弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人A、同A1を各懲役八月に、被告人A3を懲役四月に処する。
     ただし、被告人三名に対し本裁判確定の日より各二年間右刑の執行を猶
予する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、検察官提出の佐賀地方検察庁検察官検事伊津野政弘名義の控
訴趣意書に記載されたとおりであり、これに対する答弁は、弁護人谷川宮太郎、同
斉藤鳩彦連名の答弁書に記載されたとおりであるから、いずれもここにこれを引用
する。
 これに対する当裁判所の判断は、次のとおりである。
 第一節 被告人A、同A1に対する威力業務妨害被告事件関係
 所論は、要するに、原判決は、被告人A、同A1に対する本件威力業務妨害の公
訴事実に対し、右被告人両名が動労組合員数百名と共に急行列車「B」号前方軌条
の枕木の付近(いわゆる車両接触限界内)に線路に沿つてスクラムを組んで立ちふ
さがり、同列車の発進を妨害した事実をほぼ認めたうえ、右被告人両名の右所為
は、刑法二三四条の構成要件に該当することは明らかであると判示しながら、争議
行為の本質は、単なる労務供給義務の不履行ではなく、勤労者が使用者の正常な業
務を阻害することに求めらるべきであり、勤労者の争議行為に対する刑事制裁は、
当該事案に即して、争議発生の経過、争議行為の目的、態様、影響など、諸般の事
庸を綜合的に考察し、労働組合活動に当然包含される行為のごときは、正当な争議
行為として処罰の対象とならないと解すべきであり、また、同盟罷業の実効性を確
保するため代替労務者の就労を阻止するなどの補助的手段としてのピケツテイング
は、平和的説得に限らず、ある程度の実力行使に出ることも場合によつては許され
ると解する旨の法的見解を示したうえ、本件において、労組法一条二項の適用との
関係で、特に考慮すべき諸事情が存在すると認定し、右被告人両名の本件所為は、
憲法の争議権保障の趣旨に照らして、労働組合活動に当然包含される行為にあたる
と解すべきであつて、刑法三四条所定の威力業務妨害罪の刑事罰をもつてのぞむ違
法性を欠くといわざるを得ないとして、無罪を言い渡した。しかし、原判決の右判
断は、証拠の価値判断、取捨選択を誤つて事実を誤認し、かつ、刑法二三四条、労
働組合法一条二項、刑法三五条の解釈適用を誤ったものであつて、これらがいずれ
も判決に影響を及ぼすことが明らかであるから破棄を免れない、というに帰する。
 そこで按ずるに、最高裁判所昭和四三年(あ)第八三七号、同四八年四月二五日
大法廷判決は、「勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行われた犯罪
構成要件該当行為について、刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するに当つて
は、その行為が争議行為に際して行われたものであるという事実をも含めて、当該
行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許
容されるべきものであるか否かを判断しなければならない。」と述べている。従つ
て、威力業務妨害罪の構成要件に該当する右被告人両名の本件ピケ行為の正当性の
判断は、基本となる争議行為(本件では、午后七時を基準とする二時間の勤務時間
内の職場集会)そのものの違法性の判断とは別個の問題であつて、基本となる争議
行為が可罰的違法性を欠くものであるからといつて、これに付随して行われた本件
ピケ行為が直ちにその違法性を阻却されるということはできない。本件ピケ行為の
違法性の判断は、その行為の具体的状況、その他諸般の事情を考察して、それが法
秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否か、すなわち、ピケツテイング
として相当性の範囲内にあるか否かが検討されなければならないのである。
 ところで、原判決は、ピケツテイングの許容される限界について、「争議行為の
本質は、単なる労務提供義務の不履行ではなく、勤労者が使用者の正常な業務を阻
害することに求めらる、べきであつて、それが権利として許容されるところに、生
存権的基本権としての争議権が保障されることの独自の意義があると解する。しか
し、争議権も絶対的なものではないから、制限を受けることはやむを得ないが、そ
の制限は合理性の認められる必要最少限度のものでなければならず、特に勤労者の
争議行為に対し刑事制裁を科することは、必要やむを得ない場合に限らるべきであ
る。この立場に立つて、当該事案に即して、争議行為発生の経過、争議行為の目
的、態様、影響など諸般の事情を綜合的に考察し、憲法の争議権保障の趣旨に照ら
して労働組合活動に当然に包含される行為のごときは、正当な争議行為として処罰
の対象とならないと解すべきである。」「争議行為は、労働者が集団的に就業を拒
否し使用者の業務の正常な運営を阻害することにより、使用者との労働条件その他
の交渉において実質的な対等を確保しようとする同盟罷業をその典型とするが、こ
れに対して使用者がその効果を減殺するため代替労務者を就労させ、操業を継続し
ようとする場合には、これに対抗し同盟罷業の実効性を確保するなどの補助手段と
してピケツテイングが行われる。ピケツテイングは、このように使用者の操業継続
に対する労働者の対抗手段であるから、当然にその態様は多様であり、流動的であ
つて、いわゆる平和的説得もその一つの態様であるが、それに限られず、ある程度
の実力行使に出ることも場合によつては許容されると解する。」と判示している。
 しかし、公共企業体等労働関係法(以下公労法という。)一七条一項は、公共企
業体であるB1の職員および組合が争議行為を行うことを禁止し、職員、組合の組
合員、役員は、この禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはな
らないと規定し、同法一八条は、右規定に違反した職員は、解雇されると規定して
いるのであるから、本件のB2労働組合(以下、動労という。)もその組合員も争
議行為を行つてはならない義務を負つていることはいうまでもない。そして、右一
七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、既に最高裁判所昭和三
九年(あ)第二九六号、同四一年一〇月二六日大法廷判決(刑集二〇巻八号九〇一
頁)、昭和四一年(あ)第二五七九号、同四五年九月一六日大法廷判決(刑集二四
巻一〇号一三四五頁)の判示するところてある。それ故、組合としては、組合員に
対して、公労法上違法とされ、しかも解雇等という民事責任を負わされるような同
盟罷業に参加を強制することはできない筋合であつて、組合がたとえ同盟罷業を決
議しても、それは公労法上違法であり、民間企業の組合の場合のように法的拘束力
をもつものではなく、組合員としては組合の決議、指令にかかわらず同盟罷業に参
加することなく就業する自由を有するのであつて、これに参加を促がす勧誘、説得
を受忍すべき義務はないのである。従つて、組合の決議や本部指令に従わないで就
業しようとする組合員に対し、同盟罷業に参加するよう平和的に勧誘し又は説得す
ることは、公労法上の評価はとも角刑事法上の観点からは、ピケツテイングとして
相当な範囲内のものということができるが、その程度を越え実力又はこれに準ずる
方法で説得拒否の自由を与えず組合員の就業を阻止することは、他にこれを相当な
らしめる特段の事由の存在しない限り、相当な限度を越えるものとして許されない
といわなければならない。そしてピケツテイングが右の相当な程度を越えた場合に
おいては、既に労働組合法一条二項にいわゆる「正当なもの」ということはでき
ず、その行為が刑法二三四条の構成要件に該当する限り、違法性を阻却せず可罰的
違法性を有するといわなければならない。
 してみれば、原判決が同盟罷業の実効性確保を理由として、右の特段の事由の有
無にかかわらず、一般的に実力の行使によるピケツテイングを是認し、また、原判
示C機関士が動労組合員であるから本件職場集会に参加すべき義務があつたと判示
したのは、動労のように公労法の適用を受ける公共企業体の組合に関する限り正当
ではなく、原判決は、既にこの点において、公労法ならびに労働組合法一条二項の
解釈適用を誤つたものといわなければならない。
 そこで、以上の見解を前提として本件ピケ行為の正当性について検討を加える。
 まず、本件ピケ行為の背景をなす基本たる争議行為の違法性の点についてみる
と、本件職場集会は、昭和三八年一二月五日付本部指令一八号(記録七冊、三一七
八丁)に基づき、午后七時を基準とする勤務時間内二時間の職場集会であつて、全
国七箇所の拠点において一斉に行うというのであり、かかる職場集会への参加は、
組合の要求達成の一手段として組合員が勤務時間中に一斉に職場を離脱しその間集
団的に労務の提供を停止するのであるから、まさしく同盟罷業の一種であることは
疑問の余地がなく、また、その同盟罷業の時間は二時間という比較的短いものてあ
るとはいえ、B1の輸送業務が今日の国民生活に必要欠くべからざるものてあつ
て、公共性が極めて強く、その僅かの遅延ても取り返えしのつかぬ損失を与える場
合があり、その業務の停廃は国民生活に重大な障害をもたらすおそれがあること、
しかもそれがB1の主要幹線の七拠点において一斉に行われることを考えると、右
の二時間の同盟罷業は、明らかに公労法一七条一項の禁止する争議行為に当たり、
公労法上違法なものであるといわざるを得ない。従つて、右の争議行為に際して、
これを実効あらしめるために行われるピケツテイングは、他に特段の事由の存在し
ない限り、平和的な勧誘、説得の程度を超えて実力又はこれに準ずる方法を用いて
組合員などの就業を阻止することは許されない、といわねばならない。
 この点に関し、原判決は、労働組合法一条二項の適用との関係で、特に考慮すべ
き事情の一として、「本件職場集会は、B1当局に対する安全輸送対策の確立及び
検修合理化計画撤回要求を中心とする、動労組合員の労働条件改善などを目的とし
た動労の全国的争議の一環として行なわれたのであり、もとよりその目的において
違法なものということはできないのみならず、本件争議に至つた経過においても、
動労側に信義則違反などとして非難すへき状況があつたことをうかがわせるような
証拠はない。かえつて、B1当局において前記(第二、一、2)のように、「B1
近代化等に伴う事前協議に関する協定」の趣旨に反し、動労との意見の一致をみな
いうちに、D、D1、D2等で、車検答申案を具体化するなど誠実さに欠け、動労
を本件争議のような形での実力行使にいわば追い込んでしまつたとの批判を受けて
も止むを得ないと思われる事情が存する。」と判示している。
 しかしながら、仮りに、原判決がいうように、同鉄当局に不誠実な背信的行為が
あつたとしても、それは、基本たる争議行為の違法性を軽減する事由とはなり得て
も、それに付随して行われたピケツテイングの違法性が同様に軽減されると即断す
ることは誤りてあつて、その態様の如何によつては刑事法上可罰的違法であること
は十分考えられるのであるから、本件においても、ピケツテイングの違法性の程度
如何は、それ自体として、また別個に諸般の事情を考慮して判定されねばならない
のである。それ故、原判決の右判示は、基本たる争議行為の違法性と本件ピケ行為
の違法性とを混同した誤りがあるといわねばならない。
