弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人和智薫の上告趣意のうち,憲法13条,31条,36条違反をいう点は,
死刑制度がこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年
(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁
昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663
頁)とするところであるから,所論は理由がなく,その余は,単なる法令違反,事
実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは
認められない。
付言すると,本件は,オウム真理教(教団)幹部の被告人が,(1)他の教団幹
部らと共謀の上,教団に対する強制捜査を阻止,かく乱するため,不特定多数者を
無差別に殺害するテロ行為を行うことを企て,ア平成7年3月20日午前8時こ
ろ,東京都心部に向かう5本の地下鉄電車内で,ほぼ同時に化学兵器である神経剤
のサリンを発散させ,サリンガスを吸入させるなどして乗客や地下鉄職員合計12
名を殺害するとともに,合計14名にサリン中毒の傷害を負わせたが殺害の目的を
遂げなかったという殺人,同未遂(いわゆる地下鉄サリン事件),イ同年5月5
日,新宿駅地下街にある公衆便所内に致死性の毒ガスである青酸ガスの発生装置を
仕掛けたが,青酸ガスを発生させるに至らず殺害の目的を遂げなかったという殺人
未遂のほか,(2)教団幹部らが共謀の上,平成6年6月27日深夜,長野県松本
市内で敢行したサリン発散による殺人,同未遂(いわゆる松本サリン事件)に際し
ても,これに先立ち,犯行に使用するサリン噴霧車の製作に従事してこれを幇助し
た,という事案である。
いずれの犯行も,教団の組織防衛等を目的とし,法治国家に対する挑戦として組
織的,計画的かつ大がかりに行われた無差別大量殺人又はその未遂行為であり,罪
質は反社会的で悪質の極みというべきである。特に地下鉄サリン事件及び松本サリ
ン事件では,殺傷能力の極めて高いサリンが広く散布されたことにより,19名も
の死者を出しており,残虐で非人道的な犯行態様と結果の重大性は他に比べるべき
例がない。殺害された被害者の遺族及び今なお深刻な健康被害に苦しんでいる負傷
者らの被害感情が極めて厳しいことは言うまでもない。一般市民を不安と恐怖に陥
れた社会的影響も非常に大きいものであった。
被告人は,教団幹部の立場で,前記のとおり各犯行を行ったものであるが,中で
も地下鉄サリン事件においては,サリンの封入された3個のナイロン・ポリエチレ
ン袋を自ら混雑する地下鉄電車内に持ち込み,傘の先で突き刺して穴を開け,すべ
ての袋からサリンを漏出させ,同電車内はもとより,停車した各駅の構内などにも
気化したサリンをまき散らすという実行行為を直接担当し,被告人がサリンを散布
した路線に係る死者だけで8名を数える惨劇を招いたものであり,その果たした役
割は極めて大きい。
以上のような犯情に照らすと,被告人の刑事責任は,極めて重大であるというほ
かはなく,より上位の教団幹部の指示により地下鉄サリン事件の実行を引き受ける
ことになったものであることなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮して
も,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして当裁判
所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条により,裁判官全員一致の意見で,主文のと
おり判決する。
検察官金田茂,同新倉明公判出席
(裁判長裁判官古田佑紀裁判官津野修裁判官今井功裁判官
中川了滋)

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