弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A、同B、同Cの弁護人縄稚登、同松永東の上告趣意について。
 所論のうち、憲法三八条一項、二項、三一条、一一条ないし一三条、九九条違反
をいう点は、記録に徴しても、所論の自白が所論のごとき強制、誘導により得られ
たと疑うべき証跡は存しないから、論旨は前提を欠き、憲法一四条違反をいう点は、
所論のように、捜査官の捜査段階における本件処置が不当である旨を主張すること
は、原判決に対する具体的論難ではなく、その余の所論は、単なる訴訟法違反、事
実誤認の主張であつて、すべて適法な上告理由に当らない。
 被告人Dの弁護人小堀満馬、同小堀樹の上告趣意について。
 所論は、憲法三八条二項、三一条違反をいうが、記録に徴しても、所論の自白が
所論のごとき強制、誘導によつて得られたと疑うべき証跡は存しないから、論旨は
前提を欠き、その余の所論は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、いず
れも適法な上告理由に当らない。
 被告人Dの弁護人吉田太郎、被告人Eの弁護人榎本精一、同大里一郎および被告
人Fの弁護人田中和の上告趣意について。
 所論は、いずれも単なる訴訟法違反(記録に徴しても、所論各供述調書の任意性
を疑うべき証跡は存しない。)、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当ら
ない。
 被告人Gの弁護人田中政義、回田中学の上告趣意について。
 所論のうち、憲法三八条一項違反をいう点は、原判決は、第一審判決判示第三、
(三)、(2)および第九の事実が、同判決挙示の関係証拠によつて優に肯認する
ことができるとして、同判決の事実認定を肯認したうえ、被告人Dおよび同Gが、
検察官の取調に対し、判示金員の授受がガスライターおよび飲食代金支払に対する
返礼の趣旨であるということを全く主張しなかつたことをもつて、右被告人両名の
弁護人の控訴趣意中の同趣旨の主張を認めることができない理由の一として判示し
たにとどまり、所論のごとく、右被告人両名が、検察官の取調に対し、前記のよう
な主張をしなかつたこと自体を不利益な事実認定の資料としたものでないことは判
文上明らかであり、憲法三八条二項、三一条違反をいう点は、記録に徴しても、所
論の自白が所論のごとき強制、誘導により得られたと疑うべき証跡は存しないから、
論旨はいずれも前提を欠き、その余の所論は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張
であつて、すべて適法な上告理由に当らない。
 被告人Hの弁護人小町愈一、同金田哲之、同高橋一成の上告趣意(第一および第
二)について。
 所論は、判例違反をいう点もあるが、所論引用の判例は、いずれも原審の認定に
そわない事実を前提とする判例違反の主張であり、その余の所論は、単なる法令違
反、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 被告人Iの弁護人池田淳、同池田純一、同三浦寅之助の上告趣意について。
 所論第一点は、憲法三一条違反をいうが、実質は、単なる法令違反の主張であり、
同第二点のうち、憲法三一条違反をいう点は、実質は、単なる訴訟法違反、事実誤
認の主張であり、判例違反をいう点は、所論引用の判例は、事案を異にし本件に適
切でなく、同第四点は、憲法三七条二項違反をいうが、記録に徴しても、被告人I
が所論共同被告人に対し、事実上供述を求めることができなかつたと疑うべき証跡
は存しないから、論旨は前提を欠き、同第五点は、憲法三八条一項違反をいうが、
所論共同被告人の供述が所論のごとき強制により得られたと疑うべき証跡は存しな
いから、論旨は前提を欠き、同第六点は、憲法三七条二項違反をいうが、実質は、
単なる訴訟法違反の主張であり、その余の所論は、単なる訴訟法違反(記録に徴し
ても、所論各供述調書の任意性を疑うべき証跡は存しない。)、事実誤認の主張で
あつて、すべて適法な上告理由に当らない。
 また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり決定する。
  昭和四二年六月二一日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

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