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平成19年11月1日宣告
平成18年(わ)第1385号覚せい剤取締法違反被告事件
主文
被告人を懲役2年に処する。
未決勾留日数中330日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
,,,被告人は法定の除外事由がないのに平成18年10月25日午後7時ころ
神戸市a区b町c丁目d番e号所在のAビル1階トイレ内において,フェニルメ
チルアミノプロパンの塩類約0.07グラムを含有する水溶液を自己の身体に注
射し,もって,覚せい剤を使用したものである。
(証拠の標目)
(省略)
(補足説明)
弁護人は,被告人の逮捕に至る過程には重大な違法があり,その後の身柄拘束
期間中に採取された鑑定書や被告人の供述調書等の証拠は違法収集証拠として排
除を免れず,犯罪の証明がないことに帰着するから,被告人は無罪である旨主張
するので,以下検討する。
1関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。
()任意同行に至る経緯1
ア被告人は,平成18年(以下,平成18年については年の記載を省略す
る)9月26日ころ,警察から覚せい剤取締法違反の被疑事実で自宅の。
捜索を受け,その場で尿を任意提出した。被告人は,上記捜索をされたの
は,知人が警察に情報提供したためであると考え,同人宅からペンシル銃
と実包(以下「ペンシル銃等」という)を持ち帰った上,B県C警察署。
の警察官に対し,自己が知人のペンシル銃等を所持しているなどと申し向
けた。
イこの報告をB県C警察署の警察官から受けたB県警察本部の薬物銃器対
策課警部Dは,10月10日ころ,被告人と会い,ペンシル銃等の所在を
確認し,提出を求めるなどしたが,被告人がこれに応じなかったため,被
告人に対する銃砲刀剣類所持等取締法違反等の被疑事実(以下「別件」と
いう)につき,被告人方等の捜索を実施することにした。同捜索は,同。
月26日(以下,年月日のない時刻は同日のものである)午前7時28。
分ころ,Dを捜査指揮官として,被告人宅において行われたが,差し押さ
えるべき物の発見,押収に至らず,午前8時10分ころ終了した。なお,
そのころ,被告人の内妻E方,被告人の知人F方の捜索も行われた。
ウその際,上記捜索に参加していた上記薬物銃器対策課警部補Gは,被告
人に別件についての事情聴取のため,任意同行を求め,被告人はこれに応
じ,警察車両に同乗の上,B県H警察署まで同行した。
()B県H警察署における取調べ状況等2
アGは,補助の警察官1名とともに,午前8時53分ころ,B県H警察署
3階取調室(以下「本件取調室」という)において,被告人の取調べを。
開始した。本件取調室は,そのドアには施錠されていなかったが,これに
連なる複数の取調室から廊下に出る出口ドアには施錠されており,暗証番
号を入力しなければ外には出られない状況であった。
Dは,午前10時30分ころ,被告人の別件についての供述の真偽を確
かめるため,ポリグラフ検査を実施することにし,検査を行うB県警科学
捜査研究所所員に実施可能時刻を尋ねたところ,当日は既にB県I警察署
等において複数の検査が予定されており,午後5時以降でなければ実施で
きない旨回答された。Dらは,当日被告人を帰宅させれば,被告人がFら
と通謀して別件の罪証隠滅を図るおそれがあると考え,当日午後5時以降
に,B県I警察署において,同検査を行うこととした。
Gは,午前11時30分ころ,被告人に同検査を受ける意向があるか否
か確認したところ(被告人に実施予定時刻としてどの時刻を告げたかは後
記のとおり争いがある,被告人は,これを了承し,Gの求めに応じ,同。)
検査実施の承諾書に署名した。
イ他方,Gは,別件のそもそもの契機が覚せい剤取締法違反での捜索であ
,,ったこと被告人に覚せい剤取締法違反の前科4犯があったことなどから
午前中の取調べの中で,被告人に対し,覚せい剤使用の有無を尋ねたとこ
ろ,被告人はこれを否定した。そこで,Gは,その真偽を確認するため,
被告人に両腕を見せるよう求め,これに応じた被告人が,袖をまくって両
