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平成17年(行ケ)第10006号 審決取消請求事件(平成17年5月23日口
頭弁論終結)
判決
原      告  ノース カロライナ ステート ユニバーシティ
訴訟代理人弁理士杉村興作
同高見和明
同徳永博
同坂野博之
被      告  特許庁長官 小川洋
指定代理人   中村泰三
同板橋一隆
同立川功
同宮下正之
主文
     原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と
定める。
 事実及び理由
第1 請求
 特許庁が不服2002-9880号事件について平成16年1月5日にした
審決を取り消す。
第2 当事者間に争いがない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は,平成12年3月14日,平成5年法律第26号による改正前の特
許法44条1項に基づき,昭和63年10月26日にした特許出願(特願昭63-
509385号。パリ条約による優先権主張昭和62年10月26日,優先権主張
国・アメリカ合衆国)の一部につき,発明の名称を「炭化珪素の単一ポリタイプの
大型単結晶を成長させる方法」として新たに特許出願(特願2000-70469
号。以下「本件特許出願」という。)をした。これに対し,特許庁は,平成14年
2月27日,上記出願について,特許を拒絶すべき旨の査定をした。
  (2) 原告は,上記拒絶査定を不服として,平成14年6月3日,特許庁に審判
請求をしたところ,同請求は不服2002-9880号事件として特許庁に係属し
た。原告は,同事件の審理中,平成15年7月28日付け手続補正書により本件特
許出願の願書に添付した明細書を補正した。特許庁は,同事件について審理を遂
げ,平成16年1月5日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,
その謄本は同月20日に原告に送達された。
2 平成15年7月28日付け手続補正書による補正後の明細書(甲2,7,以
下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載
  【請求項1】 電気的デバイスの製造に好適に使用できる炭化珪素の単一ポリ
タイプの大型単結晶を成長させる方法であって;所望ポリタイプの炭化珪素単結晶
の種晶と,実質的に一定のポリタイプ組成を有する炭化珪素粉末源とを昇華系内へ
と導入すること;この炭化珪素粉末源の温度を炭化珪素が粉末源から昇華するのに
充分な温度まで上昇させること;一方前記種晶の成長面の温度を,粉末源の温度に
近く,しかしこの粉末源の温度よりは低くかつこの昇華系の気圧条件下で炭化珪素
が昇華する温度よりも低い温度へと上昇させること;この間前記粉末源から前記種
晶の成長面への気化されたSi,Si2CおよびSiC2の単位面積および単位時間
当り一定(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れを発生さ
せ,維持することによって,前記気体流中のSi,Si2CおよびSiC2の相対比
率を一定とすること;および前記種晶の上に所望ポリタイプの単結晶炭化珪素の巨
視的成長を所望量製造するのに充分な時間の間,炭化珪素粉末源と炭化珪素種晶と
をそれぞれの温度に保持することを有する方法。
【請求項2】 炭化珪素の種晶を閉鎖系内へと導入する工程に先立って,炭化
珪素の研摩した種晶を調製する工程を更に有する,請求項1による方法。
  【請求項3】 炭化珪素粉末源を含有する閉鎖系内へと炭化珪素の種単結晶を
導入する工程において,更に,最初に粉末源と種晶とを互いに分離する,請求項1
による方法。
  【請求項4】 炭化珪素粉末源を含有する閉鎖系内へと炭化珪素の種晶を導入
する工程において,所定の粒径分布を有する炭化珪素粉末源を含有する閉鎖系内へ
と炭化珪素種晶を導入する,請求項1による方法。
  【請求項5】 炭化珪素粉末源の温度を上昇させる工程において,炭化珪素粉
末源の温度を約2250℃~2350℃の間へと上昇させる,請求項1による方法。
  【請求項6】炭化珪素粉末源の温度を上昇させる工程において,炭化珪素粉末
源の温度を約2300℃へと上昇させる,請求項1による方法。
  【請求項7】 種晶の温度を上昇させる工程において,種晶の温度を約2150℃
~2250℃の間へと上昇させる,請求項1による方法。
  【請求項8】 種晶の温度を上昇させる工程において,種晶の温度を約2200℃
へと上昇させる,請求項1による方法。
  【請求項9】 炭化珪素粉末源を導入する工程において,新しい炭化珪素粉末
源を昇華系内へと連続的に導入する,請求項1による方法。
  【請求項10】 炭化珪素の種単結晶を導入する工程において,低数ミラー指
数面に対応する面をカットし,このカットされた低数ミラー指数面に対して垂直の
軸に垂直でない面を露出させた種晶を導入する,請求項1による方法。
  【請求項11】 電気的デバイスの製造に好適に使用できる炭化珪素の単一ポ
リタイプの大型単結晶を成長させる方法であって;所望ポリタイプの炭化珪素単結
晶の種晶と,所定の表面積分布を有する炭化珪素粉末源とを閉鎖系内へと導入する
こと;この炭化珪素粉末源の温度を炭化珪素が粉末源から昇華するのに充分な温度
まで上昇させること;一方前記種晶の成長面の温度を,粉末源の温度に近く,しか
しこの粉末源の温度よりは低くかつこの昇華系の気圧条件下で炭化珪素が昇華する
温度よりも低い温度へと上昇させること;この間前記粉末源から前記種晶の成長面
への気化されたSi,Si2CおよびSiC2の単位面積および単位時間当り一定
(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れを発生させ,維持
することによって,前記気体流中のSi,Si2CおよびSiC2の相対比率を一定
とすること;および種晶の上に所望ポリタイプの単結晶炭化珪素の巨視的成長を所
望量製造するのに充分な時間の間,炭化珪素粉末源と炭化珪素種晶の成長面とをそ
れぞれの異なる温度に保持することを有する方法。
  【請求項12】 炭化珪素の種単結晶を炭化珪素粉末源を含有する閉鎖系内へ
と導入する工程に先立って,炭化珪素の研摩した種晶を調製する工程を更に有す
る,請求項11による方法。
  【請求項13】 炭化珪素粉末源を含有する閉鎖系内へと炭化珪素の種単結晶
を導入する工程において,更に,最初に炭化珪素粉末源と種晶とを互いに分離す
る,請求項11による方法。
  【請求項14】 炭化珪素粉末源を含有する閉鎖系内へと炭化珪素の種晶を導
入する工程において,更に,実質的に一定のポリタイプ組成を有する炭化珪素粉末
源を導入する,請求項11による方法。
  【請求項15】 電気的デバイスの製造に好適に使用できる炭化珪素の単一ポ
リタイプの大型単結晶を成長させる方法であって;所望ポリタイプの単結晶の種晶
と,所定の粒度分布を有する炭化珪素粉末源とを閉鎖系内へと導入すること;この
炭化珪素粉末源の温度を炭化珪素が粉末源から昇華するのに充分な温度まで上昇さ
せること;一方前記種晶の成長面の温度を,粉末源の温度に近く,しかしこの粉末
源の温度よりは低くかつこの昇華系の気圧条件下で炭化珪素が昇華する温度よりも
低い温度へと上昇させること;この間前記粉末源から前記種晶の成長面への気化さ