 のみならず、原判決が右のようにB1当局側に不誠実な背信的行為があつたと認
定したのは、専ら弁護側証人である原審証人C1の証言およひ被告人A、同A1の
原審各供述によるものであり、かかる一方的な証拠のみによつて右のように認定し
たのは早計であるといわねばならない。却つて当審事実取調の結果によれば、必ず
しもその様に即断できないのである。すなわち、原判示の昭和三六年三月一五日付
「B1近代化等に伴う事前協議に関する協定」(当審で検察官提出)にいう「B1
近代化等を行う場合は、甲(B1)は、可及的すみやかに計画中のものを含めてそ
の内容を提示し、乙(B2労働組合)と事前に協議する。この協議は、相互の了解
をはかることを目的とする。」「近代化等に伴い労働条件に変更がある場合は、甲
は計画中のものを含めてその概要を提示し、事前に団体交渉を行い、双方意見の一
致を期するものとする。」旨の条項の解釈については、労使双方の見解が対立して
いるのであつて、組合側は、「B1の近代化等や労働条件の変更は、当局と組合の
相互の了解ないし意見の一致がなければ実施しないとの趣旨である」と主張し、当
局側は、「近代化等の実施や推進に当つていたずらな紛争を回避して円滑に進みた
いので、公労法にいう管理運営事項についても、計画中のものを含めて事前に協議
し、組合の意見は尊重するが、意見の調整が不可能であれば、当然一方的実施もあ
り得る。労働条件についても、意見の一致を見るのが望ましいが、しかし全てにつ
いて一致しなければ実施できないというのではなく、最終的に調整できなければ、
一方的実施もあり得るが、努めて意見の一致を期したい。」との趣旨であると主張
していたこと、B1当局は、原判示車両検修委員会(以下車検委という。)の答申
に基づき、昭和三八年六月に動力車基地の整理統合についての当局の方針を動労に
提示し、D1、D両機関区の整理統合についても、同年一〇月から実施の方針を提
示して、動労と事前協議を重ねていたのであるが、動労側では、頭から全面的に車
検委の方針自体の撤回基地の整理統合の廃止、車両検査修繕方式は現行通りとする
ことを主張して譲らず、右協議中に、動労は、B1当局が前記事前協議協定に違反
して一方的に基地の整理統合を行うものであるとし、自己の要求の貫徹を期して本
件争議行為に突入した形跡さえ認められること(以上は、当審証人C2、同C3に
対する各尋問調書の各供述記載と当審証人C4(第八回、第九回)の供述記載によ
り認定する。)に徴すれば、原判決が、B1当局に右協定の趣旨に反し不誠実な背
信的行為かあつたと非難したのは、正当とはいえない。
 そこで、さらに進んで本件ピケ行為の態様について検討する。
 原判決が、「本件争議行為にいたる経緯」「本件争議行為の内容」において掲げ
る各証拠および当審事実取調の結果を合わせ考えると、次の事実が認められる。
 (1) 動労は、昭和三八年六月第一四回定期大会において、B1当局に対し、
安全輸送対策の確立及び車両検査修繕の合理化計画の修正・阻止を求めるための斗
争体制の確立に努力することを確認し、次いで同年一〇月第四〇回中央委員会にお
いて決定された斗争方針に従つて、B1当局に申入れを行い団体交渉を行つてきた
が、妥結の見通しがたたないまま、同年一一月二六日全国組織部長会議を開き、斗
争目標を、(イ)安全輸送の根本的な対策の確立等、(ロ)車検委の方針の撤回、
動力車基地廃止反対と組合要求の協定化、(ハ)週四二時間の時短実施、(ニ)年
末手当昇給新賃金の獲得、(ホ)給与並びに労働条件諸懸案事項の解決、とするこ
とを確認すると共に、同年一二月一三日前後及び二〇日前後に二時間の勤務時間内
職場集会を実施することを決定し、次いで同年一二月三日中央執行委員会を開き、
同月一三日午后七時を基準とする二時間の職場集会を実施すること、参加対象者
は、当日指定箇所の実施時間帯に出勤し又は勤務中の動力車乗務員及び非乗務員と
すること、指定個所は、函館、盛岡、D、D1、稲沢第二、D2、鳥栖の各駅とす
ること、実施方法の細部については、動労中央本部から派遣する中央執行委員が其
体的に現地で指示することとする、等を決定し、同月五日付でその旨の本部指令一
八号を発すると共に、同月一一日から同月一三日にわたりB1当局との間で団体交
渉を行つたが、二二日夕刻交渉は一時決裂した。
 被告人Aは、当時動労の中央執行委員で動労本部から鳥栖駅の斗争責任者として
派遣され、現地到着後、同月一二日午后四時四〇分ころ鳥栖機関区長に対し、翌一
三日午后七時から二時間職場集会を実施する旨通告した。
 (2) 一方B1B3(以下B3という。)は、動労が同月一三日鳥栖駅で二時
間の勤務時間内職場集会を実施する旨の情報に接し、その対策を検討した結果、管
理局長名をもつて同月一〇日B4地方本部執行委員長に対し、右集会は、違法であ
るから、直ちに計画を中止するよう申入れ(昭和四五年当庁押第五〇号の符の四)
ると共に、機関車乗務員が勤務につかない場合に備え、管内から二六名の指導機関
士を集め、これを業務命令て代替乗務員として鳥栖駅に出張させること、鳥栖駅に
現地対策本部を設置して本部長にB3運輸部長C6をあてること、動労組合員のピ
ケによる列車の運行妨害その他正常な運行が阻害される不測の事態に対処するた
め、鳥栖公安室長C5を指揮者とする鉄道公安職員合計約二〇〇名を動員し、警備
に当らせること等を決定した。
 現地対策本部長のC6は、一三日の当日現地に赴き、事前対策を協議し、午后六
時頃鉄道公安職員約二〇〇名を警備のため鳥栖駅構内数ケ所に配置させたが、その
頃には、後記のように、動労組合員約七〇〇名か同駅機関区事務所前広場に集合し
ている旨の情報に接し、数においては約二〇〇名の公安職員では到底及ばないの
で、C6本部長において、佐賀県警察本部に警察官の出動を要請した。
 (3) 午后五時四〇分ころ鳥栖駅構内機関区事務所前広場において、動労B4
地方本部をはじめ動労西部地方評議会傘下の能本、大分、鹿児島、広島各地方本部
から集まつた合計約七二〇名の動労組合員らによるいわゆる決起集会が開かれた。
被告人Aが右組合員らに対し当局との交渉経過を報告して演説し、動労西部地方評
議会議長である被告人A1が、今後の行動の指示を与え、次いで右組合員らは五つ
の行動隊に編成され、それぞれ責任者の指揮によつて午后六時二〇分ころ配置につ
いた。
 その配置については、原判決は故意に認定を避けているが、その配置についた場
所と人数は、原審証人C7の証言(記録二冊六六一丁以下)によれば、次のとおり
である。
 第一行動隊  約一二〇名  東出区線
 第二行動隊  約二〇〇名  機留線
  行動隊責任者は、動労B4支部執行委員長A2である。
 第三行動隊  約二〇〇名  第一ホーム
 第四行動隊  約一〇〇名  第二ホーム
  行動隊責任者は、被告人A1である。
 第五行動隊  約一〇〇名  第三ホーム
 そしてピケ隊員の服装は、大部分がアノラツクを着てタオルやマスクで覆面して
いた。
 (4) 長崎本線の上り列車は、蒸気機関車を牽引車として進行してくるが、鳥
栖駅において電気機関車と取り替えられて発車する列車が多く、その時には蒸気機
関車(以下、着機という。)の客車からのとりはずしと、電気機関車(以下、発機
という。)の客車への連結作業が行われることになつていた。後述の「B5」号、
「B」号も同様である。
 (5) A2が指揮する第二行動隊約二〇〇名は、同日午后七時二二分着、午后
七時三〇分発の上り急行、第二〇六列車「B」(長崎発京都行き)の発機が留置さ
れている同駅機留線に至つて数列となり、その最前列が右発機の進路前方軌条の両
外側枕木付近(いわゆる車両接触限界内)に、スクラムを組んで向い合つて立ち並
び、全員が労働歌を唱和したりして気勢をあげた。
 C6対策本部長は、前述のように多数の動労組合員が駅構内に立入つたこと、午
后七時から九時までに勤務すべき機関車乗務員が動労側によつて市内某所の旅館に
軟禁されていること、およひ前記「B」号を運転すべき機関車乗務員が当日出勤し
ていない旨の報告を受けるや、前述二六名の代替乗務員の一人であるC機関士(B
4機関区所属の指導機関士であるが、動労組合員である。)に対し、右発機を運転
するよう命令し、自己が先頭に立つて、同機関士が動労組合員らによつて連れ去ら
れないように、数十名の鉄道公安職員に擁護させながら同機関士を誘導し、「B」
号発機に乗車させた。
 右乗車は、スムーズに行われトラブルはなかつた。右公安職員らは、そのまま右
発機周辺の警備に当つた。被告人Aと右A2らは、C6に対し、乗務したのは正規
の乗務員であるか否かを問い、また、安全運転確保のため通常出区に際し当務機関
士が行う出区点検をC機関士に行わせること、警察官を労働争議に介入させるな、
もし介入させると覚悟がある等と申し入れた。そして、第一ホームからかけつけた
第三行動隊の一部約一〇〇名も、第二行動隊に加わり、合計約三〇〇名が、前記の
ように、「B」号発機進路前方軌条の両外側枕木付近に向い合つてスクラムを組み
気勢を上げた。これに対し、当局側は、C6や向駅首席助役らが、再三にわたつて
組合員らに対し退去要求を行ない、もし応じなければ実力で排除する旨通告し、午
后六時五〇分ころ首席助役か被告人Aに対し、口頭で、さらに午后七時過ころには
文書で申入れたが、被告人Aはこれを受取らないし、組合負らは全くこれに応じな
かつた。
 (6) 右状態が継続している中に、午后七時二〇分ころ、定刻より一〇分遅れ
て上り急行第二一〇旅客列車「B5」号が第一ホームの上り一番線に到着した。す
ると、第二ホームにいた被告人A1を指揮者とする第四行動隊約一〇〇名は、ホー
ムから線路に降り線路を横切つて、「B5」号着機の進路前方や第一ホームの着機
東側面、第一ホームと反対側の着機西側面に移動した。それと共に、「B」号発機
の機留線にいた労組員の一部が、「B5」号着機の進路前方に移動した。そして、
「B5」号着機の西側面には労組員二、三〇名位が着機に極く接近して着機の方を
向いて数列に立ち並び、第一ホーム上の着機東側面の組合員らとともに、ワツシヨ
イ、ワツシヨイのかけ声をあげたり、労働歌を唱和し、右着機進路前方に移動した
組合員約二〇〇名位は、二重、三重となり、その最前列が軌条両外側枕木付近に向
い合つてスクラムを組み、全員で気勢をあげた。
 右着機は、客車から切り離され、発機を連結する作業が直ちに行われ、到着後六
分間内に作業終了の予定のところ、右着機の解放が手間どつているのを、機留線の
「B」号発機付近で見ていたC6対策本部長は、右着機周辺のピケの組合員らが解
放作業を妨害しているためだと判断し、鳥栖鉄道公安室長C5に対し、右組合員ら
を実力によつて排除するよう命じた。C5公安室長は、鉄道公安職員約四〇名を引
率して右着機西側面に至り、ピケ隊員から四、五米手前付近に位置し、このままで
はピケ隊員が車両の接触限界内にいるので着機の発進は危険で不可能であつたか
ら、携帯拡声機でピケの組合員らに対し、鉄道地外に退去するよう勧告し、これに
応じないときは実力で排除する旨警告し、これを三回位くり返した。C8副公安室
長も携帯拡声機で同様に警告を行つた。しかしピケの組合員らは、これに応じなか
つたので、C5公安室長は、あとから加つた者も含め合計百数十名の鉄道公安職員
に対し、午后七時二八分ころ実力による排除を命じた。そのため、鉄道公安職員は
着機の後方炭水車付近から着機の進路方向へ、実力排除を開始した。その実力排除
というのは、着機西側面に着機に接近して立ち並ぶピケ隊員を着機より離し、ま
た、着機の前方に線路内を向いて軌条両外側の枕木付近にスクラムを組んでいたピ
