弁護士法人ITJ法律事務所

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平成24年(さ)第1号自動車運転過失傷害被告事件に係る略式命令に対
する非常上告事件
平成24年9月18日第三小法廷判決
主文
原略式命令を破棄する。
本件公訴を棄却する。
理由
大分簡易裁判所は,同裁判所平成23年(い)第258号自動車運転過失傷害被
告事件において,同年12月6日,被告人を罰金20万円に処する旨の略式命令を
発付し,同命令は,同月22日に確定した。
しかしながら,一件記録によると,原略式命令は,同年11月28日付け起訴状
による略式命令の請求に対して発付されたものであるところ,その請求に係る起訴
を行った検察事務官は検察官事務取扱の職務命令の発令を受けていなかったことが
認められ,本件略式命令の請求は,公訴提起の手続がその規定に違反したため無効
であり,同裁判所としては,刑訴法463条1項,338条4号により公訴棄却の
判決をすべきであった。そして,公訴提起が権限ある者によって行われていなかっ
たことは,手続の前提となる事実の誤認ではなく,手続そのものについての誤りで
あるから,同裁判所が原略式命令を発付したことは,同法454条の「事件の審判
が法令に違反したこと」に当たると解するのが相当である(最高裁昭和25年
(さ)第39号同26年1月23日第三小法廷判決・刑集5巻1号86頁,最高裁
昭和25年(さ)第40号同27年4月23日大法廷判決・刑集6巻4号685頁
参照)。
よって,本件非常上告は理由があり,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告
人のため不利益であるから,刑訴法458条1号により原略式命令を破棄し,同法
338条4号により本件公訴を棄却することとし,裁判官全員一致の意見で,主文
のとおり判決する。
検察官谷川恒太公判出席
(裁判長裁判官寺田逸郎裁判官田原睦夫裁判官岡部喜代子裁判官
大谷剛彦裁判官大橋正春)

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