腕をGに見せた。Gは,被告人の左腕に注射痕を発見し,被告人の覚せい
,,,,剤使用の嫌疑を強め被告人に対し尿の提出を求めたところ被告人は
任意に尿を出すつもりはあるが,今はまだ出ないなどと答えた。そこで,
Gは,被告人に,尿を出したくなったら告げるように言い,取調べを続け
た。
ウ被告人は,午前10時30分ないし午前11時30分ころ,Gに対し,
,,Eに携帯電話と薬をもってこさせるように伝言を依頼したが同警部補は
,,薬を飲んでまで尿を出させる必要はない携帯電話も必要ないなどと考え
実際にEに連絡をとることはしなかった。
エ被告人は,午後零時ころ,Gほか1名の警察官の同行のもと,B県H警
察署付近の飲食店で食事をし,午後1時ころ,取調べが再開された。午後
1時15分ころ,Dの指示により,警察官2名が本件取調室に入り,被告
人の両腕等を写真撮影をした(その撮影態様,被告人の承諾の有無につい
ては後記のとおり争いがある。その写真は,被告人の正面から,両腕裏。)
側を差し出している被告人の上半身を撮影しているものである。
,,,,,オDは午後1時15分ころ来署していたEFらと話しをしその際
Eらは,被告人を帰すよう要求したが,Dは,被告人は現在取調中である
から,その終了後に帰す旨返答した。また,Dは,EやFらが来署してい
ることを被告人に告げれば,被告人がEらに会いたがり,そうなれば,E
らのすすめによりポリグラフ検査を拒否したり,口裏合わせをすることを
懸念し,被告人にはEらの来署を告げなかった。
カGは,同日中に,別件につき,供述調書1通を作成し,被告人の署名指
印を得た。
()B県I警察署における被告人をめぐる状況等3
ア被告人及び警察官らは,午後4時35分ころ,別件のポリグラフ検査実
施のため,警察車両でB県I警察署に移動したが,警察官らは,B県H警
察署を出る際,被告人がEらと顔を合わすことを防ぐため,同人らの目に
つかないような経路をとった。同検査は,B県I警察署において,午後5
時45分ころから午後6時46分ころまで行われ,その前後,被告人には
警察官が同行しており,一人で自由に行動できる状況にはなかった。
イ他方,午後5時17分,被告人の尿に対する捜索差押令状(以下「採尿
令状」という)が発付され,B県I警察署に運搬される途中の交通渋滞。
のため,通常の所要時間より遅い午後7時30分ころ,同令状がB県I警
察署へ到着した。Gらは,被告人に対し,任意に尿を出すよう説得してい
,,,たものの被告人が尿が出ないなどと述べたことから午後8時4分ころ
同令状を執行した。
()病院での採尿状況,緊急逮捕状況4
Gらは,午後8時49分ころ,強制採尿執行のため,被告人を神戸市f区
内の病院に連行し,被告人及び同病院医師に対し,採尿令状を呈示して採尿
,,。を依頼したが被告人が自分で容器に尿を出したためこれを差し押さえた
被告人は,午後9時20分,同病院において,尿中から覚せい剤反応が出た
旨の予試験の結果に基づき,緊急逮捕された。
()その後の捜査状況等5
上記の逮捕後,勾留中に作成された本件についての被告人の検察官及び警
察官に対する各供述調書には,捜査手続の違法を主張する旨の記載はない。
また,別件につき,Gは,11月7日,被告人から供述を録取し,更に同月
22日,別の警察官により,銃の所在に関する被告人の同行見分の結果を記
載した捜査復命書が作成されている。
2争いのある事実関係についての判断
以上の事実を前提に,当事者間に争いのある事実につき,証拠排除の可否の
判断に必要な限度で検討する。
()ポリグラフ検査承諾書作成の際の説明1
Gは,被告人に午後5時ころからポリグラフ検査が行われることを説明し
た上で,同検査についての承諾書に署名指印を得た旨供述し,同供述は,被
告人が現に同時刻以降にポリグラフ検査を受けていることには符合する。し
かし,早朝に自宅を捜索された後,差し押さえるべき物が発見されなかった
被告人において,任意同行の末警察署で約2時間30分取調べを受けた後,
更に5時間30分もの間,警察署内に留まることを承諾するのであれば,相
応の理由があってしかるべきであるのに,本件ではそのような理由は見受け
