弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人衛藤隅三の上告趣意は末尾に添附した別紙記載のとおりである。
 第一点について。
 証人の公判廷における供述と、同人が警察でなした供述との間に齟齬がある場合
には、常に公判廷における供述を措信しなければならないという法則は存在しない。
従つて所論Aの公判廷における証言を証拠に採用せず、同人に対する司法警察官の
聴取書を証拠としたことは違法でない。論旨は、原審の採用しない証拠に基いて原
審の自由裁量に属する証拠の取捨判断を非難するばかりでなく、原審の事実誤認を
主張することに帰し採用するを得ない。なお(イ)所論上申書は、本件公訴提起前
被害者Aから橋本検事に差出したものであつて、旧刑訴第三四二条に所謂公判期日
前訴訟関係人から提出された証拠物又は証拠書類に該当しないばかりでなく、被告
人側からもまた検事からも右上申書について証拠調を請求した形跡がないから原審
において右上申書について証拠調をしないからとて所論の如き違法はなく論旨は理
由がない。(ロ)所論聴取書中被告人の犯罪事実に関係のない供述があるとしても、
これについて証拠調をしたからとて何等違法はない。しかのみならず、所論被告人
の犯罪事実には関係がないと主張する部分も全然被告人の犯罪行為と関係がないと
はいえないから、所論聴取書全部につき証拠調をしたことは当然であつて論旨は理
由がない。(ハ)所論上申書は証拠調をしていないのであるから原審がこれを参酌
しないことは当然である。そして所論Aは証人として右上申書を以て訂正したこと
については何等述べていないのであるから、原審において所論司法警察官の聴取書
を証拠となし、所論上申書を証拠にしないことは違法ではなく論旨は理由がない。
(ニ)被告人は所論一千円をB組に入れているという事実は原審では認定していな
い。従つて論旨は原審の認定しない事実に基いて原審の事実認定を非難することに
帰し採用しがたい。(ホ)所論「C」は発音上「D」と共通すること及び、被告人
が原審公判において右一千円の金員授受関係を自認していること(授受についての
趣旨は否認している)等に鑑みれば、CはDの誤記と認めるを相当とするから論旨
は理由がない。(ヘ)原審の自由に決し得べき証拠の取捨判断と事実認定を非難す
ることに帰し採用するを得ない。
 第二点について。
 所論上申書は公訴提起前被害者Aから検事に差出したものであつて、旧刑訴三四
二条に所謂公判期日前訴訟関係人より提出した証拠物又は証拠書類に該当しないし、
又被告人側からも検事からも証拠調の請求をしていないことは記録上明白であるか
ら、原審において右上申書について証拠調をしないからとて何等の違法はなく論旨
は理由がない。
 第三点について。
 司法警察官に対する供述と同一人が検事に差出した上申書又は公判廷における供
述とが、齟齬する場合に、その何れを措信して証拠となすべきかは原審の自由に決
し得べきことであるから、原審が所論司法警察官の聴取書を断罪の資料としたこと
については何等違法はない。論旨は名を憲法違反に藉り、原審の自由裁量権に属す
る証拠の取捨判断を非難し、且つ、原審の事実誤認を主張するにすぎないから採用
するを得ない。
 第四点について。
 所論一千円はB組が入手したこと、及び「Eこそは大責任者として訴追せられ罪
を負うべき」ものであるということは、原審の関係しない事実であるし、又Eと被
告人とは親分子分の関係であるため不平等の取扱をしたと認むべき証跡は存在しな
い。従つて所論違憲の主張はその前提を欠き採用するを得ない。
 よつて旧刑訴四四六条により主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 田中巳代治関与
  昭和二六年九月一八日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保

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