れたSi,Si2CおよびSiC2の単位面積および単位時間当り一定(一秒当り一
平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れを発生させ,維持することによ
って,前記気体流中のSi,Si2CおよびSiC2の相対比率を一定とすること;
および種晶の上に所望ポリタイプの単結晶炭化珪素の巨視的成長を所望量製造する
のに充分な時間の間,炭化珪素粉末源と炭化珪素種晶の成長面とをそれぞれの異な
る温度に保持することを有する方法。
  【請求項16】 炭化珪素の種単結晶を炭化珪素粉末源を含有する閉鎖系内へ
と導入する工程に先立って,炭化珪素の研摩した種晶を調製する工程を更に有す
る,請求項15による方法。
  【請求項17】 種晶と炭化珪素の粉末源とを閉鎖系内へと導入する工程にお
いて,実質的に一定のポリタイプ組成を有する炭化珪素粉末源を導入する,請求項
15による方法。
  【請求項18】 炭化珪素の種単結晶と炭化珪素粉末源とを閉鎖系内へと導入
する工程において,所定の表面積分布を有する炭化珪素粉末源を導入する,請求項
15による方法。
  【請求項19】 炭化珪素粉末源を系内へと導入する工程において,炭化珪素
粉末を系内へと連続的に導入する,請求項15による方法。
  【請求項20】 炭化珪素を系内へと連続的に導入する工程において,炭化珪
素粉末をスクリューコンベヤ機構を用いて源から系へと連続的に供給する,請求項
15による方法。
  【請求項21】 炭化珪素を系内へと連続的に導入する工程において,超音波
エネルギーを用いて炭化珪素粉末を系内へと動かすことで炭化珪素粉末を源から系
へと連続的に供給する,請求項15による方法。
  【請求項22】 炭化珪素粉末源を昇華系内へと導入する工程において,所定
のタイラーメッシュスクリーンを通過する試料の重量パーセントによって測定した
次表の粒径分布を有する炭化珪素粉末を導入する,請求項15による方法。(注,
表1省略)
(請求項1,11及び15は必須要件項であり,請求項2ないし10は請求項1
の,請求項12ないし14は請求項11の,請求項16ないし22は請求項15の
実施態様項である。以下,請求項1の発明を「本願発明1」と,請求項11の発明
を「本願発明11」と,請求項15の発明を「本願発明15」といい,請求項1な
いし22の発明を併せて「本願発明」という。)
 3 審決の理由
  審決の理由は,別添審決謄本写し記載のとおりであり,その要旨は,本件明
細書の特許請求の範囲の請求項1,11及び15には「この間前記粉末源から前記
種晶の成長面への気化されたSi,Si2CおよびSiC2の単位面積および単位時
間当たり一定(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れを発
生させ,維持することによって,前記気体流中のSi,Si2CおよびSiC2の相
対比率を一定とすること」(以下「構成要件ア」という。)と記載されているが,
本件明細書の発明の詳細な説明をみても,上記のような一定の流れが発生している
かどうかを測定する方法が示されておらず,上記のような一定の流れを直接的,間
接的に測定する方法が本件特許出願の原出願の優先日において一般に知られていた
周知の手段であるとも認めることができないから,本願発明1,11及び15を当
業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されているとは認めることが
できず,したがって,本件特許出願は,特許法36条3項及び4項(注,昭和62
年法律第27号による改正前の特許法3項及び4項の趣旨と解される。以下「特許
法旧36条3項及び4項」という。)に規定する要件を満たしていない,というも
のである。
第3 原告主張の審決取消事由
   本件特許出願が特許法旧36条3項及び4項に規定する要件を満たしていな
いとした審決の判断は誤りであり(取消事由),その結論が審決の結論に影響を及
ぼすことは明らかであるから,審決は取り消されるべきである。
1本願発明について
   本願発明は,炭化珪素の昇華成長を制御して高品質単結晶を製造する方法に
関する。ところで,炭化珪素の昇華系中で起きる反応には,次の三つの基本的な反
応(以下,(1)の反応を「反応(1)」のようにいう。)がある。
  (1) SiC(固)→Si(気)+C(固)
  (2) 2SiC(固)→Si(気)+SiC2(気)
  (3) SiC(固)+Si(気)→Si2C(気)
   上記の反応(1)及び(2)では,固体炭化珪素(粉末源)のみを出発物質とす
る。したがって,粉末源を加熱すると,適当な温度に達した直後から反応(1)及
び(2)が激しく起こる。しかし,反応(1)及び(2)のいずれか一方または両方がある程
度進まないと反応(3)は起こらない。具体的には,Si2C(気)を発生する反
応(3)は,Si(気)を反応物質として必要とし,反応に十分な量のSi(気)が発
生するまで反応(3)は始まらない。Si(気)は反応(1)及び(2)の生成物であるが,
反応(3)の反応物質なので,SiC粉末源が最初に昇華温度域に達した時点では,出
発物質はすべてSiC(固)であり,Si(気)は存在しない。その結果,昇華工
程の開始から初期までの間は,反応(1)及び(2)が優位を占める。しかし,一度,反
応(1)及び(2)により十分な量のSi(気)が発生すると,反応(3)が始まり,SiC
(気)の一部と反応してより顕著な速度で反応(3)が進むこととなる。さらに,化学
反応論の基本的原理に従い,反応(3)の速度は反応(3)に用いることのできるSi
(気)の量に比例するから,通常の状況下では,昇華が進み,反応(1)及び(2)がよ
り多くのSi(気)を生成するにつれて,反応(3)の速度が増加する傾向にあると考
えられる。反応生成物に関していえば,昇華が進むにつれて,反応(3)により発生す
るSi2Cの量が増加する。すなわち,一般的に,何ら一定の流れを制御ないし維
持しない場合には,Si/SiC2/Si2Cの比は一定ではなく,昇華が進むにつ
れて変化する結果となり,ひいては,本願発明におけるような単結晶は得られず,
たとえば,種晶上に多数の結晶を成長させることとなる。これでは,高品質の単結
晶を連続的に成長させることは不可能である。
   本願発明は,炭化珪素粉末源から種晶の成長面への気化されたSi,Si2
C及びSiC2の単位面積及び単位時間当たり一定(一秒当たり一平方センチメート
ル当たりのグラム数が一定)の流れ(以下「本件一定の流れ」という。)を発生さ
せ,維持することによって,昇華系内の気体流中のSi,Si2C及びSiC2の相
対比率を一定にするという技術思想に着目し,これにより炭化珪素の昇華成長を制
御するという方法を採用することにより,高品質の単結晶を連続的に成長させると
いう従来技術では実現できなかった効果を奏するものである。
2 本件明細書の発明の詳細な説明の記載内容
  (1)炭化珪素の昇華現象については,極めて高温及び低圧の環境下で生じるが
ゆえに,これを直接的に測定することは困難である。このような測定の困難性にか
んがみ,本件明細書には,種々の角度から,構成要件ア,すなわち,「この間前記
粉末源から前記種晶の成長面への気化されたSi,Si2CおよびSiC2の単位面
積および単位時間当たり一定(一秒当たり一平方センチメートル当たりのグラム数が
一定)の流れを発生させ,維持することによって,前記気体流中のSi,Si2Cお
