弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人室伏礼二の上告趣意第一点について。
 しかし、原判決は、綜合証拠が相互に矛盾を来しても差支えないとの判断は毫も
していない。それ故、所論は、その前提において刑訴四〇五条二号に当らないこと
明白である、また、所論東京高等裁判所の判決は本件に適切でないから、所論は採
ることができない。
 同第二点について。
 しかし、刑訴規則一九七条一項によれば「裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、
被告人に対し、終始沈黙し又個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨の外、陳
述をすることもできる旨及び陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなり又利益な証
拠ともなるべき旨を告げなければならない」ものである。されば、被告人の冒頭陳
述が事実認定の証拠となることは多言を要しないところである。しかのみならず、
被告人は右冒頭陳述の外第一審公判廷における個々の質問に対する供述においても
公訴事実を自認していることが記録上明白である。そして、所論東京高等裁判所の
判決は、本件に適切でないはかりでなく、この点については既に当裁判所大法廷の
判決(昭和二五年(あ)三五号同一二月二〇日大法廷判決判例集四巻一三号二八七
〇頁以下)の存するところである。所論は、明らかに刑訴四〇五条三号に当らない。
 同第三点について。
 所論は量刑不当の主張であるから、刑訴四〇五条に定める上告理由に当らない。
また、記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 被告人Bの弁護人河野冨一の上告趣意第一点について。
 しかし、原判決は、被告人Bが判示封印した上顛末書を作成した以後の取引高税
に関する職務を担当し、これが職務に関し、収賄した事実を肯認したに止り、毫も
所論の大審院判決に反する判断をしていない。それ故、所論は、その前提において
明らかに刑訴四〇五条三号に当らない。その他原判決には所論の違法も認められな
いから、同四一一条を適用すべきものとも認あられない。
 同第二点について。
 所論は量刑不当の主張であるから、刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に当らな
いし、また、同四一一条二号に当るとも認められない。
 被告人Cの弁護人永田菊四郎、同小淵方輔の上告趣意第一点について。
 刑訴三七九条は、旧刑訴四一一条が消極的に判決に影響を及ぼさないこと明白で
ある法令違反につき上告理由とならないことを規定したのとは異つて、訴訟手続に
法令の違反があつても、その違反が積極的に判決に影響を及ぼすことが明らかでな
い限り、原則として控訴を許さないものと規定したのである。そして、法令違反が
判決に影響を及ぼすことが明らかであるか否かは、裁判所が諸般の点を考慮して決
すべき問題である。されば、原判決が所論摘示のごとく違法を認めながら、第一審
判決引用の他の証拠を検討して判示のごとく影響を及ぼさないものと判示したこと
は当裁判所においても首肯し得るところであるから原判決にはこの点において違法
がないばかりでなく、所論引用の当裁判所所の判例はいずれも旧刑訴四一一条に関
する判例であつて、新刑訴三七九条に関する本件には適切でないから、所論は刑訴
四〇五条三号に当らない。
 同第二点について。
 原判決の所論判示は、所論当裁判所の判例と合致している。従つて、原判決の判
示は、何等刑訴四〇五条二号又は三号に当らない。また、所論後段は、結局独自の
見解を以て前記所論当裁判所の判例並びに原判決の説示を非難するに帰するが、原
判決の説示は前記当裁判所の判例と同趣旨であり、そして、第一審判決の証拠説明
は、刑訴三三五条の要請に答えていると認められるから、原判決の説示は正当であ
つて、同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 同第三点について。
 所論は、第一審判決の刑の量定を非難するものであるから、刑訴四〇五条に定め
る適法な上告理由に当らないし、また、記録を精査しても同四一一条を適用すべき
ものとは認められない。
 よつて、同四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二六年七月二六日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    眞   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎

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