弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
本件抗告を棄却する。
       理   由
一 抗告の趣旨は、「原決定を取消し、本件を東京地方裁判所に差し戻す。」との
裁判を求めるというのであり、抗告の理由は別紙一記載のとおりであり、これに対
する相手方の反論は別紙二記載のとおりである。
二 抗告の理由一について
 抗告人は、要するに、「原決定が抗告人の本件救済命令の適否を審査して本件緊
急命令の申立を却下したのは、緊急命令制度の本質を誤解し、労働組合法第二七条
第八項の解釈を誤つたものである。受訴裁判所としては、即時救済の必要性の有無
のみを審査すべきであつて、救済命令自体の適否を審査すべきではない。」と主張
する。
 いわゆる「緊急命令」の制度は、労働委員会の救済命令の取消を求める訴が提起
された場合において、受訴裁判所が、当該労働委員会の申立により、使用者に対
し、当該事件の判決の確定に至るまで、暫定的に、当該救済命令の全部又は一部に
従うべき旨を命ずることができることとし、もつて団結権の侵害を防止することを
目的とするものと解される。
 そして、緊急命令の制度の目的がこのようなものであるとすれば、緊急命令の申
立の許否を決するに当つては、受訴裁判所は、当該救済命令の適否及びいわゆる
「即時救済の必要性」の有無について審査することができるものと解するのが相当
である。けだし、右に述べた同制度の目的に照らし、労働委員会の救済命令の適法
性に重大な疑義があるときは、当該労働委員会の申立があつたとしても、受訴裁判
所が緊急命令を発することは相当でないというべきであり、その重大な疑義の有無
は当該救済命令の審査を経ることなくして判断しえないからである。
 もつとも、緊急命令の手続においては、確定的に当該救済命令の適否を判断する
ことは要請されていないから、右審査は、緊急命令の手続の過程に現われた疎明資
料をもつて、当該救済命令の認定判断に重大な疑義があるかどうかを検討すれば足
りるものというべきである。
 以上の次第で、抗告人の前記主張は失当であるといわざるをえない。
三 抗告の理由二について
 抗告人は、要するに、原決定が即時救済の必要性の有無についてなんら判断する
ことなく、本件救済命令の維持可能性に疑義があるという理由だけで、緊急命令を
発することが相当でないとしたのは違法であると主張するものと解される。
 そして、原決定が即時救済の必要性の有無について判断することなく本件緊急命
令の申立を却下していることは、抗告人主張のとおりであるが、救済命令の適法性
に重大な疑義すなわちその維持可能性に疑義がある場合において緊急命令を発する
ことが相当でないことは前記のとおりであるから、抗告人の右主張は失当というべ
きである。
四 本件救済命令について
1 本件救済命令の要旨は原決定説示のとおりであるから、それ(原決定二枚目二
行目から同三枚目表六行目まで)をここに引用する(ただし、同二枚目表二行目及
び六行目の「申立人」を「再審査被申立人」と、同四行目の「被申立人」を「同命
令の再審査申立人」と改め、同裏八行目から九行目にかけ「これらの人数比からみ
ると、」とあるのを削除し、同三枚目表四行目の「ものであり、」を「ものであ
る。」と改め、同行目「その論旨」から同六行目「られる。」までを削除す
る。)。
2 ところが、本件記録によれば、次の事実が一応認められる。
(一) 相手方は、直島工場の稼動に伴う西日本方面の販売体制を強化し、併せて
人事停滞を防ぐための定期異動の一環として本件人事異動を行なつたものであり、
その実施にあたつては、地方へ妻帯者を配置転換した場合、住宅の手配や子弟の教
育問題等で種々の不都合が生ずることを考慮し、まず地方勤務の経験のない独身者
を地方に配置転換する方針をとつた。
(二) 本件人事異動の当時、本社フロアーには二八名の独身の地方勤務未経験者
がいたが、そのうち二二名が分会員で、六名が非分会員であり、地方配置転換の内
示を受けた者は九名で全員分会員であるが、分会員で本社フロアー内で異動するも
のも三名あつた。また、本来の意味での本社フロアー(東京支店の相模原、千葉、
長野の各営業所を除くもの)には二三名の独身の地方勤務未経験者がいたが、その
うち二〇名が分会員で、非分会員は三名であり、この意味での本社フロアーから地
方へ配置転換の内示を受けた者は八名(その後発令された者は七名)であり、いず
れも分会員であつた。
 右(一)、(二)の事実によれば、相手方が地方へ配置転換する者を選定する際
に立てた基準は特に不合理なものということはできないし、また、地方へ配置転換
の内示を受けた九名又は八名の全部が分会員であることも、独身の地方勤務未経験
者中に占める分会員の割合、すなわち二八名中二二名あるいは二三名中二〇名とい
う割合からみて、必ずしも不自然なものとはいえない。
 のみならず、右に述べた独身の地方勤務未経験者中に分会員の占める割合を前提
