弁護士法人ITJ法律事務所

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○主文
本件各控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
○事実
一当事者の求めた裁判
1控訴人ら
(一)原判決を取り消す。
(二)被控訴人が控訴人らに対して昭和六一年五月七日付けでした各簡易ガス事業
不許可処分をいずれも取り消す。
(三)訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
2被控訴人
主文と同旨
二当事者の主張
、、。当事者の主張は控訴人らの主張を次に加えるほか原判決事実摘示のとおりである
なお、法令、関係者その他の略称は、原判決の例による。
(控訴人らの主張)
本件各処分の根拠である法三七条の四第一項四号の規定を被控訴人の主張のとおり解
釈すると、右規定は、憲法二二条一項の職業選択の自由及び憲法一四条の法の下の平等
に反するというべきである。
三証拠関係(省略)
○理由
一請求原因1及び2のとおり、控訴人らが本件各申請をしたのに対し、被控訴人が本件
各不許可処分をし、控訴人らは審査請求をしたが、棄却の裁決を受けたことは、当事者
間に争いがない。
二本件に係る事実関係
当事者間に争いのない事実、証拠(甲第五号証の七、三五、三六、第六号証の一九、
三四、三九、第七ないし第二四号証、第三一号証、第三四号証、第四九号証の一、二、
乙第四、第五号証、第六号証の一、二、第一四号証の一、二、同号証の三の一、二、第
一九、第二〇号証、第二三、第二四号証、証人A、同Bの各証言、控訴人市川瓦斯代表
者尋問の結)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。
1本件地区(α地区)は、京葉瓦斯の供給区域であるところ、本件地区及びその周辺
の地域的特性は、原判決事実摘示の被控訴人の主張1の(二)の(1)の(2)のと
おりである。
2京葉瓦斯は、一般ガス事業者であるが、その前身時代の大正一五年にガス供給事業
の許可を受け、昭和三年に現在の市川市へガスの供給を開始した。昭和二五年には、
本件地区が京葉瓦斯の供給地区に編入された。
3控訴人市川瓦斯の代表者のCは、昭和三〇年に有限会社青山礦油店を設立し(本店
・市川市β、当初はガソリンスタンドにおけるガソリンの給油を主たる業務として)
いたが、次第にプロパンガスの販売等も行うようになった。
昭和三五年には、同社のプロバンガス販売部門を独立させ、京葉プロパン販売有限
会社を設立し、昭和四三年四月、有限会社市川瓦斯と商号変更し、さらに昭和六一年
六月に同社を組織変更して控訴人市川瓦斯とした。
控訴人市川瓦斯は、当初はガスボンベによってガスを供給していたが、昭和四二年
、。、ころから順次小規模導管を敷設しこれによりガスを供給するようになったそして
昭和四五年にガス事業法が改正され、簡易ガス事業が許可制となったが、控訴人市川
瓦斯は、同年一二月一一日、経過措置により、法三七条の二の許可を受けたものとみ
なされ、簡易ガス事業を営むようになった。
他方、青山礦油店は、昭和五一年六月に控訴人末吉と商号変更した。
4京葉瓦斯は、昭和四三年に初めて本件地区に導管を敷設した。すなわち、本件地区
と現在のγ地区との境の道路等に低圧導管四九九メートルを敷設した。低圧導管は、
その周辺の消費者に対する供給を可能にするものである。なお、右導管は本件供給地
点とは離れた位置に敷設されているが、本件供給地点へのガス供給がおよそ不可能な
ものであったとは認められない。
次いで、京葉瓦斯は、本件地区を含む市川市南側と浦安市全域へのガス供給能力の
増強を図るため、昭和四八年に、現在のδから本件地区を経由してε地区まで中圧
