弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 論旨第一点について。
 原判決が、被告人の原判示行為をもつて常習賭博罪を構成するものとして、被告
人を懲役六月(執行猶予三年)に処したことは、所論のとおりである。しかるに、
所論は、被告人の原判示所為は、賭博行為ではないのであるから、これに対して刑
法第百八十六条を適用した原判決は、法令の解釈適用を誤つたものである旨を主張
し、その理由として、賭博罪の構成要素としての賭博とは、偶然の事情により財物
の得喪を決する行為を指称し、当事者双方においてその賭した財物の得喪につき危
険の負担に任ずるものであつて、当事者の一方が危険の負担に任じないか、又は勝
負を争うに先だち財物の所有権を取得するときは、賭博ではないと解すべきとこ
ろ、本件においては、客は先ず遊技券を買い受けるのであつて、客の出した財物の
所有権は、ゲームの開始前に被告人に帰属し、その後において、始めてゲームが行
われるのであるから、被告人の右所得は、偶然の勝負に基くものではなく、またゲ
ームの結果によつて当事者間に財物の授受がなされるとしても、常に営業者が遊技
券の売上以上の出捐を余儀なくされるか、又は右売上額の範囲内において景品等の
支出をするかであつて、遊技券を求めた客は、ゲームの結果によつて景品等の財物
を取得することはあつても、絶対にゲーム前に支出した遊技券の代金以外に出捐を
することはありえないものであつて、ひつきよう、偶然の勝負により、営業者側は
損をするか得をするかのいずれかであるが、客は得をするかしないかであつて損を
することは絶対にないものであるから、被告人の原判示所為は賭博性がなく、ま
た、被告人の原判示営業条件の違背が、本件所為をして賭博化せしめるものでもな
い旨を主張するにより、案ずるに、原判決の認定事実を、その援用する各証拠と対
照して検討すると、本来被告人が長野県公安委員会の許可を受けて行つていた遊技
営業行為は、原判示のとおりの方法であつて、結局のところ、営業者と客とが偶然
の勝負によつて財物を賭けるという性質を帯びているものであることは否定できな
いところであるが、長野県公安委員会が特にこれを許可した理由は、その方法にい
くつかの制限を設け、この条件の範囲内において行うならば、一時の娯楽に供する
物を賭ける場合にあたると認めたものと解するのが相当であつて、そのように認め
たことには違法はないものといわなければならない。しかして、原判決の認定した
ところによれば、被告人は、右許可の条件に違反して、一人一回二十円の制限を越
えた遊技券を発売し、また、遊技券を買い受けた客が玉を突く条件を変更し、多数
客のうちの任意の一名を代表として玉を突かせ、更に景品についても、許可の制限
を越えて、客の要求により、遊技券の購入に充てることかできる券又は現金までも
給付することとして、このような方法を繰り返し営業として行つていたというので
あつて、該事実は、原判決援用の証拠によつて優にこれを肯認することができ、記
録を調べ<要旨>てみても、原判決の右認定が誤つているとは考えられないのであ
る。このように、被告人が長野県公安委員会の許可条件を無視して、右原判
示のような遊技営業行為をしていたとすれば、被告人の所為は、右許可によつて一
時の娯楽に供する物を賭ける場合に当るという性質を失い、単に許可条件に違反し
たという風俗営業取締法違反の限界を越え、純然たる賭博行為と認められるに至つ
たものといわなければならない。してみれば、原判決が、被告人の行為を目して常
習賭博罪を構成するものと判断したことは、相当であるというべく、原判決には、
この点につき、所論のような法令の解釈適用を誤つた違法があるものということは
できないから、論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 中西要一 判事 山田要治 判事 石井謹吾)

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