものがあるからで<要旨>ある。即ち、姦淫において、敢えて有形力の行使
による暴行や畏怖せしむる言辞を弄するの手段に出でた事実がないとして
も、欺罔等の巧妙な手段によつて機会を作り、相手方の性的無知ないしは性的所作
事に起因する驚愕による前後の辨を失した抗拒不能に乗じて姦淫を遂げた事実ある
においては、強姦の罪の成立あるを免がれない。従つて、本件被害者が、被告人の
右姦淫によつて処女膜裂傷の傷害を負うに至つたことの証拠上明らかな本件におい
て、原審が証拠により右と同趣旨の事実及びこれによる右傷害の事実を認定して、
被告人を強姦致傷の罪に問うたことは正当である。所論において、被害者が、右の
如き驚愕による抗拒不能な精神状態になつたとの点及び被告人がこれを認識してい
たとの点を否認して、原判決を非難しているが、被害者の年令や事の起りの動機そ
の他証拠に見られる事の具体的経過に照らし、同女の原審における右精神状態に関
する同趣旨の証言は決して看過するを得ないところであるばかりでなく、被告人に
おいて右精神状態についての認識があつて本件姦淫の所為に出でた事実もこれを否
定することはできない。所論は、結局、原審が条理経験の法則に従がいその専ら有
する判断権に基き証拠の価値ないし事実の認定について自由に判断したところを非
難するに帰し採用し難い。論旨は理由がない。
 よつて本件控訴の趣意は、その理由がないから、刑事訴訟法第三百九十六条に則
り主文のとおり判決をする。
 (裁判長判事 三宅富士郎 判事 河原徳治 判事 遠藤吉彦)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