弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決および第一審判決を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 弁護人武子・文、同鈴紀男、同矢田部理、被告人本人連名の上告趣意は、事実誤
認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 しかし、所論にかんがみ職権をもつて調査するに、本件の公訴事実は、「被告人
は、勝田市役所民生部福祉事務所に福祉係として勤務するかたわらH組合の執行委
員をしているものであるが、昭和四一年一〇月二〇日午前七時三〇分ころ勝田市a
町b番c号勝田市公民館において、同公民館一号室東側入口向つて左側の壁に同市
市長が貼付した同月一九日付の同市職員にあてた『職員の争議行為の防止について
』と題するいわゆる一〇・二一ストに関する警告書一通をとりはがして持ち去り、
もつて公務所の用に供する文書を毀棄したものである。」というものであり、第一
審判決は右公訴事実と同趣旨の事実(ただし、右警告書を警告文と表現)を認定し
たうえ、右は刑法二五八条の公文書毀棄罪にあたるものとして、被告人を懲役四月
執行猶予一年に処する旨を言い渡し、原判決は、被告人の控訴に対し、その事実誤
認の控訴趣意を排斥して右第一審判決を是認維持しているのである。
 しかし本件記録を精査するに、右公訴事実を肯認しうる証拠としては、被告人が
右警告文をはぎ取るところを目撃したという証人Aの証言だけであるが、被告人は
捜査の当初以来一貫して右犯行を否認し、自分は前記警告文をはがしたことはない
旨供述している。そして、証人B、同C、同D、同E等は、本件警告文は、被告人
がはがしたとされている日の前夜である一〇月一九日午後八時ごろには何者かによ
つてはがされ、所論の壁には貼付されていなかつたと述べ、なお右証人Eは当夜そ
のことをFにも話したと供述しており、証人Fもこれに照応する供述をしているの
であつて、事の真相がそのいずれかであるかは容易に即断しがたいものであるとこ
ろ、当裁判所に提出された検察官の昭和四六年一〇月二三日付「答弁の補充書」と
題する書面によれば、勝田市役所の職員でGという者が本件事件の前夜である昭和
四一年一〇月一九日夜本件勝田市長名義の警告文をはがし取つて破棄した嫌疑があ
るが、諸般の情状により右Gについては起訴猶予処分に付した旨の記載があるので、
前示証人Aの証言はたやすくこれを措信することができないものといわなければな
らない。
 してみれば、右証人Aの証言を措信し、被告人に対し前示公訴事実の存在を肯定
し有罪の言渡をした第一審判決およびこれを維持是認した原判決には、判決に影響
を及ぼすべき重大な事実誤認の疑いがあるから、これを破棄しなければいちじるし
く正義に反するものと認める。
 よつて、刑訴法四一一条三号により原判決および第一審判決を破棄し、同法四一
三条但書によつて更に被告事件につき裁判すべきところ、記録に徴するに、証人A
の前示証言は、前示のようにたやすく措信できないものであるし、これを除いて他
に本件公訴事実を認めるに足る証拠は存しないので、同法四一四条、四〇四条、三
三六条に従い、被告人に対しては犯罪の証明がないものとして無罪の言渡をするこ
ととし、裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。
 検察官山室章 公判出席
  昭和四七年二月一〇日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    下   田   武   三
            裁判官    岸       盛   一

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