ケ隊員に対しては、線路内側から、着機が安全に通行できる車両接触限界外にま
で、軌条から約一米位両手などで押し下げ、さらに組合員らが右限界内に近づかな
いよう線路に沿つて並んだ(いわゆる逆ピケ)。右排除には応援に出動していた警
察官もその後から加わつた。(この排除に際して、後記第二節の被告人A3に関す
る事件が発生した。)
 「B5」号着機を運転してきたC9機関士(動労組合員)は、鳥栖駅到着直後、
運転室に乗り込んできた被告人A1から、「斗争に協力して着機から降りてほし
い、もし下車できないなら、しばらく着機を動かさないでほしい」旨要請され、一
時はこれに従う気持になつて、逆転器を中央に反転するなど長時間停止するための
操作を行つたりなどしたか、その後運転室に乗り込んできた助役から発車を何回も
指示されたので、考えを改め、前記のように、ピケ隊員が鉄道公安職員らによつて
排除されるや、客車から切り離されていた着機を発進させて機関区に入区し、これ
に代つて、代替乗務員の運転する「B5」号の発機が客車に連結され、「B5」号
は、午后七時三三分に、三分増延し定刻より二三分遅れて発車した。
 (7) 「B5」号が発車すると、鉄道公安職員らによつて排除されたピケ隊員
の一部が、「B」号発機の機留線に戻り、残留していたピケ隊員と再び合流し、約
三〇〇名となつた。
 C6対策本部長は、定刻午后七時二二分着の上り急行列車「B」号が、定刻より
遅れてはいるが、その到着の時間が切迫し、「B」号発機を機留線から引上げる必
要があるのに、ピケ隊員が前記のような状況で、しかも当局側の再三の退去要求、
実力排除の警告にも拘らず退去しないため、午后七時四〇分ころ、鉄道公安職員に
対しこれが実力排除を命じた。鉄道公安職員は前記(6)と同様に、軌条両外側の
枕木付近にスクラムを組んで立ち並ぶピケ隊員に対し、線路内側から、発機が安全
に通行できる車両接触限界外にまで押し下げ、さらに、ピケ隊員が右限界内に近づ
かないように線路に沿うて逆ピケを張つた。この排除には、警察官も加わつた。
 かくてようやく、C機関士は、「B」号発機を運転し機留線から引上げることか
できた。
 (8) 「B」号は、「B5」号の増延のため定刻より約三〇分遅れて、午后七
時五二分ころ、第一ホームの上り一番線に到着した。
 すると、被告人Aらは、「B」号着機の運転室に乗り込み、C10機関士外二名
の機関助士がいずれも動労組合員であることを確かめたうえ、直ちに下車して職場
集会に参加するよう説得したところ、C10機関士ら三名はこれに応じ、直ちに着
機より第一ホームに降り、約四、五米歩いて同所にいた第三行動隊員の群れの中に
しやがみこみ、第三行動隊員は、これを楕円形状に取り囲んで気勢をあげた。
 C6対策本部長は、急を聞いて第一ホームにかけつけ、C5公安室長に対し、ピ
ケ隊を排除しC10機関士らを取り戻すよう指示したので、C5公安室長は、ピケ
隊員に「乗務員を出しなさい、出さないと実力行使をする」旨警告したが、これに
応じないので、その指示により公安職員約六〇名が右ピケ隊員を博多駅寄りと久留
米駅寄りの双方に実力で分散させた。これにも後から警察官の一部が応援に加わつ
た。すると、ピケ隊が分散させられた後にC10機関士と機関助士一名は、ポツン
とホーム上に取り残されていた。公安職員は、これを発見し、右両名の両脇をかか
えるようにして着機に乗せ、その乗降口付近や着機周辺の警備に当つた。間もな
く、着機は客車から切り離され機関区に入り、これに代つてC機関士の運転する発
機が午后八時一七、八分頃ころ客車に連結された。
 (9) すると、第三行動隊約二〇〇名は、責任者の指示により、第一ホームか
ら「B」号の進路に当たる一番線の博多駅方向へ移動し、機留線から移動してきた
第二行動隊約二〇〇名とも合流して、午后八時二三分ころ、前記と同様軌条の両外
側枕木の付近にスクラムを組んで向い合つて立ち並んだ。その後、被告人Aの要請
により、被告人A1が「Bの発車を止めろ」と叫んで指示したので、第四行動隊約
一〇〇名が第二ホームからかけつけ、右第二、第三行動隊に合流し更に博多駅寄り
に、同様軌条両外側の枕木付近にスクラムを組んで向い合つて立ち並んだ。そして
これらのピケ隊員は、ワツシヨイワツシヨイとかけ声をあげたり、労働歌を唱和
し、時には大波が打つた様に身体を前方に傾けた。かくて、これらのピケ隊員は、
車両接触限界内に立ち並び、そのため「B」号の発車は、客観的にも危険で不可能
な状態であつた。これに対し、当局側は、携帯拡声機により再三ピケの撤去要求と
実力排除を警告したが、ピケ隊はこれに応じなかつたので、C6対策本部長は、C
5公安室長に実力排除を命じ、同公安室長の指示により公安職員は、午后八時二五
分ごろ実力排除を開始した。この排除には警察官も加わつた。その排除の方法は、
前記「B5」号着機や機留線における「B」号発機の場合と同様であつた。
 これに対し、被告人Aは「突込め。押しつぶせ。お前達田舎の警官は早く帰れ。
俺は東京の警視庁の機動隊を相手にしたAだ。」などと叫んでピケ隊員を指揮激励
したので、ピケ隊員は、これに従い、排除に当つた公安職員や警察官らを押し返す
などして抵抗した。しかし順次排除がなされたので、午后八時二八分ごろ「B」号
は、発車合図に従い警笛を二、三回鳴らした後、公安職員らの逆ピケの中を最徐行
で発車し数十米進行した。ところが、排除されたピケ隊員らが、さらに博多駅寄り
に移動して公安職員の逆ピケのない地点に再び前同様にスクラムを組んだため、
「B」号は停車した。公安職員らは、再びこれを前同様実力排除したので、「B」
号は約三、四分停車した後、午后八時三二分頃再び再徐行で発車し、次第に速度を
あげて鳥栖駅構内を出て行つた。
 その結果「B」号は、同駅では、約三二分増延し、定刻より約六二分発車が遅れ
た。
 以上の事実か認められる。原判決中右認定に反する認定は誤りである。
 <要旨>以上認定のような、本件起訴の対象となつた、被告人A、同A1ら動労組
合員数百名の多数が一番線の「B」号の進路前方軌条両外側の枕木付近(い
わゆる車両接触限界内)に線路に沿つてスクラムを組んで立ち並んだ本件ピケ行為
は、原判決がいうように、被告人Aら組合役員が、C機関士を職場集会に参加する
よう説得し、他の組合員らがこれを激励するというに止まるものではなく、それは
客観的に見ても「B」号の発車を妨害するものであつて、代替乗務員であるC機関
士に説得を拒否する自由を与えず、その受忍を余儀なくさせるものであつて、いわ
ゆる平和的説得のための相当性の範囲を超えており、多数の威力を示して実力によ
り「B」号の発車を妨害したものに外ならず、刑法二三四条の威力業務妨害罪の客
観的構成要件に該当することが明らかである。このことは、たとえ、それが、原判
決のいうように、C機関士に対する説得活動をB1当局側により妨害されたことに
抗議し、あわせて、さらに右説得活動を要求する目的に出でたものであるとしても
何ら異なるところはない。原判決が、被告人両名の右所為は、威力を用いてB1の
列車運行業務を妨害したものであり、刑法二三四条の構成要件に該当することが明
らかであると判示したのは、その限りにおいては正当である。
 しかるに、原判決は、「C機関士が鉄道公安職員らに擁護されながら機留線に留
置されていた「B」号発機に乗り込んでから、右発機が客車に連結され発車するに
至るまで、終始鉄道公安職員や警察官らが、被告人Aら動労役員が同機関士に対し
て説得活動を行うことを、実力を用いて先制的に妨害阻止しており、B1当局側が
右説得の機会を実力を用いて奪つたことは不当である。現に、「B」号着機のC1
0機関士ら三名の乗務員は、被告人Aの説得に従い右着機から降り、「B5」号着
機のC9機関士および五四六列車のC11機関士は、いずれも被告人A1の説得を
入れ、下車こそしなかつたが、できる限り指令の趣旨に従つて行動しているのであ
り、C機関士自身動労組合員としての立場上組合側からの説得の機会があれば、で
きうる限り協力する気持はあつたので、その説得には耳を傾ける気持はあつたと認
められることなどにかんがみると、同機関士が被告人Aら動労組合員の説得に応ず
ることは充分期待されたはずである。」「また、被告人Aの説得に従つて下車し、
第一ホ―ムの第三行動隊の組合員らに合流した「B」号着機のC10機関士ら乗務
員を、鉄道公安職員らの実力行使により奪還し、あるいは「B5」号着機西側面
で、C9機関士を激励し正当な団体行動を行つていた第四行動隊の組合員らを、や
はり鉄道公安職員らの実力行使によつて排除するなど、B1当局側は積極的に実力
を用いて同盟罷業の効果の減殺をはかつた。」「右のような状況の下では、被告人
A、同A1ら動労組合員が、「B」号進路前方での本件ピケ行為に出ることは、同
盟罷業の実効性を消極的、受働的に防衛するためやむを得ないものであつた。」旨
判示している。
 しかしながら、公共の福祉の維持、増進のため列車の正常かつ安全な運行に責任
を有するB1当局は、組合の争議中であつてもなお業務遂行の自由を有し、まして
組合側の説得行為に協力し、これを技手傍観すべき義務を負うものでないことは明
らかであり、代替乗務員を確保し業務を遂行することは、正当であり、その正当性
は、B1の鉄道業務の公共性にかんがみれば特に強調されなければならない。そし
て、鉄道公安職員が鉄道営業法四二条一項にいう鉄道係員として、同項三号三七条
の「公衆が鉄道地内にみだりに立ち入つたとき」には、すみやかにB1の業務運営
上の障害を除去するために、公衆を鉄道地外に退去させることができ、その際に
は、その具体的事情に応じて必要最少限度の強制力を用いることができること、ま
た、鉄道公安職員の右の職務が公務執行妨害罪の客体たる公務にあたることは、既
に昭和四三年(あ)第八三七号、同四八年四月二五日最高裁判所大法廷判決の判示
するところである。さらに、本件のように、勤務から離れた動労組合員数百名が列
車の着機、発機の発進を妨害する状態で鉄道地内に立ち入つた場合は、鉄道営業法
三七条、四二条一項三号にいう「公衆がみだりに鉄道地内に立ち入つた」場合にあ
たるというを妨げないことも、右大法廷判決の趣旨に徴し明らかである。してみれ
ば、B1当局が、本件ストに備えて代替乗務員を確保し、その一人である指導機関
士のC機関士に対し「B」号の運転を命じたのは正当であるし、また、同機関士が
動労組合員ではあるが、右業務命令に従い就業することの正当なことも、既に前述
したところである。そして、前記(3)ないし(9)で認定したような、被告人ら
動労組合員の鉄道地内である鳥栖駅構内における行動に対処するため、B1当局
が、鉄道公安職員をしてC機関士をピケ隊員によつて連れ去られないように擁護し
て機留線の「B」号発機に乗車させ、その周辺の警備に当らせたこと、さらに、前
記認定のように、「B5」号着機周辺およびその進路前方のピケ隊員に対する実力
排除、機留線から「B」号発機を引上げるための実力排除、「B」号着機のC10
機関士らの取り戻しのための実力排除、一番線の「B」号発車のための実力排除を
させたことは、いずれも列車の運行業務を維持継続するための臨機の措置としてい
ささかも不当違法のかどはないというべきである。蓋し、右実力排除と雖も、前認
定のような、その実力行使の程度、態様に照らせば、本件の具体的事情の下におい
ては、必要最少限度の強制力の範囲内に属するものと認むべきであるからである。
しかるに、原判決が、これらを目して、B1当局側は、C機関士が機留線の「B」
号発機に乗車してから、客車に連結されて一番線を発車するまでの間、同機関士に