(A)輸送幹線と称する中圧導管を敷設した。中圧導管は、ガス輸送を目的としてお
り、これから直接に一般の消費者にガスを供給できるものではないが、ここから分岐
して一般の需要者に供給することも可能なものである。
なお、京葉瓦斯は、同年に本件地区に若干の低圧導管を敷設した。
5他方、控訴人らの導管敷設状況についてみるに、本件の控訴人末吉の申請に係る供
給地点については、控訴人市川瓦斯が昭和五〇年七月に内径八〇ミリメートルの導管
二八〇メートルを敷設したのを最初として、昭和五一年一〇月、昭和五二年一月、同
年二月、同年三月(内径一〇〇ミリメートルのもの)と順次延長し、昭和五八年九月
にもさらに敷設した。そして、後記の経緯で、昭和五八年一〇月に控訴人市川瓦斯か
ら控訴人末吉にこれらの導管網が譲渡された。
また、控訴人市川瓦斯の申請に係る供給地点に関しては、控訴人市川瓦斯が昭和五
三年三月に内径八〇ミリメートルの導管を敷設したのを最初として、昭和五五年八月
にこれを延長し、昭和五八年七月にも順次導管を敷設した。
6控訴人市川瓦斯については、同社が昭和四五年に簡易ガス事業の許可を得た当初か
ら、京葉瓦斯との間で二重配管の問題があり、両者の間で紛争が絶えなかったので、
被控訴人は、昭和五二年に地方ガス調整協議会の承認を得て処理方針のメルクマール
を定め、これに基づく処理を行ってきたが(右のメルクマールでは、本件各供給地点
群の所在地は、簡易ガスの専用配管区域や一般ガスとの二重配管区域とはされていな
い、昭和五八年に至り、控訴人市川瓦斯が右のメルクマールを越えた地区で許可。)
を受けることなく供給地点を増やし、本件地区には無許可で一三五地点に小規模導管
でガスを供給していることが判明したので、被控訴人は、同年七月及び八月に控訴人
、、。市川瓦斯に対し調整のための指導案を示したが控訴人市川瓦斯はこれを拒否した
そこで、被控訴人は、同年九月、控訴人市川瓦斯に対し「本件地区等の貴社の簡易、
、、。ガス事業については法三七条の二の規定に違反するものであり極めて遺憾である
今後かかる行為を行わないよう厳重に注意する。ついては、早急にこの違法状態を解
消するよう措置するとともに、貴社の全事業について、ガス事業法に適合して遂行さ
れているか否かを総点検し報告されたい」と通知を出した。。
これを受けて、控訴人市川瓦斯は、同年一〇月、導管を切断し、前記地点のうち六
七戸を前記のように控訴人末吉に移譲し、六八戸を東亜燃料工業株式会社に移譲する
こととして違法状態を解消した。もっとも、東亜燃料工業に移譲することとした分に
ついては、結局一部しか移譲せず、移譲したものについても、その後に控訴人市川瓦
斯が再移譲を受けた。
、、、7京葉瓦斯は昭和五五六年ころから本件地区において具体的な需要が生じたため
、。、昭和五六年ころ本件地区に従前に引き続く導管敷設の具体的計画を立てたしかし
当時、前記のような控訴人市川瓦斯の違法供給の問題があり、被控訴人から、その解
消をはかるため、京葉瓦斯も本件地区の開発をしばらく待つようにとの指導を受けた
ため、敷設を延期してきた。昭和五八年に至り、前記のように控訴人市川瓦斯の違法
、、、供給が解消されたことから京葉瓦斯は昭和五八年から本格的な導管敷設にかかり
同年にある程度の低圧導管を敷設し、昭和五九年には、本件地区の宅地造成及び都市
化の進展に伴う消費者の増大に対応するため、低圧導管を一二四二メートル敷設し、
さらに、昭和六〇年には、ガス供給能力を一層増強するため本件地区の北部において
低圧導管を九三八メートル敷設し、ループ化を行った。
これらの導管の敷設は、右認定のように、現実の要請に基づくものであって、既成
事実を作出することを目的としたものとはいえない。また、当時、京葉瓦斯と控訴人
らとの話合いが行われていたのに、これを無視して京葉瓦斯が工事を強行したとは認
