弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人久保田美英の上告理由第四点、第五点について。
 本件賃貸借契約の契約証書(甲第一号証)には契約条項として
 第二条 本賃貸土地ハ甲(借主)ガD製造所工員ノ福利施設ノ為メニ建設スル陸
軍省直営住宅ノ敷地及ビ之レニ附随スル道路公園ノ用地ニ使用スル目的トス従ツテ
之レ以外ノ目的ニ使用スル事ヲ得ズ。
との記載あることは原判決の確定するところであり、この条項の約旨をいかに解釈
すべきかは本件における重要な争点の一であるが、原判決はその認定にかかる諸般
の事情にもとづいて「右約定は、本件賃貸借の目的が国において建物を所有するに
あることを明らかにしたものであつて(D製造所工員宿舎を建築しこれに工員を居
住せしめることは契約をするに至つた動機にすぎないと解釈すべきである。)使用
目的をD製造所工員の宿舎用地に限定したものでないと解するを相当とし」と判示
した。
 しかし、原判決認定の本件契約締結の経緯、ことに昭和一六年二月頃D製造所は、
同所工員の宿舎と附属設備増設のため、本件土地及びその附近の土地を借り入れる
こととなり、当時の同製造所長Eは、同所の職員をして各地主に交渉させたところ、
上告人先代F外一名以外の地主は貸与をたやすく承諾し、その土地を借り入れるこ
とができたが、F外一名は、土地の貸与を大体承諾しながら、土地の転貸、賃借権
の譲渡、契約解除、坪数の増減変更をする場合等の点につき意見の一致を見なかつ
たので、引き続き折衝を重ねた結果、当時被上告人国が土地を借り上げる場合の書
式は、乙第二号証の土地借上契約書と同形式のものであつて、他の地主との契約条
項は右契約書どおりであつたが、上告人先代Fは、右契約条項よりもF側に有利な
「本件土地はD製造所が、同所工員の福利施設のために建設する陸軍省直営住宅の
敷地及びこれに附随する道路、公園の用地に使用することを目的とし、これ以外の
目的に使用することができない(第二条)。同製造所は貸主の承諾を得ないで賃借
権を譲渡し又は第三者に転貸することができない。同製造所が賃借地上に建設すべ
き家屋その他の工作物は貸主の承諾なくしては撤去しないで第三者にこれを譲渡す
ることができない(第四条)。軍事上その他正当の事由がある場合に限り同製造所
は本契約の一部又は全部を解除し又は賃借坪数を増減変更することができる(第七
条)。同製造所が本契約土地を返還すべき場合は賃借地上の工作物をことごとく撤
去し、何等の請求をすることなく賃借当時の原状に回復する(第九条)。」等の約
定でD製造所に賃貸することを承諾するに至つたものである事情を勘案すれば、原
判決が前示第二条の約定をもつて「本件賃貸借の目的が国において建物を所有する
にあることを明らかにしたものである」とか、「契約をするに至つた動機にすぎな
い」とか解釈したことは、あまりにも前示条項文言の文理解釈とかけはなれている
のみならず、前示認定の事実からうかがわれる当事者の真意に沿わないものという
べきであり、少くとも右土地の使用目的に関する制限条項は当事者間において重要
な契約の要素として締結されたものと解するを相当とする。結局、原判決の前示の
ごとき解釈は到底人をして納得せしめるに足る十分の理由を備えないものというの
外なく、従つて原判決がこの解釈を基準として上告人の賃貸借終了の主張を排斥し
た点において理由不備の違法あり、破棄を免れないものである。
 よつて、その余の論旨に関する判断を省略し、民訴四〇七条を適用して、全裁判
官一致の意見により、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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