弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決中被告人に関する部分を破棄する。
     第一審判決中判示第二の(一)の(イ)及び(ロ)の各犯罪につき被告
人を免訴する。
     被告人を懲役八月及び罰金二万円に処する。
     右罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
     第一審において証人A、同Bに支給した訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人渡辺又喜の上告趣意は憲法違反をいうが、その実質は被告人に無関係な立
証事項に関する証人調の違法を主張するに過ぎないものであるばかりでなく、被告
人及びその弁護人は右証人尋問調書を証拠とすることに同意したものであり、且つ
該調書は判決において現実に証拠として採らなかつたものである。それ故所論の違
法主張は理由がなく、従つて違憲の主張もまたその前提を欠くから採るを得ない。
 しかし職権を以て調査すると第一審判決の認定した犯罪事実中主文第二項掲記の
各犯罪はいずれも昭和二七年政令一一七号大赦令による大赦があつたので刑訴四一
一条五号、四一三条但書、四一四条、四〇四条、三三七条三号により原判決及び第
一審判決中被告人に関する部分を破棄し、右各犯罪については被告人を免訴すべく、
右免訴すべき犯罪以外の被告事件について更に判決すべきものと認める。
 よつて第一審判決の認定した犯罪中大赦にかからない犯罪に対し法令を適用する
と被告人の各所為はそれぞれ昭和二二年政令一六五号二条、三条一項、昭和二四年
政令三八九号附則二項但書(罰金等臨時措置法二条四条刑法一〇条八条六条に則り
軽い行為時法による)に該当するところ、各所為につき右政令一六五号三条二項に
より懲役及び罰金を併科するを相当と認め、以上は刑法四五条前段の併合罪である
から、懲役刑については同法四七条一〇条により犯情最も重いと認める昭和二三年
四月一二日頃の五三八ドル所持の罪につき定めた刑に法定の加重をなし、罰金刑に
ついては同法四八条二項により合算しその刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役八
月及び罰金二万円に処し、刑法一八条により罰金不完納の場合は金二百円を一日に
換算した期間被告人を労役場に留置すべく、なお刑訴一八一条により主文第五項掲
記の訴訟費用は被告人をして負担させるものとする。
 よつて裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 この公判には検察官神山欣治が出席した。
  昭和二八年二月一二日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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