めがたい(甲第二二号証によっても、右のように認めることは困難である。。)
これらの敷設の結果、昭和六一年二月の本件各申請当時には、京葉瓦斯の本件地区
における低圧導管延長は、二八五七メートルとなり、その消費者戸数は一一九戸(普
及率約二七パーセント)となった。
その結果、京葉瓦斯は、少なくとも本件各申請の時点においては、本件各申請に係
るすべての供給地点についてガス供給の申込みあれば、これに即応してガスを供給す
ることが可能な導管網を敷設していた。
なお、昭和六〇年当時、京葉瓦斯は、本件地区において定点を定めてガスの供給圧
力を測定していたものであり、本件地区における京葉瓦斯のガス供給圧力が低くて消
費者から苦情があったとか、京葉瓦斯が供給圧力不足を理由に供給申込みを拒絶した
とかの事情は認められない(乙第二三、第二四号証、証人Bの証言。そして、控訴人
らの指摘する甲第三九ないし四三号証、第四四号証の一、二、第四五ないし第四七号
証、第四八号証の四、第五〇号証によっても、右認定が左右されるものとは考えられ
ない。。)
8控訴人市川瓦斯は、前記違法状態の解消後も、その申請に係る地点について、昭和
五九年一〇月、昭和六〇年二月と順次導管を延長し、本件申請時点においては、内径
八〇ミリメートルの導管延長四〇二メートル、内径五〇ミリメートルの導管延長七六
メートル、総延長四七八メートルの導管網を敷設していた。
また、控訴人末吉は、控訴人市川瓦斯から譲渡を受けたことにより、本件申請時点
において、内径一〇〇ミリメートルの導管延長三一六メートル、内径八〇ミリメート
、、ルの導管延長七四〇メートル内径五〇ミリメートルの導管延長一四二・五メートル
総延長一一九八・五メートルの導管網を有していた。
これらの導管網により、控訴人市川瓦斯は、同社の本件供給地点のうち六九地点に
導管により液化石油ガスを供給し、その余の二五地点についてはガスボンベによって
同ガスを供給している。また、控訴人末吉は、同社の本件供給地点のうち六九地点に
導管により液化石油ガスを供給し、その余の九地点についてガスボンベによって同ガ
スを供給している。そして、本件各申請が許可された場合には、両社とも、既存の導
管と現在ガスボンベで供給している地点とを供給管で連結すれば足り、それ以上に新
たな導管を敷設する必要はない。
9そして、本件各申請の時点において、控訴人市川瓦斯の敷設した導管四七八メート
ルのうち少なくとも約六割、また、控訴人末吉の敷設した導管一一九八・五メートル
のうち少なくとも約八割は、京葉瓦斯の導管と同じ道路の下に並行して敷設されてい
る。このような二重配管のうち大部分は、控訴人らの導管が既に敷設してあるところ
に京葉瓦斯が並行して導管を敷設したために生じたものであるが、一部は、京葉ガス
の導管が既に敷設されているところに控訴人らが並行して導管を敷設したために生じ
たものである。
10以上の導管敷設状況を総合してみると、本件供給地点ないしその近傍にガスの供
給を可能にする導管を先に敷設したのは概ね控訴人市川瓦斯であるが、一部は先に京
葉瓦斯が敷設したところもあり、本件地区全体でみると、消費者にガスの供給を可能
。、、にする導管を最初に敷設したのは京葉瓦斯であるそして本件供給地点については
昭和五〇年七月に控訴人市川瓦斯が導管の敷設を開始し、その後、控訴人らと京葉瓦
斯とが競合しつつ導管を延長してきた結果、本件各申請時には、控訴人らと京葉瓦斯
のいずれも、本件供給地点のすべてについてガスを供給することが可能な導管網を有
するに至ったものということができる。
控訴人らは、控訴人らが導管網を敷設した後になって、京葉瓦斯が重複的に導管の
敷設をしたと主張するが、これを全面的には肯認することができない(また、京葉瓦
斯の昭和五九、六〇年の導管敷設については、昭和五六年に予定されたものが前記の
事情で遅れてなされたものである。。)
