弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告人A1、同A2、同A3の上告理由第一点について。
 所論は、投票立会人欠缺の主張に対する原判決の判断に所論の違法があると主張
する。しかし原判決の認定するところによれば、投票立会人Dは定刻の午前七時に
参会しなかつたので、投票管理者はEを法三八条二項によつて立会人に選任し、投
票開始後二、三分乃至五、六分してDが到着したので同人がEにかわつたというの
であつて、この原審の認定事実によれば上告人主張のような違法は認められない。
所論はしよせん原審の専権に属する証拠の取捨選択事実認定を非難するに過ぎず、
採用のかぎりでない。(なお仮りに所論の違法を是認する見地に立つたとしても選
挙の結果に影響を及ぼすものとは認められない)。
 同第二点について。
 所論は、原判決に所論の各法令違反があると主張する。
 所論(1)の主張は、第一点の判断につきる。
 所論(2)にいう公職選挙法施行令三四条は、投票箱に何も入つていないことを
選挙人に示すべきことを規定していること所論のとおりである。しかし原判決は、
本件の場合右の手続を履まなかつた違法を認めながらも、証拠によつて投票箱が空
虚であつた事実を認定し、右違法は結果に異動を及ぼすおそれがない旨を判示した
のであつて、この判断は正当である。(原判決援用の昭和三一年九月二五日第二小
法廷判決と同趣旨である)。所論は結局原判決の認定と違つた事実を主張するに過
ぎず、採用できない。
 所論(3)は開票所に入場できない者が入場したから、所論の各法条に違反する
と主張する。しかし原判決は、この点について右違法事実を認めながらも、選挙の
結果に異動を及ぼすおそれがない旨を判示している。その他審理不尽、理由不備を
主張する所論は、上告人が原審で主張もせず、原判決も認定していない事実を主張
するのであつて採用できない。
 所論(4)は、残投票用紙の行方不明の事実を主張するのであるが、右の事実の
みによつて、開票に際し不正が行われたと推認することはできないのみならず、独
立しては選挙の無効原因になるものではないから、所論は採用できない。
 所論(5)は、不在者投票用紙の交付の違法を主張するのであるが、原判決の認
定する事実によれば、違法の点はないのであるから、採用のかぎりでない。
 その他の所論は、要するに原判決の認定しない事実に基いて本件選挙の無効を主
張するに過ぎず、いずれも採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己

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