弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人高場一博の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法31条,36条違反を
いう点は,その執行方法を含む死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは
当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判
決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6
日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同3
6年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるか
ら,理由がなく,その余は,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当
の主張であり,被告人本人の上告趣意は,量刑不当の主張であって,いずれも適法
な上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは
認められない。
付言すると,本件は,被告人が,深夜,静岡県三島市内の国道上を自動車で走行
中,アルバイトを終えて自転車で帰宅途上であった当時19歳の女性を認め,先回
りして自転車で進行してきた同女の前に立ちふさがり停止させた上,強姦目的で,
逃げようとする同女を自車内に無理矢理押し込み,同車を疾走させて約3時間にわ
たり逮捕監禁し,その間,山間の路上に止めた自車内で同女を強姦した後,犯行の
発覚を恐れるとともに,覚せい剤仲間のもとへ早く行って覚せい剤を使用したいと
の思いから,処置に困った被害者の殺害を決意し,実家から灯油を持ち出した上,
同女を人気のない場所まで連行し,ガムテープを同女の両手首に巻き付けて後ろ手
に縛り,その口にも張り付けて路上に座らせ,その頭から灯油を浴びせ掛けて頭髪
にライターで点火し,そのころ,同所において,同女を全身性の火傷により焼死さ
せて殺害したという事案である。
被害者は,自宅のある三島市から神奈川県内にある短期大学に電車で通学してい
た短大生であり,家計に負担を掛けぬよう,小遣いを自分で稼ごうとしてアルバイ
トをしており,本件当夜も同様であったところ,被告人は,自己の性欲を満たした
いとの身勝手な動機から,何ら落ち度のない同女に対して逮捕監禁及び強姦の犯行
に及び,目的を達するや,いったんは同女を解放することを考えたものの,犯行の
発覚を恐れるとともに,早く同女を処分して覚せい剤を使用したいなどという甚だ
自己中心的で非情な発想から,意識のある人間の身体に灯油を掛けた上,火を付け
て焼き殺すという誠に残虐な方法で同女を殺害したものである。本件の結果が重大
であることはいうまでもないところ,被害者の両親は,人柄が良く,だれからも好
かれていた親孝行でもある自慢の愛娘を突然の凶行によって失い,悲嘆に暮れると
ともに,被告人に対するしゅん烈な処罰感情を表明しているが,けだし当然という
べきである。加えて,上記のような方法で被害者を殺害するなどした本件犯行が,
社会に与えた影響も非常に大きい。被告人は,少年時代に2度にわたって少年院送
致の保護処分を受けたほか,平成4年12月には覚せい剤取締法違反等の罪により
懲役1年6月,4年間執行猶予・保護観察付きの有罪判決を受けたところ,その猶
予期間中に強盗致傷等を犯したことから,平成7年10月に同罪等で懲役4年6月
の実刑判決を受け,上記執行猶予も取り消されて長期の服役を経験したのに,平成
13年4月に仮出獄を許されてから,わずか約9か月で本件犯行に至っているので
あって,被告人の根深い犯罪性向は更に深化,凶悪化しているといわざるを得ず,
改善更生の可能性に乏しいことは明らかといわなければならない。
そうすると,被告人の罪責は余りにも重大であり,本件犯行が周到な計画に基づ
くものではないこと,反省の態度を示していることなど,酌むべき事情を勘案して
も,原判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官新倉明公判出席
(裁判長裁判官古田佑紀裁判官津野修裁判官今井功裁判官
中川了滋)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