とすれば、特定の分会員の配置転換について、他の者に優先して配置転換すべき事
情がないということだけでは、その人選が不自然であるとしえないものというべき
である。そして、そのほかにも、本件配置転換について、その人選を不自然なもの
とするような事情は、本件記録上、認められない。
 右に述べたとおり、本件人事異動における基準が不合理なものではなく、A及び
Bを他の者に優先して配置転換すべき事情がなかつたとしても、同異動において地
方へ配置転換の内示を受けた九名又は八名の全部が分会員であることが不自然では
ないとすれば、本件救済命令が認定したような背景事情があつたとしても、本件配
置転換は相手方が同人らを分会員であるがゆえに地方へ配置転換したものであり、
分会員を本社フロアーから排除する趣旨であつたと断定することはできない。
3 以上の次第で、本件救済命令には、その重要な論拠の部分に事実の誤認があ
り、その適法性について疑義があるから、現段階において緊急命令を発するのは相
当でないというべきである。
五 よつて、本件申立を却下した原決定は相当であつて、本件抗告は理由がないか
ら、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。
(裁判官 枡田文郎 山田忠治 佐藤栄一)
(別紙一)
抗告の理由
一 原決定は、労働組合法第二七条第八項について、緊急命令を発するか否かは
「受訴裁判所の裁量に委ねられており、受訴裁判所は当該命令の適否及び即時救済
の必要性等の諸事情を考慮して、相当と認める場合に緊急命令を発するものと解さ
れる」という解釈に立つて抗告人委員会の本件救済命令の適否につき、後述する分
会員・非分会員の人数比の問題を主たる理由として、「本件救済命令には、その最
も重要な論拠の部分に誤りがあるものといわなければならないから、現時点におい
ては、その維持可能性に疑義があり、」緊急命令を発することは相当でないと判断
したものである。
 しかしながら、原決定が抗告人委員会の救済命令の適否を審査して緊急命令の申
立を却下したのは、以下述べるとおり、緊急命令制度の本質を誤解し、労働組合法
第二七条第八項の解釈を誤つたものと言わなければならない。
1 緊急命令の制度は、労働委員会の救済命令が、取消されるまでは効力を保有す
ることを前提として、必要のある場合に、命令の内容を本案判決の確定に至るまで
強制的に一応実現せしめ、以て、不当労働行為制度の目的たる団結権の現実的保障
に資することを目的とするものである。
 即ち、労働委員会の発した救済命令に対し使用者がその取消を求めて出訴した場
合において、当該命令の適否はその訴訟の判決において終局的に判断されるのでは
あるが、その確定をまつまで救済命令の内容の実現を使用者の自発的履行に委ねる
のみでは、労働者の団結権が現実的には無に帰すおそれがある場合が少なくないの
であるから、判決確定前においても、使用者に命令の履行を一応強制する必要のあ
る場合が当然生じ得るのである。そのような必要性(いわゆる即時救済の必要性)
の有無を労働委員会の判断のみによらず受訴裁判所の判断にかからしめて、使用者
に履行を強制するみちを開こうとするのが緊急命令の制度なのである。このような
制度の目的からすれば、受訴裁判所が緊急命令の許否を決するに当つては、専ら右
の団結権の現実的保障の見地から、緊急命令の即時救済の必要性の有無のみを判断
すべきことになるのであつて、本案訴訟の帰趨ないしは被告委員会の勝訴の可能性
の有無の問題は緊急命令の許否の判断にかかわるところはないのである。この点に
おいて緊急命令の制度は、民事訴訟法上の仮処分制度や行政事件訴訟法上の執行停
止制度とは制度の趣旨を異にするものである。
 もつとも、当該救済命令が違法の疑が濃く、取消を免れないとみられるような場
合にまで、使用者に、その履行を強制すべき理由はないものと言えよう。しかし、
使用者が命令の履行の強制を免れようとするのであれば、当該命令の執行停止を申
立てるべきであつて、その場合においては、執行停止の消極要件たる当該命令の取
消訴訟の「本案について理由がないとみえるとき」(行政事件訴訟法第二五条第三
項後段)にあたるかどうかの問題として、当該命令の適否が考慮されることになる
というのが現行制度の建前なのである。
 これを要するに、緊急命令制度の本質にかんがみれば、労働委員会の申立のあつ
た場合においては、申立に係る救済命令内容の実現について、もつぱら右の団結権
保障の見地から、その即時救済の必要性の有無のみを判断して、申立の許否を決す
べきものであつて、救済命令自体の適否を審査すべきものではないと言わねばなら
ないのである。
2 労働委員会の救済命令の適否ないしその維持可能性を審査するということは、
結局労働委員会が使用者のある所為を不当労働行為と認定したことの当否を審査す
ることに帰着せざるを得ないのであつて、本件原決定の所論もその例外ではない。