三本件各申請の法三七条の四第一項四号への適合性について
本件各申請が法三七条の四第一項三号に適合するか否かの判断を惜いて、本件各申請
が同項四号に適合するかどうかについて検討する。
1法によるガス事業の規制
法の目的、一般ガス事業と簡易ガス事業の特性、液石法による小規模導管供給事業
の規制とその内容、及び一般ガス事業と簡易ガス事業の調整については、概ね原判決
事実摘示の被控訴人の主張1(一)の(1)及び(2)のとおりである。
控訴人らの指摘するように、法は、簡易ガス事業の成立を非市街地に限定していな
いけれども、一般ガス事業と簡易ガス事業のそれぞれの特性にかんがみると、法は、
一般的には、市街地ないし市街地化の予想される地域については一般ガス事業を予定
し、一般ガス事業の導管網によっては需要に即応することの困難な地域に簡易ガス事
業がガスを供給することを予定しているものと考えられ、このことは、法改正に関す
る国会審議でも同様の立法趣旨が説明されているところであり(乙第一六、一七、二
一号証、法三七条の四第一項三号及び四号の規定からも右趣旨を読み取ることがで)
きる。
また、弁論の全趣旨によると、市街地においても、一般ガスの供給が不十分な段階
でガスボンベによる液化石油ガスの供給事業が行われ、それが次第に発展して、簡易
ガス事業となった事例があることがうかがわれるが、法の趣旨が前記のとおりである
ことは否定できない。
2法三七条の四第一項四号の趣旨
ガス事業は、導管により使用者にガスを供給する事業であり、ガス発生設備、導管
等を要する装置産業として、総資産中に固定資産の占める比率の大きい事業であるこ
とは公知の事実である。したがって、一般的には、同一地域において複数のガス事業
者が併存することは、重複投資、過剰投資の弊害を発生させることとなり、国民経済
的にみて多大の損失となり、事業の安定的発展を阻害するおそれもあり、当該地域の
消費者の利益にも合致せず、ガス事業の健全な発展を図るという法の目的を達成でき
ないこととなりかねないところである。
このことは、一般ガス事業者の供給区域内で簡易ガス事業が営まれる場合も基本的
には同様であるが、一般ガスの供給区域内であっても、一般ガス事業者の導管が普及
していない地域が存在する場合には、その地域において簡易ガス事業を許可すること
、、によりガス供給の需要に即応することが消費者の利益に資することもあるので法は
一般ガス事業者の供給区域内において簡易ガス事業が許可される場合のあることを認
めた上で、法三七条の四第一項四号において、簡易ガス事業の開始によりその供給地
点についてガス工作物が著しく過剰とならないことを許可の要件として、一般ガス事
業と簡易ガス事業の調整を図っているものと解される。
このような法の趣旨に照らすと、同号によりガス工作物が著しく過剰となると判断
されるのは、申請に係る簡易ガス事業の供給地点の相当部分についてガス工作物が重
複投資となる場合、すなわち、簡易ガス事業の許可申請の時点において、一般ガス事
業者が申請に係る供給地点の相当部分について、既にガスを供給し、若しくは需要に
即応できる導管を既に敷接している場合であるか、又はそのような導管を敷接してい
。、、ると同視しうる場合であると解されるそしてこれを若干具体的に考えるとすれば
概ね原判決事実摘示に係る被控訴人の主張1の(二)の(3)の(1)のアないしウ
のようなものであると考えることができる。
3そこで、このような観点から、本件各申請について検討する。
(一)京葉瓦斯の導管の敷設状況は、前記認定のとおりであり、少なくとも本件各
申請の時点においては、本件各申請に係るすべての供給地点についてガス供給の申
込みがあれば、これに即応してガスを供給することが可能な導管網を敷設していた
ことが認められる。したがって、このような状況において、本件各申請に係る簡易
