弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     (一) 原判決を取消す。
     (二) 被控訴人株式会社伊予銀行は控訴人に対し金五十万円及びこれ
に対する昭和二十八年十月十三日以降完済に至る迄年六分の割合による金員を支払
え。
     (三) 被控訴人A及び同B(いずれも当事者参加人)の各請求を棄却
する。
     (四) 訴訟費用は第一、二審を通じ控訴人と被控訴銀行との間に生じ
た分は被控訴銀行の負担とし、当事者参加に因り生じた分は被控訴人A及び同B両
名の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は、主文第一項乃至第三項と同旨の判決を求め(当審において請求の
趣旨を主文第二項の通り減縮した)、被控訴銀行代理人並に被控訴人A、同B両名
の代理人は、いずれも控訴棄却の判決を求めた。
 各当事者の事実上の主張は、控訴代理人において、被控訴人A及び同Bは被控訴
銀行に対する本件預金債権が控訴人に属することを知悉しながら、右預金名義が訴
外Cとなつているのを奇貨とし同訴外人に対する強制執行として右預金債権を差押
え且つ転付命令を得たものである。と附陳した外原判決事実摘示と同一であるから
ここにこれを引用する。
 立証として、控訴代理人は、甲第一乃至第三号証を提出し、原審証人D、同E、
同F、同G、同H、同I、原審並に当審証人Cの各証言並に原審における控訴人本
人尋問の結果を夫々援用し、被控訴銀行代理人は甲号各証の成立を認め、被控訴人
A及び同Bの代理人は、原審における被控訴人A、同B各本人尋問の結果を援用
し、甲号各証の成立を認めた。
         理    由
成立に争のない甲第一号証、原審並に当審証人C、原審証人F、同I、同Eの各証
言、原審証人Dの証言の一部(後記措信しない部分を除く)並に原審における控訴
人本人尋問の結果を彼此綜合すれば、訴外Fは控訴人より金五十二万円を借受け、
その支払のために控訴人に対し金額五十二万円、満期昭和二十八年十月十日、支払
地振出地共京都市、支払場所株式会社京都銀行a支店、受取人欄白地の約束手形一
通を振出交付し、控訴人は右手形の所持人となつたこと、控訴人は手形の取立方法
不案内であつたため訴外Cに対し、被控訴銀行(b支店)に右手形の取立委任をす
ることを依頼したこと、右Cは右依頼に応じ昭和二十八年十月六日右約束手形を持
参して被控訴銀行b支店に到り、控訴人の代理人として同銀行係員に対し右手形の
所持人は控訴人である旨を告げ右手形金の取立方を委任したこと、然るところ被控
訴銀行b支店の係員であるDは、右Cが同銀行と取引かあるところより右Cの名義
で同銀行に対し取立委任したことにすれば便宜である旨告げて、右Dにおいて右手
形の受取人欄にCの氏名を記入且つ手形裏面に右Cを裏書人、被控訴銀行を被裏書
人とする裏書の記載をなし、右Cにおいて裏書人名下に捺印したこと、ここにおい
て被控訴銀行は右手形につき更に株式会社住友銀行に対し取立委任裏書をなし、同
銀行京都支店を経て同年十月十二日右手形金五十二万円の取立を了したこと、然る
に被控訴銀行b支店においては右取立金員を前記Cの「別段預金」と称する特別の
口座に入れ控訴人に対し右金員を交付しないことを夫々肯認することができる。尤
も原審証人Dは、右Cが右手形を前記b支店に持参した際該手形が控訴人所持のも
のであることを告げなかつた趣旨の証言をしているけれども、右証言部分は原審並
に当審証人Cの証言と対比して信を措き難く、他に右認定を左右するに足る証拠が
ない。而して本件各証拠に徴しても控訴人が前記Cに対し右手形の受取人欄を同人
名義に補充する権限を与えて右手形上の権利を信託的に譲渡したものとは未だ認め
られず、前認定の如く控訴人は右Cに対し単に被控訴銀行に右手形の取立委任をな
す手続を依頼したに過ぎず、右手形の受取人欄が「C」と補充され且つ同人が被控
訴銀行に対し裏書をしたかの如き記載がなされたのは前叙認定の如き経緯に因るも
のであつて、右は被控訴銀行行員及び右Cが控訴人の意思に基かないで被控訴銀行
の事務処理の便宜上かかる記載をしたものであることが窺われる。また被控訴銀行
がその取立てた前記手形金を右Cの「別段預金」として処理したのも全く控訴人の
予期しなかつたことであること前掲各証拠に徴しこれを窺うに十分である。従つて
手形面の記載及び手形取立金が訴外Cの預金となつている事実に拘らず、右手形の
実質上の権利者は依然控訴人であり、控訴人は右Cを介し被控訴銀行に対し右手形
の取立を委任したものであり、被控訴銀行は控訴人の代理人である右Cより右手形
の取立を依頼されてその取立を行つたものであると謂わなければならない。そうだ
とすれば受任者たる被控訴銀行は委任者たる控訴人に対し前記取立てた手形金を引
渡す義務があること明らかである。
 然るところ、前記認定の如くC名義となつている被控訴銀行に対する預金債権に
つき、被控訴人Aは右預金債権中金額十六万八千二百円について、また同Bは右預
金債権中金額三十三万千八百円について、いずれも債務者Cに対する仮執行宣言附
支払命令正本に基いて昭和二十九年七月松山地方裁判所今治支部に対し債権差押並
に転付命令の申請をなし、その各命令は同月二十一日債務者である右Cに、同<要
旨>月十九日第三債務者である被控訴銀行に夫々送達されたことは本件各当事者間に
争がないところである。しかしながら債権に対する強制執行として債務者名
義の債権が差押えられ且つ転付命令が発せられたとしても該債権が実質上債務者に
属するものでない以上債権差押並に転付命令はその効力を生じないものと解するを
相当とするところ、前叙認定に照し、被控訴銀行が取立てた手形金五十二万円は被
控訴銀行より控訴人に引渡すべき金員であつて、該金員が前記Cの預金名義となつ
ているとしても右Cは形式上預金債権者たる外観を有しているに止まり実質上の権
利者でないこと明らかであるから、C名義の預金債権に対する前記債権差押並に転
付命令は結局その効力を生じないものと謂わなければならない。徒つて被控訴人A
及び同Bは前記転付命令により被控訴銀行に対し預金債権を取得するに至らないこ
と明らかである。
 果して然らば、控訴人が被控訴銀行に対し前記手形取立金五十二万円の中金五十
万円及びこれに対する手形金取立の日の翌日たる昭和二十八年十月十三日以降完済
に至る迄商法所定年六分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求は正当で
あり、被控訴人A及び同B(いずれも当事者参加人)が控訴人に対しては、被控訴
人Aは被控訴銀行に対し金十六万八千二百円の、同Bは被控訴銀行に対し金三十三
万千八百円の各預金債権を有することの確認を求め、被控訴銀行に対しては、夫々
右各金員の支払を求める請求はいずれも理由がないと謂わなければならない。
 仍て右と認定を異にする原判決は不当であるから、民事訴訟法第三百八十六条に
よりこれを取消すこととし、訴訟費用の負担につき同法九十六条第八十九条第九十
三条を適用して主文の通り判決する。
 (裁判長判事 石丸友二郎 判事 浮田茂男 判事 橘盛行)

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