 しかし、不当労働行為の認定は、委員会が当該事件に現出した一切の証拠資料に
基づき使用者の当該所為及びこれに関連のある一切の事情を総合的に洞察判断して
なされるものである。もとよりその認定の是非は裁判所の審査に服するのではある
が、その審査もまた、同様に当該事件の一切の証拠資料に基づく総合的な判断によ
つてのみなし得るものであることは当然と言わなければならないであろう。然りと
すれば、その判断は、まさに当該訴訟の本案においてのみ適切になされ得る問題で
あつて、団結権の現実的保障のために緊急に判断を要する緊急命令手続にはなじみ
得ないものである。
 もし、緊急命令手続の中で、救済命令の適否を判断するとすれば、その判断は、
一応の経過的判断にならざるを得ないのであつて、そのような判断によつて、緊急
命令の許否を決することは、前叙のごとき緊急命令制度の本質と相容れないもので
あると考えるのである。
二 仮に、原決定にいう「救済命令の適否」ないしその「維持可能性」の問題が、
緊急命令の許否の判断にあたり考慮されるべきものであるとしても、それは、右の
団結権保障の見地から、即時救済の必要性の考慮と併せてなされるべき総合的な判
断の一要素たるにすぎないものと思科される。このことは、原決定も「当該救済命
令の適否及び即時救済の必要性等の諸事情を考慮」すべきものとしてこれを認めて
いるところである。
 しかるに、原決定が、原決定摘示の理由で本件命令の維持可能性に疑義があるこ
とのみを理由として、緊急命令を発することが相当でないと判断しているのは、以
下述べるように速断のそしりを免れない。
1 原決定は、右記のように、緊急命令の許否にあたつては、「即時救済の必要性
等の諸事情」をも考慮すべきものと解しながら、この事情については、何らの考慮
をも払つていない。このこと自体、甚だ諒解に苦しむところであるが、おそらく、
本件救済命令に決定的な疑義があり、このことによつて即時救済の必要性について
は、判断する要をみないと考えたであろうと推測される。いずれにしても、即時救
済の必要性を考慮せずして、救済命令の申立を却下するには、少くとも、当該救済
命令にその考慮を不要とする程の重大な疑義がなければならないのである。
 しかし、原決定が指摘するところを検してみても、本件救済命令にそのような意
味での重大な疑義が存するとは到底考えられないのである。
2 原決定は、抗告人委員会の命令理由中、本件配置転換に当つて、被抗告人が設
けた地方への配置転換対象者二八名(独身男子)の分会員、非分会員別人数(それ
ぞれ一四名と認定)をもとに、地方への配置転換対象者九名のすべてを分会員から
選定したことを不自然と判断し、これを不当労働行為意思のあらわれとした点につ
いて、分会員、非分会員別人数が分会員二二名、非分会員六名であることを主たる
理由として、抗告人委員会の救済命令の当否に疑義があるものとしたものである。
 しかしながら、分会員、非分会員別人数が原決定認定のとおりであるとしても、
その数字が、本件配置転換の内示をうけた者がすべて分会員であることの不自然さ
を直ちに払拭するものとは考えられない。この点について、原決定が、何らの首肯
するに足る理由を示すことなく、「地方へ配置転換の内示を受けた九名又は八名の
すべてが分会員であることも、独身の地方勤務未経験者中に分会員の占める割合
(二八名中二二名又は二三名中二〇名)からみると、強ち不自然なものとはいえな
い。」とし、また、「他の者に優先して配置転換すべき事情は、本件救済命令の認
定する分会員の人数比を前提としてのみ考慮しうるものであるにすぎない。」と断
じているのは、納得しかねるところである。原決定は、配置転換対象者の人選基準
が不合理なものとはいえないことをその理由としているように見えるけれども、本
件救済命令も右の人選基準自体を不合理なものとはしていないのである。
3 右の人数比の問題は、たしかに、抗告人が、本件配置転換を不当労働行為と認
定するに当つて考慮した事情であるが、これがその認定の唯一の根拠となつている
のではない。本件労使関係の実情、配置転換にいたる経緯等もその根拠として考慮
されているのであり、右人数比の問題も、それらの事情と併せて総合的に判断され
ているのである。したがつて、その人数比の問題が直ちに本件救済命令の維持可能
性を疑問にするものではないのである。而して、右の具体的諸事情の総合的な考
慮・評価については、原決定は殆んどこれをしていないのである。
4 以上述べたとおり、原決定の指摘する諸点は、緊急命令の即時救済の必要性の
いかんにかかわらずこれを発することを不相当とするほど現時点において救済命令
の維持可能性に重大な疑義をもたらすものとは到底言えない。
 結局、抗告人の本件緊急命令申立にかかわる救済内容の即時救済の必要性を十分
考慮することなくして、本件申立を却下した原決定は違法として取消を免れないも
のと思料するのである。