られない。また,仮に,その旨を被告人に告げてこれを断られた場合,上記
のとおり,当日中に被告人のポリグラフ検査を行おうと考えていた警察官ら
は意図が達成されないことにもなり,Gの供述は,この当時の警察官らの姿
勢に整合しない。
これに対し,被告人は,Gから,ポリグラフ検査実施予定時刻は午後,昼
一番か,遅くても1時半までには段取りをする,所要時間は約1時間である
旨告げられ,3時ころまでにEの交通事故のリハビリに同行する予定があっ
たため,それならばよいと考え,その限度で承諾した旨供述する。これは,
時間を告げられて承諾したことをその理由を含め矛盾なく説明しており,そ
の予定自体は警察官らに告げていないとする等必ずしも自己に有利でない事
実を認めるなど,その供述態度からも,一概に排斥できない。そうすると,
被告人は,ポリグラフ検査が午後1時半ころに開始され,1時間程度で終了
するとの前提のもと,同検査を承諾したと理解するのが相当である。
もっとも,被告人は結果的には午後4時35分ころ,ポリグラフ検査を受
けるためにB県I警察署に向かい,同署で同検査を受けているため,午後1
時半以降の時点で,改めてポリグラフ検査を受けるためにB県H警察署に留
まることを黙認したとも考えられる。しかし,この段階では,被告人の留め
置きは既に実質的な逮捕に至っていたと評価すべきであることは後述のとお
りである。
()被告人の腕の写真撮影時のやり取り2
,,,被告人の腕の注射痕の写真撮影につきGは被告人から了承を得ており
被告人が,同警部補らに対し,写真を撮るななどと言ったり,抵抗したりす
ることはなく,その後も別件の取調べに応じていた旨供述する。同供述は,
写真撮影までの経緯や,上記写真に写る被告人の様子からして,被告人が写
真撮影されることを認識しつつ,これに応じていると推察されることと符合
し,信用性が高い(なお,弁護人は,上記写真につき,午後1時15分ころ
に撮影されたものである点について疑問を呈するが,その撮影内容等からし
て同写真の撮影時刻に疑いを抱かせる事情はうかがえない。。)
これに対し,被告人は,写真撮影を承諾したことはなく,Gらに注射痕を
見せたら,いきなり写真を撮られたのであり,抗議すると,同警部補の合図
,。のもと写真撮影をした2名の警察官が本件取調室を出ていった旨供述する
,,,確かに元来別件について任意同行を求められた被告人においてその当初
覚せい剤取締法違反の捜査資料とするための写真撮影を予想していなかった
ことは想像に難くない。しかし,覚せい剤の前科4犯を有し,また,午前中
の段階で覚せい剤使用の有無を尋ねられた上,尿の任意提出を求められ,応
じる意向は示したものの,いまだ実際には任意提出していない被告人におい
て,その後証拠化のために注射痕を撮影されることは,その段階では十分に
予期されたものといえる。また,突然承諾なく写真撮影をした場合,被告人
がこれを承伏せず,退去を申し出ることも予測され,上記のとおり,午後5
時ころまでB県H警察署に留め置きたい警察官らにおいて,被告人の承諾な
く写真撮影をすることは考えにくく,しかも,この当時,被告人は尿の任意
提出に応じる意向を示していたのであるから,写真撮影を承諾する見込みも
あり,これを強行する利益も乏しい。
よって,この点については,Gの供述は信用性が高く,これに反する被告
人の供述は信用できない。
()被告人の退去意向の有無及びその表明の程度3
Gは,被告人が午前はもちろん,午後の取調べの間も,退去したい旨述べ
たことはなかった旨供述する。同供述は,被告人がEらがB県H警察署に来
署していることを知らなかったこと,被告人が任意でなければ実効性の乏し
いポリグラフ検査に応じていること,捜査段階の自白調書には本件の捜査手
続の違法性に言及した記載がないこと等の事実に符合し,相応の信用性が認
められる。
この点につき,被告人は,昼過ぎに両腕の写真を撮影されて以降,B県H
警察署での取調べの間,何度も帰らせてくれと申し出たが,聞き入れてもら
えなかった,B県I警察署の取調室でも帰らせてくれといったが,入り口を
ふさがれるなどしたため退去できず,複数の警察官に取り囲まれて尿の提出
を迫られたなどと供述する。このうち,捜査官らが被告人を容易に帰宅させ
