弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人小城戸良三の上告趣意第一点について。
 所論は単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由とならない。しかも所論の
起訴状の記載は本件恐喝罪の構成要件たる事実とされているのであるから、これを
起訴状に記載しても違法とすべきでないことは既に当裁判所の判例とするところで
ある(昭和二六年(あ)第二一四四号同年一二月一八日当小法廷決定、昭和二五年
(あ)第一〇八九号同二七年三月五日大法廷判決理由参照)。原判決のこの点の判
断は相当であつて論旨は採るを得ない。
 同第二点について。
 然し、原判決は所論の各証人尋問調書については第一審公判廷において被告人が
之を証拠とすることに同意したものであつて、被告人においては同証人等に対する
反対尋問権を拠棄しているのであるから、第一審判決が之を証拠としても違法でな
いと判断しているのである。従つて、刑訴三二八条二項の違憲無効を前提として前
記各尋問調書の証拠能力を否定する論旨は既にその前提を欠き理由のないこと明ら
かである(なお刑訴同条項が憲法三七条二項に違反しないことについては昭和二五
年(あ)第七九七号同年六月一八日大法廷判決参照)。
 なお記録を精査しても刑訴四一一条に該当する事由はない。
 よつて同四〇八条を適用し全裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二八年二月一七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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