三 なお、労働委員会の緊急記令の申立を却下する決定に対して、当該労働委員会
が抗告をなし得るかどうかについては、労働組合法には明文の規定がなく疑義の存
するところではあるが、民事訴訟法第四一〇条の適用をこの場合に排除すべき積極
的理由に乏しいと考えられるので、原決定に上記のような法律上の疑義が存する以
上、本件抗告に及んだ次第である。
(別紙二)
相手方の反論
第一 中労委の抗告理由に対する反論
一 緊急命令却下決定に対する抗告は許されないことについて
 緊急命令に対する抗告手続が許されないことは、すでに、判例上確立したもので
あり、中労委も亦、過去一貫して、そのように主張をして来たところである。
 それにも拘らず、緊急命令却下決定に対しては抗告手続が許されなければならな
いとすべき特段の理由はないから、本件抗告は却下さるべきである。
 緊急命令に対する抗告手続が許されない根拠としては、労働組合法(以下、法と
いう)第二七条第八項において、緊急命令については、原裁判所が「この決定を取
り消し、若しくは変更することができる」と定められていることにより、制度自体
柔軟であり、必要があれば、原裁判所が取消、変更を行ないうるから敢えて抗告手
続を許す必要がないとするものである。それに対し、緊急命令の却下決定について
は抗告手続を許すべきものとする見解は、全くその論拠を示していない。
 而して、この点は、法第二七条第八項に、一旦発せられた緊急命令についてすら
「取り消し、変更」を認めると定められていることおよび却下決定に既判力を生ず
るわけでもなく、申立に時期的な制約があるわけでもないことからして、もし、申
立が却下された場合でも、事情変更に伴つて、必要があると解すれば再び申立をす
ればよいだけであり、緊急命令の認容決定と却下決定との間に、抗告手続の取扱い
を別異にしなければならないような特段の合理的理由は存在しない。
 (なお、緊急命令の却下決定に対しては抗告手続が許されるとの主張は、労働委
員会に属しまたは属した方々に多いことも、この主張が、法律論というよりは政策
論的な性格のものであることを暗示しているものといえよう。)
 したがつて、本件抗告は、抗告手続に親しまない事件であるという理由によつて
却下さるべきであると思料する。かりに本件抗告手続を許すとしても、本件におい
ては、以下に述べるとおり、抗告の理由がないから、いずれにしても却下は免れな
いものと考える。
二 救済命令の適否の審査について
(一) 緊急命令を発するに当つて、裁判所はどの範囲の審査をすべきであるかに
ついて
 中労委は、抗告状において、裁判所が緊急命令の許否を決するに当つては、「緊
急命令の即時救済の必要性の有無のみを判断すべき」であると主張しているので検
討すると、この点については、
(イ) 救済命令の適否を審査することができるが、緊急命令の必要性について
は、労働委員会の申立があつた以上これを肯定すべきである。
(ロ) 救済命令の適否を審査せず、緊急命令の必要性だけを審査すべきである。
(ハ) 救済命令の適否および緊急命令の必要性の双方を審査すべきである。
との三説がある(C「緊急命令」労働法大系四巻一八八頁参照)といわれる。
 (イ)の立場に立つ裁判例としては、鳥取県教育委員会事件(鳥取地裁昭和二五
年五月二九日決定、労裁資八号二六八頁)があり、学説としては、D「救済をめぐ
る諸問題」(新労働法講座六巻三〇七頁参照)がある。
 (ロ)の立場に立つ裁判例としては、谷岡学園事件(大阪地裁昭和三八年七月一
七日決定、労民集一四巻四号九一四頁)があり、学説としては、E「労働委員会に
おける救済手続」(労働法講座二巻三八二頁参照)がある。
 (ハ)の立場に立つ裁判例としては、北陸金網工業事件(新潟地裁昭和二七年一
二月二五日決定、労民集四巻三号二三頁)があり、学説としては、C「緊急命令」
(労働法大系四巻一八九頁参照)がある。
 この他にも多くの裁判例があるが、それらは、救済命令の適否について、右のい
ずれかの立場に立つのか必ずしも明らかにしていない。
 本件で、中労委が抗告状において主張するところは、右の(ロ)の立場に立つも
のとみられる。
(二) 原決定の立場
 しかしながら、裁判所は、労働委員会の事実認定および判断に当然拘束さるべき
いわれはないし、また、救済命令取消を求める行政訴訟が提起されれば、労働委員
会は必ずといつていいほど緊急命令の申立をする実情からみても、一般的にも
(イ)の立場はとりえず、基本的には(ハ)の立場を取るべきであろう。
 原決定は、「当該救済命令の適否及び即時救済の必要性等の諸事情を考慮して、
相当と認める場合に緊急命令を発するものと解される」とするので、右の(ハ)の
立場に立つものとみられるが、それは正当である。
(三) 中労委の立場およびその批判
 右のうち、(ロ)の立場は、救済命令に行政行為としての公定力を承認すること
を前提とするものであつて、この立場であつても、当然のことながら無条件で公定