よびSiC2の相対比率を一定とすること」に関する記載がされている。
    すなわち,具体的に本件明細書(甲2,7)の記載箇所を挙げれば,以下
のとおりである。
   ア 炭化珪素粉末源の粒径の制御
     本件明細書の段落【0019】,【0020】及び【0025】の記載
においては,フラックスを一定とすること,すなわち,本件一定の流れ(炭化珪素
粉末源から種晶へ成長面への気化されたSi,Si2C及びSiC2の単位面積及び
単位時間当たり一定(一秒当たり一平方センチメートル当たりのグラム数が一定)
の流れ)を生じさせることは,当該方法に限定されるものではないが,一定した方
法での粒径の制御によっても実行することが明確にされているということができ,
また,本件明細書の段落【0026】の表2に記載されたような粒径分布を有する
粉末を用いれば,本プロセスを高めることも記載されている。
イ 炭化珪素粉末源の露出表面積
     本件明細書には,フラックスの一定性,すなわち,本件一定の流れは,
炭化珪素粉末源の露出表面積を一定とすることによっても間接的に達成されること
が記載されている(段落【0027】)。
   ウ ガス供給系の使用
     本件明細書の段落【0045】から【0048】までには,本件一定の
流れは,炭化珪素を粉末としては供給せず,その代わり,シラン(SiH4)とエ
チレン(C2H4)との各ガスの閉鎖系中への供給をこれらが直ちに反応して炭化珪
素蒸気を生成するであろう温度で行うことによっても,制御,維持できることが記
載されている。
 エ種晶の成長面と炭化珪素粉末源との間に相対的運動を与えること
     本件明細書の「種晶が成長するのにつれて種晶の成長面と粉末源との間
に相対運動を与える」(段落【0035】)との記載,「炭化珪素粉末源を連続的
に昇華領域へと供給させる」(段落【0042】)との記載等から明らかなよう
に,本願発明においては,本件一定流れを発生させるための能動的処置を取り,時
間が経過しても本件一定の流れを維持できるようにしている。
オ最終生成物による構成要件アに係るプロセスが行われたことの確認
本件明細書の特許請求の範囲の請求項1,11及び15において,「S
i,Si2CおよびSiC2の相対比率を一定とすること」を構成要件として記載し
たのは,上記1の炭化珪素の昇華メカニズムに関する本願発明の発明者らの知見に
より,これまで得ることが不可能であった連続的成長による大型単結晶が,このよ
うな構成を採用することにより,実際に得られたことに起因する。すなわち,S
i,Si2C及びSiC2の相対比率を一定にすれば,上記炭化珪素の昇華メカニズ
ムにより必然的に連続的に単結晶を成長させ得ることが推認できることから,実際
に,「上のプロセスにより,12ミリメートル(mm)の径と6mmの厚さとを有
する透明な6Hアルファ炭化珪素結晶を得た。」(本件明細書の段落【005
2】,【0053】)ことにより,「Si,Si2CおよびSiC2の相対比率を一
定」にしたことが確認できたものである。
  (2)以上によれば,本件明細書には,一定した方法での炭化珪素粉末の粒径を
制御したり,炭化珪素粉末源の露出表面積を一定としたり,シラン及びエチレンな
どのガス供給系を使用したり,種晶の成長面と粉末源との間に相対運動を与えたり
することにより,フラックスの一定性,すなわち,本件一定の流れを発生させ,維
持するという構成要件アに係るプロセスが担保され,このような条件に従って生成
された最終生成物から,構成要件アに係るプロセスが問題なく行われたことを確認
できることが記載されているということができる。
    そして,昇華現象において,物質の流れを直接的に測定することは困難で
あるが,昇華という微視的現象に付随して生じる上記の環境や結果物の巨視的現象
を制御又は観察することにより,昇華の制御又は確認を行うこと,すなわち,間接
的測定ができることは,本件特許出願の原出願の優先日前における当業者の技術常
識というべきであり,このことは,本件明細書(甲2)の段落【0007】で引用
するタイロフ(Tairov)の「ポリタイプ結晶の成長制御における進歩(Progressin
ControllingtheGrowthofPolytypicCrystals)」(甲3),米国特許第3,9
33,990号(1969年(昭和44年)8月11日出願,甲4),特開昭52
-24192号公報(昭和51年6月30日出願,甲5),特開昭61-2914
94号公報(昭和60年6月19日出願,甲6)の各刊行物の記載から明らかであ
るということができる。
(3) 本件一定の流れは一定の結晶成長速度を生じさせるものであるから,本件
一定の流れの存在は,以下に述べるとおり,結晶の成長速度等を測定することによ
って検証することができるものであり,そのこと及び結晶の成長速度の測定方法
は,本件特許出願の原出願の優先日当時,当業者の通常の知識に属する事項であっ
た。
ア 結晶成長技術の分野において,一定成長速度を観察することができれ
ば,材料の一定の流れを含め一定のコンディションであることを検証できることに
ついて
     一定の流れが結晶の成長表面へ提供されないなら,一定の結晶の成長速
度を達成することができないことは,自明である。
     これは,材料の流れが,本件明細書において定義されたg/cm2
・秒にお
いて測定されることに注目することによって容易に証明することができる。ポリタ
イプに依存する炭化珪素の密度は,g/cm3
の単位で説明することができる。結晶の
線形成長速度は,流れ(g/cm2
・秒)を結晶の密度(g/cm3
)で除することによって見い
だされ,cm/秒の点で与えられる線形成長速度を生じる。すなわち,
     R=F/D・・・(1)
    である。ここで,R=線形成長速度(cm/秒)であり,F=流れ(g/cm2
・秒)
であり,D=密度(g/cm3
)である。当該R=F/Dの式が,炭化珪素結晶成長の分
野において,何ら矛盾するものではないことは,Dr.H.M.Hobgoodの宣誓書(甲
8)から明らかである。
     成長した結晶のポリタイプは,一定のままであるから,結晶は,一定の
密度Dを有する。それゆえ,本件明細書で記載された単一のポリタイプの一定の線
形成長速度Rを有するということは,一定の流れFの存在を担保している。別の言
い方をすれば,もし等式(1)の量R及びDが一定ならば,流れFもまた一定であるべ
きである。本件一定の流れは,成長領域(cm2
)に関して規格化されているので,成長
中の結晶成長相互作用におけるいかなる変化にもかかわらず,このことは否定され
ない。
イ 結晶の成長速度の測定について
(ア) 窒素マーキング
      L.J.Kroko,GrowthStudiesofSiliconCarbideCrystals,
JOURNALOFTHEELECTROCHEMICALSOCIETY,Vol.113,pp.801-808(1966)(甲
9),Yu.M.Tairov等,InvestigationofSiliconCarbideCrystalGrowthfrom
VapourPhase,SiliconCarbide1973,UniversityofSouthCarolinaPress,
Pages146-160.(甲10),F.Reichel等,CRYSTALLIZATIONKINETICSOFSILICON
CARBIDE,IzvestiYaAcademiiNaukSSSR,NeoganicheskieMaterialy,Vol.16,
