弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成15年(行ケ)第483号 特許取消決定取消請求事件
平成16年1月29日判決言渡、平成16年1月22日口頭弁論終結
        判    決
    原   告        豊田合成株式会社
    原   告        株式会社豊田中央研究所
    原告ら訴訟代理人弁護士  大場正成、尾崎英男、嶋末和秀、
                 黒田健二、吉村誠
    同弁理士         平田忠雄、藤谷修
    被   告        特許庁長官 今井康夫      
    指定代理人        平井良憲、高橋泰史、大橋信彦
   主    文
  特許庁が平成10年異議第71450号事件について平成11年10月1日に
した決定を取り消す。
  訴訟の総費用は各自の負担とする。
        事実及び理由
第1 原告らの求めた裁判
 主文第1項同旨の判決。
第2 事案の概要
本件は、特許を取り消すべき旨の決定の取消請求を棄却した判決に係る事件の上
告審係属中に、当該特許について特許請求の範囲を減縮する訂正審決が確定したこ
とにより、上記判決が破棄され、差し戻された事案である。
 1 手続の経緯等
 (1) 原告らは、発明の名称を「窒化ガリウム系化合物半導体発光素子」とする特
許権(特許番号第2658009号。以下、この特許を「本件特許」という。)の
特許権者である。本件特許は、平成4年7月23日に特許出願がされ、願書に添付
した明細書(以下「本件明細書」という。)についての同8年2月1日付け手続補
正書による補正を経て、同9年6月6日に特許権の設定の登録がされたものであ
る。
 (2) 本件特許について特許異議の申立てがされ、特許庁において、平成10年異
議第71450号事件として審理された結果、平成11年10月1日、本件特許の
請求項1から3までに係る特許を取り消すべき旨の決定(以下「本件取消決定」と
いう。)がされた。
 (3) 原告らは、本件取消決定の取消しを求める本件訴訟を提起した。東京高等裁
判所は、これを平成11年(行ケ)第398号特許取消決定取消請求事件として審
理し、平成14年4月3日に口頭弁論を終結し、同月24日に原告らの請求を棄却
する旨の判決(以下「原判決」という。)をした。
 (4) 原告らは、平成14年5月15日、原判決に対する上告及び上告受理の申立
て(最高裁判所平成14年(行ツ)第172号及び同(行ヒ)第200号)をし、
最高裁判所は、上告受理の申立てを容れて、平成15年10月31日、「原判決を
破棄する。本件を東京高等裁判所に差し戻す。」との判決をした。
2 上告審判決において、破棄、差し戻しの理由とされた事実及び判断の理由
は、次のとおりである。
 (1) 上告人(原告)ら提出の特許庁訂正2002-39155号事件審決謄本及
び本件記録によれば、次の事実が認められる。
  ア 本件明細書の特許請求の範囲の請求項1から3までの記載は、別紙1のと
おりであった。上告人(原告)らは、平成14年7月11日、特許請求の範囲の減
縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、本件明細書の訂正をすることにつ
いて審判を請求した。この審判請求につき、特許庁において、訂正2002-39
155事件として審理された結果、同年9月2日、本件明細書の訂正をすべき旨の
審決(以下「本件訂正審決」という。)がされ、そのころ確定した。
  イ 本件訂正審決は、本件特許の請求項1及び2を別紙2のとおり訂正し、請
求項3を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮に当たる。
(2) 本件のように、特許を取り消すべき旨の決定の取消請求を棄却した原判決に
対して上告又は上告受理の申立てがされ、上告審係属中に当該特許について特許出
願の願書に添付された明細書を訂正すべき旨の審決が確定し、特許請求の範囲が減
縮された場合には、原判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更され
たものとして、原判決には民訴法338条1項8号に規定する再審の事由がある。
そして、この場合には、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反
があったものというべきである。
第3 原告らの主張(本件決定の取消事由)
 本件訂正審決は、本件特許の請求項1及び2を別紙2のとおり訂正し、請求項3
を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮に当たる。
 本件訂正審決は、その謄本が平成14年9月13日原告らに送達されたことによ
って確定し、その結果、本件特許の請求項1及び2に係る特許請求の範囲は出願時
に遡って減縮されて別紙2の請求項1及び2のとおりとなり、請求項3は出願時に
遡って削除された。
 以上のとおり、本件取消決定の取消しを求める本件訴訟の係属中に、その目的に
特許請求の範囲の減縮を含む訂正が確定したのであるから、本件取消決定は、結果
として、判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったものとなる。この誤りが
本件取消決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件取消決定は取り
消されるべきである。
第4 当裁判所の判断 
 本件記録によれば、本件取消決定の取消しを求める本件訴訟の係属中に、本件特
許の特許請求の範囲の減縮等を含む訂正を認める本件訂正審決が確定し、本件特許
の特許請求の範囲が減縮されたことが認められる。そうすると、本件取消決定は、
結果として、判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり、この誤
りが本件取消決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件取消決定
は、取り消されるべきである。
 東京高等裁判所第18民事部
       裁判長裁判官     塚   原   朋   一
裁判官     古   城   春   実
          裁判官     田   中   昌   利
(別紙1)
 1 n型の窒化ガリウム系化合物半導体(AlXGa1-XN;X=0を含む)から成
る第1層と、p型不純物を添加した窒化ガリウム系化合物半導体(AlXGa1-XN;
X=0を含む)から成る第2層とを有する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子に
おいて、
 前記第1層の電極はAl、Ti又はそれを含む合金から成り、前記第2層の電
極はNi又はNiを含む合金から成ることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導
体発光素子。
 2 サファイア基板と、そのサファイア基板上に形成されたバッファ層を有し、
そのバッファ層上に、前記第1層、前記第2層が形成されていることを特徴とする
請求項1に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
 3 前記第2層の前記電極は、Niの上に他の金属層を形成した複層構造である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の窒化ガリウム系化合物
半導体発光素子。」
(別紙2)
 1 n型の窒化ガリウム系化合物半導体(AlXGa1-XN;X=0を含む)から成
るn層と、p型不純物を添加した窒化ガリウム系化合物半導体(AlXGa1-XN;X
=0を含む)から成るi層とを有する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子におい
て、
 前記n層の電極はAlから成り、前記i層の電極はNi及びその上に形成された
Alから成ることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
 2 サファイア基板と、そのサファイア基板上に形成されたバッファ層を有し、
そのバッファ層上に、前記n層、前記i層が形成されていることを特徴とする請求
項1に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
 

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