力ありとするものではなく、「救済命令に重大かつ明白な瑕疵がある等特段の事情
の認められない限り、緊急命令の必要性について判断すれば足るものと解すべ
く、」(前掲谷岡事件決定)、もし適法性の確定が及ばない程度に「重大かつ明白
な瑕疵」がある場合はこの限りでないという趣旨である。してみると、(ロ)の立
場は、適法性の推定に疑問がもたれる事案に関しては、(ハ)の立場と同じ結果と
なるものである。
 なお、ここにいう「重大かつ明白な瑕疵」は、不当労働行為救済の制度が、準司
法的性質をもつものであることからすれば、命令の主文はもとより、理由中の判断
部分についても、また、事実認定部分についても右の瑕疵があつてはならないとい
う趣旨である。
 そして、後記四(四)以下においてみるとおり、本件救済命令は、「その最も重
要な論拠の部分に誤りがあるもの」であるから、「重大かつ明白な瑕疵」があつた
ものというべきである。
 したがつて、本件救済命令の場合は、適法性の推定が及ばない場合であるから、
「緊急命令の即時救済の必要性の有無のみを判断すべき」場合には当らないのであ
り、中労委の主張は理由がないことに帰する。
 なお、右に述べたとおり、こと本件緊急命令申立事件に関する限りでは、(ロ)
の立場であつても実質的には(ハ)と同様の審査を余儀なくされたであろうし、
(イ)の立場であれば勿論であるから、いずれにしても本件救済命令の適否の審査
は免れないところである。
 すなわち、裁判所は、一般的に、緊急命令を発するに当つて、救済命令の適否を
審査することができ、また、すべきであるとともに、尠くとも本件の場合、救済命
令の適否を免れない場合であるから、中労委の主張は理由がない。
三 救済命令の適否の審査の程度について
 中労委は、裁判所が救済命令の適否ないしその維持可能性を審査することは、労
働委員会の手続に現われた一切の疎明資料に基づく総合的な判断によつてのみなし
うるものであり、それは、救済命令取消を求める本案訴訟手続においてのみ適切に
なされうるものであつて、緊急命令手続にはなじみえないと主張する(抗告の理由
一2参照)ので、これについて検討する。
 中労委の右の主張は、裁判所が、緊急命令の許否を決定するに当つてなす救済命
令の適否の審査は、本案訴訟におけると同様の事実審理手続でなければなしえず、
また、そうでなければならないとの前提に立つものであるが、これは全く根拠のな
い謬論である。
 裁判所が、緊急命令の許否を決するに当つてなす救済命令の適否の審査の程度を
考えるについては、北陸金網工業事件の決定理由の考え方が参考になるであろう。
 同決定の理由は、「不当労働行為に対する労働委員会の準司法的機能と労働組合
法第二十七条第七項の決定の性質からみて同法第二十七条第四項の救済命令の当
否、とりわけ該命令の基礎たる事実認定の適法性を判断するには、例えば民事訴訟
法上の仮処分におけると同様に裁判所においてはじめからすべての資料に直接あた
る必要はないのであつて、労働委員会の調査と審問手続の記録にあらわれた資料に
よつて、特に職権により調査する必要が認められない限り、該命令の主文が一応理
由づけられる程度の疎明があれば足りるものと考える。」と述べている。
 右の「労働委員会の調査と審問手続の記録にあらわれた資料によつて、」「該命
令の主文が一応理由づけられる程度の疎明があれば足りる」というのが、この場合
の核心である。
 裁判所が、緊急命令の許否を決するに当つてなす救済命令の適否の審査は、労働
委員会の審査の過程に現われた疎明資料をもつて、救済命令に記載された「認定し
た事実」が一応認定でき、その「認定した事実」から、救済命令に記載された「判
断」および「法律上の根拠」に一応至りうるか否かを検討すれば、救済命令の主文
が一応理由づけられたものとし、これで緊急命令を発しうる程度に、救済命令の適
法性が審査されたものとしてよいと考える。
 すなわち、裁判所が、緊急命令の許否を決するに当つては、何も労働委員会の審
査過程に現われたすべての疎明資料を駆使して、労働委員会が立たなかつた観点か
ら事実認定をしたり、判断や法律構成を試みることまでして、救済命令の適否の審
査をする必要はなく、要するに、労働委員会に現われた疎明資料によつて、労働委
員会と同じ事実認定、判断および法律上の根拠が裏づけられるかの検討をすれば、
救済命令の適法性の審査としては足るものと思料する。
 然りとすれば、中労委の、救済命令の適否の審査は、救済命令取消の本案訴訟手
続においてのみしか適切になされえず、緊急命令手続にはなじみえないとする主張
が当らないことも亦、明白である。
四 本件救済命令の「維持可能性」の疑義について
(一) 原決定は、「本件救済命令には、その最も重要な論拠の部分に誤りがある
ものといわなければならないから、現時点においては、その維持可能性に疑義があ
り、緊急命令を発することは、相当でないと考えられる。」といつているのに対
