弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aおよび同Bの弁護人岡崎源一および同立崎亮吉の上告趣意第五点につい
て。
 所論は憲法違反をいうけれども、その実質は法令違反の主張に帰するのであつて、
適法な上告理由とならない。そして、印紙犯罪処罰法制定後その施行中に政府が新
に発行した取引高税印紙が同法にいう印紙に該当することは当裁判所の判例とする
ところであるから(昭和二九年(あ)第一五二三号、同三〇年二月三日第一小法廷
決定、集九巻二号一七七頁、昭和三〇年(あ)第二八五八号、同三三年三月二五日
第三小法廷判決、集一二巻四号六四二頁)、これと同趣旨に出でた原判断は正当で
あつて何ら所論のような違法はない。
 同第六点について。所論は原判決の高等裁判所判例違反を主張する。しかし、被
告人Bに対する昭和二七年四月二日附起訴状記載の印紙犯罪処罰法二条一項前段の
印紙交付の公訴事実と第一審判決判示第三の(二)の同規定の印紙使用の認定事実
との間には公訴事実の同一性を認めることができ、また前記のような起訴に対し、
訴因変更の手続を経ることなく、右のような認定をしたからといつて、被告人の防
禦に実質的な不利益を来たさしめているとみるべき節はない。従つて、原判決には
所論のような違法はなく、論旨引用の諸判例の事案は本件とは場合を異にし、適切
でない。
 同第七点および第八点について。
 所論は単なる法令違反または量刑不当の主張であつて、いずれも、刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。
 同第九点について。
 所論は判例違反、憲法違反をいう点もあるが、原判決は被告人Aにおいて第一審
判決判示第一の(一)の饗応および毛糸がその職務に関する賄賂であることを認識
しながらこれを収受したものと認定した趣旨であることが極めて明白であるから所
論判例違反の主張は既にその前提において失当であり、所論違憲の主張が採用でき
ないことは論旨第五点につき説示したとおりである。その余の論旨は法令違反の主
張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
 同第一〇点について。
 所論は量刑不当の主張であつて、上告適法の理由とならない。
 被告人Cの弁護人斎藤俊平、同吉江知養、同清田一郎および同川崎友夫の上告趣
意第一点について。
 所論は原判決の大審院判例違反をいうけれども、原判決が所論饗応と毛糸を一般
社交的儀礼とみなかつたからといつて、論旨引用の判例と相反する判断をしたこと
にはならず、所論の実質は原判決が右饗応、毛糸を賄賂と判断したことを非難する
に帰し、上告適法の理由とならない。
 同第二点について。
 所論は原判決の最高裁判所および大審院の各判例違反を主張する。しかし、原判
示によれば、被告人Cは第一審判決判示第一の(一)、(二)の犯行当時、津地方
法務局の商業法人登記係長で、登記官吏として主に法人登記に関する事務を担当し
ていたが、補助的には同判示のような法人関係の不動産登記に関する事務をも職務
として担当していたというのであるから、原判決が同被告人の前示第一審判決判示
第一の各所為につき収賄罪の成立を肯定したのは相当であつて、これをもつて論旨
引用の各判例と相反する判断をしたものということはできない。
 同第三点について。
 所論は原判決の最高裁判所判例違反をいうけれども、その実質は事実誤認、訴訟
法違反の主張に帰するのであつて、上告適法の理由とならない。
 被告人C、同Aおよび同Bの弁護人野呂正達の上告趣意第一点について。
 所論は憲法違反をいうが、原判決は判示第三の(二)の事実を認定する証拠とし
て数多くの証拠を挙示しており、本人の自白だけで被告人Bを有罪としているわけ
ではなく、右の諸証拠を総合すれば右事実は所論の点をも含めて総べてこれを肯認
するに足りるから、所論違憲の主張は前提を欠き、採用できない。
 同第二点について。
 所論は憲法違反をいうが、記録を調べても所論各供述調書につき取調官の強制、
脅迫等の事実を認むべき証跡はないから、論旨は前提において失当であつて、採用
し難い。
 同第三点および第四点について。
 所論は事実誤認または量刑不当の主張であつて、いずれも、刑訴四〇五条の上告
理由にあたらない。
 被告人Dの弁護人浦野三好の上告趣意第一点について。
 所論は違憲をいうけれども、その実質は量刑不当の主張に帰し、上告適法の理由
とならない。
 同第二点について。
 所論は判例違反をいう点もあるが、その判例を具体的に示していないし、その余
の論旨は単なる法令違反、事実誤認の主張を出でないものであつて、すべて、刑訴
四〇五条の上告理由にあたらない。
 また、記録を調べても、本件につき同四一一条を適用すべき事由ありとは認めら
れない。
 よつて、刑訴四〇八条に則り、裁判官全員一致の意見で、主文のように判決する。
  昭和三五年三月一八日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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