弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各控訴を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人梅田鶴吉の各控訴趣意は末尾添付の書面記載の通りである。
 同各控訴趣意第一点について、
 公訴事実は訴因を明示してこれを記載することを要し訴因を明示するにはできる
限り日時、場所及び方法を<要旨>以て罪となるべき事実を特定してこれをしなけれ
ばならないことは所論の通りである。しかし訴因の記載が不明確な場合に、
その補正追完が絶対に許されないものとは解し難く、検察官自ら又は裁判所の釈明
により検察官はその不明確な点を補正追完することはもとより許されるものと解す
るのを相当とする。本件起訴状記載の公訴事実をみるに「被告人両名は昭和二七年
一〇月一日施行された衆議院議員選挙に際し徳島県から立候補したAに投票を得し
める目的を以て共謀の上同年九月一一日、同月一二日に亘り選挙人である徳島県海
部郡a町bBことB外九名の宅を戸別に訪問し右候補者の再投票依頼をし以て戸別
訪問したものである」と記載されていて、Bを除く九名についてはその氏名と戸別
訪問をした日時、場所は特定していないけれども原審第三回公判調書に依ると検察
官は起訴状訂正(補正追完の意と解する。)の申立を為し裁判所の許可を得て右九
名につきその氏名と戸別訪問をした日時、場所を明らか、にしたことが明白である
から之によつて訴因は特定せられたものと云わなければならぬ、原審弁護人はこの
補正追完に対し、異議を留めているけれども右の如き補正追完を許した原審の措置
は固より相当であつて何等非議すべきところを認めない。従つて、弁護人の異議は
理由がないから本件につき起訴なき事実につき裁判をしたという論旨は理由かな
い。
 而して訴因は起訴当初明確を欠き後これが補正追完せられた場合であつても起訴
は当初より有効と解すべくその補正追完せられたときに新たな起訴があつたと解す
べきでないことは刑事訴訟法が二重起訴を許さない法理から見て理の当然であるか
らBを除く外九名に対する戸別訪問についてもその公訴時効は右戸別訪問の行為の
あつた最終日時から進行するも昭和二七年一二月二日本件公訴の提起により停止し
たものであつて訴因の補正追完の時まで進行する謂れがないから訴因補正追完の時
に公訴時効完成したりとする論旨は理由がない。
 各控訴趣意第二及び第三点について、
 原判決挙示の証拠を仔細に検討すれば被告人両名は相携えて有権者の各戸につき
衆議院議員候補者Aのため投票依頼をなすことを共謀し、両名同道するも被告人C
をして戸別訪問の責を免れる口実を作るため先づ被告人Dが有権者の居宅に這入り
投票依頼をなして有権者を戸外に誘い出したる上更にCより投票依頼をなした事実
を肯認するに十分であり戸別訪問の罪についても亦刑法第六〇条の適用あること勿
論であるから原審が被告人両名の所為を共謀による戸別訪問なりと認めたことは当
然であつて原判決には所論のような事実の誤認はもとより法令の適用の誤もなく論
旨は理由がない。
 弁護人は被告人等が原判示のE方、F方及びG方を夫々訪問したのはE方は下駄
を買うこと、F方は梨を買うこと、G方は被告人Dが世話しているGの娘の近況を
報告することが夫々主目的であつた旨主張するが原判決挙示の証拠を綜合して判断
すれば被告人等は原判示の如くいづれも投票を得しめる目的を以て訪問した事実を
認定するに十分であり又原審証人Hの供述は夫々検察官作成の被告人等の各第一、
二回供述調書の補強証拠と為すに妨げないから原判決には証拠によらずして判示事
実を認定した部分はなく原判決には所論のような違法もなく事実の誤認も認められ
ないから論旨は理由がない。
 弁護人の被告人Cに対する控訴趣意第四点について、
 記録を精査しそこに現われた諸般の情状並に所論の事情を斟酌しても原審の科刑
は相当であつて過重とは認められないから論旨は理由がない。
 その他被告人等に対する原判決には破棄の事由が認められないから刑事訴訟法第
三九六条により主文の通り判決する。
 (裁判長判事 三野盛一 判事 谷弓雄 判事 谷賢次)

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