るつもりがなかったことは上記のとおり十分認められるが,被告人が幾度と
,,なく退去の意思を表明していたとする点は上記Gの供述に反するばかりか
上記の写真撮影時の状況や実際にポリグラフ検査を受けていること,警察官
らにおいて採尿令状の到着後直ちに執行をしていないこと等の客観的な状況
と符合しない。そうすると,被告人が,その内心において退去の意向を有し
ていたか否かはともかく,少なくともポリグラフ検査実施の時点までにおい
て,警察署からの強い退去意思を有し,これを積極的に警察官に表明してい
たとは認められない。
()EらがB県H警察署に来た時刻4
,,,なおEは午前9時すぎに既にB県H警察署に赴いた旨の供述をするが
Dは,午前中に,B県H警察署において,Eらを見ておらず,来署したとの
報告も受けていない旨供述する。Dの同供述は,Eらと話しをするに至った
経緯も自然であり,その内容自体はEの供述にも符合し,B県H警察署の警
察官らにおいて,殊更別件ないし本件の捜査に従事している警察官らに,D
らへの取次ぎを防ごうとした形跡もうかがわれない。また,Eも,同行した
Fらとともに,警察官に対し,被告人に会わせろ,帰せなどと要求した時刻
は明確でない旨の供述をする。そうすると,本件の争点を判断する前提とし
,,,てはEらの来署の時刻を確定する意義は必ずしも大きくなくDにおいて
午後1時15分ころには,Eらが被告人に会わせて欲しい旨認識していたと
いう限度で評価の基礎とすることとする。
3捜査手続の違法性の有無及び排除相当性について
()違法性の有無1
本件では,被告人が任意同行後,緊急逮捕されるまでの約13時間,取調
中はもとより,昼食時や移動時も常時警察官が同行しており,いわばその監
視下におかれていたもので,客観的に退去が容易な状況とは認められず,ま
た,捜査官においても別件ないし本件に必要な捜査が終了するまで,容易に
被告人の退去を許す気持ちがなかったことは,いずれも上記認定のとおりで
ある。このような状況で,なお被告人の留め置きが任意といえるためには,
被告人の真摯な同意があることが必要不可欠であるところ,本件で,警察官
らは,被告人が要請したEへの連絡をせず,B県H警察署に来署したEらが
要請した面会等の希望を被告人に取り次いでおらず,被告人がこれらの事情
を知りながら進んで取調べに応じていたとも認められない。そうすると,警
察官らによる被告人の警察署等への留め置きは,午後1時15分ころ,Dが
Eらの面会要求を断り,これを被告人に取り次がなかった時点において,任
意捜査の限界を超え,実質的な逮捕である違法な身柄拘束であったというほ
かない。そして,一連の手続に引き続いて行われた採尿手続も,被告人に対
する覚せい剤事犯の捜査という同一目的に向けられたものである上,一連の
手続によりもたらされた状態を直接利用したものであるから,違法性を帯び
るというべきである。
この点につき,検察官は,B県H警察署を来訪したEらの存在を被告人に
伝えなかったのは,捜査上必要かつ合理的な措置であった旨主張する。しか
し,第三者との接触を断つことによって罪証隠滅を防止することは,本来的
には逮捕によることが予定されており,その要件が備わらない段階で,外部
との意思疎通を遮断することで罪証隠滅の防止を図ろうとする態度は是認で
きない。また,検察官は,本件当日のみでなく,それ以降も別件の捜査がさ
れており,別件の捜査は本件の捜査を行うための口実ではない旨の主張もす
る。確かに,本件当日に別件の供述調書が作成され,それ以後も被告人の供
述調書や同行見分がされていることからすれば,別件の捜査が本件のための
形式上のものであったとはいえない(別件の取調べが午前10時ころには終
了していたとする被告人の供述は,上記供述調書の体裁等に照らし,信用で
きない。しかし,そうだとしても,本件と別件の両方で捜査の目的が併存。)
し,併せて取調べ等がなされたことは,外部との接触を遮断した状態におけ
る取調べの適法性についての判断に影響を与えるものではなく,検察官主張
の諸事情は,上記判断を左右しないというべきである。
()証拠排除相当性2
そこで,次に,この違法な身柄拘束を利用して収集された証拠を排除すべ
