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平成18年(行ケ)第10001号特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日平成18年9月13日
判決
原告旭テクノグラス株式会社
訴訟代理人弁理士須山佐一
同川原行雄
被告特許庁長官
中嶋誠
指定代理人増田亮子
同板橋一隆
同松本貢
同唐木以知良
同小林和男
主文
1特許庁が異議2003-73209号事件について平成17年11
月17日にした決定のうち,特許第3431279号の請求項2に係
る特許を取り消すとの部分を取り消す。
2訴訟費用は各自の負担とする。
事実及び理由
原告は,「1主文第1項と同旨。2訴訟費用は被告の負担とする。」との判
決を求め,請求の原因として別紙のとおり述べた。
被告は,請求棄却の判決を求め,請求原因事実は争わない,と述べた。
上記争いのない事実によれば,原告の請求は理由があるから認容し,訴訟費用
は,本件訴訟の審理経緯にかんがみ,これを各自に負担させるのを相当と認めて,
主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官中野哲弘
裁判官岡本岳
裁判官上田卓哉
(別紙)
請求の原因
1特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「陽極接合に使用する低膨張ガラス」とする特許第3
431279号(平成6年6月6日特許出願〔優先権主張平成5年6月8日
日本〕。平成15年5月23日設定登録。以下「本件特許」という。)の特
許権者である(請求項1,2)。
本件特許の請求項1,2に係る発明(以下「本件発明1,2」という。)の
特許につき第三者(A)から特許異議の申立てがなされ,特許庁はこれを異議
2003-73209号事件として審理することとなった。その手続の中で,
原告は,本件特許の特許請求の範囲等の訂正を請求したが,特許庁は,平成1
7年11月17日,「訂正を認める。特許第3431279号の請求項1,2
に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その
決定謄本は平成17年12月7日原告に送達された。
2発明の内容
設定登録時の本件発明1,2の内容は,次のとおりである。
223「【請求項1】モル%表示で,実質的に,SiO:54~68%,AlO
:8~18%,BO:3~8%,MgO:1~11%,CaO:0~323
22%,BaO:0~3%,ZnO:7~15%,NaO:0.5~4%,K
O:0~4%,NaO+KO:0.5~6%からなり,実質的にPbO,22
AsO,SbOを含有せず,室温から300℃までの範囲における平均2323
熱膨張係数が,25~40×10/℃の範囲にあることを特徴とする陽極-7
接合に使用する低膨張ガラス。
223【請求項2】モル%表示で,実質的に,SiO:60~68%,AlO
:8~12%,BO:4~8%,MgO:5~10%,CaO:0~323
%,BaO:0~3%,ZnO:7~12%,NaO:1~3%,KO:22
0~2%,NaO+KO:1.5~4%からなる請求項1記載の陽極接合22
に使用する低膨張ガラス。」
3決定の内容
本件決定の内容は,別添「異議の決定」写しのとおりである。
その理由の要点は,本件発明は,下記刊行物1ないし8に記載された発明に
基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,その特許は特許法29
条2項の規定に違反してされたものである,というものであった。

・刊行物1:特開平4-83733号公報(審判甲1・本訴甲8)
・刊行物2:特開昭48-38664号公報(審判甲2・本訴甲9)
・刊行物3:特開昭54-55016号公報(審判甲3・本訴甲10)
・刊行物4:特開昭61-151042号公報(審判甲4・本訴甲11)
・刊行物5:特開昭61-281041号公報(審判甲5・本訴甲12)
・刊行物6:特開平5-17176号公報(審判甲6・本訴甲13)
・刊行物7:昭和44年1月30日株式会社朝倉書店6版発行,森谷太郎外
編「ガラス工学ハンドブック」298頁(審判甲7・本訴甲14)
・刊行物8:1985年11月20日株式会社朝倉書店初版第8刷発行,作花
済夫外編「ガラスハンドブック」296,297,574,575頁(審判
甲8・本訴甲15)
4決定の取消事由
しかしながら,原告は,本件訴訟係属中の平成18年3月1日,本件特許に
ついて訂正審判(訂正2006-39034号)を請求し,これを受けた特許
庁は,平成18年7月25日,請求項2について訂正を認める旨の審決をし,
同審決は確定した。訂正を認められた請求項2に係る発明の内容は,下記のと
おりである。

223「【請求項2】モル%表示で,実質的に,SiO:60~68%,AlO
:8~9%,BO:4~8%,MgO:5~10%,CaO:1~3%,23
BaO:0~3%,ZnO:7~12%,NaO:1~3%,KO:0~22
2%,NaO+KO:1.5~4%からなる請求項1記載の陽極接合に使22
用する低膨張ガラス。」(下線は訂正部分)
5よって,上記訂正審決の確定により,本件決定が前提とした本件発明2の認
定は誤りに帰したことになるので,本件決定のうち特許第3431279号の
請求項2に係る特許を取り消すとの部分の取消しを求める。

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