No.6,pp1011-1013(June1980)(甲11)には,炭化珪素結晶成長中におい
て,窒素マーカー(パルス,スパイク,リング又はタグともいう。)を使用して結
晶成長速度を測定する方法が開示されている。当業者に知られているように,窒素
を導入することは,その成長に重大な影響を与えることなしに,結晶の可視可能な
様子を提示する(結晶が幾分暗く作られる。)。それゆえ窒素は,成長をトラッキン
グするのに有益なマーカーを提供する。別の言い方をすれば,SiC成長中に予め
決定された間隔での窒素導入は,結晶成長速度の可視可能な測定を提供する可視可
能なマーカー(典型的に円筒状の結晶においてリングとして現われる。)を提
供する。
(イ) X線
S.0ZAWA等,IN-SITUOBSERVATIONOFLECGaAsSOLID-LIQUID
INTERFACEWITHNEWLYDEVELOPEDX-RAYIMAGEPROCESSINGSYSTEM,Journalof
CrystalGrowth76(1986)323-327(甲13),S.OZAWA等,EFFECTSOFARSENIC
AMBIENTCONTROLLEDLECGaAsCRYSTALGROWTHTECHNIQUEONRESIDUAL
IMPURITIES,JournalofCrystalGrowth85(1987)553-556(甲14)には,結晶
成長のX線観察により,結晶の成長速度を測定する方法が開示されている。
ウ 一定流れのその他の測定方法
     W.F.KNIPPENBERG,GROWTHPHENOMENAINSILICONCARBIDE,Philips
ResearchReports,Vol.18,pp161-274(1963)(甲15)には,炭化珪素結晶の
成長中に,気流におけるSi,Si2C,及びSiC2の相対比率は,SiC粉末の
気化の結果として形成された遊離炭素の量及び蒸着したSiC粉末の量を測定する
ことによって観察することができることが開示されている。
   エ したがって,本件明細書の記載に基づき,結晶の成長速度,結果物の組
成等の測定結果から昇華系中のSi,Si2C及びSiC2の相対比率が一定である
ことを確認できること,また,このことに加えて,得られた結晶中の不純物又は欠
陥を測定することにより,構成要件アに係るプロセスが問題なく行われていたこと
を確認できることは,当業者において容易に理解できることである。
(4) 上述したところによれば,本件明細書の記載が,特許法旧36条3項及び
4項の規定する要件を満たしていることは明らかであり,審決の判断は,技術常
識,及び当該技術常識に基づいた発明の実施可能要件の判断を誤っており,取り消
されるべきものである。
第4 被告の反論
本件特許出願が特許法旧36条3項及び4項に規定する要件を満たしていな
いとした審決の判断は相当であり,審決に原告主張の審決取消事由はない。
1 特許出願の願書に添付した明細書の記載要件について
  (1) 本件特許出願について適用される特許法旧36条3項によれば,特許出願
の出願時に願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には,特許請求の範囲に記載
された発明について,当業者が容易にその実施をすることができる程度に,その発
明の目的,構成及び効果を記載しなければならないとされている。そして,特許と
は,従来技術に対して,新たに創作した発明を開示することにより,特許請求の範
囲に記載されたその発明について排他的独占権が与えられるものである以上,特に
近い従来技術がある場合には,発明の詳細な説明には,その発明の属する技術分野
における通常の知識を有する者(当業者)が出願時の従来技術とその発明とを区別
して実施できる程度に,その発明の目的,構成及び効果を十分に記載することが必
要である(そうでなければ,単に発明を実施できるというだけでは,それが従来技術
の実施であるのか,その発明の実施であるのかが区別できなくなってしまう。)。こ
のように,発明の詳細な説明には,先行技術に示されたような他の発明ではなく,
その発明について,その目的,構成及び効果が,その発明の属する技術分野におい
て通常の知識(普通程度の技術的理解力)を有する者に客観的に再現できるように
記載されることが必要である。また,再現できることが客観的に認められるために
は何らかの確認手段(測定の仕方)が既に存在することも当然に不可欠である。
    もっとも,当該通常の知識を有する者にも,記載の必要のないほどによく
知られた技術常識というものがあるという事態も当然起こり得ることであり,その
ような記載の必要のないほどによく知られた技術常識については,それがその発明
を従来技術と区別する本質にかかわるといった特段の事情がない限り,その記載が
なくても記載されたに等しいとみるべき場合はあると解される。
(2) 原告の主張からも明らかなとおり,本願発明1,11及び15の構成要件
ア(この間前記粉末源から前記種晶の成長面への気化されたSi,Si2CおよびS
iC2の単位面積および単位時間当たり一定(一秒当たり一平方センチメートル当た
りのグラム数が一定)の流れを発生させ,維持することによって,前記気体流中の
Si,Si2CおよびSiC2の相対比率を一定にすること)は,本願発明1,11
及び15の構成要件のうちでもとりわけ重要な,かつ,新規な技術的事項とされて
いることが分かる。そうであれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,この点に
ついて当業者が容易にその実施をする,すなわち実際に行うことができる程度にそ
の発明の目的,構成及び効果が記載されていることが必要というべきである。
 2 本件明細書の発明の詳細な説明に構成要件アが実施可能な程度に構成等に係
る技術事項が記載されているか否かについて
  (1) タイロフの論文(甲3の刊行物)には「モル比率は平衡混合物における気
相成分の分圧に基づいて決定される」(翻訳文1頁)と記載されている。すなわ
ち,昇華反応については平衡状態で生じることが示されており,同様に,本件明細
書(甲2)の段落【0024】にも昇華は「平衡プロセス」であることが記載され
ている。そして,化学反応論の基本的原理(化学大辞典8,化学大辞典編集員会,
1964年2月15日,縮刷版第1刷「へいこうていすう 平衡定数」の項目。乙
2)に従えば,平衡状態にある反応の平衡定数Kaは絶対温度Tの関数で表される
から,ある温度での反応のつりあった状態と,別のある温度での反応のつりあった
状態とでは,それらの系中に存在する平衡状態にある化学物質の存在比は異なるこ
ととなる。一方,温度勾配が設けられた反応容器内部では,容器内部の位置によっ
て温度が変わるから,昇華した系内の各化学物質も,当然,その温度の変化にさら
される。そうすると,上述のように平衡定数は絶対温度の関数で表されるのである
から,昇華した系内の化学物質の平衡状態(すなわち,各化学物質の存在比)も装置
内の温度の違いに応じて逐次変化することなる。
    原告は,このように,原料から昇華させる時だけでなく,流れが系内の不
活性ガスとかかわる最中にも平衡状態に留意しなければならないことを踏まえた
上,本件一定の流れ(炭化珪素粉末源から種晶の成長面への気化されたSi,Si
2C及びSiC2の単位面積及び単位時間当たり一定(一秒当たり一平方センチメー