きか否かを検討するに,警察官らは罪証隠滅のおそれがあれば,これを防止
するため,任意取調中の被疑者と外部との接触を絶つことが許されるとの認
識のもと,被告人にポリグラフ検査実施予定の正確な時刻や,面会希望者の
存在を告げないなど,自らの捜査目的が完遂されるまでは被告人の退去を認
めない意向で本件の捜査にあたっており,その姿勢には疑問なしとしない。
しかし,採尿令状執行後は同令状の効力として対象者の意思によらず採取
場所への移動が許容されると解すべきところ,逮捕手続によることなく違法
に身柄を拘束していた時間は,採尿令状執行まで7時間足らず,同令状発付
までであれば4時間余りと,相当時間短縮される。また,被告人の身柄拘束
が長時間に及んだのは,警察官らにおいて,ポリグラフ検査実施機関から同
検査の実施可能時刻が夕方からと回答されたためであり,採尿令状発付後,
その執行が遅れたのは,交通渋滞による同令状到着の遅滞や被告人に任意で
の尿提出の説得を続けたためで,いずれも偶発的な色彩が濃く,警察官らが
当初から令状主義を僭脱する違法な留め置きをする意図を有していたとは認
められない。加えて,被告人の身柄拘束に殴打等の強い有形力の行使が用い
られているわけではないこと,採尿自体は令状執行下に行われていること,
本件及び別件の性質,嫌疑の程度,従前の経緯等に照らし,警察官らにおい
て,本件当日中にポリグラフ検査や尿を採取する必要性は高いと考えたこと
もそれなりに理解できること,被告人は退去の意思を積極的かつ継続的に警
察官らに示していたとは認められないことなどの事情も認められる。なお,
弁護人は,別件発覚に至る経緯に照らし,別件には捜索や任意同行の必要性
がなかった旨の主張もするが,ペンシル銃等の存在はうかがわれるもののそ
の所在が不明であるという当時の捜査機関において,これら捜査の必要性が
なかったということはできない。
これらの事情を総合的に考慮すると,本件一連の手続の違法の程度が重大
で,そこで収集された証拠を被告人の罪証に供することが違法捜査抑制の見
地から相当でないとはなお認められない。
4結論
以上のとおり,被告人の尿成分の鑑定書をはじめ,弁護人が違法収集証拠で
あり証拠能力を否定すべきとする各証拠につき,排除相当とは認められず,そ
の証拠能力は否定できない。よって,弁護人の主張は採用できない。
(累犯前科)
被告人は,平成12年12月1日J地方裁判所で覚せい剤取締法違反の罪によ
り懲役1年10月に処せられ,平成14年9月26日その刑の執行を受け終わっ
たものであって,この事実は検察事務官作成の前科調書(乙11)によって認め
る。
(法令の適用)
被告人の判示所為は覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条に該当する
ところ,被告人には上記の前科があるので刑法56条1項,57条により再犯の
加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年に処し,同法21条を適用して未決
勾留日数中330日をその刑に算入することとする。
(量刑の理由)
被告人は,20歳代後半ころから覚せい剤の使用を始め,以後,同罪で4回有
罪判決を受け,3回目の服役となる上記累犯前科に係る服役終了後,またもや覚
,。,せい剤の使用を再開し特段の見るべき事情なく本件に及んでいるそうすると
被告人の覚せい剤等への親和性,依存性は根深いといわざるを得ず,その刑事責
任は重いというべきである。
,,,,しかしながら他方被告人は捜査段階では事実を認めて反省の態度を示し
更生への決意を述べていること,その覚せい剤の使用頻度は以前に比して減少し
た様子もうかがわれること,同居している高齢の母親や本件係属中に婚姻した妻
がいることなど,被告人のために酌むべき事情も認められる。
そこで,以上のような諸情状を総合考慮し,主文の刑に処するのが相当である
と判断した(求刑懲役2年6月)。
平成19年11月1日
神戸地方裁判所第2刑事部
裁判官五十嵐浩介

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