弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1被告は,原告らに対し,それぞれ5万円及びこれに対する平成17年12
月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用はこれを5分し,その1を被告の,その余を原告らの各負担とす
る。
4この判決は,原告ら勝訴の部分に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1原告らの請求
被告は,原告らに対し,それぞれ39万4061円及びこれに対する平成1
7年12月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,地方自治法上の一部事務組合である被告を設置した市町村の住民であ
る原告らが,同組合の管理者に対し,同組合の職員が退職するに際し,同人がか
つて勤務していた愛知県海部郡弥富町の職員としての在職期間を通算して退職手
当金の支出命令を発することが違法であると主張して,地方自治法292条,2
42条の2第1項1号に基づき,その差止めを求める住民訴訟を提起し,勝訴し
たことから,同法292条,242条の2第12項に基づき,被告に対し,相当
額の弁護士報酬及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた実質的当事者訴訟で
ある。
1前提となる事実(争いのない事実及び証拠(甲1ないし5)により容易に認
められる事実)
(1)当事者
ア津島市及び愛知県海部郡の11町村(蟹江町,弥富町,佐屋町,佐織町,
七宝町,美和町,大治町,十四山村,飛島村,立田村,八開村)は,かね
て,ごみを衛生的,効率的に処理することを目的とする一部事務組合であ
る「津島市ほか十一町村衛生組合」と,し尿の共同処理を目的とする同様
の「海部津島衛生組合」を設立,運営していたところ,平成12年4月1
日,後者を解散してその事務を前者に統合して名称変更し,再度,平成1
8年4月1日に名称変更したのが被告である。
なお,上記町村のうち,八開村,立田村,佐織町,佐屋町は,平成17
年4月1日に合併して愛西市となった。また,弥富町及び十四山村は,平
成18年4月1日に合併して弥富市になった。
イ原告らは,被告を設置した市町村の住民であり,後記の住民訴訟の原告
であった者である。
(2)被告による弥富町職員の採用
アA(昭和▲年▲月▲日生まれ。)は,昭和50年1月1日,弥富町の事
務吏員として採用された後,昭和54年11月から昭和60年3月31日
までの間,同町から被告に派遣され勤務した。その後,同人は,派遣期間
満了に伴って弥富町に戻り,総務係長,民生部衛生係長,民生部衛生課長
を歴任した。
イ被告は,平成2年3月14日,当時弥富町の民生部衛生課長であったA
を同年4月2日付けで採用することを決め,同町長に対し,割愛を依頼し
た。
ウ被告の当時の管理者は,弥富町長によって上記割愛が承認されたことを
受け,Aについて,平成2年4月2日付けで採用の辞令を発令すること及
び退職手当金の計算の前提となる勤務期間について,同人が弥富町を退職
する際に支給された退職手当金の額を納付した場合には,弥富町における
在職期間を被告の在職期間に通算することを,平成2年3月29日付けで
決裁した。
エ弥富町長は,平成2年3月31日付けでAが同町を退職することを承認
し,他方,被告は,同年4月2日付けでAを被告の事務吏員として採用し
た。
オAは,平成2年4月27日,愛知県市町村職員退職手当組合長に対し,
弥富町長による証明書付きの退職手当請求書及び添付書類を提出した。同
組合長は,同年5月28日,裁定給料月額を26万5600円,在職期間
を昭和50年1月1日から平成2年3月31日までの15年3月として,
Aの退職手当金329万3440円を算出,裁定し,翌日,同金員をAに
支給した。
カAは,平成2年6月28日,上記退職手当金に相当する金額を被告に納
入し,被告は,いったんは同金員を雑収入として計上した。その後,被告
議会は,同年10月9日,上記329万3440円を退職手当基金積立金
として計上する補正予算案を可決,成立させ,さらに,平成3年10月3
1日,その内容を含む決算を承認した。
