弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人中嶋真治の上告趣意について。
 所論は第一審裁判所が、被告人の私選弁護人を相被告人の国選弁護人に選任した
ため相被告人と利害相反する被告人は、弁護権の公正な行使を妨げられたという主
張を前提とし、憲法三七条三項違反を主張する。しかし所論は、原審においてなん
ら控訴趣意として主張されず、従つて原審の判断を経ていない事項に関する主張で
あるから適法な上告理由と認められない。(なお所論の前提とする事項について調
べてみると、所論の指摘するとおり、第一審において本件被告人Bは、私選弁護人
として弁護士Cを選任したが、その後第一審の第一回公判期日に裁判所は、相被告
人Dのため右同人を国選弁護人として選任したことが認められる。ところで裁判所
が共同被告人の一人のために国選弁護人を選任する場合、両被告人は利害相反する
こともあるから、他の被告人と同一弁護人を選任しないように注意することは望ま
しいことではあるが、本件起訴状に記載するような共犯関係においては、これをも
つて直ちに当然両被告人は利害相反するということはできないから、第一審裁判所
が公判進行の必要上当面の急に応じ同一弁護人を選任したこと自体をもつて、直ち
に公正な弁護権の行使を妨げる違法な処置ということはできない。次に本件第一審
公判の進行に伴い、両被告人の間に主張の相違が現われたことは、所論の指摘する
とおりであつて、弁護人提出の書面のその記載だけをとらえていえば、利害相反す
る関係を生じたと見られないことはない。しかし被告人は、事後に至りこのような
状況となつた場合、自己の弁護権の行使に支障を生ずると認めたときは、裁判所に
対し国選弁護人の選任に異議を述べ、或はその弁護人に注意し考慮を求め、さらに
やむを得なければその弁護人を解任する等の手段をとることもなんら禁じられてい
るわけではなく、また弁護人としても弁護士法に基きその良識に従つて適正な進退
をすることはむしろその責務というべきである。しかるに被告人は第一審公判の終
結するまで前記弁護人の弁護権の行使に対しなんら異議不服を述べた形跡なく、ま
た前記のどの特段の処置をとつた事実も認められないのみならず、弁護人は最終の
意見として、「被告人Bに対しては無罪しからずば執行猶予の判決を賜りたい又D
については寛大なる判決を賜りたい」と述べ、むしろ本件被告人に対し特に有利な
弁論をしたことが認められ、これらの経過からみれば、被告人は本件C弁護人の弁
護権の行使に異議不服なく、また相被告人との間に利害相反するものと認めなかつ
たものといわなければならない。仮りに客観的に見て利害相反する部分がありその
部分について同一国選弁護人の弁護権の行使に不公正を生ずるものとしても、すで
に第一審第二審を通じ被告人がこのことについて何の主張もしなかつた以上かかる
主張を上告審においてはじめて提出すること自体が不適法で許されないことは冒頭
に示したとおりである)。
 その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
  昭和三〇年一二月二〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    垂   水   克   己

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