弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人等に関する部分を破棄する。
     各被告人を免訴する。
         理    由
 職権により調査すると、被告人A、同Bに対する昭和二五年一〇月一八日付、被
告人Cに対する昭和二五年一〇月二一日付、被告人Dに対する昭和二五年一〇月二
七日付各起訴状記載の公訴事実の要旨は、第一、被告人Eは沖縄人Fから、同人外
十数名の者が沖縄a島より北緯三〇度以南のb島まで鹿児島市c町G株式会社所有
の機帆船Hで輸送して来た起訴状添附犯則物件一覧表記載の物件の売却方の依頼を
受け、東京都大田区de丁目f番地I株式会社の社長である被告人Dを介して、同
都品川区gh丁目i番地J株式会社に、該物件をK港にて引渡の約で売却し、被告
人E、同D及び前記J株式会社の常務取締役である被告人Lは、前記F等の荷主と
共謀の上法定の除外事由がないのに拘らず関税法所定の免許を受けないで、昭和二
五年九月二三日頃前記Hに前記物件を積載してb島を出航し、鹿児島県j海峡を通
過してK港に向け航行中、同月二六日午後六時三〇分頃高知県k沖合で、高知海上
保安部の監視船に発見逮捕されたため、右犯則物件一覧表(1)ないし(6)及び
(8)の貨物についてその関税合計六千八百二十七円五銭の逋脱の目的を遂げず、
第二、被告人Mは船長として前記Hに乗り組み、被告人E、同D及び同Lらが前記
密輸入をなすにあたり、同人らのために該貨物の輸送に協力し、もつて同人らの前
記犯行を容易にしてこれを幇助した、というのである。
 しかし、右b島は、南西諸島に属するものであつて、右行為当時においては、関
税法の適用上外国とみなされていたのであるが、昭和二七年二月一一日以降は右地
域は外国とみなされなくなり、本邦の地域とせられたので、同日以降は右各公訴事
実のような関税法違反の罪については、犯罪後の法令により刑が廃止されたときに
該当するものと解すべきこと昭和二五年(あ)二七七八号同三二年一〇月九日大法
廷判決及び昭和二七年(あ)二四五六号同三二年一〇月九日大法廷判決において判
示されているところと同一である。従つて、各被告人の弁護人山口貞昌、大西美中、
伊藤一郎の上告趣意及び被告人C、同Bの弁護人三宮重教の上告趣意に対する判断
を省略し、刑訴四一一条五号を適用して原判決中被告人四名に関する部分を破棄し、
同四一三条、四一四条、四〇四条、三三七条二号により被告人四名に免訴の言渡を
為すべきものとし、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 安平政吉出席。
  昭和三二年一二月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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