弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中四〇〇日を本刑に算入する。
         理    由
 弁護人鍛治利一、同岡林靖及び同中村皎久の上告趣意第一点、同第二点及び同第
三点について。
 所論は、単なる法令違反、訴訟法違反の主張を出でないものであつて、いずれも、
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第四点乃至第八点について。
 所論は、違憲をいうが、その実質は、単なる法令違反、事実誤認の主張に帰する
のであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、原判決は控訴棄却の判
決であり、刑訴三三五条一項に則つて一々証拠の標目を示す必要はないものである
から、証拠を挙示していないからといつて、虚無の証拠によつた違法があるとする
ことができないのは勿論、記録中の証拠によれば、原判決の如く認定することもで
き得るのである)
 同第九点について。
 所論は憲法違反をいうが、論旨に鑑み、記録を精査しても、第一審判決の挙示す
る被告人の司法警察員に対する各供述が、取調官の暴行、強制、誘導に基ずくもの
と認むべき証拠はないから、所論は前提たる事実を欠くものであつて、採用するこ
とができない。
 同第一〇点について。
 所論は、事実誤認を前提とする単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の
上告理由に当らない。
 同第一一点について。
 所論は、違憲をいうが、その実質は、単なる訴訟法違反の主張に帰するのであつ
て、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、第一審第九回公判調書によれば、
被告人及び弁護人は所論自白調書及び上申書を証拠とすることに同意したことが認
められるばかりでなく記録を調べても、その供述が任意に為されたものでないと疑
うべき理由を見出し得ないことは、既に、論旨第九点につき判断したとおりである
から、これを証拠とするに差支はない。それ故、所論の訴訟法違反を認めることは
できない)。
 弁護人岡林靖及び被告本人の上告趣意について。
 論旨中には、違憲をいう点もあるが、その採用し難いことは、既に前記弁護人鍛
治利一、同岡林靖及び同中村皎久の上告趣意第九点につき判断したとおりであり、
その余の論旨は、単なる法令違反事実誤認の主張を出でないものであつて、すべて、
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 なお、記録を調べても、本件につき、刑訴四一一条を適用すべき事由ありとは認
められない。
 よつて、刑訴四〇八条、刑法二一条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のと
おり判決する。
  昭和二九年三月四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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