弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人原良男の上告趣意第一点について。
 所論は判例違反を主張するけれども、所論引用の各判例は、いずれも共謀者間に
おける投票買収資金の授受に関するものであり、本件においては、原審は、所論の
ような共謀関係を認定していないのであるから、右各判例は本件に適切でない。
 同第二点は量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由とならない。
 弁護人青柳盛雄、同竹沢哲夫、同高嶋謙一の上告趣意第一点について。
 所論は、第一審判決の犯罪事実の判示方法に関連して、憲法三九条違反を主張す
るものであるが、右は原審において主張判断を経ていないものであつて、上告適法
の理由とならない。
 同第二点について。
 被告人等は島根食糧事務所浜田支部の職員として、国家公務員法に規定する一般
職に属する公務員であることは、原判示によつてあきらかである。およそ、公務員
はすべて全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者でないことは、憲法一五条の規定す
るところであり、また行政の運営は政治にかかわりなく、法規の下において民主的
且つ能率的に行われるべきものであるところ、国家公務員法の適用を受ける一般職
に属する公務員は、国の行政の運営を担任することを職務とする公務員であるから、
その職務の遂行にあたつては厳に政治的に中正の立場を堅持し、いやしくも一部の
階級若しくは一派の政党又は政治団体に偏することを許されないものであつて、か
くしてはじめて、一般職に属する公務員が憲法一五条にいう全体の奉仕者である所
以も全うせられ、また政治にかかわりなく法規の下において民主的且つ能率的に運
営せらるべき行政の継続性と安定性も確保されうみものといわなければならない。
これが即ち、国家公務員法一〇二条が一般職に属する公務員について、とくに一党
一派に偏するおそれのある政治活動を制限することとした理由であつて、この点に
おいて、一般国民と差別して処遇されるからといつて、もとより合理的根拠にもと
づくものであり、公共の福祉の要請に適合するものであつて、これをもつて所論の
ように憲法一四条に違反するとすべきではないのである。
 なお論旨は、特別職に属する公務員のうちに、政治的行為の制限を受けていない
者(例えば内閣総理大臣、国務大臣等)のあることを挙げ、一般職公務員との間に
差別あることを云為するが、これら特別職に属する公務員は、その担任する職務の
性質上、その政治活動がその職務となんら矛盾するものでないばかりでなく、かえ
つて政治的に活動することによつて公共の利益を実現することをも、その職分とす
る公務員であつて、前示のごとく、政治と明確に区別された行政の運営を担当し、
この故につよくその政治的中立性を要求される一般職に属する公務員とは著しくそ
の性質を異にするものであるから、右のごとき差別は、また、合理的根拠にもとづ
くものであり、公共の福祉の要請に適合するものであつて、所論憲法一四条違反の
主張は採用することはできない。
 同第三点について。
 所論は単なる法令違反の主張であつて、適法な上告の理由とならない。
 同第四点について。
 被告人等は、第一、二審において、上司の命令的依頼によつてやむなく本件犯罪
を犯すに至つたことを情状として述べているにすぎず、所論のような本件犯行は期
待可能性を欠く旨の主張がなされた形迹はみられないのであるから、所論判例違反
の主張は、その前提を欠くものである。
 同第五点について。
 所論は採証の法則違背、事実誤認、量刑不当の主張に帰するのであつて、適法な
上告の理由とならない。
 よつて刑訴四〇八条に従い、全裁判官一致の意見をもつて、主文のとおり判決す
る。
  昭和三三年三月一二日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一

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