弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
1 原判決中、控訴人の被控訴人鹿児島県指宿土木事務所長に対する不許可処分の
取消しを求める訴え、及び被控訴人鹿児島県加世田土木事務所長に対する不許可処
分の取消しを求める訴えを却下した部分を取り消し、同部分を鹿児島地方裁判所に
差し戻す。
2 控訴人の被控訴人鹿児島県に対する控訴、並びに被控訴人鹿児島県指宿土木事
務所長及び被控訴人鹿児島県加世田土木事務所長に対するその余の控訴をいずれも
棄却する。
3 控訴人と被控訴人鹿児島県との間に生じた控訴費用は控訴人の負担とし、控訴
人と被控訴人鹿児島県指宿土木事務所長及び被控訴人鹿児島県加世田土木事務所長
との間に生じた控訴費用のうち、鹿児島地方裁判所に差し戻されない請求に係る部
分については、控訴人の負担とする。
       事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 本件を鹿児島地方裁判所に差し戻す。
第2 本件事案の概要及び当裁判所の判断は、次のとおり訂正するほかは、原判決
事実及び理由の「第二 事案の概要」及び「第三 当裁判所の判断」一及び二の記
載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決15頁2行目及び22頁4、5行目の各「土地の使用許可」を「土地の
土石(砂)の採取許可」に改める。
2 原判決22頁6行目から29頁2行目までを次に改める。
 「そこで、本件各不許可決定の行政処分性について検討するに、海底の土地にお
ける砂利採取に関する国有財産法18条3項の許可は、一定期間にわたり、海底を
使用して砂利を採取する権原を付与するものであるから、「申請」を前提とすると
いうべきである。旧建設省所管国有財産取扱規則(昭和30年4月30日建設省訓
令第1号)21条の2は、旧建設省所管の行政財産の使用収益の許可について申請
書を提出させ、これに対して許可書を交付するものと定め、これを受けて本件規則
4条は、一般海浜地等の使用・収益の態様の区分に応じ、その申請書式及び添付書
類を定めているが、これらはいずれも、「申請」を前提としたものと解される。そ
うすると、右申請は、行政庁の職権発動を促す単なる事実上の行為ではなく、行政
庁の応答を義務づけるものと解すべきであり、さらに、申請に対する許可は、採取
権原の付与という法的効果を生じさせ、不許可は、申請に係る許可を得る可能性を
奪う場合もあることからすると、右許可・不許可は、申請者の権利、利益
に影響を及ぼす公権力の行使に当たるというべきであり、申請に対する不許可は、
抗告訴訟の対象となる行政処分に該当すると解すべきである。」
第3 よって、控訴人の請求中、被告鹿児島県指宿土木事務所長に対する不許可処
分の取消しを求める訴え及び被告鹿児島県加世田土木事務所長に対する不許可処分
の取消しを求める訴えについては、本件各不許可決定について行政処分性を否定し
て同各訴えを不適法であるとした原判決は相当ではなく、これを取り消して、事件
を第一審裁判所である鹿児島地方裁判所に差し戻すべきであるから、本件控訴はこ
の限度において理由がある。
福岡高等裁判所宮崎支部
裁判長裁判官 馬渕勉
裁判官 黒津英明
裁判官 岡田健

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