弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原決定を破棄する。
理由
抗告代理人青木孝志,同小磯真一の抗告理由について
1記録によれば,本件の経緯等は,次のとおりである。
(1)本件の本案訴訟は,産業廃棄物処分場の周辺地域に居住する相手方らを含
む13名が共同原告となり,抗告人を被告として,同処分場において廃棄物の処理
及び清掃に関する法律の定める処理の基準に適合しない産業廃棄物の処分が行わ
れ,生活環境の保全上支障が生じ,又は生ずるおそれがあると主張して,主位的
に,福岡県知事が同法19条の8第1項に基づき上記支障の除去又は発生の防止の
ために必要な措置(以下「支障の除去等の措置」という。)を自ら講ずべき旨を命
ずることを求め,予備的に,同知事が同法19条の5第1項に基づき上記処分場の
事業者に対し支障の除去等の措置を講ずることを命ずべき旨を命ずることを求め
て,行政事件訴訟法3条6項1号所定の義務付けの訴えを提起した事案である。
(2)原審は,平成23年2月7日,上記各請求のうち,相手方らの上記予備的
請求を認容する旨の判決をした。
これに対し,抗告人は,本件上告を提起するとともに,本件上告受理の申立てを
した。
2原審は,要旨次のとおり判断して,本件上告及び本件上告受理の申立てをい
ずれも却下する旨の決定をした。
地方自治法96条1項12号所定の「普通地方公共団体がその当事者である…訴
えの提起」には,普通地方公共団体が被告とされた訴訟において敗訴した当該普通
地方公共団体がする上訴の提起が含まれるところ,本件では,本件上告及び本件上
告受理の申立ては,抗告人の議会の議決を欠いており,かえって,本件上告及び本
件上告受理の申立てがされた翌日に同議会がこれらの取下げを求める旨の決議をし
たことは公知の事実であり,本件上告及び本件上告受理の申立ては,いずれも不適
法でその不備を補正することができない。
3しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
地方自治法96条1項12号は,「普通地方公共団体がその当事者である…訴え
の提起」について,その議会の議決を要する事項と定めており,この「訴えの提
起」には,控訴若しくは上告の提起又は上告受理の申立てが含まれるものと解され
る。その一方で,同号は,この「訴えの提起」のうち,普通地方公共団体の行政庁
の処分又は裁決に係る当該普通地方公共団体を被告とする抗告訴訟に係るものにつ
いては,取消訴訟の被告適格を定める行政事件訴訟法11条1項の規定が同法38
条1項により取消訴訟以外の抗告訴訟に準用される場合を含めて,抗告訴訟の類型
の種別を問わず,その議会の議決を要する事項から除外している。
したがって,普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る当該普通地方公共
団体を被告とする抗告訴訟につき,当該普通地方公共団体が控訴若しくは上告の提
起又は上告受理の申立てをするには,地方自治法96条1項12号に基づくその議
会の議決を要するものではない。本件の本案訴訟は,行政事件訴訟法3条6項1号
所定の義務付けの訴えに係る訴訟であり,上記の抗告訴訟の一類型であるから,抗
告人が本件上告及び本件上告受理の申立てをするには,その議会の議決を要しな
い。
なお,上記の抗告訴訟につき当該普通地方公共団体が適法な控訴若しくは上告の
提起又は上告受理の申立てをした場合には,その議会がこれらの取下げを求める旨
の決議をしたとしても,これらの効力が左右されるものではない。このことは,本
件上告及び本件上告受理の申立てについても同様である。
4これと異なる原審の前記判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令
の違反がある。論旨は理由があり,その余の抗告理由について判断するまでもな
く,原決定は破棄を免れない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官寺田逸郎裁判官那須弘平裁判官田原睦夫裁判官
岡部喜代子裁判官大谷剛彦)

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