トル当たりのグラム数が一定)の流れ)を実際に発生させるのに必要な具体的な仕
方,かつ,それが実際に行われたことを客観的に把握するための具体的な確認の仕
方について,本件明細書に記載があるか,あるいは記載されているに等しいことを
示す必要がある。しかし,原告の主張において,そのことについての十分な言及は
ない。
  (2) 原告は,本件明細書(甲2,7)の段落【0019】,【0020】,
【0025】及び【0027】の記載により,フラックスを一定とすること,すな
わち,本件一定の流れを確保することは,当該方法に限定されるものではないが,
一定した方法での炭化珪素粉末の粒径の制御によっても実行することができ,ま
た,炭化珪素粉末源の露出表面積を一定とすることによっても間接的に達成できる
ことが明確にされているということができ,また,段落【0026】の表2に記載
されたような粒径分布を有する粉末を用いれば,本プロセスを高めることも記載さ
れていると主張する。
    しかしながら,上記段落【0019】には,炭化珪素粉末源の蒸発活性化
エネルギーがポリタイプによって異なることが開示されているだけであって,構成
要件アに関して,本件一定の流れを発生させるのに必要な具体的な仕方や,それを
確認するための測定の具体的な仕方は,これを再現できる程度には記載されていな
い。
    また,上記段落【0025】ないし【0027】の記載によれば,一定の
ポリタイプの組成を用いることに加えて,「一定した方法で粒径を制御すると炭化
珪素粉末源から発生する化学種の輪郭が一定となり,これに対応して種晶の上での
炭化珪素の成長が一定する。」とされ,さらに,「露出表面積が一定すると順に上
記フラックス全体の一定性も高まり,従ってこの方法で粒径分布を制御することで
フラックスの輪郭の一定性も高まる」とされている。しかしながら,これらのうち
何と何とを具体的にどのように設定すれば,この「炭化珪素粉末源から発生する化
学種の輪郭が一定」となり,あるいは「フラックス全体の一定性も高まる」ことに
なって,構成要件アを満たすことになるのかについては何ら記載されていない。す
なわち,具体的にどのようにすれば,本件一定の流れを発生できるかも,また,そ
れを実際に確認するための測定手段も,これらの記載からは把握できないから,構
成要件アを行うために必要な技術的事項がこれを再現できる程度に記載されている
とはいうことができない。
    別の見方をすれば,フラックスの全体が一定になる方がそうならないより
も単結晶の成長に好ましいことは,一般的に望まれる程度のことにすぎないのであ
るから,上記「フラックス全体の一定性も高まる」との記載は,一般的に望まれる
程度を記載したにすぎず,具体的に本件一定の流れを発生させる技術上の手段を示
したことにはならない。
    原告は,本願発明では,そのような一般的に望まれる程度のことからは想
起し得ない,新規な方法として構成要件アを採用した旨を主張する以上,本件一定
の流れを具体的にどのようにすれば発生させることができ,また,どのようにすれ
ばそれを具体的に確認できるかについて,発明の詳細な説明に当業者が再現できる
ように記載する必要があるが,本件明細書の上記の各段落を見てもその記載はな
い。
(3) 原告は,本件明細書(甲2)の段落【0045】ないし【0048】の記
載は,フラックスの一定性,すなわち,本件一定の流れは,シランとエチレンなど
のガス供給系を使用することによっても,制御,維持できることを明らかにするも
のであると主張する。
    しかしながら,上記段落【0046】ないし【0048】に記載の単なる
気相反応が,本願発明おける昇華とどう関係があるのか不明であり,原告の上記主
張は失当というほかない。
(4) 原告は,本件明細書(甲2)の段落【0035】及び【0042】には,
本願発明においては,本件一定流れを発生させるための能動的処置を取り,時間が
経過しても本件一定の流れを維持できるようにしていることが記載されていると主
張する。
    しかしながら,上記段落【0035】には,熱勾配の維持のために種晶の
成長面と炭化珪素粉末源との間に相対運動を与えるとともに,それらをそれぞれ異
なる一定の温度に保持することが示されているだけであって,構成要件アに関し
て,Si,Si2C及びSiC2の相対比率を一定とする,すなわち,本件一定の流
れを発生させるのに必要な具体的な仕方,かつ,それを確認するための測定の具体
的な仕方も再現できるようには記載されていない。
 また,同段落【0042】には,連続的供給を行うことにより,更に昇華
粉末源が一定のフラックス密度を発生するのを確保できることが示されているが,
「更に昇華粉末源が一定のフラックス密度を発生するのを確保できる」とは,上述
の「フラックスの全体の一定性を高める」の場合と同様に,一般的に望まれる程度
を示す概念が示されているにすぎないのであって,この記載箇所には,本件一定の
流れを発生できる具体的な仕方も,また,それを具体的に確認する測定方法も開示
されていないから,構成要件アを行うために必要な技術的事項が再現できる程度に
記載されているということはできない。
(5) 以上のように,原告が指摘する本件明細書の発明の詳細な説明の各箇所
をみても,当業者がその発明を容易に実施することができる程度にその発明の目
的,構成及び効果は記載されてはいない。
3 原告は,炭化珪素の単結晶を実際に製造できたことを前提として,Si,S
i2C及びSiC2の相対比率を一定にすれば,炭化珪素の昇華メカニズムにより必
然的に連続的に単結晶を成長させ得ると推認することができるから,実際に「上の
プロセスにより,12ミリメートル(mm)の径と6mmの厚さとを有する透明な6
Hアルファ炭化珪素結晶を得た。」ことにより,「Si,Si2CおよびSiC2の
相対比率を一定」にしたことを確認できたものであると主張する。
  (1) 上記「上のプロセス」である本件明細書(甲2)の実施例1についての記
載部分(段落【0049】ないし【0054】)には,確かに上記の単結晶を製造
したことが示されているが,その製造条件については,種晶,原料,原料の粒径分
布,反応炉内の圧力,アルゴン雰囲気,るつぼの温度,種晶の温度,温度勾配等の
各条件を組み合わせた上,更にそれぞれを所定の値に特定したことが記載されてい
るだけであって,構成要件アに係るプロセスが実際に行なわれる条件を特定してい
るわけではないし,また,そのプロセスが実際に行われていることが確認されたわ
けでもいない(最初に指摘した平衡状態の点についても何ら言及はない。)。すな
わち,本件一定の流れ(炭化珪素粉末源から種晶の成長面への気化されたSi,S
i2CおよびSiC2の単位面積及び単位時間当たり一定(一秒当たり一平方センチ
メートル当たりのグラム数が一定)の流れ)を発生させるために必要な具体的な手
段も,反応装置内でどのようにしてそれを測定して確認したのかも,また,それを
外れた場合の比較例も何ら開示されていない。Si,Si2C及びSiC2の単位面
積及び単位時間当たりの流れが均一な方がそうでない方よりも単結晶を製造するの
には好ましいであろうことは一般論に基づいていえる水準のことである。本願発明
1,11及び15の特徴とは,そのような一般論の水準ではなく,その流れを構成
要件アのように特定した点にあるのであれば,基本的には,本件明細書の発明の詳
細な説明には,それだけをみて構成要件アが再現できる程度に構成等に係る技術事
項が記載されていなければならないが,上述のとおり,上記発明の詳細な説明には
