弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審の未決勾留日数中八〇日を本刑に算入する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、被告人の弁護人押谷富三、辺見陽一連名の提出にかかる控訴
趣意書記載のとおりであるから、これを引用する。
 弁護人の控訴趣意第一点について、
 所論は要するに、殺人予備罪にいわゆる「殺人の目的」はその目的につき確定的
認識を必要とし、目的についての認識が条件付であるとか、又は未必的である場合
には未だ殺人予備罪は構成しないのである。然るに、原判決は事実を誤認し本件に
ついては未必的殺意しか認められないにも拘らず殺意があつたとして殺人予備罪を
認定したのは、事実の誤認であり、延いては法律の解釈を認つた違法があるという
にある。
 よつて案ずるに、刑法二〇一条にいわゆる「前二条の罪を犯す目的」(以下単に
殺人の目的と称する)は殺人予備罪の特別の主観的要素であつて、この要素が構成
要件要素であるか、それとも責任要素であるか、はた又違法性要素であるかについ
ては、学説判例の一致しないところであるけれども、何れにしても、この殺人予備
罪が成立するがためには、「殺人の目的」について故意の内容としてその認識を必
要とするものといわなければならない。而してこの「殺人の目的」についての認識
は所論の如く確定的排他的であることを要するものではなく、いやしくも目的につ
いての認識があり、言い換えれば、殺意が認められる以上、それが条件付であ<要
旨>ると否とに拘らないものというべく(同趣旨の大審院昭和三年一〇月九日判決参
照)、又その目的についての認識即ち殺意が未必にかかる場合でも差支えな
いものと解するを相当とする。何となれば、未必の殺意をもつて人を殺害し又は殺
害せんとした場合には殺人罪の既遂、未遂が成立するのに反し、未必の殺意をもつ
てその予備をなした場合には殺人予備罪が成立しないということは、殺人罪の予
備、未遂、既遂が等しく一連の発展段階であるにも拘らず、故意の内容である殺意
の点においてその認識に差等を設けることは必ずしも当を得たものではなく、又こ
のことは他の目的犯例えば誣告罪、背任罪等において判例が目的の認識は確定的で
あることを必要とせず未必のもので足ると判示している趣旨にも反し、到底正当と
はいえないからである。又斯く解することによつて所論の如く刑法の消極的機能を
害するということはできない。今本件について見るに、原判決は被告人がその判示
の如き動機から、暴力団A会々員Bを殺害せんことを決意し、昭和三八年七月二七
日午前二時頃被告人は刃渡約六八糎の日本刀一振、相被告人Cは刃渡約一八糎の脇
差一振を夫々携え、バ―「D」ことE方表入口に赴き以つて殺人の予備をなしたと
認定したものであつて、所論に鑑み原判決挙示の各証拠につきその内容を逐一精査
するも、被告人に右Bを殺害せんとした確定の殺意を認める証拠は未だ認められな
いけれども、同人の検察官に対する昭和三八年八月二日付供述調書(記録二〇四丁
参照)及び昭和三八年八月九日付供述調書(記録一四五丁参照)の各記載によれ
ば、被告人はBの出方次第は、いざという場合には相手方を殺す覚悟も必要である
と述べているところからすれば、或は条件付殺意があつたものと認められないこと
もないが、尠なくとも被告人の司法警察職員に対する昭和三八年八月三日付供述調
書(記録一三五丁参照)の記載によれば、道具を持つて殴込みに行くからには、B
の片手か、片足ぐらい、ぶち斬つてやろうという気持があつたと述べており、これ
にその他右挙示の諸証拠を総合するときは、被告人らは前記の日本刀、脇差の抜身
をもつてBに対し殴込みをかけようとしたのであるから、喧嘩の次第では、又その
当りどころ如何によつては、同人が死ぬかも知れないという未必の殺意を確定して
原判示の如き予備をなしたものであることは優に認められるのである。さすれば、
原判決が本件につき被告人に対し確定の殺意を認定したことは所論の如く誤りであ
るけれども、前段来説明の如く被告人には条件付殺意、尠なくとも未必的殺意をも
つてその予備をなしたことは十分認められるから、原判決の以上の誤りは結局判決
に影響を及ぼすものではなく、その他記録を精査するも原判決には所論の如き違法
は到底発見できないから、所論は採るを得ない。論旨は理由がない。
 同第二点について、
 論旨は量刑不当を主張するのであるが、所論にかんがみ記録を精査しても被告人
に対する原判決の刑は重過ぎるとは考えられないから、刑訴法三九六条刑法二一条
により主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 児島謙二 判事 畠山成伸 判事 松浦秀寿)

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