(3)原告らによる住民訴訟の提起
ア原告らによる住民訴訟の提起に至る経緯
原告らは,平成15年7月7日,被告監査委員に対し,被告管理者がA
の弥富町の在職期間を通算して退職手当金の支出命令を発することの差止
めを求めて住民監査請求をしたが,同監査委員がこれを棄却(一部却下)
したため,同年9月16日,名古屋地方裁判所に住民訴訟を提起した(当
庁15年(行ウ)第44号違法な退職金支払差止請求事件。以下,その控
訴審も含め「本件住民訴訟」という。)。
イ本件住民訴訟における当事者の主張の概要
(ア)原告らの主張
「海部津島環境事務組合職員の給料,旅費,退職年金,退職一時金そ
の他給与に関する条例」によって準用される「津島市職員の退職手当に
関する条例」(以下「本件条例」という。)7条5項は,「職員以外の
地方公務員……が引き続いて職員となったときにおけるその者の職員以
外の地方公務員等としての引き続いた在職期間を含むものとする。」と
定めているところ,Aは,平成2年3月31日に弥富町を退職し,同年
4月2日に被告に採用されており,その間に1日以上の空白があるから,
弥富町における在職期間を通算して退職手当金を算出することはできな
いにもかかわらず,被告管理者が,同年3月29日付けで上記在職期間
を通算する旨決裁していることに照らすと,同人の退職に際し,違法な
在職期間の計算に基づき,1500万円ほど過大に退職手当金が支給さ
れるおそれが高い。よって,その支出命令の差止めを求める。
(イ)被告管理者の主張
被告が,Aに対する採用辞令を平成2年4月2日付けで発令したのは,
同年4月1日が日曜日であったことに起因する事務上の過誤であって,
Aには何らの落ち度もない。したがって,Aの採用日付は,前後の在職
期間を通算できる「受入庁の手続の遅延によって退職の日の翌々日以後
になった場合」に該当し,また,被告議会がAが納付した退職手当金と
同額を退職手当基金積立金に計上した補正予算を議決していることに照
らすと,被告がAの弥富町の在職期間を通算して退職手当金を計算する
ことは違法ではない。
ウ本件住民訴訟の結果
当裁判所は,平成16年2月19日,給与条例主義の観点から,被告の
管理者は,Aに対して被告から退職手当金を支給する際,同人の弥富町職
員としての在職期間を通算して同手当金の支出を命じてはならないとの判
決を言い渡し,その控訴審である名古屋高等裁判所(同裁判所平成16年
(行コ)第8号)も,平成17年4月19日,被告管理者の控訴を棄却す
るとの判決を言い渡し,同判決は,同年5月6日の経過により確定した。
なお,控訴審判決は,その理由中で,上記のような空白が生じたのは,
平成2年4月1日が日曜日であったことによる事務上の過誤に起因するも
のであることを認定している。
(4)原告らによる訴訟委任
原告らは,平成15年9月10日付けで,B弁護士会(現C弁護士会。以
下同じ。)所属のD弁護士との間で,本件住民訴訟の提起,遂行を委任し,
その報酬としてB弁護士会弁護士報酬等基準規程(以下「本件規程」とい
う。)の最高限度額を支払う内容の訴訟委任契約書を作成し(以下「本件第
一審訴訟委任契約」という。),さらに,平成16年3月22日付けで,D
弁護士との間で,上記訴訟委任契約と同内容の控訴審における訴訟委任契約
書を作成した(以下「本件控訴審訴訟委任契約」という。)。
2本件の争点
地方自治法242条の2第12項に基づく,被告の原告らに対する弁護士報
酬(の相当額)支払義務の有無及びその金額
3争点に関する当事者の主張
(1)原告らの主張
ア原告らは,本件住民訴訟につき,D弁護士との間で,平成15年9月1
0日に本件第一審訴訟委任契約を,平成16年3月22日に本件控訴審訴
訟委任契約をそれぞれ締結し,いずれも成功報酬として本件規程の最高限
度額を支払う旨合意した。
イ本件規程においては,民事訴訟事件の着手金及び報酬金は,特に定めの
ない限り,経済的利益の額を基準に算定すること,報酬金は,経済的利益
が300万円を超え,3000万円以下の場合は,経済的利益の10パー
セントに18万円を加算した額とし,さらに30パーセントの範囲内で増
額することができることなどが定められている(同規程16条1項,2
項)。
ウ本件において,被告がAに違法な退職手当金の支払を免れることにより
