弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       原判決のうち被上告人に関する部分を破棄する。
       上記部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人齊藤誠,同藤本純の上告受理申立て理由(排除されたものを除く。)
について
 1 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
 (1) 上告人らは,平成3年11月,第1審判決別紙物件目録記載の各土地(以
下「本件土地」という。)を購入し,栃木県の許可を得て,これを上告人Aの経営
する会社の産業廃棄物最終処分場として使用していたが,平成7年10月以降は使
用を中止し,その売却先又は借受先の紹介を被上告人及びD(以下「D」という。)
に依頼していた。
 (2) 上告人らは,被上告人及びDの仲介により,平成9年10月6日,E(以
下「E」という。)に対し,賃料を年額150万円,使用目的を資材置場,契約期
間を1年とし,賃貸人の作成した承諾書なしに本件土地を転貸し又は賃借権を譲渡
することを禁ずるとの約定で,本件土地を賃貸した(以下,この契約を「本件賃貸
借契約」という。)。また,被上告人は,同日,上告人らに対し,Eが本件賃貸借
契約に基づき負担する債務につき,連帯保証した(以下,この契約を「本件連帯保
証契約」という。)。
 (3) Eは,平成9年10月9日,上告人らの承諾を得ることなく,F(以下「
F」という。)に対し,賃料を年額500万円,使用目的を資材置場,契約期間を
1年として,本件土地を転貸した。なお,Fは,本件土地を産業廃棄物の処分場と
して使用し,利益を得るつもりであったが,上記転貸借契約の締結に当たっては,
これを秘していた。
 (4) Fは,G産業株式会社と契約し,平成9年10月14日ころから同年11
月5日ころまでの間に,本件土地にコンクリートの塊,ビニールの塊,廃プラスチ
ック類,解体資材等の産業廃棄物合計約1160立方メートルを投棄させた。
 (5) 上告人らは,平成9年11月27日,本件賃貸借契約を無断転貸及び用法
違反を理由として解除し,E,被上告人及びDに対し,2週間以内に上記産業廃棄
物を完全に撤去して本件土地を明け渡すよう催告した。その後,Eは本件土地を明
け渡したものの,投棄された産業廃棄物は放置されたままである。
 (6) Fは,平成10年7月31日,廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の
罪で略式起訴され,同年8月5日に罰金50万円の刑に処せられた。
 2 本件は,上告人らが,被上告人に対し,本件連帯保証契約に基づき,本件賃
貸借契約終了に基づく原状回復義務の不履行による損害賠償を求めた事案である。
 3 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,上告人らの請求
を棄却した。
 産業廃棄物の本件土地への投棄は,専らFが単独で行った犯罪行為であるから,
Eは,Fへ無断転貸をしたものの,このような犯罪行為である産業廃棄物の投棄に
ついてまで,賃貸借契約の解除に伴う原状回復義務として責任を負うものではない
と解するのが相当である。そうすると,Eの連帯保証人である被上告人がこの点に
ついて責任を負う余地はない。
 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
 不動産の賃借人は,賃貸借契約上の義務に違反する行為により生じた賃借目的物
の毀損について,賃貸借契約終了時に原状回復義務を負うことは明らかである。前
記事実関係によれば,Eは,本件賃貸借契約上の義務に違反して,Fに対し本件土
地を無断で転貸し,Fが本件土地に産業廃棄物を不法に投棄したというのであるか
ら,Eは,本件土地の原状回復義務として,上記産業廃棄物を撤去すべき義務を免
れることはできないというべきである。
 以上と異なる見解に立って,賃借人であるEがFにより投棄された産業廃棄物を
撤去すべき義務を負わないことを理由に,Eの連帯保証人である被上告人の責任を
否定し,上告人らの被上告人に対する請求を棄却した原審の判断には,判決に影響
を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決のうち被上
告人に関する部分は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,前記部
分を原審に差し戻すこととする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 泉 徳治 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 島
田仁郎 裁判官 才口千晴)

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