ガス事業が開始されれば、特段の事情のない限り、これにより、その供給地点につ
いてガス工作物が著しく過剰となるというべきである。
(二)この点につき、控訴人らは、京葉瓦斯の導管は、その供給圧力が低く、消費
、。者から苦情が出たこともあって申込みに即応できるものではなかったと主張する
しかしながら、前記認定のとおり、本件各申請の時点において、本件供給地点付
近の京葉瓦斯の供給圧力が特段に低いもので、利用できないものであったとは認め
られない。
(三)また、控訴人らは、京葉瓦斯は本件地区について長期間にわたってガス供給
の即応態勢をとらず、控訴人らが導管網を敷設した後に重複的に導管を敷設したの
であるから、被控訴人が二重投資を問題にするのであれば、むしろ、本件地区を京
葉瓦斯の供給区域から削除して、京葉瓦斯の時機に遅れた導管敷設を許すべきでな
かったと主張する。
しかしながら、前記認定のとおり、控訴人らが導管網を敷設した後になって、京
葉瓦斯が重複的に導管の敷設をしたという控訴人らの主張は、これを全面的には肯
認することができないのであるから、被控訴人が本件地区を京葉瓦斯の供給区域か
ら削除すべきであったとは必ずしもいえないのであって、控訴人らの右主張は採用
できない(そして、前記認定のように、控訴人らは、被控訴人が昭和五二年に地方
ガス事業調整協議会の承認を得て定めた処理方針のメルクマールに合致しない形
で、導管を敷設してきたものであり、他方、京葉瓦斯は、両社の調整を図ろうとす
る被控訴人に指導に従って、導管の敷設を留保してきたとのいきさつがあるもので
ある。。)
4いわゆる「せり上り」について
、、「」、次に控訴人らは本件各申請はいわゆるせり上りによる許可申請であるから
原則として簡易ガス事業の許可を与えるべきであり、また、本件各申請が許可されて
も、控訴人らは既存の導管等の設備をそのまま利用するにすぎず、ガス工作物の実体
の総量はほとんど変わらないから、全く新たに簡易ガス事業を営む場合と同一視すべ
きではなく、ガス工作物が著しく過剰にはならないと主張する。
液化石油ガス小規模導管供給事業については、液石法が適用される。液石法は、保
安の確保及び取引の適正化という観点から規制を加えるものであり、いわゆる公益事
業規制を目的としていない。これに対し、法は、液石法の適用を受ける右小規模導管
供給事業のうち、一の団地内におけるガスの供給地点の数が七〇以上のものを簡易ガ
ス事業とし(法二条三項、同事業について一般ガス事業に準じる各種の公益事業規)
制を加えている(法三七条の二、三七条の七。これは、小規模導管供給事業であっ)
ても、供給地点の数が一定数以上の規模のものである場合には、ガス使用者の利益を
保護し、事業の健全な発達を図るとともに、公共の安全を確保するという公益上の要
請が強くなるところから、液石法による規制のほかに公益事業としての規制に服せし
めることとし、その適用対象となる事業の規模を供給地点数七〇以上のものと法定し
たものである。
このような建前からすると、法は、三七条の四第一項四号の要件に関しても、設備
の過剰投資による弊害が無視できない供給地点数の最小限度を七〇とし、供給地点数
が七〇未満の小規模導管供給事業にとどまる限りは、一般ガス事業のガス工作物との
間に二重投資が生じても、それを放任し、そこまでは規制を加えないとの立場に立っ
ていると解される。そうであるとすれば、小規模導管供給事業の供給地点数がせり上
りにより七〇を超えることになる場合でも、そのときに初めてその状態でガス工作物
が過剰にならないかどうかという公益事業適格性が客観的に判断されるのであり、そ
の判断に当たって、せり上りであることが諸般の事情の一として斟酌されることはあ
りうるとしても、それ以上に、小規模導管供給事業としての既設工作物を利用できる
