弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
被告人両名の弁護人西村卯、同折居辰治郎および同高橋良祐の各上告趣意は末尾添
付の別紙書面記載のとおりである。
 弁護人西村卯の上告趣意第一点および同高橋良祐の上告趣意について。
 所論は原判決の憲法第三八条、刑訴三一九条違反を主張する。しかし、憲法三八
条二項または刑訴三一九条一項にいう「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自
白」か否かは、唯だ拘束の期間の長短によつて抽象的に判断さるべきことではなく、
犯罪の個数、種類、性質、共犯者その他関係人の数、事件の繁簡、取調の難易等諸
般の事情を考慮して、具体的に、これを決すべきものであることは、既に、当裁判
所大法廷判例の趣旨とするところである(昭和二二年(れ)第三〇号、同二三年二
月六日大法廷判決、集二巻二号一七頁、昭和二二年(れ)第一四二号、同二三年二
月六日大法廷判決、集二巻二号三二頁、昭和二六年(れ)第二五一八号、同三〇年
四月六日大法廷判決、集九巻四号六六二頁、等参照。)。記録によると、本件は犯
行後可なり年月が経つてから逐次発覚したもので、犯罪の数も多く、関係者の数も
少からず、事案の性質からみても、その取調は容易でなかつたことが窺われる。こ
のように複雑な事件にあつては、たとえ被告人らの自白がその逮捕または勾留後所
論のような日数を経た後になされたものであつても、これをもつて直ちに不当に長
く抑留若しくは拘禁された後の自白であるということはできない。また、検察官が
或る事件について起訴勾留の手続をとつた後、右勾留中の被告人を他の事件の被疑
者として取調べたとしても、検察官において初めからその事件の取調に利用する目
的または意図をもつて、ことさらに或る事件を起訴し、かつ不当に勾留を請求した
ものと認められない場合には、右取調をもつて、直ちに自白を強制、不利益な供述
を強要したものということができないことは、当裁判所大法廷の判例とするところ
であり(前示昭和二六年(れ)第二五一八号事件の判決)、本件取調が右のような
不当なものでなかつたことはもちろん、記録を調べても、被告人らの自白の任意性
に疑をはさむべき証跡は、何ら存しない。従つて、所論違憲、違法の主張は採用で
きない。
 弁護人折居辰治郎の上告趣意第一点について。
 所論は判例違反をいうけれども、引用の判例は、農地委員が買収手続完了後買収
除外の請託を受け、その報酬として金員を収受した事案についてのものであり、原
判示第二によれば、本件は、農地委員会書記兼事務局長たる被告人Aにおいて、B
より、既に国に買収され、Cに売渡しとなつた農地を買戻し、再度取得できるよう
便宜な取計いありたき旨の請託を受け、その報酬として金員を収受したというので
あるから、右判例は本件の場合と事案を異にし適切でなく、同被告人の右所為につ
き職務関係が認められることは、後にも述べるとおりである。従つて、所論判例違
反の主張は採るを得ない。
 弁護人西村卯および同折居辰治郎の各上告趣意第二点について。
 所論は判例を引用している箇所もあるが、帰するところは、事実誤認、法令(訴
訟法を含む)違反の主張であつて、いずれも、上告適法の理由とならない(原判示
第一ないし第六の各犯罪事実は、その挙示する関係諸証拠によつてこれを肯認する
ことができる。原判示第一の事実が刑法一九七条一項後段の収賄罪を構成するとし
た原判断は正当であり、従つて、これが公訴時効の完成を主張する論旨は失当であ
る。また、贈収賄罪における職務は、当該公務員の職務執行行為のみでなく、これ
と密接な関係のある行為、いわば準職務行為または事実上所管する職務行為をも含
むものであるから、原判決が判示第二ないし第六の各事実につき原判示のごとき諸
般の事実関係を認定の上被告人らの職務関係を肯定したのは相当である。昭和三〇
年(あ)第四一〇七号、同三一年七月一二日第一小法廷決定、集一〇巻七号一〇五
八頁参照。なお、原判示第三および第四は刑法一九七条一項後段の収賄罪の判示と
しても何ら欠けるところがない。)。
 弁護人西村卯の上告趣意第三点について。
 所論は量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
 同第四点について。所論は論旨第一点ないし第三点の総括であり、従つて、これ
に対する判断も、既に、右各論旨につき述べたとおりである。なお、記録を調べて
も、本件につき、同四一一条を適用すべき事由ありとは認められない。
 よつて、同四〇八条に則り、裁判官全員一致の意見で、主文のように判決する。
  昭和三五年三月四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