対する説得を実力を用いて先制的に妨害阻止した不当があるとか、また、「B」号
着機のC10機関士らを実力行使により奪還したり、「B5」号着機西側面でのC
9機関士に対する激励を実力行使により排除したのは、積極的に実力を用いて同盟
罷業の効果の減殺を計つたものであると非難したのは、失当であるといわねばなら
ない。前認定のような状況の下で「B」号着機のC10機関士らが被告人Aの説得
に従い、右着機から降りたことや、「B5」号着機のC9機関士および五四六列車
のC11機関士が、被告人A1の説得を受け入れ、下車こそしなかつたが、できる
限り指令の趣旨に従つて行動したことは、当裁判所の右判断を何ら左右するに足る
ものではない。また、なるほど原審第一四回公判調書中の証人Cの供述記載によれ
ば、同証人は、自分自身動労組合員としての立場上、組合側から説得の機会があれ
ば、その説得に耳をかたむける気持はあつたと供述しているけれども、しかし右供
述部分に続いて、自分は、B4機関区所属の指導機関士であるが、本件当日動労の
ストが鳥栖駅で行われるので、列車の運行を最少限度確保するための代替要員とし
て、業務命令でB4から出張してきたものであり、組合の指揮に従うことは必要で
あるが、しかしB1職員として業務命令が優先するのでこれに従つた、自分の前の
列車(B5号のこと)が何事もなく発車したので自分の場合もそうあつてほしいと
思つていた旨供述しているし、原審第一二回公判調書中の同証人の供述記載によつ
て認められる同証人の客観的行動、すなわち、同証人が機留線の「B」号発機に乗
車してから、当局の指示に従つて発機の窓をしめたままでなるべく外を見ないよう
にしていたこと、準備点検を了した後、前認定のように発機進路前方のピケ隊員が
実力排除されるや直ちに機留線から引上げていること、「B」号着機が客車から離
されて機関区に入区するや、係員の合図に従つて一番線の客車に連結し、発車合図
に従つて警笛を二、三回鳴らし、一旦発車させたが数十米進行して一たん停車した
後再び発車した事実等に照らしてみても、C機関士が被告人Aら動労組合員の説得
に応ずることは充分期待されたはずであるとした原判決の判断は、誤りであるとい
わざるを得ない。
 ちなみに、被告人Aらが、「B」号発機の機留線において、当局側に要求した、
発機の乗務員が正規の乗務員であるか否かということや、出区点検をしたか否か
(この出区点検は、当時の状況では機関士がするのは困難なためB4機関区の助役
がしている原審第一四回公判調書中の証人C6の供述記載参照)ということは、当
局側で確認すべき事項であつて、警察官を労働争議に介入させるな、との要求と共
に組合側の説得行為の埒外の事柄であることを付言する。
 これを要するに、原判決が、被告人ら動労組合員が、本件ピケ行為に出ること
は、同盟罷業の実効性を消極的、受動的に防衛するためやむを得ないものであつた
と判断したのは、失当といわざるを得ない。
 さらに、原判決は、被告人A、同A1らの本性ピケ行為の違法性阻却の事由とし
て、本件ピケ行為により「B」号の発車をせいぜい一〇分位阻止したに過ぎないこ
と、組合員らは鉄道公安職員らの実力排除に対し消極的抵抗をしたに止まり、殴る
突くなどの積極的反撃に出でた証拠はないこと、また、組合員らが右ピケ行為以上
に、運転係の「B」号の発車の手続を妨害したり、運転器の損壊など同列車の運行
機能自体を阻害するような物理的力を行使したり、信号機の操作を不能にしたりな
ど、同列車の発進を最終的決定的に不能にする行為に出た証拠のないことを指摘し
ているけれども、本件ピケ行為が、既にいわゆる平和的説得のための相当性の程度
を超えており違法であること前段説明のとおりである以上、右の諸事情は、何ら本
件ピケ行為の違法性を阻却すべき事由に当たるとはいえない。
 なお、原判決は、同様違法性阻却の事由として、本件職場集会に基因すると思わ
れる実害の程度は、さほど大きなものとはいえないともいうが、「B」号は、約三
二分増延し定刻より約六二分遅れて発車していることは、前認定のとおりであり、
また、原判決のいうとおり、「B」号に続いて定刻午后八時発の急行「B6」号が
約六四、五分増延し、四四列車(小荷物列車)が約一一〇分、貨物列車が最高一九
〇分それぞれ遅れたほか、貨物列車一台が運休したのであり、さらに「B」号は京
都までの長距離列車であり、その接続列車等に与えた影響等をも併せ考れば、本件
職場集会に付随して行われた本件ピケ行為による影響、実害は、かなりのものがあ
つたと認められ、原判決の右判断は誤りというの外はない。
 以上の次第で、原判決が、被告人A、同A1両名が動労組合員数百名とともに
「B」号進路前方の車両接触限界内に立ちふさがつて同列車の発進を妨害した行為
は、威力を用いてB1の列車運行業務を妨害したものであつて、刑法二三四条の構
成要件に該当することは明らかであるとしながらも、憲法の争議権保障の趣旨に照
らして労働組合活動に当然に包含されるものと解すべきであつて、刑法二三四条の
威力業務妨害罪の刑事罰を以つて臨むべき違法性を欠くとして、右被告人両名に対
し無罪を言い渡したのは、本件ピケの違法性に関する諸事情を誤認し、ひいて、刑
法二三四条、労働組合法一条二項、刑法三五条の解釈適用を誤つたものというの外
はなく、これらが原判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、その余の論旨に
ついて判断するまでもなく、右被告人両名に関する部分は破棄を免れない。論旨
は、理由がある。
 よつて、刑訴法三九七条一項、三八〇条、三八二条に則り、原判決中被告人A、
同A1に関する部分を破棄すべきである。
 第二節 被告人A3に対する公務執行妨害、傷害被告事件関係
 所論は、要するに、原判決は、被告人A3(以下、本節では単に被告人と略
す。)に対する本件公務執行妨害、傷害の公訴事実につき、信用性の高い検察側証
人C12、同C13、同C14の原審各証言を排斥し、信用性の薄い弁護人側証人
C15、同C16、同C17の原審証言および被告人の原審供述を措信できるもの
とし、結局本件公訴事実を肯認するに足る証拠がなく犯罪の証明がないとして、被
告人に対し無罪の言渡をした。しかしながら、右は、証拠の取捨選択、証拠の価値
判断を誤り事実を誤認したものであつて、それが判決に影響を及ぼすことが明らか
であるから、原判決は破棄を免れないというに帰する。
 よつて、按ずるに、
 本件は、前記第一節で触れたように、第一節(6)記載の、「B5」号の着機と
発機のつけ替えのため着機を客車から切り離しの作業中に発生したものである。従
つて、「B5」号が鳥栖駅第一ホームの上り一番線に到着してから、同駅を発車す
るまでの経過、すなわち、鉄道公安職員がピケ隊員を実力排除した経過、熊様は、
第一節(6)において認定したとおりであるから、ここにこれを引用する。
 そして、右の如き鉄道公安職員による実力排除が、公務執行妨害罪の容体たる公
務にあたることも、既に第一節において説示したとおりである。また被告人が、B
1B7機関区所属の機関助士で、動労鹿児島地方本部B7支部組合員であること
は、争のないところである。
 そこで、以下、原判決か指摘した各証拠について検討する。
 まず、被害者である原審証人C12は(原審第六回、第七回公判期日)、「午后
七時二八分ころ上司の命令で実力排除に入つた。そして、私は、公安職員の先頭に
おつて、最初B5号の機関車に接触している人をその横側から入って次から次に機
関車の側から外し、それから線路左側のピケ隊員を軌条から約一米、列車が安全に
通れる位にまで手て押し退げなから、上り一番線の出発信号機付近まで行つた。そ
の排除は、機関車の付近では、ある程度抵抗があつたが、最後の出発信号機付近で
は、自発的に出ていく人もいて、スムーズにいつたと思う。私たちは逆ピケの形で
警戒に当たり、私は、出発信号機付近にいた。すると、線路右側の出発信号機ボツ
クスの付近で、組合員が二、三〇人程度いて、前列の一〇人程度がスクラムを組ん
で線路の枕木付近に這入つてくるのを現認したので、その線路右側は、ピケ隊も少
なく、公安職員も手薄な場所だつたので、私は、すぐそこに行つて、枕木付近にま
できていた前列のスクラムの組合員を押し返した。前列は、スクラム組んで手を出
さず、背後の人が押すため体が出てくるので、私達四、五名の公安職員が押した
り、押し返されたりした。ピケ隊はたんだん退つて、私が五回目か六回目に押した
時に、左頬の耳前付近を叩かれた。こぶしでたたかれたと思う。私は、押す時は俯
きかげんであつたので、叩いた人を見ていないから、誰が叩いたかは判らないが、
その人は二列目にいたと思う。私の右側にいたC14公安職員が「この手が叩い
た」といつてその手をつかまえた。私は、叩かれた瞬間、ひるんで一瞬顔を下げた
が、顔を上げると、C14がその手を両手でつかまえていた。その手は、右手であ
り、一列目のスクラムを組んでいる人の肩の上から肘から先の方が出ていた。組合
員も、つかまえられた人を私の方に出さないように抵抗するので、これともみ合つ
たが、他の公安職員もやつてきて加勢してくれたので、スクラムが崩れ、私、C1
4、C13の三人で、腕を握つてその人を引張り私の左側に引張り出した。そして
逮捕したのが、被告人である。
 被告人を警察に引渡した後で、鳥栖駅の鉄道公安室に帰つてから、頭が痛いとい
つてC14君に見て貰うと血が出ているというので、私も鏡を見ると、左の頬の耳
の前に血が出ていた。その血の出ている所に、公安帽のアゴひもの留金がきていた
ので、それで怪我をしたものと思う。駅長室で救護班に一応の手当を受けてから、
鳥栖のB1病院で手当を受けた。そしてその日B4に帰つてから、B4のB1病院
で手当を受けた。傷は四、五日で治つたと思うが、打撲で顎の関節が痛むので、約
二四、五日位通院して手当を受けた。」旨供述している。
 尤も、C12証人は、原審第六回公判廷で、検察官の主尋問に対し、次の如く供
述している。
 その男は、C14さんの前におつたんですか。
 前には、ピケを組んだ人がおつて、そのうしろにおつたわけです。
 二列目に。
 はい。
 C14さんの前のほうか、あなたの前のほうか、どちら側か。
 私のちよつと左側です。                    (記録二
冊、四七〇丁)
 右によると、C12を殴つた男は、殴つた瞬間C12の左側にいた旨を供述して
いることになる。
 しかしながら、C12証人は、右の点について、原審第七回公判廷において、弁
護人の反対尋問に対し、次のように供述している。
 そのあなたをなぐつたという、その手の主か、あなたから見ると、左前におつた
というんですか。
 ……
 そういいましたね。
 はい。ということは、手を引張つた状態から、左前におつたような状態になつて
おつたんです。
 それまでは、わからなかつたわけだな、結局。
 はい。
 右は、検察官の主尋問に対する前記供述をそのまま肯定していないことが明らか
で、むしろそれを否定している趣旨とも解されるのである。してみると、C12証
人の検察官の主尋問に対する、前記「ちよつと左側」の供述が、果たしてC12証
人の真意に出でたものであるか甚だ疑問である。いわんや、後に述べるように、C
12の右隣りにいたC14鉄道公安職員は、C12かA3(被告人)はC12の左
側にいたと証言しているなら、それは勘違いで、右側にいたと証言(記録二冊七五
一丁)しているのであるから尚更然りである。果たせるかな、C12証人は、当審
第二回公判廷において、右の点に関し、「原審供述当時、私は、手首だけにとらわ
