弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人曽我乙彦の上告理由について
 本件は、破産者D工業株式会社(以下「D工業」という。)が所有する一審判決
添付物件目録記載の建物について、上告人が、平成三年一〇月一一日に締結された
とする根抵当権設定契約に基づき、不動産登記法三三条による仮登記仮処分命令を
得て根抵当権設定仮登記(以下「本件仮登記」という。)をしたことに関し、D工
業の破産管財人である被上告人が上告人に対し、破産法七四条に基づき本件仮登記
の否認登記手続を求め、これに対する反訴として、上告人が被上告人に対し、本件
仮登記に基づく本登記手続を求めている事件である。そして、原審が適法に確定し
たところによると、上告人とD工業は、平成三年六月一四日、信用組合取引契約を
締結したが、D工業は、平成四年三月二五日、自己を引受人とし、上告人のE支店
を支払場所とする金額三六五六万五〇〇〇円の為替手形を資金不足を理由に不渡り
にしたこと、上告人は、D工業が右の為替手形を不渡りにしたことを知って、同月
二七日、大阪地方裁判所に前記仮登記仮処分命令の申請をし、その決定を得て、同
年四月二日、本件仮登記に及んだこと、D工業は、同月二四日、債権者から破産の
申立てを受け、同年五月一四日、大阪地方裁判所で破産宣告を受けたことが明らか
である。
 ところで、仮登記は、それ自体で対抗要件を充足させるものではないが、本登記
の際の順位を保全し、破産財団に対してもその効力を有するものであるから、仮登
記も対抗要件を充足させる行為に準ずるものとして破産法七四条一項の否認の対象
となるものと解すべきである。そして、破産者の支払停止の後に、これを知った根
抵当権者が不動産登記法三三条による仮登記仮処分命令を得て根抵当権設定仮登記
をした場合には、破産管財人は、破産法七四条一項によって右行為を否認すること
ができるものと解するのが相当である。けだし、権利の変動について対抗要件を充
足させる行為は、破産者の行為又はこれと同視すべきものに限り否認し得るもので
あるところ(最高裁昭和三七年(オ)第三七四号同四〇年三月九日第三小法廷判決・
民集一九巻二号三五二頁参照)、仮登記仮処分命令を得てする仮登記は、仮登記権
利者が単独で申請し、仮登記義務者は関与しないのであるが(不動産登記法三二条)、
その効力において共同申請による仮登記と何ら異なるところはなく、否認権行使の
対象とするにつき両者を区別して扱う合理的な理由はないこと、実際上も、仮登記
仮処分命令は、仮登記義務者の処分意思が明確に認められる文書等が存するときに
発令されるのが通例であることなどにかんがみると、仮登記仮処分命令に基づく仮
登記も、破産者の行為があった場合と同視し、これに準じて否認することができる
ものと解するのが相当であるからである。
 以上の見地に立って本件をみると、前記の事実関係によれば、上告人は、根抵当
権設定契約の日から一五日を経過した後に、D工業の支払停止を知って、仮登記仮
処分命令の申請をし、その命令を得て、本件仮登記をしたものということができる
から、被上告人は、破産法七四条一項によりこれを否認することができるものとい
うべきである。根抵当権設定登記がされなかった原因がD工業にあるか否かは、右
判断を左右しない。原審の判断は、右と同趣旨をいうものとして是認することがで
き、原判決に所論の違法はない。論旨は、原判決の結論に影響のない事項について
原判決の違法をいうか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、
採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    藤   井   正   雄
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    高   橋   久   子
            裁判官    遠   藤   光   男
            裁判官    井   嶋   一   友

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