そのようには記載されていない。
 原告の上記主張は,炭化珪素の単結晶を得たという結果に基づいて,「S
i,Si2C及びSiC2の相対比率を一定にする」との構成要件が満たされたとす
るものであるが,上述のとおり,現実には上記の相対比率を一定とする流れが発生
していることを測定する手段自体が存在しないのであるから,結局,同主張は,S
i,Si2C及びSiC2の単位面積及び単位時間当たりの流れを検証するすべが全
くないにもかかわらず,だれも確認できない「Si,Si2CおよびSiC2の相対
比率を一定とする」との条件が満たされているというものであり,成り立たない議
論である。それどころか,原告の上記主張に基づいて,だれも具体的に確認する手
段のない本件明細書の記載が適法とされ,本願発明につき特許の査定がされた場
合,その発明を実施したか否かは,結果物に基づいて推断されることとなり得てし
まう。そうなると,特開昭59-54697号公報(乙4,以下「本件引用例」と
いう。)に記載された同等の結果物(炭化珪素の単結晶)が得られる発明を実施した
場合にも,本願発明を実施したものと認定されることにななりかねないが,構成要
件が実施されたかどかを具体的に確認する手段がないのに,結果物からそれが実施
されたと判断されるような発明の保護が,特許法の目的である産業の発展に寄与す
るものとは考え難い。
(2) 技術常識に基づいて当業者には本件明細書に本件一定の流れが発生してい
ることの具体的な確認手段等が記載されているに等しいということができるか否か
について
   ア 原告は,結果物すなわち炭化珪素の単結晶が得られたということから,
構成要件アに係るプロセスが問題なく行われたことが間接的に測定できると主張す
る。
     しかしながら,本件引用例の発明でも本願発明と同等の単結晶が得られ
ているから,仮に,原告の上記主張をそのまま適用した場合には,本件引用例の発
明でも,結果物からそのような間接的測定手段により本件一定の流れが発生してい
るということになり得てしまうが,このような結論が妥当でないことは明らかであ
る。したがって,原告の主張が正当であるといえるためには,上記間接的測定手段
が本件引用例に係る発明には適用がなく,本願発明においてのみ適用できるという
ことを,本願発明と本件引用例の発明との本質的な差異に基づいて説明する必要が
ある。しかるに,その点については,本件明細書には記載されていないし,本件審
判の審理過程においても十分に明らかにされていない。
 イ 原告提出の甲3ないし6の各刊行物には,結果物すなわち炭化珪素の単
結晶が得られたことから,構成要件アに係るプロセスが問題なく行われたことを確
認できることが技術常識に属するとする原告主張を裏付けるような記載は存在しな
い。
 4 上記に述べたように,本願発明1,11及び15については,特に重要な構
成要件アについて,本件明細書の発明の詳細な説明に,それだけをみて当業者が容
易にその実施をすることができる程度に,その構成に係る技術事項が記載されてお
らず,また,そのことが記載されているに等しいと認めるに足りる根拠もないか
ら,本件明細書の発明の詳細な説明には,当業者が容易にその実施をすることがで
きる程度に,その発明の目的,構成及び効果が記載されているということはできな
い。
第5 当裁判所の判断
1原告の審決取消事由(特許法旧36条3項及び4項違反の有無)について
  (1)本件明細書の発明の詳細な説明の記載と実施可能要件の充足性
    原告は,本件明細書において,一定した方法で炭化珪素粉末の粒径を制御
したり,炭化珪素粉末源の露出表面積を一定としたり,シラン及びエチレンなどの
ガス供給系を使用したり,種晶の成長面と粉末源との間に相対運動を与えたりする
ことによって,構成要件ア(この間前記粉末源から前記種晶の成長面への気化され
たSi,Si2CおよびSiC2の単位面積及び単位時間当たり一定(一秒当たり一
平方センチメートル当たりのグラム数が一定)の流れを発生させ,維持することこと
によって,前記気体流中のSi,Si2CおよびSiC2の相対比率を一定とするこ
と)に係るプロセスが担保されていると主張するので,以下検討する。
   ア 本件特許の請求の範囲の記載は前記第2の2のとおりであり,また,本
件明細書(甲2,7)の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。
(ア) 「本発明の前には,所望の選択的ポリタイプの炭化珪素の大型単結
晶を繰り返し一貫して成長させるための好適な技術が存在しなかった。・・・従っ
て,本発明の目的は,所望ポリタイプの炭化珪素の大型単結晶を制御しつつ繰り返
し可能に成長させるための方法を提供することである。本発明の他の目的は,材料
源のポリタイプを制御することによって炭化珪素の大型単結晶を成長させる方法を
提供することである。この発明の他の目的は,炭化珪素単結晶以外の材料源を用い
てこうした炭化珪素単結晶を成長させる方法を提供することである。この発明の他
の目的は,特定の表面積を有する材料源を選択することによってこうした炭化珪素
結晶(注,「炭化珪素単結晶」の誤記と認める。)を成長させる方法を提供するこ
とである。この発明の他の目的は,所定の粒径分布を有する材料源を選択すること
によって大型の炭化珪素単結晶を成長させる方法を提供することである。」(段落
【0010】,【0011】)
(イ) 「本発明の第一の態様においては,所望のポリタイプを有する単一
の炭化珪素種晶と,炭化珪素粉末源とを,第1図~第3図に示した昇華るつぼ及び
炉のような系中へと導入する。このるつぼが第1図に示した型のものであるとき,
炭化珪素粉末源は環状チャンバ16内に配置する。本発明のこの第一の態様におい
ては,実質的にすべてが一定のポリタイプ組成を有する炭化珪素粉末源を使用する
ことにより,種晶上での所望の結晶成長の製造が大きく向上することを見出し
た。」(段落【0018】)
(ウ) 「本出願人は,いかなる特定の法則によっても拘束されることを望
むものではないが,異なるポリタイプの炭化珪素は異なる蒸発活性化エネルギーを
有することが知られている。・・・炭化珪素が昇華するときには,三つの基本的な
気体物質:Si,Si2C及びSiC2を形成するため,これらの相違は重要であ
る。粉末源のポリタイプに従い,発生する各化学種の量又はフラックスは異なるで
あろう。同様の挙動により,全気体流中の各化学種の量は,これらの化学種が再濃
縮されるときに成長するポリタイプの型に影響する傾向があるであろう。」(段落
【0019】)
    (エ) 「ここで使用したように,『フラックス(束)』という語は,与えら
れた時間の間に与えられた面積の所定平面を通過する物質又はエネルギーの量に関
するものである。従って,気化した化学種の流れを記述するのに使用するときに
は,一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数(g/cm2
/sec)のような物質,面
積及び時間のユニットとしてフラックスを測定,指示できる。」(段落【002
0】)
(オ) 「ここで使用したように,『一定のポリタイプ組成』という語は,
一定比率の特定のポリタイプからなる粉末源に関するものであり,単一のポリタイ
プからなるものを含む。例えば,50%がアルファポリタイプ,50%がベータポ
リタイプである粉末源が一定のポリタイプ組成を示すように,実質的に完全に6H