れていたので、手首は、私の左側、その手首の肩口は、私の右側にあつたのに、勘
違いをして、原審のような供述をした。私の失言である。勘違いには、今、気がつ
いた。しかし、私を殴つた男は、私の右側にいたのが事実である。私は、今まで何
回となく、斗争に行つたけれども、このように叩かれ侮辱を受けたことは一度もな
い。こんな特別の事件については、何時までも記憶している。この裁判がどうなつ
ても、何年たつても、この記憶は消えない。本日の証言が本当である。」旨供述し
ているのである。してみれば、原審第六回公判廷における前記供述は、C12証人
の真意に出でたものでないことが明らかであるといわねばならない。それ故、かか
る供述によつてC12と被告人の相互の位置関係を認定することは誤りである。
 次に、C12証人は、原審第七回公判廷における弁護人の反対尋問に対し原判決
が要約して判示しているように、「C14は、C12の左肩越しに馬乗りになつた
ようにして両手でその手首の上付近を黄色いアノラツクの上からつかんでいた」旨
供述している。しかし、右の「C12の左肩越しに」の点に関する供述は、次のと
おりである。
 その手をC14さんが、にぎつておつたというんですね。
 はい。
 C14さんは、どつちの手で、にぎつておつたんですか。
 私に馬乗りになつたような格好で。どつちの手が先か判りませんけれども。
 あなたの右側におつて、いつの間に馬乗りになつたんですか。
 それは判りません。瞬間的だから判りません。
 瞬間的といつても、曲芸みたいな話ですが。わつしよい、わつしよい、押してい
るときに、あつという間に馬乗りになつたと。
 馬乗りといつても、完全な馬乗りじやないんですよ。馬乗りになつたような形
で。
 あなたが顔をあげたときは、C14さんの手はどうなつておつたですか。
 手首の上の付近を、アノラツクの上から、つかんでおつたのです。
 両手てつかんで。
 私が見たときには、つかんでおつたんです。
 結局、馬乗りになるというが、もうちよつと、詳しく言つてもらえんですかね。
要するに、あなたは、よつぽど、体をさげておつたわけですな。馬乗りになるため
には、真直ぐ立つておつたんでは、できんですもんね。
 C14君の方が身長が高いわけなんです。完全に馬乗りになつた状態じやないん
ですよ。私が見たときは、私の上からつかまえておつたわけです。
 △ すると、両手でつかんだとき、あなたの首は、両手にはいつた格好ですか。
 私の頭の上からきておつたです。
 そうすると、あなたは、よつぱど頭を下げておつたわけですね。
 うたれた瞬間頭が下がつたわけです。
 頭を上げたら、C14さんの腕は、どこにあつたですか。
 私が見たときは、C14君が両手でつかんでおつたですからね。
 腕が、どこにあつたですか。
 肩越しに腕が。
 ○ 左肩越しにですな。
 はい。
 ○ そうすると、両腕とも、あなたの左側にきておつたんですか。
 はい。私が見たときは。
 そうすると、C14さんが、あなたとC13さんの間に、結局はいり込んだよう
な格好になつたんですね。
 その点は、はつきり判らんです。
 あなたの左側には、C13さんがおつたんでしよう。
 はい。
 だから、結局、そういう格好になりはせんですか。
 ……
 右側におつたのが、いつの間にか、左側に来たと、こういうことですか。
 からだ全体は、左側に来てなかつたんです。
 (中略)
 そうすると、やつぱり、C14さんがC13さんとあなたの間に、はいりこんで
来たんじやないですか。
 腕をにぎつて引張るときはですね。
 その腕をつかんだ瞬間は、からだは、私とC13との間には、はいつてきてなか
つたです。(記録二冊、五七二丁ないし五七五丁)
 右に引用した通り、前記△印と○印を付した質問は、明らかに誤導質問である。
しかも、C14公安職員がC12の右隣りに接するようにしていたというのに、C
12の「左肩越しに」両手で相手の手首の上付近をつかまえ、C14の「両腕がC
12の左側にきていた」というのは、極めて不自然である。もし、それが本当なら
ば、C14はC12の左に、すなわち、C12とC13の間に這入つた格好になる
のが自然である。弁護人も、右の不自然な点に気付いて、前記の様に、その点を執
拗に追及した。しかるに、C12は、極力これを否定しているのである。してみれ
ば、右の「左肩越しに」とか「両手の腕が、C12の左側にきていた」との供述
も、果たしてC12証人の真意に出でたものであるか否か極めて疑問であるといわ
ねばならない。前記引用で明らかなように、C12証人は、弁護人の前記○印の誤
導質問がなされる以前においては、顔を殴られて、一寸ひるんで顔を下げたが、顔
を上げた時、C12より背の高いC14か、C12の右隣りからC12の肩および
頭越しに両腕を伸ばして相手の手首の上の付近をアノラツクの上からつかんでいた
と供述しており、そして、その時、C14の身体は、C12とその左隣りにいたC
13公安職員との間に這入つてきていなかつたというのであるから、C12証人
は、弁護人の「左肩越しですな」との誤導質問を受け、これを「右肩越しですな」
との質問と錯覚して「はい」と供述したのではないかとの疑問が極めて強いといわ
なければならない。このことは、C14鉄道公安職員が、原審第八回公判廷におい
て「C12は、私の左側にいた(記録二冊、六四五丁)。私が上を向いた形になつ
た際、(相手が)「こん畜生」といつて、C12(の左顔面)を叩いたので、その
とき、すぐその右腕をつかまえた(記録六四九丁)。間髪を入れずにつかまえた
(記録六五二丁裏)。一列目は、腕を組んでおり、二列目の人で手を出した人は、
私の見た限りでは他にない。その右腕は、私の左前にいた人の右肩越しである(記
録六五二丁)。」旨供述し、C12の「左肩越しに」腕を伸ばして相手の腕を掴え
る状況など、少しも供述していない事実によつて、十分裏付けられていると考え
る。それ故、C12証人の、前掲「左肩越し」という供述は、同人の真意を表現し
たものではないと認めるのが相当である。従つて、かかる供述を文字通りに受取り
これが真実であることを前提として後記C14証言の信用性を弾劾することは誤り
である。
 さらに、C12証人は、原審第七回公判廷において、弁護人の、前列の一〇名程
度がスクラムを組んでいる、「その何人分を押したのか、一人が一人を押したの
か」との質問に対し「表現がしにくい」と答えながらも、結局、「スクラムを組ん
でいるから、組んでいる一人を押した。」「四、五回押したり、押されて、殴られ
るまで、場所は変つていないから、同じ人間を押していると思う。」(記録五五六
丁表、裏)。と供述し、更に「私が殴られた時、私が押している組合員との身体の
距離は、私の帽子(公安帽のこと)のヒサシが、相手の喉よりも上に着くか、着か
ないか位であつた。」(記録五八八丁表、裏)と供述しているので、同証人は、ス
クラムの一人のみをその真正面から押していた趣旨を供述したものとも受け取れな
いこともない。しかし、この点は、同証人自ら「表現しにくい」と供述していると
ころであるし、また、常識的に考えても、一〇名ないし一二、三名の組合員が横に
スクラムを組んでいるのを、五、六名の鉄道公安職員が押し返したというのである
から、一人の公安職員が組合員一人を押した位で間に合う筈がないので、一人の公
安職員は、少くとも二人又は二人以上の組合員を押したというのが、通常の事態で
あろう。この点に関し、C12証人は、当審第二回公判廷において、「自分は、両
手を拡げて、右手で一人、左手で一人の二人の組合員を押した。肩から腹部付近を
押した。一人を押したこともあれば、二人を押したこともある。一審で、一人を押
したように供述したのは、言葉が不足であつた。本日は、私が現場に駆けつけてか
ら叩かれるまでの、一連の動作について述べたもので、その間においては、二人を
押したことも、一人を押したこともある。しかし、叩かれた瞬間には、一人を押し
ていたと思う。」旨供述している。これが真相であると認められる。そして、この
ことは、C14鉄道公安職員の原審証言「私は、前の組合員と組合員との中間で一
人で二人を押していた。(記録二冊、六四六丁)手をかけたのは、右端の一人目と
二人目の二人である。私の左隣りにいたC12も、その二人目と三人目を押してい
たと思う。C12は、二人の人間を押す位置にいたが、身体は、二人目に寄つてい
た。(記録、七四七丁。七六六丁裏ないし七六七丁裏)C12は、真前の人を押し
ていたのではない。A3(被告人のこと)は、C12の右寄りの組合員の背後にい
た。(記録七四七丁)」旨の供述、およびC13鉄道公安職員の原審証言「私は、
「1」の組合員に胸で当りながら、両手を拡げて、「1」の両脇にいる「2」と
「3」の二人を片手で押していた。私の右横にいたC12が、どのピケ組合員を押
していたかは、見ていないので判らないが、一人で一人を押しても間に合わないの
で、私の感じ、想像では、私と同じ様に「4」に直面して、その両脇の「3」と
「5」に、ある程度手を拡げて押していたと思う。(記録、八二五丁表ないし八二
六丁裏)」旨の供述によつて、十分裏付けられているのである。
 これを要するに、C12証人の原審証言については、右の不自然な点、不備の点
を十分解明すべきであり、これを怠つたがために、原判決は、本件事案の真相を見
誤つたといつても過言ではない。
 次に、C12鉄道公安職員の右隣りにいた鉄道公安職員C14の原審証言(原審
第八、第九回公判)を、本件に必要な範囲で(この点は、次のC13証言について
も同様である。)要約すると、次のとおり。
 退去の勧告が止んで、全員前に進んで排除せよとの命があつたので、私たちの分
隊も、分隊長の命により一緒に行動をおこして前に進んだ。私たちは、公安職員の
一番最後の隊列で四列である。私たちの前の隊列が、「B5」号の機関車の側面の
排除をしているので、私たちはその排除をしていない。機関車の前、ホームのはず
れ付近から、公安職員が組合員を排除して線路の枕木外方に、両側に一列に逆ピけ
のような形で並んでいて、私たちはその間に這入る隙間がなかつたので、その逆ピ
ケの間を線路内を通つて、前方を見ながら前に進んで行つた。すると、逆ピケを張
られている組合員の背後にいた組合員が、公安職員のいない博多寄りに少しずつ移
動して行つたので、私は、先の方に線路上を歩いて行つた。従つて右の移動したピ
ケ隊員を追いかけたのではない。すると、前方線路右側(博多に向つて)の信号ボ
ツクスから二、三米博多寄りに、二、三〇人位の組合員がおり、その中の一〇名位
の組合員が、軌条の外の枕木の上に立つて、軌条内側を向いて(列車の進行を)妨
害するような形をとり、付近にいた五、六名の鉄道公安職員が、これを排除しよう
として押していたので、私もそれに加つた。私は、鳥栖寄りの一番端にいたC12
の右側(鳥栖寄り)に加わつた。私が加わつた時には、C12らは組合員をバラス
の所まで押していた。
 (記録、七二九丁)私も加わつてバラスの下まで押した。(記録七二六丁)そし
て私たちは、そのバラスの下で、そこからはなだらかな一尺位の土盛り〔その状況
は、司法警察員作成の実況見分調書添付写真7(記録、五冊一九二〇丁裏)で明ら
かである。バラスの下は、少し窪んで低くなつている。〕となつており、スクラム
の動員者の足はその土盛りにかかつていたので、その勾配を押し上げるというより
も線路に出てくるのを防いでいた。その時は、スクラムの背後にいた動員者が、前
の一列目に加わりこれを押すような形となり、私たちを非難し、やじり倒した。私
は、前の組合員と組合員との中間で、一人で二人の胸を押していた。手をかけたの
