弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人平松勇の上告趣意第一点について
 原判決が引用している第一審判決に、被告人が兵庫県雇を拜命したのは昭和二〇
年一〇月二二日で、同県経済部商工課指導係(隠匿物資関係)となつたのは昭和二
〇年四月頃と記載してあることは、所論の通りである。しかし、原判決の事実摘示
と証拠説明とを対照して考えると、前者は昭和二〇年一一月二二日の誤記で、後者
はその翌年である昭和二一年四月頃の誤記であることが明らかである。それ故、右
誤記をとらえて、原判決は被告人が兵庫県雇を拜命する以前に同県に勤務していた
ものと判示したとか、隠匿物資等緊急措置令施行前において同令に基く職務を担当
していたと判示したとか、又原判決には被告人の公務員たること(兵庫県雇が公務
員であることは次に説示する通り)及びその職務権限を明示しない違法があるとか
いう所論は、いずれも理由のないものである。
 同第二点について
 所論は、原判決に被告人の公務員たることを明示するには、被告人が兵庫県雇を
拜命したというだけではたりず、更に進んで公務に従事する資格の根拠が法令にあ
ることを明にしなければならないというのである。しかし、公務員の賄賂収受罪を
判示するに当つては、公務員であることを判断しうる具体的事実を示し、その者が
職務に関し賄賂を収受した事実を説明すれば足り、公務員たることの資格を認めら
れる法令上根拠までも示す必要はないのである(昭和二四年(れ)八五六号、同二
五年二月二八日第三小法廷判決。最高裁判所判例集四巻二号二六八頁参照)。
 そして、原判決は、被告人が其の職務に関し昭和二一年一二月二七日頃から同二
二年二月初旬頃迄の間に数回に亘り業者から現金合計二万七千円の交付を受けて賄
賂を収受したという事実を認定すると同時に、被告人はその期間中兵庫県雇で同県
経済部商工課指導係勤務、その後機構の改革に伴い、特殊物件課隠匿物資係兼務、
賠償課隠退蔵物資係勤務として隠匿物資等緊急措置令に基く隠匿物資の買上げ、配
給等に関する職務を担当していた事実を判示しているのであるから、被告人が公務
員であることを判断しうる具体的事実を示すに欠くるところがないというべきであ
る。なお、記録を精査すると、兵庫県事務吏員主事Aに対する検察官の聴取書中に
同人の陳述として、兵庫県で雇を任命するについては、本省からの辞令様式の通牒
により兵庫県名で辞令を出していたこと及び同県雇については定員の定めはないが、
予算的には定員があり、その俸給は大蔵省給与局長の移牒に基いてこれを支給して
いたことが記載されており、被告人は兵庫県知事より任命された国費支弁の雇であ
つたことが窺われる。そして、同知事にかかる雇の任命権限があつたことは大正一
五年六月四日勅令一四七号地方官々制五条八条一項の規定の趣旨に徴し明らかであ
る。されば、原判決は被告人の公務員たる判示に欠くるところはなく、論旨は採用
の限りでない。
 同第三点について
 原判決が別件記録中のB等に対する検事聴取書を証拠として挙げていることは所
論の通りである。しかし、旧刑訴法四二一条にいう訴訟記録というのは当該事件の
記録をいい、原審における取寄記録はこれに含まれないのであるから(昭和二五年
(れ)第一二六八号、同年一一月一六日第一小法廷判決、最高裁判所判例集四巻一
一号二三一五頁参照)当裁判所が右取寄記録の到着前に本件公判期日を指定したか
らとて違法ではないばかりでなく、論旨は何等原判決の法令違反を主張するもので
もないから、上告適法の理由ということができない。
 よつて刑訴施行法二条、旧刑訴法四四六条により、裁判官全員一致の意見で主文
の通り判決する。
 検察官 松本武裕関与
  昭和二六年七月二〇日
     最高裁判所第二小法廷
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判長裁判官霜山精一は差支えにつき署名押印することができない。
            裁判官    栗   山       茂

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