弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人鍛治利一の上告趣意は末尾に添えた書面記載のとおりである。
 論旨第一点について。
 原判決は、判示第一、第二事実の証拠として、右各犯罪に対して被告人等と共犯
関係にあるAおよびBの各自白の外に判示日時、判示場所で右共犯者等から酒食の
饗応を受けた旨の被告人両名の第一審公判調書中の各供述記載並びにその会合の席
で農地売買について話合をした上、被告人両名は、Bが不法に反当二千円でCの農
地を買受けた謝礼として提供されるものであることをしりながら、酒食の饗応を受
けた旨の、被告人Dに対する司法警察官の訊問調書中の供述記載等を挙示している
のである。それゆえ、原審は所論のように共犯者の自白のみを以て、被告人等の判
示第一、第二事実を認定したものではない。そして、右の被告人等の各供述記載は
共犯者の自白の補強証拠となり得るものであつて、これらを綜合して事実を認定し
ても憲法第三八条第三項に違反しないことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)
第七七号同二四年五月一八日大法廷判決、昭和二三年(れ)第一六七号同年七月一
九日大法廷判決、昭和二三年(れ)第一一二号同年七月一四日大法廷判決決)の趣
旨に徴して明らかである。
 次に原判決は、判示第三、第四事実の証拠として、右各犯罪に対して被告人等と
共犯関係にあるEおよびFの司法警察官に対する各聴取書並びに第一審公判調書中
の、同人等の判示に照応する各供述記載を挙示している。そして、各共犯者の自白
は、互に他の共犯者の自白の補強証拠となり得るものであつて、各共犯者の自白を
綜合して事実を認定することは、憲法第三八条第三項に違反しないことも、当裁判
所の判例(昭和二三年(れ)第七七号同二四年五月一八日大法廷判決、昭和二三年
(れ)第一一二号同二三年七月一四日大法廷判決、尚昭和二四年(れ)第一一六七
号同年一二月二四日第二小法廷判決参照)の示すところである。されば論旨は理由
がない。
 同第二点および第三点について。
 原判決挙示の証拠によれば、原判示事実は十分認め得られるのであり、且つ原審
が右のように適法に認定した農地調整法違反幇助および収賄の各判示事実に対し、
当該法令を適用して処断したことは正当であつて、法律の適用を誤つた違法はない。
よつて論旨はいずれも理由がない。なお、論旨中、事実誤認の主張は上告の適法な
理由となり得ない。
 同第四点について。
 被告人Gが被告人Dの判示第四の九月、十月における犯行に加功したものである
ことは、原判決挙示の証拠によつて十分認め得られるのであつて、原審は証拠に基
かないで事実を認定した違法はない。論旨は理由がない。
 同第五点について。
 原判示第三事実には、小作人Fが「地主Eから」金千円を「受取つた」と記載さ
れていることは所論のとおりである。しかし原判決挙示の各証拠を調べてみると、
いずれも地主Eが小作人Fから金千円を受取つたものであることが記載されている。
一方、原判示第三事実にも、「売買価格の制限を免れるために」金銭を授受したも
のであり、「将来の政府買上及び売渡の価格以外に右田地の代金の意味で」金千円
を受取つたと記載されている。そして、農地の政府買上および売渡において、小作
人が地主から「売買価格の制限を免れるために」金を受取るということは考えられ
ないところであり、また農地を買うべき小作人が「田地の代金」を受取るというこ
とは明らかに矛盾している。以上の点から考えると、原判示事実の記載は小作人F
が「地主Eに」金千円を「授与した」との誤記であることが明らかである。されば
論旨は理由がない。
 よつて、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり
判決する。
 以上は、裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 竹内壽平関与
  昭和二六年四月一〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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