アルファ炭素珪素(注,「炭化珪素」の誤記と認める。)からなる粉末源も一定の
ポリタイプ組成を示す。言い換えると,この組成は,ポリタイプに関して同質であ
ろうと異種成分からなっていようと,昇華プロセスを通じて同じ組成を保つように
制御しなければならない。・・・更に直截に述べるならば粉末源が一定のポリタイ
プ組成を実質的に有するように選択し,制御すると,発生するSi,Si2C及び
SiC2の相対量又は比率が一定に保たれ,このプロセスの他のパラメータを適切
に制御でき,種晶上に所望の単結晶成長を生じさせる。また,もし粉末源が種々の
比率の炭化珪素ポリタイプの可変混合物であるときには,発生するSi,Si2C
及びSiC2の相対量(比率)は連続的に変化し,これに応じて種晶上に他のポリ
タイプを同時に成長させるのを促進し続ける。これは異なるポリタイプを有する多
数の結晶を種晶の上に成長させるという望ましくない結果をもたらす。」(段落
【0021】,【0022】)
    (カ) 「本発明につき,更に,昇華法によって適当な単結晶を形成するた
めには,一定のポリタイプ組成を維持することに加え,一定した粒径分布の炭化珪
素粉末源を選択することが同様に本技術を高めることを見出した。先に記載した方
法と類似の方法により,一定した方法で粒径を制御すると炭化珪素粉末源から発生
する化学種のフラックスの輪郭が一定となり,これに対応して種晶の上での炭化珪
素の昇華成長が一定する。一態様においては,所定のタイラー(Tyler)メッシュ
スクリーンを通過する試料の重量パーセントによって規定される次記の粒径分布を
有する粉末が本プロセスを高める。・・・
表2
        」
(段落【0025】,【0026】)
(キ)「更に,与えられた粉末形態に対して,粉末源の露出表面積は粒径
に比例する。露出表面積が一定すると順に上記フラックス全体の一定性も高まり,
従ってこの方法で粒径分布を制御することでフラックスの輪郭の一定性も高まる。
他の態様で議論するように,炭化珪素粉末源と種晶の成長面とは共にそれぞれ異な
る温度へと加熱され,この粉末源から昇華した化学種が種晶の上へと濃縮されるの
を促進するために種晶の成長面を粉末源よりも幾分か冷たくする。」(段落【00
27】)
イ本願発明は,所望ポリタイプの炭化珪素の大型単結晶を制御しつつ繰り
返し可能に成長させるための方法に関するものであり,そのうち本件特許の請求項
1の記載及び上記アの(ア)ないし(オ)の記載によれば,本願発明1は,昇華プロセ
スを通じてポリタイプが同じ組成を保つように制御する,すなわち,粉末源が一定
のポリタイプ組成を実質的に有するように選択し,制御すると,発生するSi,S
i2C及びSiC2の相対量又は比率が一定に保たれ,このプロセスの他のパラメー
タを適切に制御でき,種晶上に所望の単結晶成長を生じさせるという技術思想に基
づき,炭化珪素粉末源のポリタイプを制御することによって炭化珪素の大型単結晶
を成長させる方法に関するものであるということができる。
しかしながら,本件明細書には,昇華プロセスを通じて炭化珪素粉末源
が一定のポリタイプ組成を有するように制御すると記載されているのみで,ポリタ
イプの組成を具体的にどのよう設定,制御すれば,本件一定の流れ(Si,Si2C
およびSiC2の一秒当たり一平方センチメートル当たりのグラム数が一定の流れ)
を発生させ,維持することができるのかということや,本件一定の流れが発生して
いることを確認するための測定手段は記載されていない。
     なお,本件明細書の段落【0028】には,「本発明の好適な実施形態
においては,種晶の成長面と粉末源との間の熱勾配を制御することで所望のポリタ
イプを有する大型の単結晶が適切に制御され,成長することを見出した。この点
で,熱勾配は多数の方法で制御できる。例えば,ある条件下では熱勾配は種晶の成
長面の間で一定に保たれるように制御するが,一方他の条件下では,粉末源と種晶
の成長面との間の熱勾配は制御しつつ変化させることが好ましい。」と記載され,
また,同段落【0035】には,「従って,本発明の他の実施形態においては,種
晶の成長面と粉末源との間の固定された熱勾配を維持する工程は,種晶が成長する
のにつれて種晶の成長面と粉末源との間に相対運動を与える一方,この粉末源と種
晶の成長面とをそれぞれ異なる,しかし一定の温度に保持することからなる。」と
記載されている。しかしながら,これらの記載は,熱勾配の維持のために種晶の成
長面と粉末源との間に相対運動を与えるとともに,それらをそれぞれ異なる一定の
温度に保持することにより,炭化珪素粉末源から昇華により発生するフラックスの
一定流れが時間が経過しても維持できる方法,すなわち,本件一定の流れを維持す
るための諸条件の一つを開示しているにすぎず,構成要件アに関して,本件一定の
流れを発生させ,維持する具体的な制御手段を完結的に開示したものではない。
     さらに,同段落【0042】には,「炭化珪素粉末源を連続的に昇華領
域へと供給させることで,幾つかの利益が得られる。特に,ここで開示した他の技
術について記載したように,この連続的供給により,更に昇華粉末源が一定のフラ
ックス密度を発生するのを確保できる。実際に,新しい粉末源が昇華領域内へと連
続的に移動し,昇華が進行するのにつれて一定のフラックスを与える。」との記載
がある。しかしながら,この記載は,炭化珪素粉末源の昇華領域への連続的供給を
行うことにより,更に昇華粉末源が一定のフラックス密度を発生するのを確保でき
ること,すなわち,本件一定の流れを維持するための諸条件の一つを開示するにと
どまるものであり,本件一定の流れを発生させ,維持する具体的な制御手段を完結
的に開示したものではない。
   ウ 本件特許の請求項11の記載並びに上記アの(ア)及び(キ)の記載によれ
ば,本願発明11は,炭化珪素粉末源の露出表面積の分布を一定に制御すると,同
粉末源から発生するフラックスの輪郭が一定する,すなわち,発生するSi,Si
2C及びSiC2の相対量又は比率が一定に保たれるという技術思想に基づき,特定
の表面積分布を有する炭化珪素粉末源を選択することによって炭化珪素の大型結晶
を成長させる方法に関するものであるということができる。
しかしながら,本件明細書には,炭化珪素粉末源の表面積分布を一定に
制御すると記載されているのみで,上記表面積分布を具体的にどのように設定,制
御し,その他の諸条件をどのように調整すれば,本件一定の流れを発生させ,維持
することができるかということや,本件一定の流れが発生していることを確認する
ための具体的な測定手段は記載されていない。
エ 本件特許の請求項15の記載並びに上記アの(ア)及び(カ)の記載によれ
ば,本願発明15は,炭化珪素粉末源の粒度分布が一定になるように制御すると,
同粉末源から発生する化学種のフラックスの輪郭が一定する,すなわち,発生する
Si,Si2C及びSiC2の相対量又は比率が一定に保たれるという技術思想に基
づき,所定の粒度分布を有する炭化珪素粉末源を選択することによって大型の炭化
珪素単結晶を成長させる方法に関するものであるということができる。
     しかしながら,本件明細書には,炭化珪素粉末源の粒度分布を一定に制
御すると記載されているのみで,その粒度分布を具体的にどのように設定,制御
し,その他の諸条件をどのように調整すれば,本件一定の流れを発生させ,維持す
ることができるのかということや,その一定の流れが発生していることを確認する
ための具体的な測定手段は記載されていない。