は、右端の一人目と二人目の二人である。私の左隣りにいたC12もその二人目と
その次の三人目を押していたと思う。しかし、身体は二人目に寄つていた。C12
は、真前の人を押していたのではない。二人の人を押すような位置にいた。A3
は、C12の右寄りの組合員、すなわち、私の左肩の前位になる組合員(二人目の
組合員のこと)の背後にいた。それで私は、A3を直接見ることがてきた。C12
が、A3はC12の左側にいたと証言しているとすれば、それはC12の勘違いで
ある。その二列目にいたA3が、我々に、「帰れ」とか我々を罵倒するような声を
かけていたので、私も、A3に対し、「黙つて退がつておけ」とか、いい返した。
すると、A3が、右のこぶしで、大声で「こん畜生」とか、そんないい方でいつ
て、二人目の組合員の右肩越しに、私のすぐ左傍に接していたC12の左顔面を叩
いた。その時、A3は、前列の組合員と身体が接着していた。そこは、なだらかな
勾配で上つているので、A3の方が前列の者より高くなり、私は、上を向いていた
ので、A3がC12を叩くのを見た。それで私は、間髪を入れずに、その黄色いヤ
ツケの右手をつかんで、「前に出てこい」といつた。そしてC12に「これをつか
んだ」というと、C12もその手をつかみ、C12の左横にいたC13も、それを
つかんで前に出そうと引張つたが、付近の組合員がそれを阻むようにスクラムの腕
を離さないので、私達の周囲の公安職員も、手伝つたようであり、結局、上りの出
発信号機のところまで、A3を三人で引張り出して、逮捕した。その時、鉄道管理
局の腕章の人に、時間は一九時三〇分と聞いた。一列目の組合員はスクラムを組ん
でいるので手を出しておらず、また二列目の人も他に手を出した人は、私の見た限
りではない。私たちが実力行使に入つてから、公安職員と組合員が混じり合い、ぱ
らぱらと散つて両者の区別がつかないような状態は生じていない。(記録七四二丁
裏)また、公安職員は、動労の奴等をつかまえろとかやつつけろなど云つていな
い。(同、七五二丁)私たちは、組合員を突きまくつたり(同、七五一丁)、逮捕
するつもりで突込んだり(同、七五二丁裏)などはしていない。
 というのである。
 右証言は、具体的かつ極めて自然である。同証人は、当審第三回公判廷で、右と
ほぼ同趣旨を更により具体的に明確に証言している。
 C14証人の原審証言を更に要約すれば、C12が殴打された時、C14は、前
面のスクラムの一番右端から一人目と二人目の中間に位置して、その二人を手で押
し、被告人は、C14の左側の二人目の組合員の背後に接着しており、C12はC
14の左側にいて、二人目と三人目の二人を押す位置、すなわち、その中間に位置
していたが、身体は二人目に寄つており、そして、被告人が二人目と三人目の間か
ら二人目の右肩越しに右手拳でC12の左顔面を殴打したので、これを目撃したC
14が瞬間的にその手首付近を掴え、C12とその左側にいたC13公安職員も同
様その腕を掴え、他の公安職員の応援を得て妨害するスクラムを崩し、三人で前方
に被告人を引張り出し、これを逮捕した、というのである。
 なお、原判決は、C14証言を要約し、その最後で「C12は三人目の組合員を
押していた。」旨、判示しており、右判示は、C12は三人目の組合員の真正面に
位置して、その組合員一人を押していたようにも読める(現に原判決は、「C12
は、前記のとおり自分の直前の組合員の胸を押し」と判示している。)のである
が、右判示がその趣旨であるとすれば、誤りであることは、前述したところで明ら
かであろう。
 次に、C12鉄道公安職員の左隣りにいた鉄道公安職員C13の証言(原審第九
回、第一〇回公判)を要約すると、次のとおり。
 C8鉄道公安副室長がマイクで三、四回構内から立ちのけとピケ隊に警告してい
たが、ピケ隊はこれに応じようとしないので、C5鉄道公安室長の実力で排除せよ
との指示により、我々鉄道公安職員は実力排除を開始した。公安職員は「B5」号
機関車の側にいる組合員を機関車から離し、それから機関車の前方に出て、最初は
線路の左側の、他の者は、線路の右側のスクラムを組む組合員を、機関車が無事に
通れるように、レールから約一米位押し退げた。私は、私の前の公安職員が機関車
の側の組合員を機関車から離したので、それには加わつていないが、機関車の前に
出てから、線路の左側の組合員を押し退げながら、博多寄りに約二〇米位歩いて行
つた。大体左側が整理がついたので、もう機関車が通れる筈だと思つて左横の機関
車のカや線路の方を見ていると、博多に向つて線路右側の信号ボツクスの付近で、
組合員が線路のレールの近くに出て来て、その一番前の二一、三名がスクラムを組
んで、ほとんど枕木の上に乗り込んできて、列車が通るのに危険な状態なので、す
ぐその方に行つた。そして、四、五人で線路の外にどうにか押し返えした。力を緩
めると、スクラムの背後の者と一緒に押し返えされるので、組合員を押していた。
低い力から小高い方に向つて押した。私の右隣りにC12が、その更に右側にC1
4が押していた。私とC12との距離は接近していて、その間に人が這入れる状態
ではない。私は、私の前の「1」の組合員に胸を当て、その両脇の、私から見て左
側の「2」、右側の「3」の組合員を片手で押した。C12がどの組合員を押して
いたかは見ていないので判らないが、一人で一人を押したのでは間に合わないの
で、私の感じ、想像では、私と同じ様に「4」に直面して、その両脇の、C12か
ら見て左の「3」と右の「5」の二人に、ある程度手を拡げて押していたと思う。
私が押している途中、私とC12との間に、「3」と「4」の組合員の肩越しに、
背後から、黄色い腕のげんこつが急に出た。私は、その出る瞬間を見た。出てくる
と同時に「カポツ」という音がし、C14が「この手が殴つた」とか「この手が打
つた」とかいつて掴えていた。それで私はすぐに、押していた手を離して、C14
が掴えている手を引込められないように加勢をした。私、C14、C12の三人
は、その手を離さないで、前に引き出そうとしたが、なかなか引き出せないでいる
と、他の公安職員が加勢にきて、どうにか前に引き出せたので、後方の出発信号機
付込まで退り、そこでC14が手錠をかけた。私達が実力行使を開始したために、
組合員が列を乱して逃げ出したような事実はない。また、その際に公安職員が「動
労のやつを掴えろ、やつつけろ」と叫んだこともない。私が書いた図面は下手だけ
れども、図面はあくまで図面であり、実際は刻々と動いている。
 というのである。
 右C13証言を更に要約すれば、C13とその右隣りのC12とはその間に人間
が這入れない位に接近した状態で前列のスクラムの組合員を押している際に、C1
3が両手を拡げ、右手で押している組合員とその右隣り(C13から見て)の組合
員の間から、その肩越しに背後から、黄色い腕の手拳が突然出て、「ポカツ」とい
う音がすると同時に、C12の右隣りにいたC14が「この手が殴つた」との趣旨
のことを云つて、その腕を掴え、それをC13、C14、C12の三人が離さない
で、前方に引張り出し、被告人を逮捕したというのである。
 以上説明のとおり、C12証言中の前記不自然、不備な部分を解明すれば、C1
4、C13両証書と対照してみても、この三者の証言には何らの矛盾も発見できな
いし、その信用性は十分認められ、そして、この三証言を綜合すれば、被告人は、
C14の左前、すなわちC12の右前の組合員(C14証言にいう二人目の組合
員)の背後に、これと接着しており、そして、C14は、右から一人目と二人目の
組合員の中間におり、C12は二人目と三人目の中間であるが身体は二人目に寄せ
ており、C13はC12の左隣りで三人目を右手で押し、四人目に胸を当て、五人
目を左手で押している時に、被告人が二人目の組合員の背後からその右肩越しに、
すなわち、二人目と三人目の組合員の間から手拳でC12の左顔面を殴打し、C1
2の公務執行を妨害すると共にこれを傷害を与えたことが優に認定できるのであ
る。そして、右の三証人が、被告人の右手を引張り、被告人の直前の組合員の身体
が妨害となるので、二人目と三人目の組合員のスクラムを崩して、その間から被告
人をC12の左側に引張り出したとしても、何ら異とするに足るものではないとい
うべきである。
 しかるに、原判決は、C14証言がC12、C13両証言とくい違いがあるとい
い、「証人C12のいうとおり「C14が左肩越しに馬乗りになつたようにして」
被告人A3の手をつかんだ事実が真実だとすれば、C14がとっさに「その手」を
つかむのに、C12の左肩越しに馬乗りしたような姿勢になるのは、C14の証言
からみればおかしい。C14はC12の頭ごしでなくとも、最短距離を選んでその
手を正確、迅速にっかむことができた筈である。」と判示している。右にいう「C
14がC12の左肩越しに馬乗りになつたようにして、被告人A3の手をつかんだ
事実が真実だとすれば」との前提が誤つていることは、既に説明したとおりである
から、原判決の右判示は失当である。
 次に、原判決は、「C14の証言によると、被告人A3がC14の左側前に接し
ていた組合員の右肩越しにC12の左顔面を殴つたことになる。ところが、この時
C12は前記のとおり、自分の直前の組合員の胸を両手で押し、しかも、うつ向き
かげんに接近していたものとすれば、被告人A3の位置から最も距離が遠い位置に
おり、うつむいた姿勢にあるC12の左顔面を突くことは、物理的に不可能ではな
いにしても相当技術的に困難なものと考えられる。」「C12とC13との間から
手が出たとすれば、C12よりやや背の高いC14でさえ、その位置から、これら
の状況は、はつきり見えなかつたものと認められる。」と判示しているが、右の
「C12が被告人より最も距離が遠い位置にいた」とか、「C12よりやや背の高
いC14でも、その位置からは、C12とC13との間から出た手の状況は見えな
かつた」という点は、原判決は、一体、被告人とC14、C12の相互の位置関係
を如何に認定したのか、全く理解できないのである。その相互の位置関係が当裁判
所の前認定のとおりであつてみれば、被告人が、二人目の組合員に身体を寄せてう
つむいた姿勢にあるC12の左顔面を右手拳で突くことは、物理的に可能であり、
なんら技術的に困難なことではない。また、右の三証人のいた位置が、前述のよう
に、バラスの下で少し窪んで低くなつており、被告人のいた位置が、前列のスクラ
ムの組合員より少し小高い場所であり、しかも被告人の原審第三三回公判廷供述に
よれば、被告人の身長は一七五糎で付近の組合員の中で一番背が高かつたというの
であるから、C14において、被告人がC12の左顔面を、自己直前の組合員の右
肩越しに手掌で殴打したのを目撃したとしても何ら不自然ではないといわねばなら
ない。原判決の右判示は、C12証言中の、同証人の真意に出でたものではないと
ころの、前記「被告人は、私の左側にいた」旨の供述や「C14がC12の左肩越
しに馬乗りになつたようにして両手で相手の手をつかんでいた」旨の供述ないし
は、C12がその直前の組合員の一人のみを押していたかの如く誤解される供述を
重視して、C12と被告人の相互の位置関係を認定している疑がある。しかし、そ
れが誤りであることは、既に述べたとおりである。
 なお、原判決の右判示中「C12は、自分の直前の組合員を押していた。」との
点か、誤りであることは、既に述べたとおりである。
 更に、原判決は、「C14が目撃したというA3の腕の長さ、方向、速度、力の
軽重、動静、ひいて手の主の姿勢、態度、背後の状況などについて、C14の証言
