弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を高松高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 被告人本人の上告趣意は単なる法令違反及び事実誤認の主張をいでず、刑訴四〇
五条の上告理由に当らない。
 職権をもつて調査するに、第一審裁判所は、被告人は法定の除外事由がないのに
昭和二九年一二月頃から同三一年九月一九日までの間その居宅において刃渡七五セ
ンチメートルの刀(指揮刀)一振を所持していたものである旨の事実を認定し、被
告人の右所為は銃砲刀剣類等所持取締令(昭和二五年政令第三三四号)二条一項、
二六条一号に該当するものとして被告人を有罪とし、原審裁判所は、本件指揮刀は
同令にいう刀に該当しない旨の弁護人控訴趣意に対し、本件指揮刀は旧陸軍の使用
した指揮刀で刃はつけていないが、刀身七五センチメートル、その切先は鋭利にし
て容易に他人を殺傷しうる危険性のある一種の武器と認められ、単なる指揮棒とは
同視できないので、同令の立法趣旨からみても同令一条にいわゆる刀剣にあたるも
のというべきであるとして、第一審判決を支持したのである。
 しかしながら、同令一条にいう「刀剣類」とは、社会通念上「刀」「剣」「やり」
及び「なぎなた」並びに「あいくち」及び「飛出しナイフ」のそれぞれの類型にあ
てはまる形態・実質をそなえる刃物を指称するものと解すべきである(昭和三一年
四月一〇日第三小法廷判決、集一〇巻四号五二〇頁参照)。従つて、たとえ「刀」
の形態をそなえ、刃渡にあたる部分が一五センチメートル以上あり、切先が鋭利で
容易に人を殺傷しうる危険性のある物件であつても、「刀」としての実質(即ち、
鋼質性の材料をもつて製作された刃物又は或る程度の加工により刃物となりうるも
のであること)をそなえない物件は、同令にいう「刀剣類」にあたるものというこ
とはできない。
 ところで本件指揮刀をみるに、それは原判示の如く、旧陸軍の使用した指揮刀で
あつて、「刀」の形態をそなえ、刃渡にあたる部分は七五センチメートルあり、切
先は鋭利で容易に人を殺傷しうる危険性のある物件であるが、「刀」としての実質
をそなえているかどうか、即ちそれは如何なる材料をもつて製作されたものである
か、又現在刃はつけられていないとしても、どの程度の加工により刃物となりうる
ものであるかどうかの点は本件事実審理の結果によつては明らかにされていないの
であるから、原審裁判所はすべからくこの点を明らかにした上で本件指揮刀が同令
一条にいう「刀剣類」にあたるかどうかを判断すべきであつたのに、事ここに出て
ず単にその形態と切先による殺傷の危険性のみにより漫然これを右「刀剣類」にあ
たるものと判断し、これを所持した被告人の所為を同令違反の罪に問擬した第一審
判決を支持したのは、法令の解釈適用を誤り、ひいては審理不尽による理由不備の
違法を犯したものというべく、原判決は刑訴四一一条一号により破棄を免れない。
よつて同四一三条本文により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する
 検察官 山内繁雄公判出席
  昭和三六年三月七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