弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人吉井晃の上告理由第一点について。
 所論は要するに本件土地は、昭和七年以降引き続き家畜放牧の目的に供されてい
たものであつて、被上告人がその後適法に占有を回収することなく、その一部三、
三六三番の部分に植林を敢行したけれども、植林後も、植林部分を含め、全体とし
て、放牧の用に供されていたことに変りはなく、本件土地は、一団地として牧野と
認めらるべきものである。しかるに、原審が右三、三六三番の部分を牧野でないと
判断したのは、審理不尽乃至法律の解釈を誤つた違法がある、というに帰する。し
かし、原審の認定によれば、本件土地の所有権を取得した被上告人会社が右土地の
うち三、三六三番の部分に植林を実施し、その結果として、本件買収計画が樹立さ
れた昭和二三年一一月一五日当時において、三、三六三番の部分は、その全面積の
九割強が立木地帯となり、各林相ごとに区分した場合の樹冠欝閉状態は三〇%前後
から一〇〇%に及び、樹木の総材積は三、三〇〇石を数えるというのであり、しか
も、右植林部分は、牧野林としての観点からいえば、樹林の配置が偏在し、適切で
ないというのである。してみると、三、三六三番の土地は、本件買収計画樹立当時
において、その客観的状況と現実の使用状態からみて主として、植林の用に供され
ていたものであつて、自創法にいう牧野に当らないものと解するのが相当である。
そして、原審の認定によれば、被上告人が本件土地の所有権を取得した以後におい
ては、Dはその賃借権をもつて被上告人に対抗し得ず、被上告人に本件土地を明け
渡すべき地位にあつたというのであるから、被上告人の植林の実施が、仮にDの意
に反してなされたとしても、この事実は、本件において右三、三六三番の部分を牧
野でないと解することの妨げとなるものではない。それ故、原審の判断は正当であ
つて、所論のような違法はない。
 同第二点について。
 所論は、原判決は、本件土地が一団地として事実上家畜の放牧に供されていたこ
とを認定しながら、その一部を切り離して牧野でないと認定したのは、審理不尽乃
至理由不備の違法があるというに帰する。けれども、原審は、本件土地が一団地と
してその主たる使用目的が放牧にあることを認定したものではなく、かえつて、前
述のような客観的状況と現実の使用状況とからみて、本件土地のうち三、三六三番
の部分は、他の部分と異なり、その主たる使用目的が植林の用に供することにある
旨を認定したものであつて、右認定は相当であり、所論のような違法があるという
ことはできない。
 同第三点について。
 所論は、要するに、本件土地は、事実上、昭和七年頃から継続して、一団地とし
て家畜の放牧に使用されており、殊に、そのうち三、三六三番の部分は、本件牧場
の基地として牧舎もあり、附近の樹林は、放牧上重要な役割を果しているのであつ
て、右部分と他の部分とは放牧上密接不可分の関係にあるにかかわらず、原審が単
に同番の地上に樹木の多いこととその一部に植林がなされているということだけか
ら、この部分を切り離して牧野でないと認定したのは、法律の解釈を誤り審理不尽
に陥つた違法があるというのである。けれども、原審は、単に三、三六三番の地上
に樹木が多いことと、その一部に植林がなされているということだけから右部分が
牧野に当らないと判断したものではなく、かえつて、前述のような客観的状況と使
用状況にかんがみ、右三、三六三番の部分は、他の部分と放牧上密接不可分の関係
にあるものではなく、むしろ、この部分の主たる使用目的は、植林の用に供するこ
とにある旨を認定したものであつて、この認定は相当である。所論の引用する第三
小法廷判例(昭和二五年(オ)第二三号同二六年九月四日第三小法廷判決、集五巻
一〇号五三九頁)は、原審の認定と矛盾するものではなく、三、三六三番の地上に
牧舎が存在するということだけでは、原審の判断に影響を及ぼすものではない。そ
れ故、所論は採用し得ない。
 同第四点について。
 所論は要するに、本件土地が買収計画樹立当時小作牧野であつたとし、原審の認
定を非難するに帰する。
 しかし、所論第四点の二、三、四に掲げる乙各号証による各事実は、所論のEが、
前所有者時代に前所有者を代理して本件土地につき賃貸借契約を締結し、もしくは
賃貸借延長の契約をした事実のあること、被上告人が本件土地の所有権を取得した
以後においても右Eが被上告人のため納税代理人兼山番として事実上の管理をして
いたこと、同人が被上告人に無断で牧場料名義の金員を受領していた事実のあるこ
とを窺わしめるにとどまり、被上告人が本件土地の所有権を取得した以後において
は右Eに賃借権設定の代理権が与えられたことはなく、従つて同人を代理人として
Dと被上告人との間に賃貸借契約が締結された事実はなかつたとする原審の事実認
定と相容れないものではない。所論の摘示する右Eの第一審における証言があるか
らといつてこれだけで原審の認定を妨げるには足りない。(なお甲第二号証の一に
所論前段摘示のような文言のあることは認められるが、その他の甲各号証と対照し
てみると、その記載の趣旨は、被上告人が本件土地の所有権を取得した後において
もDが無断で事実上放牧を続けていたことにかんがみ、今後は絶対に使用を許さな
いとの趣旨を現わしたものと解せられ、これを直ちに昭和一七年度までは賃貸借契
約が存続していたことを認めた趣旨と解するのは相当とはいえない。また同号証後
段の記載も、今後右Eに対する手当並びに納税資金は、被上告人会社から同人に直
接送付する趣旨を示したものと解されるから、これとて必ずしも原審の認定の妨げ
となるものではない。)
 以上のとおりであつて、原判決に所論のような違法はない。
 なお所論は五において表見代理の趣旨を主張するものと認められるが、かかる事
項は、原審において主張されていないのみならず、原審の認定によれば、右Eは、
被上告人が本件土地の所有権を取得した以後においては、はじめから、被上告人を
代理して賃貸借契約を締結する権限を与えられなかつたというのであるから、本件
においては、所論は判断のかぎりでない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己

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