では明らかでない。」といつて、C14証言の信用性を疑問視しているのである
が、前認定のような押し合いの最中に瞬間的に発生した本件において、C14証人
に対し、右判示の如き詳細の点についてまで、その記憶の正確性を要求すること
は、無理であつて酷であるといわねばならない。原判決の偏倚的態度が如実に示さ
れているというべきである。
 更に、原判決は、「C14は、被告人A3と言葉でやり合いをしていて、なくる
時、A3が「こんちくしよう」と大声でいつた旨証言したけれども、証人C12、
同C13はさような言葉をきいた事実を述べていない。居合わせた組合員がいずれ
も口々に怒号し、鉄道公安職員も「何をいうか。さがれ」といつて制するなど騒然
たる中で、しかも一様に黄色いヤツケをきて、マスクをはめていた組合員の中、特
に被告人A3が「こんちくしよう」といつて突いてきた旨の供述は措信できない」
と判示しているが、しかし、被告人が何回となく「こんちくしよう」と連続して発
言していたというのであれば格別、被告人が公安職員にやじを飛ばし、口汚く罵倒
し、そして殴打の一瞬「こんちくしよう」と叫んだのを、仮りにC12とC13が
聞きもらしたとしても決して不自然であるとはいえない。却つて、C14が、はつ
きり被告人の言動を現認できる位置におり、顔をあげてその言動に注目していたこ
とを裏付ける証左であるというべきである。原判決の右判示も誤りである。
 さらに、また、原判決が、「本件は、労使双方の実力行使のほんの一瞬時、騒然
たるやじ、怒号、熱狂と興奮のるつぼと化した当時の混乱状態の中での出来事であ
る。」と判示しているけれども、前掲C14ら三証人の証言によつても、そのよう
な熱狂と興奮のるつぼと化した混乱状態にあつたとは認め難く、この点は、弁護側
の証人C15、同C16、同C17らの原審証言によつても、そのような混乱状態
にあつたものとは認め難い。
 また、原判決は、「仮りに、被告人A3の手が、C12の顔面に触れたとして
も、その傷害は軽微であり、かねて動労の役職員でもなく、現場の指揮者または責
任者でもない一組合員にすぎない被告人A3が、対面していたC12公安職員をな
ぐる特別の事情の認められない本件では、同被告人が暴行の意思をもつて殴打し、
その公務を妨害したものとは、到底認められない。」と述べているが、C12の傷
害の程度は、左耳前部瀰漫性に腫脹、小裂傷、関節運動痛を軽度に認め全治五日間
を要する傷害(医師C18の原審証言、記録五冊、二三一六丁裏)というのであ
り、本件殴打によりC12は、左頬の関節が痛み、B4B1病院に二四、五日位通
院した(前記C12証言)というのであるから、原判決のいうように軽微の傷害と
いえるか疑問であるばかりでなく、傷害の程度が軽微であるからといつて暴行の犯
意を否定する理由とはなし難いのである。また、被告人の組合における地位、身分
や現場におけるピケ隊中の地位の「如何によつて、これを暴行ないし公務執行妨害
の犯意の有無と結び付けるのも合理的ではない。却つて、前記C14証言によつて
認められるように、被告人が前列のスクラムの組合員の背後から、C12ら公安職
員に対し激しく野次を飛ばし、口汚く罵倒しており(この点は、当審証人C19も
同旨を証言している。)、「こん蓄生」と叫んでC12の左顔面を殴打した状況か
らみれば、被告人の本件暴行、公務執行妨害の犯意は、十分これを認定できるとこ
ろである。原判決の右判示も誤りである。
 これを要するに、原判決が、「C14証言は、重要な事実についてあいまい、矛
盾する点が多く、その証言をそのまま採用することには疑問がある。」としたの
は、誤りであつて、失当というの外はない。
 そこで、進んで、原判決が信用性があるとした被告人の原審供述、弁護側証人C
15、同C16、同C17の各証言について順次検討を加える。
 まず、被告人の供述(原審第三三回公判)を要約すれば、「信号ボツクス付近
に、組合員三〇人位が、スクラムを組む状態ではなく、バラバラに逃げて集つてき
た。私も逃げてきてその中に入つた。鉄道公安職員が前から押してくるので、前の
組合員が押されて自分に突き当つてきた。私の何処に突き当つたかは判らないが、
私は倒れそうになつた。それで、自分は倒されまいとして思わず右手で右横にいた
組合員の背中か肩をつかんだ。その時鉄道公安職員が、私の右腕だつたと思うが、
つかんで引張り出そうとした。それで、右の組合員をつかまえて、引張り出されま
いとして頑張つたけれども、その人がふりほどいて逃げた。私の前の組合員も逃げ
た。その時に、三、四名の公安職員が襲いかかるように、どうつと私をつかまえ、
私を線路側の方に引きずつていつた。」というのである。この供述は、被告人側の
冒頭陳述における主張(記録五冊、二〇七二丁)と異なつていることに留意する必
要がある。すなわち、右主張においては、只被告人は)行動隊員らのすぐ後に位置
するようになり、押されてきた行動隊員がどう動いたのか、その身体にぶつかつて
後によろけ、危くころがりそうになつた。そのとき、いきなり線路の方を向いた被
告人の左側から公安職員の一人か、ヤツケの左肩口を掴んで線路の方へ引張つたの
で、被告人は身体を廻されながら、右手で手近な行動隊員の肩をつかんで引き出さ
れないように頑張つた。その行動隊員も少なくとも一人の公安職員から腕か肩口を
掴まれているような状態だつたが、すぐ振りほどいて逃げた。それと、同時に五、
六人の公安職員か一斉に向つてきて……一番線の線路の方へ引ずり出した。」とい
い、「公安職員が被告人のヤツケの左肩口を掴んで線路の方に引張つた。」という
点が、前記被告人供述中の「思わず、右手で右横の組合員の背中か肩を掴んだ、そ
の右腕を公安職員がつかんで引張り出そうとした」旨の供述部分と全く異なつてい
るのである。そして、右被告人供述によつても、被告人の前にいた組合員は、被告
人とどのような位置関係にあつたのか、被告人に突当つたというが、被告人の身体
の何処付近にどのように突当つたのか、また、突当つた組合員が前にいるというの
に、右横の組合員の肩か背中をつかまえた被告人の右腕を、公安職員がどちら側か
らどのようにしてつかまえたのか、判然としないのである。これを、前述のC14
証言やC13証言に対比すれば、その具体性において格段の差があることが明白で
あろう。
 次に、原判決が、被告人A3の供述と符合する証言をしたという原審証人C15
の証言(原審第三一回公判)は、次のとおり。
 「……ずつと人をかき分けながら捜して前の方に行つたわけです。ちようど、そ
の時「もう少し、後ろに退がらんか」というような声だつたと思うが、公安職員が
三人位で突いてきた。それは、線路より一米半位離れていたと思う。(記録、六冊
二八三九丁)私自身後ろに退つた。そうして後からA3と判つたが、その人の右後
側になつた。そういう状態の中で、その人も後ろに退つてきた。そして、私が背が
低いから、瞬間的に私の肩を右手で掴んだと思うんです。そういう状態の中で、突
いてきた公安職員が、「こやつがやつた、掴まえろ」ということで、A3の左の方
からずるずる出るようになつた。(記録二八四〇丁、二八四一丁)私は逃げ出して
から、「誰れか、ぱくられたぞ」と大声で叫んだけれども、誰も判らなかつた。と
にかく、責任者に知らせねばと思つたが、全然見当がつかなかつた。そしたら集合
という声がかかつたので、第二ホームの方に行つた。
 (記録二八四三丁)A3が連れて行かれる前、A3がどんなことをしたか、それ
は判らない。(記録二八四五丁)」というのである。
 右C15証言は、被告人供述と一部符合するかのような供述ではあるが、これを
仔細に検討すると、C15証人自身、被告人が逮捕される前一体何をしたのか、果
たして公安職員を殴つたのか否かを全く現認していないし、しかもC15自身が、
公安職員三人から直接突かれて後退したのか、自己の前の組合負に押されて後退し
たのかも判然としない。(尤も、C15証人は、当審では、後者の趣旨を証言して
いる。)加うるに、同証人の「前から押されて被告人A3の右後側まで退つた後、
被告人も一たん後ろに退つてきてC15の肩(証言では左右どちらの肩か不明)を
右手で掴んだと思う。」旨の供述や「A3の左からずるずる出るようになつた。」
旨(C15証人は、当審でも同趣旨を供述している。)の供述は、被告人供述の
「前の組合員が自分に突き当つたので、ころがされそうな状態になり、自分は倒れ
まいとして、右手で右横にいた組合員の肩を掴んだ」とか、「右横にいた組合員の
背中か肩を右手で掴えた後、右腕と思うが、公安職員が掴んで引張り出そうとし
た」旨の供述とは、明らかに異つているのである。さらにまた、C15証言によれ
ば、「『誰か、ぱくられたぞ』と大声で叫んだのに、誰も判らず、責任者も見当が
つかなかつた」というのであつて、これは、後記C17の原審証言中の「私は、第
三行動隊第三班の責任者であつたが、被告人A3が公安職員に掴つた際、私は『何
もしておらんではないか、でつちあげるな、離せ』などと大声をあげながら、抗議
をした」旨の供述(記録六冊、二四四五丁、二四六三丁)と全く異なつているので
ある。
 さらに、原審証人C16の証言(原審第二八回公判)は、次のとおり。
 「A3は、公安官と対峙したような形になつた時、最前列ではなかつた。(記
録、六冊二五二二丁)A3の前にいた組合員を公安官が突いたので、足場も悪かつ
たため、突かれた組合員が後ろに倒れかかつたので、後ろの人達が支える形になつ
た。(記録二五一三丁)A3は、前の人が倒れかかつてきたし、自分もその余勢で
倒れそうになつたので、反射的に体が後ろに倒れるので、手が前に出て、前の人を
支えるという状態であつたようである。反射的に手を出した瞬間に、公安官が大声
をあげて飛びかかつてきた。A3の手は前の人を支えるというよりも、自分の体が
後ろに倒れたから自然前の人の肩あたりまで伸びたように記憶している。公安官
は、A3が前に手を伸ばしたとき、A3の左腕か肩あたり(左の腕のつけ根付近)
を掴えたと思う。そして、そのまま引きずり出された。私は、大分地本のC17を
当時知つていたし、同じ班に属していたが、そのC17が付近にいたか、記憶にな
い。(記録二五一七丁)A3が捕つたのは、図面の「イ」地点、公安官が「ロ」地
点、私が現認したのは「ハ」地点で、A3までの距離は三、四米であつた。(記録
二五〇八丁、二五〇九丁)」というのである。
 右のC16証言によれば、被告人が前の組合員を支えるようにその肩あたりに手
を出した瞬間に、公安職員が大声をあげて飛びかかつたというのであるが、その手
を出したというのは、左右何れの手か、両手なのか判然とせず、しかも被告人の前
に組合員がいたというのに、公安職員がどのようにして被告人に飛びかかつたの
か、皆目不明であつて、具体的ではない。加えて、被告人が、前の組合員の肩あた
りに手を伸ばしたという点と公安職員が、被告人の左腕か肩のあたりをつかまえて
そのままA3を引きずり出した、との点は、前記被告人供述と明らかにくい違つて
いる。さらに、C16証言によれば、同人は、被告人が逮捕されたのを目撃し、か
つ、被告人を奪い返そうと思つて、前記「ハ」の地点から少し被告人の後を追いか
けた位であるというのに(記録二五二〇丁)、当時顔見知りで、当日同じ班に属し
ていた大分地方本部委員長C17が、被告人が逮捕された現場近くにいたかどうか
の記憶がなく、また、後記のように、C17証人が、被告人を逮捕した公安職員に
対し「何もしていないではないか、でつちあげるな、離せ」などと大声で叫びなが
ら、抗議をした状況を目撃していないのである。
 次に、原審証人C17の証言(原審第二八回公判)は、「自分は当時動労大分地