得られる経済的利益は,別紙計算書記載のとおり,Aが弥富町職員として
在職していた期間を通算した退職手当金2372万3813円から,これ
を通算しない場合の退職手当金820万2440円を差し引いた1552
万1373円(以下,通算を前提とした退職手当金と通算されないことを
前提とした退職手当金との差額を「本件差額」という。)であるから,原
告らがD弁護士に支払うべき報酬金額は,下記計算式のとおり,合計23
6万4366円となり,原告らはそれぞれその6分の1である39万40
61円を負担することとなる。そして,これが本件における地方自治法2
42条の2第12項にいう相当と認められる額である。
(計算式)
{(1552万1373円×0.1+18万円)×1.3}+消費税=
236万4366円
エこの点につき,被告は,現時点において,被告に発生する経済的利益が
明確ではなく,Aの退職時には,同人からの損害賠償請求に応じて本来支
払うべき退職手当金を精算するしかないなどと主張する。
しかし,本件住民訴訟における第一審及び控訴審の判決は,いずれもA
の弥富町職員としての在職期間を通算して退職手当金を支払うことは違法
である旨判示しており,今後,いかなる形式であっても,弥富町職員とし
ての在職期間を通算して算定した退職手当金を支出することは違法となる
から,被告の上記主張は理由がない。
オよって,原告らは,被告に対し,地方自治法292条,242条の2第
12項に基づいて,それぞれ上記報酬額の6分の1である39万4061
円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成17年12月8日から
支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求
める。
(2)被告の主張
原告らの主張は争う。
ア原告らは,本件住民訴訟の勝訴によって得られる経済的利益として,A
の弥富町在職期間を通算しないことによって退職手当金としての支出を免
れる1552万1373円であると主張する。
しかし,被告が,Aの採用辞令の発令日を平成2年4月2日としたのは,
同年4月1日が日曜日であったことに起因する被告職員の単純な事務的ミ
スであって,このことは,本件住民訴訟の判決においても認められている。
そうすると,被告は,Aに対し,同人の退職時には弥富町職員としての
在職期間を通算して退職手当金を支払う義務を負担していることとなり,
Aが被告を退職した場合には,被告に対し,本来取得できた退職手当金が
取得できないことを理由とする損害や,そのことによって被った精神的苦
痛を理由とする慰謝料の請求に応じなければならないこととなる。そして,
これらの請求金額は,Aが被告を退職した後に明らかになる性質のもので
あって,現時点では不明である。
以上によれば,原告らの主張している被告が得られる経済的利益は,現
時点では不明であるというほかなく,これを明確に判明したものとする原
告らの本訴請求は,その前提を誤ったものとして,棄却されるべきである。
第3当裁判所の判断
1地方自治法242条の2第12項の趣旨について
地方自治法242条の2第12項は,住民訴訟を提起した者が勝訴した場合
において,弁護士に報酬を支払うべきときは,当該普通地方公共団体に対し,
その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができると規
定しているところ,これは,住民訴訟が,地方財務行政の適正な運営を確保す
ることを目的として,原告の個人的な利益に関わりなく提起される民衆訴訟で
あり,原告がこれに勝訴することによって得られる利益が,地方公共団体にお
ける財務会計法規上の違法行為の是正にあって,当該地方公共団体の住民が等
しく享受するものであることにかんがみ,衡平の観点から,当該訴訟に要した
弁護士費用のうち相当額を,当該地方公共団体に負担させることとしたもので
ある。
同項のこのような趣旨,性格は,弁護士報酬を請求することができる場合を,
従来の242条の2第1項4号の請求に係る訴訟に勝訴した場合に限っていた
平成14年法律第4号による地方自治法の改正前から指摘されていたことでは
あるが,同改正によって同項1号ないし3号の訴訟に勝訴した場合にも拡大さ