し、中労委は、これが速断であると主張するので、本件救済命令の「維持可能性」
について、検討してみることとする。
 本件救済命令は、その再審査申立棄却の理由が、原決定のいうとおり、三つの骨
子からなつている。その一つは、本件配置転換に至る背景事情として昭和四八年六
月の分会結成通知以降労使間の対立が険悪化しつつあつたことが認められること、
二つは、分会員、非分会員の数を対比して、本件配置転換において、分会員九名の
みを地方に配置転換したことが、その人選に特段の理由がない限り、分会員なるが
故に地方への配転であると認めざるをえないこと、三つは、A、Bについて、他に
優先して配置転換すべき事情が認められないことを挙げ、以上からして、本件配置
転換は、分会員を本社フロアーおよび本社の中枢部門から排除するための一環とし
て行なつた不当労働行為であるという。つまり、本件救済命令の理由は、背景事情
を骨子一として、本件配置転換そのものについて、骨子二および三において述べる
だけである。
 この三つの骨子からなる理由に則して考えた場合、本件救済命令のごとき判断に
至るか否かを検討してみればよい。
(二) まず、骨子一の理由であるが、これは背景事情であつて、これのみにて、
本件配置転換ひいては解雇そのものが不当労働行為であると断ずる理由にはなりえ
ない(なお、都労委、中労委における疎明資料からして、「対立が検悪化しつつあ
つた」と認められるか否かについては、さて措くこととする)。
(三) つぎに骨子三の理由についてみると、これは、A、Bの両名にわけて、そ
れぞれにつき消極的理由を挙げているが、しかし、これは以下にみるとおり全く理
由にならない。
 本件救済命令には、「(ア)Aについては、東京支店のボード課外勤販売担当者
の中では勤務時間が最も短く、同人よりも長い者が数名おり、その中で同人がとく
に販売体制強化の重点ともみられる岡山営業所への同人のみ配置転換しているこ
と、(イ)Bについては、東京支店勤務が二年弱で、しかも営業の経験はなく、地
方営業所勤務には有用である自動車運転免許も取得していないことなど」を挙げて
いる。
 しかし、Aがボード課勤務期間が最も短いとの点、岡山営業所に同人のみ配転し
たとの点は、いずれも全く事実に反する。
 Aの場合、ボード課勤務期間が同人よりも短いものが他に存在し、岡山営業所に
は、営業経験の豊かな者が、同時に、営業所長として転勤して来たのである。しか
も、Aは、地方勤務未経験の独身男子社員二八名中ただひとりの倉庫、出荷業務の
経験者であり、本件配置転換時に、岡山営業所と同じ場所に新設された岡山配送セ
ンターの業務の指導に携わる上でも適任であり、同営業所長と経歴が似ている点、
年齢構成の点なども考慮されていたのである。
 したがつて、Aについての骨子三の理由は無に帰する。
 また、Bについては、営業未経験で自動車運転免許(ただし「有用」にすぎな
い)を有しないことだけ(「など」といつているが他には何も掲げていない)を挙
げているが、本人自身、かつて営業の希望を述べていたのだから、右の点を挙げて
みたところで、本件配転における、何ら合理的な消極的理由にはなりえないもので
ある。すなわち、本人が未経験、資格不足であれば、一切、本人の希望を容れては
ならないという結論に至る奇妙な論理を展開しているわけである。
 しかも、Bの場合、同人の職場は同人の担当していた計算業務の外注移行により
廃止され、同人は冗員となり、いずれにしてもどこか他の職場に転出させなければ
ならない者であつた事実を、故意に無視し、もしくは完全に見落しているのであ
る。
 したがつて、Bについても、骨子三の理由は、無意味である。
(四) そこで、本件救済命令がいう、「いずれも他に優先して配置転換すべき事
情は認められない。」理由としては、骨子二の理由のみとなる。
 一般的にいつて、労働契約上勤務場所の制限的特約がない場合に、従業員の勤務
場所を指定することは、使用者の裁量権の範囲内にあり、本件配置転換における
A、Bの場合も、勤務場所の制約的特約がなく、むしろ、両名は会社の事業所の存
在するあらゆる場所に勤務することに合意して採用されていたのである。
 したがつて、両名は、会社の配置転換命令に従うべき義務を負つていたのであ
る。
 使用者が自己の裁量によつて配置転換を行ないうることは右にみたとおりである
が、会社は、本件配置転換に当つて、一定の基準を設けてこれを実施した。
 配置転換自体裁量の範囲内であるから、一定の配置転換基準を設定することもま
た裁量の範囲内であるというべきであるが、尠くとも本件配置転換における基準が
裁量の範囲内にあつて不合理なものでないとしたら、会社は、その配置転換基準に
照らして、A、Bを配置転換しうるはずである(中労委も、抗告状の中で、「本件
救済命令も右の人選基準自体を不合理なものとはしていないのである。」といつて
いる〈抗告の理由二2末尾参照〉)。
 しかるになお、本件救済命令は、A、Bについて、「他に優先して配置転換すべ
