弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人岡忠孝の上告理由第一点について。
 原判決か本件(イ)(ロ)の家屋につき、被上告人B1がこれを所有するに至つ
た事実を認めるに足る的確な証拠がない旨及び上告人ら先代Dにおいて被上告人ら
の占有土地面積が拡張するのを容認する反面、土地使用料を逐次増額した旨を各認
定したことは、その挙示の証拠関係からこれを肯認し得るところであり、この点に
関する論旨は、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、
原判決に所論の違法は存せず、論旨は採るを得ない。
 また原判決が昭和二九年一一月頃本件土地等については、判示の如き契約が成立
し、判示条件成就または予約完結の意思表示により、判示本契約が成立し、いずれ
にしても昭和三〇年三月頃にはDとB2こと被上告人B3間に本件三四坪九合につ
き、住宅兼店舗の建物所有を目的として期間の定めのない賃貸借契約が成立するに
至つた旨及び被上告人B1が妻たるB3の右借地の極く一小部分に物置である本件
(ハ)の家屋を所有し、その敷地部分の占有を同人より委讓され、その敷地部分を
占有することは、右借地の目的に反せず、また賃貸借上の信頼関係を破壊する背信
行為ともいえないからの占有は、不法占有とはいえない旨各認定したことは、原
判決認定の事実関係、証拠関係からこれを肯認し得るところであつて、この点の論
旨は、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、または独自の
見解に立脚して、原判決を攻撃するに帰し、原判決に所論の違法は存せず、論旨は
採るを得ない。
 なお論旨は、原判決が昭和二九年一一月頃本件土地等について成立した旨認定し
た停止条件附賃貸借契約或は賃貸借の予約なるものは、その契約が具体的に如何な
る条件のものかを示していないので、理由不備であると主張するけれども、右契約
の内容については、原判決は、昭和二九年一一月頃Dは当時の土地占有者B2こと
被上告人B3、F、G、H、I、Jに対し、各使用者が建増等による占有拡張部分
について、その拡張当時にさかのぼつて値上げを認めて支払に応じるならば、全員
が支払を完了した暁、従来の土地明渡猶予契約にかえて、土地賃貸借契約(本件の
B2こと被上告人B3にあつては、本件三四坪九合につき、住宅兼店舗の建物所有
を目的として期間の定めなく、賃料は一ヶ月一五五五円とする質賃借契約)を締結
する旨を約した旨認定していることは、原判文上明らかであるから、この点に所論
の違法はなく、論旨は採るを得ない。
 同第二点について。
 原判示の所論判示認定は、証拠関係からこれを肯認し得るところであり、論旨は、
結局、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、原判決に
所論の違法は存せず、論旨は採るを得ない。
 同第三点について。
 原判決が上告人らの予備的請求につき「本件(イ)(ロ)の家屋が被上告人B3
の所有であることは、当事者間に争いがない」旨認定したことは、記録上並びに原
判決の引用する一審判決の判文上これを是認し得るところであり、また右B3の本
件借地権が一時的のものであるとの上告人らの主張については、原判決は、昭和三
〇年三月頃にはDと前記B2間には、本件三四坪九合につき、住宅兼店舗の建物所
有を目的として期間の定めのない賃貸借契約が成立した旨認定しており、右認定が
原判決認定の事実関係、証拠関係からこれを肯認し得るものであること前述のとお
りであるから、原判決は、間接にこれと相容れない上告人らの一時的賃貸借の主張
を排斥しているものと認められ何等違法というべきではない。その他原判決の所論
認定は、原判決認定の事実関係、証拠関係から、これを是認し得るところであつて、
いずれも原判決に所論の違法は存せず、論旨は採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条第一項に従い、裁判官全員の一
致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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