弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
(申立て)
控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人の昭和六〇年一一月三〇日から
昭和六一年八月三一日までの清算中の事業年度に係る法人税について平成元年五月
三一日付けでした無申告加算税の賦課決定を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも
被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求め
た。
(主張)
当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決「事実及び理由」中
の「第二 事案の概要」と同一であるから、これを引用する。
1 原判決二枚目裏二行目の「六三条一項」を削り、同三行目の「以下同じ。)」
の次に「六三条一項」を加え、同三枚目表七行目の「申告書を提出した」を「申告
をした」と改め、同行の「申告は、」の次に「当該」を加え、同裏五行目の「六六
条一項」を削り、同六行目の「以下同じ。)」の次に「六六条一項」を、同四枚目
裏六行目の「一般部分」の次に「に係る債権」を加え、同八行目の「最判」を「最
高裁」と改め、同行の「二一日」の次に「判決・」を加え、同一〇行目の次に行を
改めて、次のとおり加える。
「また、右予納法人税の一般部分に係る債権は、劣後的破産債権にも当たらないと
いうべきである。破産法四六条四号が、劣後的破産債権として規定している罰金、
科料は、本来本人に対する懲罰を目的とする性格を有するから、他の破産債権より
劣後的に取り扱うこととされているものであり、予納法人税の一般部分とはその性
格を全く異にし、租税法律主義の原則からも、租税法の規定を類推ないし拡張解釈
することは許されない。破産管財人は、予納法人税の一般部分に係る債権を劣後的
破産債権としても弁済することはできず、したがって、その納付義務を負うもので
はない。」
2 原判決五枚目表末行の次に行を改めて、次のとおり加える。
「仮に、予納法人税の一般部分に係る債権が劣後的破産債権に当たるとしても、破
産管財人は配当手続によらなければ弁済できないのに、現実に納付義務の履行がで
きるか否かにかかわりなく、無申告に対する制裁としての加算税を課する本件賦課
決定は、租税の実質主義の条理にも反し違法である。」
3 原判決七枚目表六行目の「できなかった」の次に「のである」を加え、同七行
目の「ことは」を「ことによって」と、同八枚目表一行目の「処分」を「決定」
と、同九行目の「なかった」を「ないこととする」と改め、同九枚目表五行目の
「申告」の次に「、」を加え、同八行目の「最判」を「最高裁判所」と改め、同行
の「二一日」の次に「判決」を加え、同裏五行目の「存しない」から同七行目まで
を「存せず、破産法人は破産財団の主体であるほかは何らの権利義務の主体とはな
り得ないのであるから、予納法人税の一般部分に係る債権も破産財団に帰属し、破
産法四六条四号に準ずる劣後的破産債権に当たるものと解される。」と改め、同一
〇枚目表六行目の「制度」の次に「の」を、同裏二行目の「一般部分」の次に「に
係る債権」を加え、同一一枚目表二行目の次に行を改めて、次のとおり加える。
「控訴人は、A管財人が本件予納法人税の申告をしたとしても、破産法上、その納
付はできなかったのであるから、本件予納法人税の申告をしなかったことによって
客観的に国庫に対して何らの損害を与えていない旨主張するが、本件の場合、清算
結了後まで申告納税制度に基づく本件予納法人税額の確定ができず、また、本件予
納法人税のうち少なくとも清算確定法人税相当額については本来納付されるべき金
員であったことからすれば、国庫に損害が生じているというべきである。」
4 原判決一一枚目裏末行の次に行を改めて、次のとおり加える。
「三 証拠関係
原審記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。」
○ 理由
一 当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がなく、棄却すべきものと判断する。そ
の争点に対する判断は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決「事実及び理由」
中の「第三 争点に対する判断」の説示と同一であるから、これを引用する。
1 原判決一二枚目表四行目、同五行目の各「課され」を「課せられ」と改め、同
七行目の「継続し」の次の「た場合」を削り、同八行目の「課すことをしないも
の」を「課さないこと」と、同一〇行目から同裏二行目の「計算されるときは」ま
でを「解散していない内国普通法人等の所得とみなして計算した場合における当該
事業年度の課税標準である所得金額について、法人税法第二編第一章第二節の規定
を適用するものとした場合に計算される法人税の金額があるときは」と改め、同五
行目、同一三枚目表一〇行目から同未行にかけての各「予納として」の次に「納付
されたものとして」を、同裏六行目の「制度」の次に「の」を加え、同行の「もと
となる」を「基になる」と、同八行目の「解散した法人が再度」を「他方解散した
法人が再び」と改め、同九行目の「場合等に」の次に「、」を、同一四枚目表一行
目の冒頭に「法人の破産は法人の解散事由であり、破産は一種の清算手続である
が、」を、同六行目の「自由財産」の前に「破産法人には」を、同七行目の「破産
財団の」の前に「破産法人は」を加え、同一〇行目の「及び納付義務」を削り、同
裏三行目の「最判」を「最高裁」と改め、同行の「二一日」の次に「判決」を加
え、同四行目の「予納法人税の」を「予納法人税に係る」と、同一五枚目表一行目
の「債務」を「債権」と、同二行目の「過ぎない」を「とどまる」と改め、同裏三
行目の「一般部分」の次に「に係る債権」を加え、同八行目の「負うこととなる」
を「負うものと解される」と、同末行の「一見不合理な結果と」を「ことに」と、
同一六枚目表一行目の「まれにはあり」を「まれにはあることであり」と、同五行
目の「ない」を「ないのである」と改める。
2 原判決一六枚目表七行目の次に行を改めて、次のとおり加える。
「控訴人は、予納法人税の一般部分に係る債権が劣後的破産債権に当たるとして
も、破産管財人は配当手続によらなければ弁済できないのに、現実に納付義務の履
行ができるか否かにかかわりなく、無申告に対する制裁としての加算税を課する本
件賦課決定は、租税の実質主義の条理にも反し違法である旨主張する。しかし、本
件賦課決定は、予納法人税の申告書の提出が期限内になされなかったことに対する
処分であり、前記のとおり、申告により予納法人税の確定を経ておくことは本来賦
課されるべき法人税の徴税権確保の観点からすれば意味がないとはいえず、また、
後記のとおり、本件予納法人税の申告がなされなかったことにより国庫に損害を与
えていないとはいえないのであるから、破産手続上、現実の納付義務の履行期の到
来が不明であったとしても、本件賦課決定が租税の実質主義に反するとはいえず、
控訴人の右主張も理由がない。」
3 原判決一六枚目裏一行目から同二行目にかけて及び同一七枚目表三行目の「申
告ができなかった」を「申告をしなかった」と、同二行目から同三行目にかけての
「過ぎない」を「すぎない」と改め、同五行目の次に行を改めて、次のとおり加え
る。
「なお、控訴人は、A管財人が、本件予納法人税の申告をしたとしても、破産法上
その納付は履行できなかったのであるから、本件予納法人税の申告をしなかったこ
とによって客観的に国庫に対して何らの損害も与えていない旨主張する。しかし、
本件の場合、A管財人が本件予納法人税の申告をしていたとすれば、被控訴人は、
右管財人に対して、本件予納法人税に係る債権について破産債権としての届出をす
ることが可能であったのであり、また、破産手続が終結するまでに、本件予納法人
税に係る債権について残余財産から配当を受けられたはずであることを考慮する
と、本件予納法人税の申告をしなかったことが国庫に損害を与えていないとはいえ
ないから、控訴人の右主張は理由がない。」
二 以上の次第により、原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄
却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五
条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 菊池信男 新城雅夫 奥田隆文)

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