き事情は認められない」というが、ここで、A、Bが「他に優先し」ない理由を本
件救済命令の理由中に求むれば、これは骨子二の理由以外にない。
 そもそも、本件救済命令が、配置転換に当つて、分会員対非分会員の人数比を考
慮に入れる態度を取ること自体問題である。この論理でいけば、使用者は従業員の
配置転換に当つて、常に、組合員であるか否かを念頭におかねばならず、一組合の
み存在する場合には非組合員との、複数組合の存在する場合にはその各組合との間
の各均衡を第一に考え、業務上の必要性、具体的人選の妥当性等は二の次にせよと
いうことになりかねない。しかも、その均衡を維持せんがためには、常に、だれが
どこの組合員であるまたは組合員でないということを把握しておかなければならな
いことにもなり、かえつて組合への支配介入を招きかねないであろう。
 したがつて、本件救済命令の分会員、非分会員の人数対比の観点からする事実認
定および判断の方法自体失当である。
 しかし、その点は措き、人数比の方法によるとしても、本件救済命令の分会員対
非分会員の人数の認定には大きな誤りがあつた。
 本件救済命令は、本件配置転換当時、本社および東京支店における地方勤務未経
験の独身男子社員の数を分会員対非分会員で一四対一四と認定したが、都労委およ
び中労委に提出されている申立人側の全ての疎明資料によれば、これが二二対六、
本来の意味における本社フロアーについてみれば実に二〇対三であるのが事実であ
り、中労委命令の誤りであることは歴然としてる。
 本件救済命令において、本件配置転換そのものについてこれを不当労働行為であ
ると認定するむしろ唯一ともいうべき理由(前述したところから明らかなとおり、
骨子一の理由は背景事情にすぎず、骨子三の理由は理由たりえない)の箇所にこの
ような大きな事実誤認が存在するわけであり、しかも、この事実誤認は、本件救済
命令の結論に影響を及ぼす程度のものである。
 まさに、原決定がいうとおり「本件救済命令には、その最も重要な論拠の部分に
誤りがあるものといわなければならない」。
(五) なお、中労委は、抗告の理由二3において、「右の人数比の問題は、たし
かに、抗告人が、本件配置転換を不当労働行為と認定するに当つて考慮した事情で
あるが、これがその認定の唯一の根拠となつているのではない。本件労使関係の実
情、配置転換にいたる経緯等とその根拠として考慮されているのであり、右人数比
の問題も、それらの事情と併せて総合的に判断されているのである。したがつて、
その人数比の問題が直ちに本件救済命令の維持可能性を疑問にするものではないの
である。而して、右の具体的諸事情の総合的な考慮・評価については、原決定は殆
んどこれをしていないのである。」と述べている。
 しかし、すでに述べたとおり、本件救済命令の本件配置転換に関する部分の骨子
三の理由が理由たりえず、骨子二の理由が重大な事実誤認を犯している以上、背景
事情にすぎない骨子一の理由と「総合的な考慮・評価」をしてみたところで本件配
置転換の事実を正しく認定しうるはずもないのであるから、本件救済命令の事実認
定および判断が支持される可能性は極めて低く、原決定の結論が左右されるには至
らないであろう。
 しかも、中労委は、本件抗告状において、殊更に骨子二の理由の救済命令中に占
める比重を、極力軽からしめようとしているが、骨子二の理由が、本来、本件救済
命令の中心的柱であることは明らかである。
 それは、本件救済命令が、事実認定において、都労委の事実認定を殆んどそのま
ま引用したにもかかわらず、自ら、分会員対非分会員の人数対比表のみは、ことさ
らの認定事実として掲げ、新たな事実認定として、ただひとつこれを加えたことに
照しても、また、本件配置転換に関する判断において、人数対比に力点を置いて述
べている(骨子三の理由の末梢的なことと対照的である)ことからしても、みてと
れるのである。
 中労委が、「これがその認定の唯一の根拠となつているのではない。」といつて
みたところで、原決定がいうとおり、「その最も重要な論拠の部分」であることに
変りはなく、かつ、そこに「誤りがあるもの」である。
(六) 緊急命令の申立を受けた裁判所が、救済命令の適否を審理する場合、その
適否の審理はどの程度行なうべきかについては前述したとおり、労働委員会の審査
の過程に現われた疎明資料をもつて、救済命令の事実認定および判断の理由とする
ところによつて、その主文が一応支持されうるかを審理すれば足るといえようが、
本件救済命令の場合にこれを当てはめてみると、都労委、中労委の段階に顕われた
疎明資料をもつてしても、本件救済命令のなしたとおりの事実認定には至らず、そ
の事実誤認は判断に至る重大な論拠の箇所に生じているため、その事実誤認をもつ
てしては本件救済命令の判断に必至することを保しがたく、したがつて本件救済命
令の主文を、ひとまず理由づけることができなくなつているのである。
