弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人小林亀郎、同今野勝久の上告理由第一点、第二点について。
 原判決を通読すれば、原審が、被上告銀行より本件手形を訴外Dに交付したこと
と所論損害を誘発したこととの間に、相当因果関係はない旨判示したのは、要する
に、原判示の事実関係の下においては、所論損害を以つて、通常生ずべきものでも
なく、また予見し或は予見し得べかりし特別事情に基くものでもないとした趣旨と
解し得られ、原審の判断は結局正当であるに帰するから、原判決に、所論の如き法
令解釈の誤り、或は理由不備、判断遺脱の違法はない。
 論旨は、理由がない。
 同第三点について。
 原判示の事実関係の下においては、被上告銀行より訴外Dに本件手形を交付した
過失行為と訴外D薬粧販売株式会社の上告人に対する本件仮差押執行との間の関係
は格別として、仮に右手形交付当時、右D以外の多数の者が上告人に対し多額の債
権を有して居つたため、右仮差押執行が右債権者等の上告人に対する原判示差押並
にこれに続く競売処分、上告人の営業破綻及び営業利益喪失を順次誘発したとして
も、これは必ずしも、右手形交付より通常発出することあるべき結果であるとは断
じがたく、むしろこれ等は、「特別の事情」に属するものと解すべきである。した
がつて、被上告銀行が右手形交付当時、右特別の事情の継起を予見して居つたかま
たは予見し得べかりし情況に在つた場合以外、所論の如き相当因果関係あるものと
なし得ない。しかも被上告銀行が、右手形交付当時、右特別の事情を予見して居つ
たかまたは予見し得べかりし情況に在つたことについては、上告人にその主張立証
の責任があるにも拘らず、上告人は本訴において、その責任をはたして居らない。
されば原審が、被上告銀行の所論損害賠償責任を否定したことは、結局正当である。
 論旨は、理由がない。
 同第四点について。
 論旨は要するに、原審の認定しない事実或は否定した事実を主張し、これによつ
て原審の適法になした事実の認定を非難するに帰するものであつて、これを上告適
法の理由として採用し得ない。
 同第五点について。
 論旨中、上告人は訴外Dの本件仮差押前より既に経営国難な状態に在つたとの原
判示は、虚無の証拠により事実を認定したものであると主張する所があるけれども、
右仮差押の債務名義となつた本件手形交付当時、所論の如き他の多数の債権者によ
る強制執行その他特別の事情に基く損害の発生を予見して居つたかまたは予見し得
べかりし情況に在つたことが認定し得られない以上、右原判示の当否は、判決の結
果に影響がない。而してその余の論旨は、原審の認定しない事実或は否定した事実
を主張し、これによつて原判決を非難するに外ならない。
 論旨は、すべてこれを採用し得ない。
 同第六点について。
 所論手形交付と所論損害発生との間に相当因果関係がないとした原審の判断を以
つて、結局正当となすべきことは、前叙の通りであつて、論旨は畢竟、独自の見解
に立つて原判決を非難するに外ならない。
 論旨は、これを採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔

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