弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原判決のうち上告人敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人片岡剛の上告受理申立て理由について
1本件は,内縁の夫の運転する自動車の助手席に同乗していた被上告人が,同
車と上告人の運転する自動車とが衝突した事故により傷害を負い,後遺障害が残っ
たなどと主張して,運行供用者である上告人に対し,自動車損害賠償保障法3条に
基づき損害賠償を請求したところ,上告人が,過失相殺の抗弁として,被上告人の
内縁の夫の過失を被害者側の過失として考慮すべきである旨を主張して,その損害
賠償額を争っている事案である。
2原審が確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1)平成13年8月6日午後0時10分ころ,被上告人の内縁の夫であるAが
被上告人を助手席に同乗させて運転する自動車が,前橋市a町b丁目c番d号先の
交通整理の行われていない交差点に進入したところ,交差する道路を左側から走行
してきて同交差点に進入した上告人運転の自動車と衝突するという事故が発生した
(以下,この事故を「本件事故」という。)。
(2)被上告人は,本件事故により,頸椎捻挫,腰椎捻挫の傷害を負い,また,
パニック障害,うつ症状等の後遺障害が残った。
(3)上告人は,運行供用者として,自動車損害賠償保障法3条に基づき,被上
告人に対して被上告人が本件事故により被った損害を賠償する責任を有する。
3原審は,被上告人においてAが飲酒運転や無謀運転をすることを知りながら
同乗したなどの事情が認められない本件においては,上告人が被上告人に対して支
払うべき損害賠償額を定めるに当たり,Aの過失を被害者側の過失として考慮する
ことはできず,上告人の過失相殺の抗弁はそれ自体として理由がないと判断して,
194万8976円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で被上告人の
請求を認容した。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
不法行為に基づき被害者に対して支払われるべき損害賠償額を定めるに当たって
は,被害者と身分上,生活関係上一体を成すとみられるような関係にある者の過失
についても,民法722条2項の規定により,いわゆる被害者側の過失としてこれ
を考慮することができる(最高裁昭和40年(オ)第1056号同42年6月27
日第三小法廷判決・民集21巻6号1507頁,最高裁昭和47年(オ)第457
号同51年3月25日第一小法廷判決・民集30巻2号160頁参照)。内縁の夫
婦は,婚姻の届出はしていないが,男女が相協力して夫婦としての共同生活を営ん
でいるものであり,身分上,生活関係上一体を成す関係にあるとみることができ
る。そうすると,内縁の夫が内縁の妻を同乗させて運転する自動車と第三者が運転
する自動車とが衝突し,それにより傷害を負った内縁の妻が第三者に対して損害賠
償を請求する場合において,その損害賠償額を定めるに当たっては,内縁の夫の過
失を被害者側の過失として考慮することができると解するのが相当である。
本件において,被上告人は,内縁の夫であるAの運転する自動車に同乗していた
ところ,同車と上告人運転の自動車とが衝突した本件事故により傷害を負ったとい
うのであるから,上告人が被上告人に対して支払うべき損害賠償額を定めるに当た
っては,Aの過失を被害者側の過失として考慮することができるというべきであ
る。
5以上によれば,上告人が被上告人に対して支払うべき損害賠償額を定めるに
当たり,Aの過失を被害者側の過失として考慮することができないとした原審の判
断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があ
り,原判決のうち上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,Aの過失の有無,過
失割合について更に審理を尽くさせるため,上記部分につき本件を原審に差し戻す
こととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官
那須弘平裁判官田原睦夫)

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