方本部の委員長で、当日は第四行動隊の第三班の責任者であつた。信号ボツクスよ
りもさらに博多寄りの方に三、四名の公安職員がいて、「後ろにさがらんか」など
といつて砂利盛りに集つている組合員を後ろに押しやる状態であつた。後ろにいた
連中は、自分も一緒に倒れまいという風にして、前の方に押し返すというような格
好であつた。(記録六冊二四六一丁、二四六二丁)大柄な組合員は、逆に後ろの方
から、自分も倒れまいとして前の方にそいつを受けて倒れかかるというような事態
が瞬間的に起こつたが、その時「こいつを掴まえろ」と大きな声をあげて、三、四
人の公安官が大柄な男を掴まえた。(記録二四六三丁)前の組合員が押されてのけ
ぞるので、後ろにいた組合員はそれを支えるような格好であつた。(記録二四六四
丁)私は、「なにもしとりやせんではないか、でつちあげるな、離せ」というよう
なことを大声でどなりながら、公安官に抗議をしたが、全然相手にされないで、そ
の大柄な男が連れて行かれた。大柄な男が公安官から捕つたという位置は、図面で
示すと、大柄な男が「イ」、公安官が「ロ」、私が「ハ」で、私と大柄な組合員と
の距離は、四、五米位てあつた(記録二四六五丁)」というのである。
 しかし、右のC17証言によつても、被告人が倒れまいとして前の組合員を支え
るため、どのようにしたのか、左右何れの手を出したのか、両手を出したのか不明
であるし、被告人の前に組合員がいるというのに、公安職員がどのようにして被告
人を捕えたのか、その前の組合員はどうなつたのか、全く不明であつて、具体的で
ない。そしてまた、前の組合員をその背後から支えるという状況は、前記被告人供
述やC15証言ともくい違つている。また、公安官に対する抗議の状況もC16証
言と異なつている。
 以上見たように、被告人供述を初めC15、C16、C17の三証言は、具体性
を欠くうえ、重要な点において、くい違つており、これを前記C12、C14、C
13三証人の各証言に対比すれば、その信憑性において遥かに劣るといわねばなら
ない。しかるに、原判決がこれを措信しなかつたのは、証拠の取捨選択並びに証拠
の価値判断を誤つたものというの外はない。
 さらに、原判決は、公安職員らの「B5」号着機周辺およびその進路前方線路枕
木付近のピケ隊員に対する実力排除の状況について「鉄道公安職員は、四列縦隊を
組んで着機西側面及び前方に線路内を向いてならんでいたピケの組合員らに対し、
着機の後方炭水車付近から着機の進路方向へ、ピケの組合員らの側面に向けて一団
となつてドツと突込み、組合員を押しながら進んでいつた。そのあとから警察官が
排除に加わつた。不意をつかれた組合員らは、着機側面から前方に至るまでほとん
ど将棋だおしに倒れ、はずみに側溝に落ち込んだり、靴がぬげたりし、あるいはう
つぶせに倒れているところを踏まれたりして混乱した。打撲傷等の傷害を負う者も
いた。鉄道公安職員の中にも勢あまつて側溝に落ちる者がいた。ちりぢりばらばら
になつた組合員らは、安全な場所を求めて、ある者は機留線を越えて物資部南側広
場の支援労組員の群れの中にかくれ、ある者は第一ホームの北端から博多方向にの
びている幅約一〇メートルの空地に逃げ、ある者は一たん機留線を越えて西北方向
に逃げながら、右空地に組合員らが集つているのを見て、知人を求めて再び線路を
越えて右空地にかけ込むなど右往左往し、右着機付近のピケツテイングに加つてい
た第四行動隊のほとんどが放心状態のため完全な団体行動がとれない状態になつ
た。」と判示している。
 原判決の右判示は、弁護側証人C17、同C16、同C15、同C20、同C2
1らの各証言や被告人の原審供述を重視して右の如く認定したものと認められる
が、しかしこれらは、いずれもその信用性に疑問があり、却つて、現場写真帳
(一)(当庁昭和四五年押第五〇号の符第六号)のNo.1、No.2、No.3
に示されている「B5」号着機前方線路枕木付近に多数のピケ隊員がスクラムを組
んで立ち並んでいる状況やNo.5、No.6、No.7、No.8に示されてい
る「B5」号着機の左側面に多数のピケ隊員が密着している状況とか、原審証人C
12、同C14、同C13、同C22(原審第九回、第一〇回、第二回公判)、同
C5(原審第六回公判)、同C6(原審第一三回公判)の各証言、司法警察員作成
の実況見分調書、検察官作成の検証調書を綜合すると、次の事実が認められる。す
なわち、
 第一節(6)で説明した経過で、C5公安室長が退去勧告をした上、午后七時二
八分ころ、遂に実力排除を命じたので、鉄道公安職員らは、実力排除を開始したの
であるが、その排除というのは、公安職員らが、最初「B5」号着機の左側にいた
ピケ隊員を着機から離して排除し、さらに、着機の前方線路の両外側枕木付近にス
クラムを組んで立ち並んでいたピケ隊員を、いわゆる車両接触限界外に、軌条から
約一米位の範囲に両手などで押して退去させるもので、専ら着機が安全に通行でき
る限度に排除したものであつて、組合員の中には押し返えすものもいたが、公安職
員はこれを押し返えし、組合員が再び車両接触限界内に近ずかないように、いわゆ
る逆ピケを張つていたのである。そして、「B5」号着機の前方から博多寄りの上
り一番線の出発信号付近まで二四、五米位まで排除したのである。C12、C1
4、C13の三人も、右の排除行為に加つていたが、スクラムを組んでいる組合員
の背後にいた者が、少しずつ、博多寄りに移動し、本件犯行現場である博多に向つ
て線路右側の信号ボツクス付近で、しかも公安職員の手薄なところに、ピケ隊員
二、三〇名が線路近くまで進出し、線路の内側を向いて妨害する体勢をとり、その
うち前列の一〇名位がスクラムを組んで右側軌条外側の枕木付近に立ち並んだ。こ
の状況を現認した、右三名を含む五、六名の公安職員か危険を感じ、着機の安全な
運行を確保するため、本件犯行現場にかけつけ、再びピケ隊員を枕木外側の土盛り
まで排除したのである。そして、その排除中に、被告人に関する本事件が発生した
ものである。
 そして「B5」号周辺のピケ隊員を公安職員らが、右のように排除するに当り、
原判決のいうように、一団となつて不意に突込んだこともなく、またピケ隊員を突
き倒すとか、側溝の中に落ち込ませた所為に出たこともなく、ピケ隊員を追いかけ
て捕える必要性も目的もなかつたことが明らかで、前記原判示の「ちりぢりばらば
らになつた組合員らは、安全な場所を求めてあちこち逃げるなど右往左往し、第四
行動隊の組合員のほとんどが放心状態のため完全な団体行動がとれない状態になつ
た」という状況は、全く存在しなかつた事実が認められる。原判決の右判示は、事
実を誤認したものである。
 以上の次第で、原判決が信用性の高い原審証人C12、同C13、同C14の各
証言を排斥し、信用性の薄い原審証人C15、同C16、同C17の原審各証言お
よび被告人の原審供述を措信できるものとし、結局本件公訴事実を肯認する証拠が
ないとして被告人に無罪を言い渡したのは、証拠の取捨選択並びに証拠の価値判断
を誤つた結果、事実を誤認したものであつて、それが判決に影響を及ぼすことが明
らかで、検察官の所論は、理由があり、原判決中被告人に関する部分は、刑訴法三
九七条一項、三八二条に従いこれを破棄すべきである。
 第三節 破棄自判
 以上、第一節、第二節に説明したとおり、原判決は全部破棄を免れないから、当
裁判所は、刑訴法四〇〇条但書に則り左のとおり本件について自判する。
 (罪となるべき事実)
 第一 被告人Aは、B2労働組合中央執行委員、同A1は、同組合西部地方評議
会議長であるが、右被告人両名は、同組合がB1(B1と略称する。)当局に対し
「安全輸送対策の確立」「検修合理化反対」等を目的として昭和三八年一二月一三
日午后七時頃から二時間の、鳥栖駅を拠点とする時限ストライキ(勤務時間内職場
集会)を行なつた際、同組合の主張を貫徹するため列車の発車を阻止しようと企
て、同組合員数百名と共謀の上、同日午后八時二三分頃、鳥栖市京町七〇九番地所
在のB1鳥栖駅上り一番線付近において、代替乗務員のB4機関区勤務機関士Cの
運転する長崎発京都行き急行列車「B」号(二〇六列車)が定刻午后七時三〇分よ
り五〇数分遅延して発車しようとするや、右組合員数百名と共に同外車進路前方の
線路上軌条両外側の枕木付近に、いわゆる車両接触限界内にスクラムを組んで立ち
並び、且つ、かけ声を発して気勢をあげ、その発車を阻止し、さらに、これを鉄道
公安職員及び警察官が被告人等組合員を同線路上から排除したため、同列車が午后
八時二八分頃発車徐行し数十米進行したところ、被告人両名は、右組合員数百名と
共に再び前同様の方法をもつて同列車の進行を妨げて停止させ、再び鉄道公安職員
及び警察官による前同様の排除後、やうやく午后八時三二分頃発車させるに至ら
せ、もつて多数の威力を用いてB1の列車運行業務を妨害した。
 第二 被告人A3は、B2労働組合の組合員で、B1B7機関区所属の機関助士
であり、同組合が行なつた鳥栖駅を拠点とする前記時限ストライキ支援のため同駅
に派遣された者であるが、昭和三八年一二月一三日午后七時二〇分頃、定刻より約
一〇分遅れて上り急行列車二一〇「B5」号が前記鳥栖駅構内上り一番線に到着し
たので、同駅係員が「B5」号の到着機関車の取替作業中、同一番線東側信号ボツ
クス付近において、約二、三〇名の同組合員が、その前列約一〇名はスクラムを組
み右機関車の進路前方線路上右側軌条外側の枕木付近に立ちふさがつて、右到着機
関車の進行を妨害阻止しようとしたので、C12等数名の鉄道公安職員が、これを
同線路上から押し退げてその妨害排除に当つていた際、同日午后七時三〇分少し前
頃、右C12の左顔面を右手拳で一回強打して暴行を加え、以つて同人の職務の執
行を妨害するとともに、同人に対し、治療約五日間を要する左耳前部打撲傷並に裂
傷の傷害を負わしめた。
 (証拠の標目)(省略)
 (法令の適用)
 一 被告人A、同A1に対し
 各刑法六〇条、二三四条(二三三条)、同法六条、一〇条により昭和四七年法律
第六一号による改正前の罰金等臨時措置法三条一項一号(所定刑中、懲役刑を選択
する。)
 二 被告人A3に対し
 刑法九五条一項(公務執行妨害の点につき)
 同法二〇四条、同法第六条、第一〇条により昭和四七年法律第六一号による改正
前の罰金等臨時措置法三条一項一号、二条二項(傷害の点につき)
 刑法五四条一項前段、一〇条(右両者の関係につき。重き傷害罪の刑に従い、所
定刑中、懲役刑を選択する。)
 三 被告人三名に対し
 各刑法二五条一項(執行猶予の言渡につき)
 各刑訴法一八一条一項但書(原審及び当審訴訟費用の負担免除につき)
 (弁護人の主張に対する判断)
 弁護人は、公労法一七条一項が憲法二八条に違反するから本件時限ストひいてこ
れに付随してなされた本件ピケツテイングは違法ではなく、また、鉄道公安職員
は、鉄道営業法四二条にいう「鉄道係員」に該当しないし、本件被告人ら動労組合
員は、同条にいう「公衆」にも当らないし、さらに、同条は、強制にわたる実力行
使を鉄道係員に許容していないから、本件における鉄道公安職員らの実力排除は、
その職務権限に属せず、従つて公務執行妨害罪にいう「公務」に当らないと主張す
るけれども、そのいずれも理由のないことは、前記第一節、第二節において述べた
とおりである。
 よつて、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 足立勝義 判事 松本敏男 判事 吉田修)

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