弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決中被告人Aに関する部分を破棄する。
     第一審判決判示第一の(二)の物価統制令違反の罪につき被告人を免訴
する。
     同判示第一の(一)の食糧管理法違反の罪につき被告人を懲役九月及び
罰金三万円に処する。
     但し本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
     右罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
     第一審及び当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人甲斐善市の上告趣意について。
 論旨第一点は事実審である原審の裁量に属する刑の量定を非難するものであり刑
訴四〇五条の上告理由に当らない。また、食糧管理法が憲法二五条に違反するもの
でないと解すべきことは当裁判所大法廷の判例とするところである。(判例集二巻
一〇号一二三五頁参照)。右判例と反対の見地に立つ論旨第二点は採るを得ない。
 しかし、職権を以て調査すると、本件公訴事実中主文第二項掲記の罪(物価統制
令一三条三五条の罪)は昭和二七年政令一一七号一条八七号により赦免されている。
従つて右の罪と、主文第三項掲記の罪とを併合罪として被告人を処断した第一審判
決及び同判決を是認した原判決は刑訴四一一条五号により被告人に関する限り全部
破棄するを相当とする。そして同四一三条但書により直ちに判決することができる
ものと認めるから、主文二項掲記の罪については同四一四条四〇四条三三七条三号
に従い被告人を免訴すべく、主文第三項掲記の第一審判決の確定した判示第一の(
一)の事実に法律を適用すると、被告人の各所為は、それぞれ食糧管理法九条三一
条、同法施行令六条(昭和二四年六月二五日政令二二六号による改正前のもの)に
該当するところ、情状により同法三四条に従い懲役及び罰金を併科することとし、
なお刑法四五条前段の併合罪であるから懲役刑については同四七条本文一〇条によ
り最も重い粳玄米六俵を買受けた罪に法定の加重をし罰金刑については同四八条二
項に従い合算し、その刑期、金額の範囲内で被告人を懲役九月及び罰金三万円に処
し、右懲役刑については犯情を斟酌して同二五条に則り本裁判確定の日から三年間
その執行を猶予することとし、右罰金を完納できないときは同一八条を適用し金二
百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべく訴訟費用の負担につき刑訴
一八一条一項を適用して主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 石田富平関与
  昭和二七年一二月二五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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