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平成26年1月9日判決言渡
平成25年(行コ)第298号事業所税更正処分取消等請求控訴事件
主文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2東京都千代田都税事務所長が控訴人に対して平成23年2月25日付けでし
た平成19年1月1日から同年12月31日までの事業年度,平成20年1月
1日から同年12月31日までの事業年度及び平成21年1月1日から同年1
2月31日までの事業年度の事業所税に係る各更正処分及び各過少申告加算金
賦課決定処分をいずれも取り消す。
3東京都千代田都税事務所長が控訴人に対して平成23年2月25日付けでし
た平成21年1月1日から同年12月31日までの事業年度の事業所税に係る
更正請求に対する更正しない旨の通知処分を取り消す。
4訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要等
1事案の概要
本件は,控訴人が,平成19年1月1日から同年12月31日までの事業年
度,平成20年1月1日から同年12月31日までの事業年度及び平成21年
1月1日から同年12月31日までの事業年度(以下「平成21年度」という。)
の事業所税に係る各納付申告をし,また,平成21年度の事業所税について更
正の請求(以下「本件更正請求」という。)をしたところ,東京都千代田都税
事務所長が平成23年2月25日付けで上記各事業年度の事業所税に係る各更
正処分及び過少申告加算金の各賦課決定処分(以下これらの処分を併せて「本
件各更正処分等」という。)をするとともに本件更正請求に係る平成21年度
の事業所税を更正しない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をし
たことから,処分行政庁の所属する被控訴人を被告として,本件各更正処分等
及び本件通知処分の取消しを求める事案である。
原審は,控訴人の請求をいずれも棄却した。
そこで,控訴人がこれを不服として控訴した。
2関係法令等の定め,前提事実,争点及び当事者の主張
原判決の「第2事案の概要」の1から4まで(2頁25行目から11頁1
7行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由
は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「第3当裁判所の判断」(11
頁19行目から20頁7行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)11頁22・23行目の「ロッカー様の」を削り,25行目の「20」の
次に「,27の1ないし4」を加える。
(2)12頁7行目の「なる」を「なる。レンタル収納スペースの利用は,タイ
プを問わず,その法的性質上仮設の構造物の一時使用に当たるため,借地借
家法の適用は受けない」に改める。
(3)13頁8行目の「こと」の次に「,レンタル収納スペース内外のスペース
及び敷地内において宿泊,滞在,飲酒,飲食,その他物品類の収納・搬出以
外の行為をすること」を加える。
(4)13頁16行目末尾に改行の上次のとおり加える。
「なお,控訴人が東京都新宿区α×番32号所在の家屋において営む本件
事業は,上記使用契約約款にいう「トランクルームタイプ」(本件サービ
スにおいて控訴人が屋内に設置した仮設の造作によって間仕切りした使用
区画を利用して提供するレンタル収納スペースのタイプ)を提供するサー
ビスに該当するところ(弁論の全趣旨),「トランクルームタイプ」につ
いては,倉庫業法第2条第3項にいう「トランクルーム」を意味しないと
されている(第2条④)。同項にいう「トランクルーム」とは,その全部
又は一部を寄託を受けた個人(事業として又は事業のために寄託契約の当
事者となる場合におけるものを除く。)の物品の保管の用に供する倉庫を
いう。」
(5)14頁14・15行目,20行目の各「事業に係る」をいずれも削り,1
5頁4行目の「場合は」を「場合が生ずるが,前記事業所税の趣旨及び目的
のほか,資産割の性質,二重課税禁止の原則並びに実質課税の原則(地方税
法701条の33参照)に鑑み(甲17参照)」に改め,6行目,7行目の
各「事業に係る」をいずれも削り,14行目末尾に「これに対し,一般的な
不動産賃貸業(いわゆるサブリースにおける転貸業を含む。)は,賃借人に
不動産を引き渡してその使用収益を委ねるものであり,当該不動産は不動産
賃貸業の目的物にすぎず,当該不動産を事業所としてそこにおいて不動産賃
貸業を営むわけではないから,不動産賃貸業の目的物である不動産について
は「事業所等において法人又は個人の行う事業」を観念することができない。」
を加える。
(6)16頁3行目の「こと」の次に「,レンタル収納スペース内外のスペース
及び敷地内において宿泊,滞在,飲酒,飲食,その他物品類の収納・搬出以
外の行為をすること」を加え,7・8行目の「賃借人の使用収益権能を強度
に制限する一方」を「賃借人たる顧客の使用収益権能を強度に制限するもの
であるが,他方で,保管中の物品の損傷防止の措置を講ずるための負担が顧
客に生じないようにする事実上の効果を有すると認められる。さらに,本件
事業においては,控訴人が警備会社に委託して建物の入口ドアにセキュリテ
ィーシステムを,個々のレンタル収納スペースの扉に錠を設け,顧客に電子
カードキー及び鍵を貸与することにより,顧客において電子カードキー及び
鍵の管理以外に保管中の物品の滅失防止の措置を講ずる負担が生じないよう
に配慮されている。これらは,使用契約約款上,顧客が自己の責任において
物品を管理保管すべきものとされているにもかかわらず」に改める。
(7)17頁7・8行目の「月間70ないし500名程度の入退室がある」を「,
レンタル収納スペースを設けた建物1個につき月間70名ないし500名程
度(延べ人数)の入退室がある。」に改める。
(8)17頁14行目冒頭から24行目末尾までを次のとおり改める。
「エなお,本件事業によるレンタル収納スペースを利用する顧客としては,
主として,物置や押入れ代わりに家財道具等を収納する個人が想定されて
いるところ(甲7ないし9,前記1(4)),当該個人によるレンタル収納ス
ペースの使用が「事業」に該当せず,当該レンタル収納スペースが「事業
所等」に該当しないことは明らかである。また,自己の事業のためにレン
タル収納スペースに商品等を保管する事業者も想定されなくはないが,①
東京都新宿区α×番32号所在の家屋内のレンタル収納スペースについて,
事業者が商品等を保管するために使用していると認めるに足りる証拠がな
いこと,②使用契約約款上,レンタル収納スペース内外のスペース及び敷
地内における物品類の収納・搬出以外の行為が禁止されており,自己の事
業のためにレンタル収納スペースに商品等を保管する事業者が,当該レン
タル収納スペースに人的設備を置くことは困難であること,③控訴人は,
頻繁に必要となるものはレンタル収納ルームに保管しないとの認識の下,
本件事業を行っており(甲8),その主張によっても,レンタル収納スペ
ース1個当たりの平均入室数は1か月に1,2回にとどまること,④東京
都新宿区α×番32号所在の家屋内のレンタル収納スペースに係る「トラ
ンクルームタイプ」という名称からも,個人であって事業者でない者によ
る使用を想定していると考えられることからすれば,上記家屋内のレンタ
ル収納スペースを,これを使用する顧客の「事業所等」と評価することは
できないというべきである。
控訴人は,倉庫一室の特定部分を一定期間倉庫業者から賃借して専用す
るという態様で倉庫が利用されるときは,当該特定部分の利用者が当該特
定部分に係る事業所税の納税義務者になると取り扱われており(甲13),
本件事業に係るレンタル収納スペースと倉庫一室の特定部分は同じである
から,本件事業は事業所税の課税客体になり得ない旨主張するが,倉庫一
室の専用利用者の利用形態が控訴人が営むレンタル収納スペース事業の利
用者の利用形態に関する上記説示と同様であるとは認め難いから,採用す
ることはできない。」
2よって,本件控訴はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,
主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第7民事部
裁判長裁判官菊池洋一
裁判官齊木利夫
裁判官菅家忠行

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