 すなわち、原決定がいうとおり、緊急命令を発すべきや否やの程度に本件救済命
令の適否を審査した「原時点においては、その維持可能性に疑義があ」るものとい
うのは動かし難いところである。
第二 中労委の主張に対するその他の反論
一 原決定が「即時救済の必要性等の諸事情」について判断を示さなかつたことに
ついて
 原決定が、即時救済の必要性について判断を示さなかつたことは、中労委が、抗
告状において述べているごとく、「本件救済命令に決定的な疑義があり、」「即時
救済の必要性について」まで「判断する要をみないと考えたのであろうと推測され
る。」(抗告の理由二1参照)ところで足るというべきである。
 本件救済命令自体、その維持可能性に疑義があるとされる以上、いかに緊急命令
の必要性について審査してみたところで、「緊急命令を発することは、相当でな
い」とする原決定の結論を左右するには至らないであろうことは殆んど明らかであ
るから、中労委の非難は、全く理由がない。
二 「団結権の現実的保障の見地から」緊急命令の許否を判断すべきであるとの点
について
 中労委の所謂「団結権の現実的保障の見地」ということが何を意味するかは、必
ずしも明らかでない。
 A、Bが解雇されたからといつて分会員でなくなつたということは、主張も疎明
資料も提出されていない。したがつて、分会員数の増減という点では、解雇は、直
接関係がない。
 A、Bを原職に復帰させなければ、本社および東京支店に現存する分会員が減る
という意味であるならば、しからば、そもそも本件配置転換の時点において、分会
が、地方に配置転換された八名について、個人の意思に基づいて配置転換に応ずる
か否かを決めさせていたという方針と矛盾するのではないのか。しかも、分会の主
張によると、地方への配置転換に応じた六名の分会員の中には、執行委員もいたと
のことであるし、職場委員であつたというにすぎぬA、Bのみが「他に優先して配
置転換」を拒否「すべき事情は認められな」かつたのではなかろうか。
 しかるに、解雇を覚悟してまで本件配置転換を拒否し、結局解雇されて社外に去
つた両名について、現在に至つて原職に復帰させて社内に戻さなければ、「団結権
の現実的保障」に欠けるという主張は、中労委からいわれるにしても、分会の当時
の態度に照らすとき、前後一貫しないものというべきである。
三 まず緊急命令を発し、その後に執行停止を申立てるべきであるとする中労委の
主張について
 中労委は、抗告の理由一1において、「もつとも、当該救済命令が違法の疑が濃
く、取消を免れないとみられるような場合にまで、使用者に、その履行を強制すべ
き理由はないものと言えよう。しかし、使用者が命令の履行の強制を免れようとす
るのであれば、当該命令の執行停止を申立てるべきであつて、その場合において
は、執行停止の消極要件たる当該命令の取消訴訟の「本案について理由がないとみ
えるとき」(行政事件訴訟法第二五条第三項後段)にあたるかどうかの問題とし
て、当該命令の適否が考慮されることになるというのが現行制度の建前なのであ
る。」と述べている。
 本件救済命令は、すでにみたとおり、「違法の疑が濃く、取消を免れないとみら
れるような場合に」当るというべきである。
 しかし、中労委の右の主張は、そのような場合には、「履行を強制すべき理由は
ないものと言えよう。」といいつつ、その後に続けて、無限定に、とにかく緊急命
令をひとまず発した上で、使用者に執行停止の手続を取らせるべきであると述べて
いる。
 このような中労委の態度は看過できない。
 取消を免れないような救済命令の場合にまで、一旦緊急命令を発した上で、使用
者に執行停止という迂遠な手続を取らせるべきであるという中労委の主張は、不当
労働行為救済制度ないし労働委員会制度の何たるかを忘れた議論であろう。
 かかる主張の背後には、不当労働行為救済制度ないし労働委員会制度を、専ら労
働者の救済のためのみの制度としてこれを把え、何が何でも労働者の救済を急ぎ、
制度本来の目的が労使関係の正常化にあることを忘れた態度がほのみえている。
 不当労働行為救済制度についての最近の裁判例が、「現行不当労働行為制度は使
用者側からの団結権侵害から労働者を救済することだけを目的とするものである」
との主張を斥け、「けだし元来不当労働行為制度の趣旨は労使間にあるべき正常な
関係がゆがめられた場合にそれを除去して正常な関係にもどし将来の安定した労使
関係を確立するところにある。」(延岡郵便局事件、東京高裁昭和五三年四月二七
日判決、労働経済判例速報九八〇号三頁)と述べていることを引用すれば十分と考
える。
第三 結語
 以上述べたとおり、本件抗告が許されざること、かりに、抗告が許されたとして
も、抗告の理由がないことは明らかであり、いずれにしても本件抗告は却下を免れ
ないものと思科する。
以上

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