れたことから,さらに鮮明になったというべきである。
2本件住民訴訟において原告らが支払うべき弁護士報酬額について
そこで,上記相当額の算定の前提となる弁護士に支払うべき報酬額について
検討するに,原告らは,本件差額(1552万1373円)が経済的利益とな
るから,D弁護士に支払うべき報酬金額は236万4366円となる旨主張す
るところ,なるほど,前記前提事実(4)記載のとおり,原告らは,本件住民訴
訟の提起,遂行をD弁護士に委任するに当たり,報酬額を本件規程(甲7)の
最高限度額とする旨記載された訴訟委任契約書を作成したことが認められる。
しかしながら,住民訴訟の趣旨,目的は前記のとおりであり,原告らが受け
る経済的利益は算定不能というべきである(勝訴の場合に具体的な金額が主文
に記載される地方自治法242条の2第1項4号の請求に係る訴訟においてす
ら,訴訟の目的の価額については,民事訴訟費用等に関する法律4条2項に準
じて定められるべきことにつき最高裁昭和53年3月30日第一小法廷判決・
民集32巻2号485頁参照)から,本件住民訴訟については,本件規程15
条1項を適用して,その経済的利益を800万円と算定すべきものである(同
条2項が定める増減額の主張,立証は存在しない。)。
そうすると,原告らとD弁護士との間で,真実,上記契約書どおりの合意が
成立したとしても,原告らが支払うべき弁護士報酬額は,本件規程16条を適
用した下記計算式のとおり,127万4000円(消費税相当額は6万370
0円)となる。
(計算式)
(800万円×0.1+18万円)×1.3=127万4000円
3本件住民訴訟における相当額の弁護士報酬について
(1)地方自治法242条の2第12項にいう「報酬額の範囲内で相当と認め
られる額」については,住民訴訟の勝訴によって地方公共団体が得られる利
益が究極的には全住民に帰することに着目し,衡平の観点から定められたと
いう同項の趣旨に適合するよう,当該住民訴訟の事案の内容,性質,効果,
訴訟の難易及び審理期間等の諸般の事情を総合的に考慮して,算定されるべ
きものである。
(2)この観点から検討するに,前記前提事実に,証拠(甲1,2,乙1,
4),弁論の全趣旨及び当裁判所に顕著な事実を総合すると,以下の事実が
認められる。
ア被告は,平成2年3月,弥富町の職員であったAを採用すべく,同町長
に割愛を申し入れたところ,同町長はこれを承諾し,Aをしてこれに応ず
ることを了解せしめたが,その際,将来の退職時における退職手当金につ
いては,「津島市ほか十一町村衛生組合の給料,旅費,退職年金,退職一
時金その他給与に関する条例」2条が準用する本件条例7条5項を適用し
て,弥富町における在職期間を通算して計算し,そのまま弥富町に在職し
て退職を迎える場合と比べて不利益にならない措置が講ぜられることを約
し,これを受けて,被告管理者は,同月29日付けで,Aの弥富町におけ
る在職期間を被告のそれに通算する旨の決裁をした。
イその後,Aは,同月31日付けで弥富町を退職し,同町から支給された
退職手当金329万3440円を被告に納入し,被告は,いったんはこれ
を雑収入として計上した上,議会の平成2年度補正予算についての議決を
経て退職手当基金積立金に振り替えた。
ところが,Aに対する被告の採用辞令は,平成2年4月2日付けで発令
されたが,このように,同人の弥富町退職日との間に1日の空白が生じた
のは,同月1日が日曜日であったことから採用日付として適当でないと考
えた被告職員の事務手続上の過誤によるものであって,Aに落ち度はなか
った。
ウ被告は,本件住民訴訟の第一審判決後,控訴審の審理中に,事態の是正
を図るため,退職手当金支出の根拠となる「海部津島環境事務組合職員の
給料,旅費,退職年金,退職一時金その他給与に関する条例」に,「任命
権者の要請に応じ他の地方公共団体を退職して組合職員となった者につい
て,当該地方公共団体を退職した日と組合職員となった日との間に1日以
上空白がある場合においては,津島市条例第7条第3項の規定にかかわら
ず,当該空白の期間が日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法
律第178号)に規定する休日である場合においては,継続して職員とし
