弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件異議の申立を棄却する。
         理    由
 木件異議申立理由の要旨は次のとおりである。
 原決定は申立人がした昭和三一年七月一日附被告人の為の保釈請求に対し、刑事
訴訟法第三四三条、第三四四条の規定の趣旨に従い被告人に対する勾留はなお継続
する事由があるものと認めるからこれを却下するというのであるが、右第三四三条
は単に保釈された被告人が禁錮以上の刑に処する判決の宣告を受けたときは保釈の
効力を失うことを定めているに止まり新たに保釈を許すことを禁じたものでないの
である。又第三四四条は被告人が禁錮以上の刑に処する判決の宣告を受けた後は同
法第六〇条第二項但書(勾留更新の回数の制限)及び同第八九条の所謂権利保釈の
規定を適用しないと言うに止まり所謂裁量保釈の規定である同法第九〇条の適用を
排除禁止するものではないのであるから原決定が右第三四三条、第三四四条を理由
として保釈請求を却下したのは理由にくいちがいの存するものである。
 なお禁錮以上の刑に処する判決宣告後といえども・留更新をするには同法第六〇
条第一項第一号乃至第三号の事由の存することを必要とするものであるところ、被
告人には定まつた住居あり、又罪証を隠滅する疑や虞は全く存しないのであり更
に、被告人が逃亡の疑や虞のないことは先に昭和三一年一月二六日勾留の執行停止
決定により五日間帰宅を許された際、同年一月三一日午後八時の期限迄に前橋刑務
所に復帰していることによつても明白であつて被告人には勾留を継続する必要の全
く存在しないものであるから何れにしても申立人の請求を却下した原決定は不当違
法のものであるからこれを取り消し更に相当の裁判を求める為本件異議申立に及ぶ
ものである。
 よつて按ずるに
 刑事訴訟法三四三条は保釈された被告人が禁錮以上の刑に処する判決の宣告をう
けたときは保釈は効力を失う旨定めたものであり同法第三四四条は禁錮以上の刑に
処する判決の宣告があつた後は同法第六〇条第二項但書及び第八九条の所謂権利保
釈の規定を適用しないという趣旨のものであることは所論のとおりである。よつて
禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつた後でも裁量による保釈を禁止するもので
なく又勾留を更新継続する場合は勾留の基本原則である同法第六〇条第一項第一、
二、三号の事由あることを要するものであることも亦所論のとおりである。
 しかし、保釈中の被告人が禁錮以上の刑に処する判決の宣告をうけたときは保釈
が効力を失い、又所謂権利保釈の権利を失い更に勾留更新の回数につき制限のなく
なるということは、右判決の宣告によつて被告人は一応<要旨>有罪であることを推
定されたので、その刑の執行を担保するという趣旨によるものと解せられるから、
第一審においては保釈すれば被告人は逃亡する虞があつても所謂権利保釈の
関係上刑事訴訟法第八九条の第一号乃至第六号の事由がない以上は単に逃亡の虞あ
りとして保釈の請求を却下することはできなかつたのであるが、被告人が禁錮以上
の刑に処する判決の宣告があつた後は逃亡の虞ある丈の理由で保釈を許さないこと
ができるのである。
 刑事訴訟法第三四三条、第三四四条の趣旨に従いというのはこのことを意味する
のである。
 ところで被告人Aに対する窃盗被告事件記録を精査すれば、被告人には逃亡する
疑なしとは認められないのである。被告人が先に勾留の執行停止の期限を遵守した
という事実のみでは被告人には逃亡の疑ないものとは未だ確認し難いのである。
 被告人に対する本件保釈請求を却下した東京高等裁判所第一〇刑事部の原決定は
相当であつて、これには所論の如き理由にくいちがいの存するものでも又不当のも
のでもないのである。本件異議申立は理由のないものである。
 よつて刑事訴訟法第四二八条、第四二六条第一項を適用して主文のとおり決定す
る。
 (裁判長判事 久礼田益喜 判事 武田軍治 判事 石井文治)

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