から、過剰性は問題にならないとか、あるいは原則として申請を許可すべきであると
いうことはできない。
せり上りの場合に、ガス工作物の過剰性を問題とする余地がなく、原則として許可
すべきであるということになれば、法三七条の四第一項四号の規定が無意味となるば
かりでなく、とりあえず六九地点まで小規模導管で供給しておいて、次に一点を追加
することにより容易に簡易ガス事業を行うことができることになるから、この方法を
、、各所で繰り返すことによって一般ガス事業の導管網が敷設されている地区において
簡易ガス事業の導管が重複して敷設されることとなり、公益的見地からガス工作物の
過剰となるのを避けようとする法の趣旨を没却することとなる。
また、控訴人らは、主張の根拠として、昭和五六年一一月三〇日付け五六公ガ事第
一九号資源エネルギー庁公益事業部ガス事業課長通達「公益事業部長通達(五六資公
部第二〇七号)に関連する簡易ガス事業関係案件の処理について(乙第一三号証の」
一)を挙げるが、同通達は、一般ガス事業の供給区域内において無許可で簡易ガス事
業に該当する事業を営んでいるなどの違法行為に対する具体的措置を定めるととも
に、その一部で「一般ガスの既供給区域内での液化石油ガス小規模導管供給事業か、
らのせり上りについては、それが故意の未申請で消費者に大きな不利益を与えたこと
が明白なもの及び消費者の一般ガスへの転換希望が明確なもの以外のケースの中に
は、周辺の一般ガス事業の導管の状況や消費者の意向を勘案すれば簡易ガス事業とし
ての許可を与え、むしろガス事業法による公益事業規制を受けさせる方向で指導して
もよい場合があるものと考えられる」としたものであり、せり上りの場合に諸般の。
事情を考慮して許可を与えてもよい事例があるとしたにとどまるものであって、せり
上りの場合にすべて又は原則として許可すべきであるとしたものでないことは明らか
である。
そして、さきに認定した本件の事実関係のもとでは、本件各申請がせり上りによる
ものであることを斟酌してもなお、ガス工作物が著しく過剰となる場合に該当し、許
可すべき事例でないとした被控訴人の判断を不合理とすることはできない。
5控訴人らは、また、以上のような法三七条の四第一項四号適合性の判断は、消費者
の選択の自由を損なうことになると主張するところ、公益的見地からガス工作物が著
しく過剰となる小規模導管供給事業に簡易ガス事業としての許可を与えないことが消
費者の選択の自由を害することになるとは到底解されない。また、本件各申請が許可
されなくても、供給地点七〇を超えない範囲内で従来どおり小規模導管供給事業を営
むことは何ら禁止されるものではない。
6以上のとおり、本件各申請は、法三七条の四第一項四号の定める許可の基準に適合
しないものといわざるをえない。
四本件各処分の手続的適法性について
当裁判所も、本件各処分のうち控訴人末吉に対するものに同控訴人主張の手続的違法
はないと判断する。その理由は、原判決理由四項に説示のとおりである。
五本件各処分の合憲性について
当裁判所も、本件各処分が憲法一四条一項及び二二条一項に違反するものではないと
判断する。その理由は、原判決理由五項に説示のとおりである。なお、法三七条の四第
一項四号を前記のように解釈しても、憲法二二条一項あるいは憲法一四条に反するもの
とは解されない。
六結論
以上のとおり、本件各処分に違法の点は認められないから、本件各処分の取消しを求
める控訴人らの請求は失当である。
よって、原判決は正当であり、控訴人らの本件各控訴は理由がないから、これを棄却
することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官佐藤繁岩井俊坂井満)

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