オ 原告は,本件明細書の段落【0045】ないし【0048】の記載は,
フラックスの一定性,すなわち,本件一定の流れは,シランとエチレンなどのガス
供給系を使用することによっても,制御,維持できることを明らかにするものであ
ると主張する。
しかし,上記のようなガス供給系を用いる方法は,本件明細書の特許請
求の範囲の請求項1,11及び15に記載のない事項であるから,上記記載をもっ
て,本願発明1,11及び15の実施可能性を基礎づけることはできないというべ
きである。
カ 以上からすれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,本願発明1,1
1及び15の構成要件アに関して,本件一定の流れを発生させ,維持するための具
体的な制御手段や,本件一定の流れを確認するための具体的な測定手段が記載され
ていないといわざるを得ない。
(2) 最終生成物等による間接的測定方法
   ア 原告は,本件明細書に記載の本件一定の流れを発生させ,維持すること
を担保するための諸条件に従って,実際に,最終生成物である単結晶が連続的に得
られたことから,構成要件アに係るプロセスが問題なく行われたことを確認できる
ものであり,このような巨視的特性を観察することにより,微視的プロセスが確実
におこなわれているか否かを確認すること(本件発明の場合,最終生成物の観察に
よりフラックスの一定が担保されていること)が,本願出願前から技術常識として
行われていたことは,甲3ないし6の各刊行物の記載より明らかであると主張す
る。
 確かに,本願発明のような化学生成物の製造方法に関する発明の場合,
製造過程における化学反応を実際に視認することはできはできないから,その製造
過程が問題なく行われたか否かを直接に確認することができず,その過程が実際に
問題なく行われたか否かは最終の製造物である化学生成物を分析することにより確
認する以外にない場合も少なくないと考えられる。そして,原告の引用する甲3な
いし甲6の各刊行物は,いずれも,化学生成物の製造等の方法において,製造過程
における微視的プロセスの成否を結果物である化学生成物の分析により確認する例
を開示するものであるということができる。
     しかしながら,化学生成物の製造に係る発明において,その発明の構成
要件である一定の製造過程が実際に問題なく行われたか否かを最終の製造物である
化学生成物を分析することにより確認する方法が技術常識に属するといえる場合が
あるとしても,化学生成物の製造方法の発明につき特許が認められるためには,明
細書の発明の詳細な説明に,その発明の構成要件である一定の製造過程が当業者が
容易に実施できるように記載されていることが前提とならなければならないという
べきである。なぜなら,その構成要件を当業者が実施できるようになっていなけれ
ば,最終の製造物である化学生成物の分析により発明の目的である化学生成物が得
られたことが確認できても,それが当該構成要件を実施したことにより得られた化
学生成物であるか否かが確認できないからである。
本件明細書の段落【0041】ないし【0048】には,本願発明の方
法を遂行するために使用できる機器が記載され,段落【0049】ないし【005
4】には,その一部の装置を用いた本願発明の実施例が記載されているところ,そ
の実施例においては,種晶の組成とその平坦性等,粉末源の組成及びその粒径分
布,昇華炉内の圧力,アルゴンの雰囲気,るつぼの頂部及び種の温度,系内におけ
る熱勾配等の諸条件を同明細書の記載のとおりに設定することにより,12ミリメ
ートル(mm)の径と6mmの厚さとを有する6Hアルファ炭化珪素結晶(単結
晶)が得られたことが開示されている。
     しかし,この記載は,上記実施例に記載のとおりに設定された諸条件の
下において,炭化珪素の単結晶が得られることを開示しているにとどまり,その最
終生成物が,炭化珪素粉末源からの昇華により,本件一定の流れ(炭化珪素粉末源
から種晶の成長面への気化されたSi,Si2CおよびSiC2の単位面積および単
位時間当たり一定(一秒当たり一平方センチメートル当たりのグラム数が一定)の
流れ)を発生させ,これを維持した結果として得られたものであることを示唆する
ものではなく,また,そのことを直ちに推認させるものではない。本件一定の流れ
を発生させ,維持する具体的な制御手段や,本件一定の流れを確認するための具体
的な測定手段が,当業者において容易に実施できる程度に本件明細書の発明の詳細
な説明に記載されていないから,上記のような所定の諸条件の下で炭化珪素の単結
晶が得られても,それが,本件一定の流れを発生させ,これを維持した結果として
得られたものかどうかを確認するすべはないといわざるを得ない。
イ原告は,本件一定の流れは一定の結晶成長速度を生じさせるものである
から,本件一定の流れの存在は,結晶の成長速度等を測定することによって検証す
ることができるものであり,そのこと及び結晶の成長速度の測定方法は,本件特許
出願の原出願の優先日当時,当業者の通常の知識に属する事項であったとも主張す
る。
しかしながら,結晶の成長速度の測定等の間接的測定方法により本件一
定の流れの存在が検証できるもとしても,そもそも,本件明細書に,本件一定の流
れを発生させ,維持するための制御手段について何ら記載がされていない以上,本
件一定の流れが存在していたことを事後に確認したところで,それは,本件一定の
流れが存在していたことを事後的に推認するための手段があるというだけのことで
あり,当業者が容易に本件一定の流れを発生させ,維持することができるというこ
とにはならないし,また,上記のような間接的測定方法により本件一定の流れに変
化が生じたことが確認された場合に,どのような制御,操作手段により元の流れを
回復することができるのかが当業者には明らかでないというほかない。
ウ したがって,上記発明の詳細な説明には,構成要件アを当業者が容易に
実施することができる程度に,本願発明の構成に係る技術事項が記載されていない
というべきである。
 (3) 上記検討したところからすれば,本願発明1,11及び15の構成要件ア
については,本件明細書の発明の詳細な説明に,当業者が容易にその実施をするこ
とができる程度に,その発明の構成に係る技術事項が記載されておらず,また,当
業者の本件特許出願の原出願の優先日当時の技術常識に照らして,それが記載され
ているのと同視できるとする事情を認めるに足りる証拠もないから,本件明細書の
詳細な説明には,当業者が容易にその実施をすることができる程度に,その発明の
目的,構成及び効果が記載されているということができない。また,構成要件アに
ついて実施可能要件が記載されていないことから,本願発明1,11及び15の構
成要件アの内容自体も明確性を欠くものとなっているといわざるを得ない。
    したがって,本件特許出願は特許法旧36条3項及び4項に違反するもの
というべきである。
2 以上によれば,原告主張の取消事由は理由がなく,他に審決を取り消すべき
瑕疵は見当たらない。
 よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文
のとおり判決する。
  知的財産高等裁判所第1部
  裁判長裁判官   篠  原  勝  美
 裁判官     青  栁     馨
       裁判官  宍  戸     充

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