弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役四月に処する。
     本件公訴事実中、暴力行為等処罰に関する法律違反の点については、被
告人を免訴する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人白井忠一作成名義の控訴趣意書に記載されているとお
りであるから、これを引用する。
 所論は、被告人を懲役一年に処した原判決の量刑が不当に重い、というのであ
る。
 <要旨>そこで、まず、弁護人の控訴趣意について判断するに先だち、職権をもつ
て調査するに、記録によれば、被告人の本件各所為中暴力行為等処罰に関す
る法律違反の点は、常習として昭和四九年五月一七日都留市内路上においてA(当
時二三年)に対し殴る蹴るなどの暴行を加え、両刃のこぎりで切りつけ、加療約二
六日間を要する傷害を負わせた所為につき、暴力行為等処罰に関する法律第一条の
三、刑法第二〇四条に該当する常習的傷害の罪として別件の道路交通法違反の罪と
共に併合罪を構成するものとして起訴されたものであつて、原判決は、いずれもこ
れを有罪と認定し、被告人を懲役一年、両刃のこぎり一丁を没収する旨の刑を言い
渡したものであることが明らかであるが、一方、被告人の前科調書及び当審におい
て取調べた被告人に対する昭和四九年六月八日発付の略式命令謄本並びに被告人の
当審及び原審の各公判廷の供述によれば、被告人は、また、右傷害の犯行の直前で
ある昭和四九年二月二四日同市内において、Bの顔面を殴打し、下腹部をひざで蹴
るなどの暴行を加えた事実により、本件犯行後である昭和四九年六月八日都留簡易
裁判所において単純暴行罪として略式命令により罰金四万円に処せられ、右裁判
は、同月二九日確定したことも明らかである。そして、右暴行の犯行の態様と、原
判決が本件常習的傷害の所為の罪となるべき事実の冒頭に掲記している被告人の各
前科受刑の事実とを総合すれば、右暴行も暴力行為等処罰に関する法律第一条の三
所定の常習的暴行に該当するものとみるべきであり、また、前記の本件常習的傷害
の所為も右確定裁判前の犯行であるから、右暴行の犯行と共に包括して一個の常習
的暴力行為の罪を構成すべきものであつたといわなければならない。してみると、
右包括一罪の一部について既に確定裁判があつた以上、本件における前記常習的傷
害の所為については確定判決を経たものとして免訴されるべきであり(最高裁第二
小法廷・昭四三・三・二九判決・最刑集二二―三―一五三参照)。この点を看過
し、本件常習的傷害の所為をも本件の有罪の事実に含めた原判決は、法令の解釈適
用を誤つたものというべきであり、右の誤りは、判決に影響を及ぼすことが明らか
である。
 よつて、弁護人の控訴趣意を判断するまでもなく、刑事訴訟法第三九七条第一
項、第三八〇条により原判決を破棄し、同法第四〇〇条但書により被告事件につき
更に判決する。
 原判決が適法に確定した原判示第二の事実に法令を適用すると、被告人の原判示
第二の所為は、道路交通法第一一八条第一項第一号、第六四条に該当するところ、
所定刑中懲役刑を選択し、その刑期の範囲内で被告人を懲役四月に処することとす
る。
 なお、本件公訴事実のうち、暴力行為等処罰に関する法律違反に係る公訴事実
は、被告人は、常習として昭和四九年五月一七日午前零時三〇分ころ都留市ab番
地先路上において、A(当時二三年)に対し殴る蹴るの暴行を加え、両刃のこぎり
で切りつけ、よつて同人に対し加療約二六日間を要する左手掌切創、左小指腱断裂
の傷害を負わせたものである、というのであるが、被告人の当審及び原審公判廷に
おける各供述、並びに被告人の前科調書、当審において取調べた都留簡易裁判所の
略式命令書の謄本(四通)、甲府地方裁判所C支部の判決書の謄本の各記載を総合
すると、さきに説示したとおり前記Bに対する暴行は、暴力行為等処罰に関する法
律第一条の三、刑法第二〇八条に該当するものとみるべきであり、右所為について
昭和四九年六月八日都留簡易裁判所で罰金四万円に処する旨の略式命令による裁判
を受け、右裁判は同月二九日確定したことが明らかであるところ、本件常習的傷害
の所為も右確定裁判前の犯行であるから、本来右暴行と共に包括して一個の常習的
暴力行為の罪を構成すべきものであつたというべきであり、従つて、包括一罪の一
部について既に確定裁判があつたことになるわけであるから、確定判決を経たもの
として、刑事訴訟法第四〇四条、第三三七条第一号により被告人に対し右暴力行為
等処罰に関する法律違反の点について免訴の言渡をすることとする。
 よつて、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 瀬下貞吉 裁判官 金子仙太郎 裁判官 小林眞夫)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