て在職していたものとみなす。」などの規定を加える改正案を作成したが,
その適否について見解を求められた愛知県行政企画課担当者が難色を示し
たため,このような条例の改正を見合わせた。
また,被告は,採用手続のやり直しなども検討したが,最終的には,被
告の過誤を認め,Aからの損害賠償請求に応ずる方法が穏当であるとの結
論に達した。
エ本件住民訴訟における主たる争点は,給与条例主義の下,前職の退職と
現職の採用との間に空白期間がある場合に前職の在職期間を通算して退職
手当金を算定することができるか否かという法(条例)解釈上の問題であ
り,判決言渡しまでに,一審は約5か月,控訴審は約1年2か月の審理期
間を要した。
(3)以上の認定事実によれば,被告は,Aに弥富町からの退職を決意させる
に当たり,そのまま在職を続けるのと比較して退職手当金の支給につき不利
益を被らないような措置を講ずることを約したものであるところ,かかる措
置は,国や地方公共団体側の都合によって公務員がその勤務先を変える場合
には,必ず講じられるものであり,合理性を有することが明らかである。そ
うすると,被告職員の過誤によって,Aの将来における退職時に,上記措置
が講じられたならば支給されるべき退職手当金が減額される結果となった場
合には,少なくともその減額分について損害賠償請求権が生ずることは否定
できない。
この点について,原告らは,本件住民訴訟の第一審及び控訴審の各判決に
よって,いかなる形式であれ,被告がAの弥富町職員としての在職期間を通
算して算出した金額に相当する額を支出することは違法となるから,Aから
の損害賠償請求に応じることも許されない旨主張する。しかしながら,本件
住民訴訟の第一審及び控訴審における各判決は,いずれも,「海部津島環境
事務組合職員の給料,旅費,退職年金,退職一時金その他給与に関する条
例」に基づく退職手当金の算定に当たり,Aの弥富町職員としての在職期間
を通算することが違法であると判断したものにすぎず,このような結果を生
ずるに至った被告(職員)の過誤が,損害賠償請求権を発生させないことま
で言及するものでないことは明らかであり(むしろ,Aの退職手当金を算定
するに当たり,弥富町職員としての在職期間を通算することができないから
こそ,損害賠償請求権が生ずるというべきある。),原告らの上記主張は採
用できない。
そうすると,被告は,結局,本件差額相当分の支払義務を免れるものでは
なく,本件住民訴訟に原告らが勝訴したことによって生じた経済的利益は,
被告職員の過誤に基づいて生じた事態を,過誤そのものの是正なくして,過
誤がなかった場合と同様に処理することは許されないということが明確にな
ったことに尽きるものであり,これは,いわば財務会計行為の観念的な是正
(差止め)にとどまり,具体的,金銭的なものでないといわざるを得ない。
以上の事情に加えて,本件住民訴訟の主たる争点が法令の解釈にあったこ
と,実質的な審理期間も第一審,控訴審を通じてそれほど長期間であるとは
いえないことなどを総合的に考慮すると,本件における「相当と認められる
額」は,消費税相当額を含めて原告ら全員で30万円,一人当たり5万円と
認めるのが相当である。
4結論
以上の次第で,原告らの本訴各請求は,被告に対しそれぞれ5万円及びこれ
に対する訴状送達の日の翌日である平成17年12月8日から支払済みまで民
法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから
認容し,その余は理由がないからいずれも棄却し,訴訟費用の負担につき行政
事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文,65条1項本文を,仮執行
宣言につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法259条1項をそれぞれ適用して,
主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第9部
加藤幸雄裁判長裁判官
片山博仁裁判官
裁判官舟橋恭子は,転補のため署名押印できない。
加藤幸雄裁判長裁判官

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