弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成15年(わ)第3275号あっせん収賄被告事件
判決
主文
被告人を懲役2年6箇月に処する。
この判決が確定した日から3年間上記の刑の執行を猶予する。
被告人から金100万円を追徴する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は,昭和46年から地方自治法に基づいて選出された名古屋市議会議員として
特別職の地方公務員たる地位にあった者であるが,その間の平成14年10月28日,名
古屋市a区bc丁目d番e所在のGホテルH2階にある「B」において,道路清掃業等を営
むC株式会社の代表取締役であったDから,同社を含む道路清掃を業とする企業11社
で組織するA協会加盟企業の利益のため,名古屋市が指名競争入札の方法により発
注する道路清掃業務に関し,同業務についての指名業者の選定及び発注価格の設定
等の事務を掌理していた同市緑政土木局理事E及び同局道路部職員に対して,今後実
施される道路清掃業務請負のための指名競争入札の指名業者を上記協会の意向どお
りに選定した上,同協会の事務を担当するFに予定価格に近い金額を漏らし教えるよう
あっせんしてもらいたい旨の請託を受け,その報酬として供与されるものであることを知
りながら現金100万円の供与を受け,もって,職務に関連して賄賂を収受した。
(証拠の標目)(省略)
(法令の適用)
1 罰条           刑法197条の4
2 執行猶予         同法25条1項
3 追徴同法197条の5後段(被告人が判示の犯行により収受した賄
賂は没収することができないので,その価額金10
0万円を被告人から追徴する。)
(量刑の理由)
1 本件は,当時名古屋市議会議員であった被告人が,以前からつながりのあった, 
名古屋市から道路清掃業務の委託を受けることを希望する民間業者の団体で,談 合
等により同業務の委託業者の選定に関する入札の公正を害する活動を行ってい たA
協会(以下「協会」という。)から,これまでと同様に,同業務の委託発注 に当たって,指
名業者の選定について協会の意向に従うこと及び予定価格を協会 の世話役に教示す
ること等を,名古屋市の担当部局に働きかけることの請託を受 け,その謝礼の趣旨で
提供されるのを知りながら現金100万円の供与を受け, 賄賂を収受したというあっせ
ん収賄の事案である。
  名古屋市議会議員の地位にあった被告人は,名古屋市の業務執行を監督する立 
場にあるのを利用して,同市の担当職員に対し,同市の道路清掃業務の委託に関 し
て協会の求めに応じて不正行為に及ぶようあっせんして,担当職員をしてこれ を行わ
せており,請託と賄賂との結びつきは強く,公務員の職務の公正さとこれ に対する社
会の信頼を大きく損なった点において,本件犯行は悪質である。
  被告人は,かねてから協会関係者と親しい関係にあって,協会の意を受けて担 当
部局への働きかけを行っていたことが認められるところ,本件犯行の際には, 不法で
あることを知りながら安易に100万円の供与を受けた上,その見返りと してあっせんに
及んだもので,そこには地域住民の信頼の下に,地方自治体の行 政の公正な行使を
監督する議員として求められる廉潔性は忘れられ,その規範意 識は鈍麻していたとい
わざるを得ない。
  そうすると,被告人の刑事責任は軽視できない。
  しかしながら,被告人から本件賄賂を請求したものではなく,協会側から世話 人の
変更などに伴って提供されたものであること,被告人は当公判廷において反 省の態度
を示していること,これまで議員として地方自治に貢献してきた面も認 められること,加
えて,被告人が既に市議会議員を辞するなど一定の社会的制裁 を受けていること等
の酌むべき事情が認められる。
2 そこで,被告人について主文のとおり量刑した上で,その刑の執行を猶予し社 会内
において罪を償う機会を与えることとした。
(求刑 懲役2年6月及び追徴金100万円)
  平成16年6月22日
名古屋地方裁判所刑事第5部
   裁 判 官     伊藤新一郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