弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人本人の上告趣意のうち、憲法三八条違反をいう点は、本件事案に徴し、被
告人の抑留、拘禁が不当に長いものとは認められず、記録を調べても被告人の自白
に任意性を疑うべき証跡は認められないから、所論はその前提を欠き、その余は、
違憲をいう部分もあるが、その実質はすべて単なる法令違反、事実誤認、量刑不当
の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。弁護人天利新
次郎の上告趣意第一点は、憲法三九条後段違反をいうが、盗犯等の防止及び処罰に
関する法律三条は、同条所定の常習累犯者であるという事由にもとづいて、新たに
犯した罪の法定刑を重くしたにすぎないもので、前犯に対する確定判決を動かした
り、前犯に対して重ねて刑罰を科したりする趣旨のものではないから、同条が憲法
三九条に違反するものではないことは、昭和二四年一二月二一日大法廷判決(刑集
三巻一二号二〇六二頁)の趣旨に照らして明らかであつて(昭和四三年六月一四日
第二小法廷判決、刑集二二巻六号四七七頁参照)、論旨は理由がない。同第二点以
下は、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあ
たらない。
 また、記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同法四〇八条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
  昭和四六年二月五日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    岡   原   昌   男

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